Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
15 巻, 11 号
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Editorial
総説
  • 赤澤 努, 鳥居 良昭, 上野 純, 吉田 篤弘, 友近 顕
    2024 年15 巻11 号 p. 1251-1258
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    脊柱変形手術におけるロボット支援スクリューの設置方法やその精度について解説する.特に“Shift and Skive”という問題に焦点を当て,スクリュー設置精度を向上させるための対策について解説する.

    我々の施設ではMazor X Stealth Editionを使用したCT-to-Fluoro方式を採用している.ロボットアームは自動的に術前プランニングされた軌道上に移動し,アームガイド下にスクリュー設置を行う.しかし,スクリュー設置には“Shift and Skive”という課題があり,これらの問題を克服するための対策が必要である.

    “Shift”は,レジストレーション後に患者の体とロボットシステムの関係性が変化することを指し,“Skive”はロボットアームガイド下の手術器具の方向や位置が変化することを指す.これらの課題に対処するため,Shift対策としては,スクリュー設置の順番を調整するなどの方法がある.またInstrument skiving対策としてハイスピードドリルの使用は非常に有効である.

原著
  • 藤本 陽, 滝川 一晴
    2024 年15 巻11 号 p. 1259-1265
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:神経筋原性側弯症に合併する側弯症は進行しやすく重度になると致死性呼吸障害を合併する.その原因の一つに気管狭窄があるが,関連する因子は不明である.

    対象と方法:胸椎部の側弯をもつ神経筋原性側弯症に対して胸部CTを撮影した16名を対象とした.気管狭窄の定義は主・葉気管支の狭窄とし,CT再構成像で評価した.測定項目は単純X線臥位正面像における側弯Cobb角,側面像における胸椎後弯角(T1~12),気管狭窄率,大動脈もしくは腕頭動脈による圧迫の有無,気管狭窄部椎体と肋骨との距離,圧迫椎体の胸骨椎体中心からの側方偏位距離,胸郭縦横比,とした.

    結果:調査時年齢は平均15歳(6~21),側弯Cobb角は平均97度(39~137),胸椎後弯角は平均18度(-20~74),気管狭窄率は平均26%(0~76),気管圧迫に直接関与する椎体はT6が最多だった.気管狭窄がある群とない群を比較すると,胸椎後弯角の減少と胸郭縦横比の低下に有意差があり側弯Cobb角は有意差がなかった.

    結語:神経筋原性側弯症における気管狭窄と関連する因子は胸椎後弯角が少ないことと胸郭縦横比が小さいこと,すなわち「薄い胸郭」だった.

  • 伊藤 雅明, 鈴木 哲平, 宇野 耕吉
    2024 年15 巻11 号 p. 1266-1271
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脳性麻痺に伴う神経筋原性側弯症(NMS)は進行が早く,手術時には高度側弯となっていることが多い.本研究では重度脳性麻痺に伴う神経筋原性側弯症に対しDual attending surgeonによる脊柱後方固定術の治療成績,周術期合併症について検討した.

    対象と方法:重度脳性麻痺(GMFCS IVまたはV)に伴うNMSに対して脊椎後方固定術を施行した31例を対象とした.Dual attending surgeon approachとして手術開始時より両側から執刀医2人で手術を施行したD群(12例)と執刀医1人と助手で手術を施行したS群(19例)に分け検討した.

    結果:術前メインカーブのCobb角はD群133度,S群106度,骨盤傾斜はD群39度,S群26度といずれも有意差を認めた(P<0.05).手術時間はD群212分,S群487分でありD群で有意に手術時間が短縮されていた(P<0.01).メインカーブの矯正率はD群41%,S群57%と有意にD群で低かったが(P<0.01),T1-12高の増加量はD群51 mm,S群44 mmと差を認めなかった.周術期合併症はD群で4例(33%),S群16例(84%)に認めD群で有意に周術期合併症が少なかった(P<0.01).

    結語:重度脳性麻痺に伴うNMSに対するDual attending surgeonによる脊柱後方固定術は手術時間を大きく短縮し,周術期合併症を減少させることができた.

