Journal of Spine Research
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Editorial
原著
  • 橘 安津子, 河野 仁, 赤池 侑樹, 高見澤 悠平, 中道 清広, 渡邉 泰伸, 片岡 嗣和, 竹内 拓海, 細金 直文
    2024 年 15 巻 7 号 p. 988-993
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊椎固定術の術後合併症である近位隣接椎間後弯変形(PJK)に対し,有効な予防法は確立されていない.今回われわれは,PJK予防の新しいデバイスとして肋骨フックを開発し,それがPJK予防になりうるかについて有限要素法を用いて検討した.

    方法:T6からT10椎体および肋骨の3次元モデルを作成し,T9を最上位固定端(UIV)とし,フックなし,横突起フック(T8に設置)使用,肋骨フック(第7肋骨に設置)使用の3条件で,T6椎体に軸荷重および前屈モーメントを加えた際の各椎体にかかる相当応力を調査した.

    結果:UIV+1にかかる椎体相当応力の平均値は,軸荷重(200 N)+前屈モーメント(5 Nm)を加えた際,フックなしでは0.723 MPa,横突起フック使用では0.715 MPa,肋骨フック使用では0.625 MPaと肋骨フックで最も小さかった.

    結論:肋骨フックを用いることでUIV+1にかかる相当応力を減じることが示唆された.

  • 佐藤 真亮, 中尾 祐介, 熊木 慎吾, 佐野 茂夫
    2024 年 15 巻 7 号 p. 994-1001
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形手術においてProximal Junctional Kyphosis/Failure(PJK/F)は予防すべき合併症である.上位胸椎から骨盤までの固定が必要となる症例もあるが,Upper Instrumented Vertebra(UIV)ついて一定の見解はない.我々はUIVをT4とした症例に絞り,PJFが発生した症例について術前予測因子の有無を調査した.

    方法と対象:2012年9月から2021年9月にT4から骨盤までの固定となった成人脊柱変形60例を調査した.PJF群(5例),control群(55例)に分け,術前のBody Mass Index(BMI),T4椎体のHounsfield Unit(HU)値,PI,PT,LL,PI-LL, T1 slope,TK,uTK(立位全脊椎単純X線側面像のT1頭側終板とT5尾側終板のなす角),f-TK(前屈位のTK),f-uTK(前屈位全脊椎単純X線側面像のuTK),Global tilt,術直後のPT,LL,T1 slope,TK,PI-LL,uTK,Global tilt,Global alignment and proportion(GAP)スコアを検討した.

    結果:術前因子として有意差が生じたのはPI,f-uTKであった.PIは,PJF群61.8±4.3°に対し,control群50.4±1.7°であった(p=0.0322).f-uTKは,PJF群34.6±3.6°に対しcontrol群14.4±1.3°であった(p=0.00042).多重ロジスティック解析を行うと,PIはオッズ比1.12(95%信頼区間0.95~1.33,p=0.173),f-uTKはオッズ比1.69(95%信頼区間0.98~2.9,p=0.0588)であった.PJFの発生有無に対してf-uTKの値でROC解析を行ったところ,f-uTK 28°が有効なカットオフ値であった(感度1,特異度0.944).

    術後因子で有意差がついたものはT1 slopeのみであり,PJF群47.6±5.9°に対し,control群33.5±1.6°であった(p=0.0284).

    結語:f-uTK>28°以上の症例ではUIVはT4では不十分であり,UIVをより頭側にすればPJFを防げる可能性がある.

  • 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 川島 康輝, 小野 直登, 中 信裕, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1002-1007
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    目的:成人脊柱変形(ASD)に対する側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)及び経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いたcircumferential minimally invasive surgery(CMIS)-multi rodにおけるロッド曲げ戻り量を検討した.

    対象及び方法:2022年7月以降当院にてCMIS-multi rodを施行したASD患者連続31名を対象とした.固定範囲は全例下位胸椎から腸骨までとした.Rodは全例5.5 mmチタン合金を3本使用した.ロッド設置前のロッドにおける腰椎前弯(rod-LL),下位腰椎前弯(rod-LLL),胸椎部(T10からL1)後弯角(rod-TK)を調査し,さらにロッド設置後の単純X線側面像におけるrod-LL,rod-LLL,rod-TKを計測しその差を求め曲げ戻り量とした.またrod-LLの曲げ戻り量と各種パラメーターとの相関を求め,最も相関の強いパラメーターを調査した.

    結果:平均年齢は75.7歳(男性5名女性26名)であった.UIVはT8:1例,T9:8例,T10:22例,LIVは全例腸骨であった.各種パラメーターの平均値はPI47.6,LLは術前-5.2°,術後43.7°,PI-LLは術前52.3°,術後3.9°であった.rod-LLは設置前47.5°,設置後37.7°,rod-LLLは設置前29.0°,設置後23.1°,rod-TKは設置前26.8°,設置後22.0°であり,それぞれ曲げ戻り量は9.8°,5.9°,4.7 °であった.rod-LL曲げ戻り量と最も相関の高いパラメーターはLLIF後PI-LLであり相関係数は0.68であった.近似式はrod-LL曲げ戻り量=0.47×(LLIF後PI-LL)+8.2であった.

    結語:ASDに対するCMIS-multi-rodにおけるロッド曲げ戻り量を調査した.Rod-LL曲げ戻り量は平均9.8°,LLIF後PI-LLが最も相関が高く,相関係数は0.68,近似式はrod-LL曲げ戻り量=0.47×(LLIF後PI-LL)+8.2であった.

  • 川島 康輝, 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 小野 直登, 中 信裕, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1008-1018
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    目的:椎弓根スクリューの緩み(screw loosening:以下SL)は骨癒合不全の要因となるため極力予防したい.今回成人脊柱変形(以下ASD)に対するcircumferential minimally invasive surgery(以下cMIS)における固定上位端(upper instrumented vertebra:以下UIV)のSL危険因子を調査した.

    対象:2016年以降LLIFとPPSを用いたcMISを施行し3年以上経過観察可能であったASD患者51名(女性38例,男性13例)とした.平均年齢73.5歳,平均経過観察期間42ヶ月であった.検討項目はSLあり群(SL群)と無し群(NSL群)で各種パラメーター,術前椎間板状態,UIVのPSと頭側終板とのなす角度(PSA),術前HU値(UIV),UIVにおけるスクリュー逸脱の有無,スクリュー深度スコア,PJK発生率に関して検討した.スクリュー深度スコアは両側対側皮質骨に接触を2点,片側を1点,両側接触無しを0点とした.

    結果:SLは25名47%,二群間で年齢,性差,HU値において有意差は無かった.各種パラメーターにおいて,SL群で有意にPSAが小さくその他のパラメーターにおいて有意差は無かった.スクリュー深度スコアはNSL群で有意に高く,スクリュー逸脱も有意に少なかった.多変量解析でPSA,スクリュー深度スコア,スクリュー逸脱が危険因子として検出されPSAのカットオフ値は11.7°であった.

    考察/結語:PSAやスクリュー深度スコアといったimplant設置に関する項目のみが検出され,HUにおいて有意差は無かった事より骨質よりUIVにおけるimplant設置方法の工夫がSLの予防において重要である可能性が示唆された.

  • 谷 陽一, 中 信裕, 小野 直登, 川島 康輝, 朴 正旭, 石原 昌幸, 足立 崇, 谷口 愼一郎, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1019-1027
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:PI-LL≧10°の成人脊柱変形(ASD)に対してACR(L3-4),LLIF(L2-3,L4-5),PPS(L2-L5)による3椎間低侵襲手術(以下,本法)にて術後PI-LL<10°を達成できる条件を後ろ向きに調査した.

    対象と方法:対象は上記のASDに対し本法を行い2年以上追跡した39例で,以下の症例を本法の適応から除外した:1)胸椎に側弯の主カーブあり,2)胸腰椎移行部に後弯あり,3)L3-4椎間関節癒合あり,4)脊椎固定術の既往あり.検討項目は年齢,股関節骨密度(BMD)とTスコア,脊柱骨盤矢状面パラメーター,ODIスコアである.

    結果:最終観察時にPI-LLが<10°であった23例と≧10°であった16例の2群間で術前因子を検定すると,術前PI-LLとBMDで有意差を認めた.この2項目を独立変数としたロジスティック回帰分析によりPI-LLのみが有意な因子として検出され,ROC解析にてそのカットオフ値は24.2°であった.

    結語:PI-LL≧10°のASDに対し,本法により術後PI-LL<10°を達成できる条件は,術前PI-LL<24.2°である.

  • 伏見 一成, 飯沼 宣樹, 田中 領, 矢野 智規, 堀 聖弥, 小林 遼, 白井 剛志, 棚橋 宏行, 横井 達夫
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1028-1033
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:近年,腰椎椎弓根スクリューの刺入において,患者適合型スクリュー刺入ガイドが普及しているが,ときに骨外へ逸脱する例を認める.本研究では,患者適合型ガイドにおいてスクリューが逸脱する原因や危険因子を検討した.

    対象と方法:患者適合型ガイドを用いて椎弓根スクリュー設置を行った27例(刺入椎体は65椎体,スクリューは130本)を対象とした.臨床的検討項目は,年齢,性別,身長,BMI,手術高位,椎弓根の径,腰椎前弯,すべりの程度,椎間関節変性の程度である.また術前の刺入計画CT像と術後の画像との比較解析にて,誤差を生じやすい方向等を計測した.

    結果:スクリュー130本中,逸脱したスクリューは8本であった(刺入精度93.8%).逸脱例と対象例を比較すると,逸脱は男性に多い傾向であり,逸脱例はすべりの程度(%slip)が大きく,身長が高いことがわかった.その他の因子には有意差を認めなかった.術前後のCT画像解析では,スクリューは深度と内外側刺入方向に誤差を生じやすい傾向であった.

    結語:患者適合型ガイドは比較的精度が高いが,身長が高く,すべりの大きい男性には注意を要することが示唆された.

症例報告
  • 川本(岩田) 英典, 野澤 聡, 山田 一成, 岩井 智守男, 笹田 康弘, 白橋 幸洋, 岩田 尚, 秋山 治彦
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1034-1040
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:SMARCA4欠損未分化腫瘍はSMARCA4遺伝子の欠損を特徴とする腫瘍であり,2015年に初めて報告された新しい疾患概念である.

    症例:58歳,男性.右胸部痛を訴えて近医を受診し,胸部CTで胸椎傍椎体腫瘍を指摘され当院紹介となった.針生検の結果,胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍が疑われた.腫瘍は第5胸椎右傍椎体に発生しており,右第5/6胸椎椎間孔から脊柱管内にまで及んでいた.術前に医療画像解析ソフトVINCENTを用いて綿密な切除計画を立てた.呼吸器外科により胸腔鏡下に胸腔側から肋間動静脈の処理とともに腫瘍の剥離を行い,後方からTh4~5半椎弓切除と神経根を結紮切離,椎体側面の腫瘍を骨上で焼灼切離し腫瘍・肋骨を含め一塊として摘出した.術後2年の現在,再発なく経過良好である.

    結語:傍椎体に発生した胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍を経験した.VINCENTを用いて切除範囲を綿密に計画し,外科的切除を行ったことで良好な経過が得られた.

  • 姜 聖清, 井上 知久, 和田 圭司, 岡崎 賢
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1041-1047
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:環軸椎変型性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を行った後にBow hunter syndromeを発症したため,後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行った1例を報告する.

    症例:59歳男性.6年前に環軸椎変形性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を受けた.左眼視野障害,構音障害,右上下肢運動障害,ふらつきで紹介医に救急搬送され,MRI/MRAで環椎レベルでの両側の椎骨動脈狭窄,小脳梗塞および後頭葉梗塞を認めた.血管造影で頸部の右回旋位で両側椎骨動脈の完全閉塞を認めたため,環軸椎変形性関節症に伴うBow hunter syndromeと診断された.頭蓋内ステント留置術や頭蓋内血管バイパス術の適応を検討されたが,再狭窄および脳梗塞の再燃の危険性が高いため適応外と判断され,脳梗塞の再発予防のために手術加療が必要と判断されたため当院紹介となった.ハローベスト装着により後頭骨-頸椎を固定した状態で造影CTを撮影したところ椎骨動脈の血流が改善したため,後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行った.術後半年後のCTで骨癒合良好であり,脳梗塞の再発を認めていない.

    結語:Bow hunter syndromeの症例に対して後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行い,脳梗塞の再発を予防した.

テクニカルノート
  • 清水 曉, 望月 崇弘, 三宅 茂太, 隈部 俊宏
    2024 年 15 巻 7 号 p. 1048-1052
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊柱管の腹側に位置する前内椎骨静脈叢anterior internal vertebral venous plexus(AIVVP)は,上位頚椎で発達しており,ここに進展した神経鞘腫の摘出では大量出血をしばしば伴う.同部位の局所解剖に基づく有効な止血手技を示す.

    技術報告:後方進入した5例のC2神経鞘腫において,硬膜管腹側の腫瘍を摘出するとAIVVP破孔から高圧の静脈性出血があった.フィブリン糊を浸した破孔より広面積のゼラチンスポンジを破孔に被せ,面として圧迫することで止血を得た.

    結語:AIVVPは,古典的には真の硬膜外腔内で微細な管状静脈が集合した構造と解釈されていたが,近年,硬膜管の直腹側の2層から成る後縦靱帯間に存在する腔がAIVVPであることが明らかにされている.AIVVPは静脈“叢”とは呼称されるものの,頭蓋の静脈洞と同様に広大な“腔”であるとの認識が必要であり,止血操作においては破孔へのゼラチンスポンジ貼付が有効である.

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