  • 岡安 浩宜, 小林 徹也, 妹尾 一誠, 津村 諄一, 西能 渉一, 伊藤 浩
    2024 年15 巻11 号 p. 1272-1276
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:COVID-19パンデミックによる側弯症検診の縮小が診療に与えた影響を調査した.

    対象と方法:2017年1月から2022年3月までに側弯症外来を初診した患者104例(初診群)と学校検診に参加した720例(検診群)を対象とした.2020年3月までをコロナ前とし,2020年4月以降をコロナ後として,初診時年齢,X線所見を比較した.

    結果:初診群の平均年齢はコロナ後の方が高かった(コロナ前12.7±1.5歳,コロナ後13.4±2.2歳,P=0.0434).初診時Cobb角が20~24°である治療境界期の割合が,コロナ後に減少していた(コロナ前18.2%,コロナ後7.9%,P=0.0437).検診群の参加人数は減少し(コロナ前平均159.7人/年,コロナ後平均120.5人/年),X線撮影者のCobb角は増大していた(コロナ前平均11.2±6.9°,コロナ後平均15.3±8.1°,P=0.0002).

    結語:COVID-19パンデミックが,側弯症の早期発見や適切な治療介入時期に影響を及ぼした可能性がある.

  • 重松 英樹, 川崎 佐智子, 池尻 正樹, 撫井 貴弘, 田中 康仁
    2024 年15 巻11 号 p. 1277-1284
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)の手術治療は,Cobb角>40°に勧められる.しかし,患者とその両親の手術への理由とその不安は明らかではない.本研究の目的は,両者の理由と不安を明らかにすることである.

    対象と方法:2021年4月から2年間に当院で手術したAIS患者を対象とした.アンケートは手術への理由(13項目)と不安(9項目)で構成し,術前に両者に行った.各項目に重視するものから順位をつけていただき,1位:1点,2位:2点,3位:3点,それ以外:10点とし,項目ごとに患者と両親間で比較した.

    結果:18症例で検討した.1位から3位までの回答数は,手術への理由で両者とも将来の側弯悪化予防が最多で,不安で手術による神経合併症が最多だった.両者の違いは,理由で患者はウエストラインの非対称の改善を望む回答が多く,不安で患者は術後疼痛の回答が多かった.また両親は患者より手術による神経合併症をより強く不安に感じていた.

    結語:両者が抱く理由と不安はほぼ同じであった.脊椎外科医は,手術の適応,合併症などの情報提供が必要だが,彼らの理由と不安を理解し,情報提供に努める必要がある.

  • 大里 倫之, 川上 紀明, 斎藤 敏樹, 宮下 直人, 大谷 昂平, 小原 徹哉, 岩沢 太司
    2024 年15 巻11 号 p. 1285-1290
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    二分脊椎,脊髄髄膜瘤に伴う神経筋原性側弯症は側弯と後弯を主とした変形の2つの病態に大別され,出生時から発症し成長終了後も進行性で重度脊柱変形に陥る場合も少なくない.特に若年齢から高度に悪化する症例は治療に難渋し,その外科的治療法は脊柱矯正固定術である.しかし早期脊椎固定術にはその弊害も多く,成長温存手術の試みがなされてきているが最終固定術に至った報告は少ない.本研究では二分脊椎脊,髄髄膜瘤に生じた重度脊柱変形に対し成長温存手術であるVEPTRを施行することで5.2年最終固定術を遅らせることができた.それに伴い側弯や後弯の矯正もある程度可能であったが,追加手術回数の割に脊柱の成長温存については限界があった.

  • 宮下 直人, 川上 紀明, 齊藤 敏樹, 大里 倫之, 大谷 昴平, 川上 和紀
    2024 年15 巻11 号 p. 1291-1297
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:Dunn-McCarthy法(DM法)は1989年に報告された腰仙椎固定法であるが,幼小児の二分脊椎・脊髄髄膜瘤の患者では仙骨や骨盤が小さくscrewやhookが設置しにくいため,好んで使用されることが多い術式である.しかし,本邦ではDM法のまとまった報告はほとんどなく,術後成績も症例ごとの差が大きい.今回,我々はDM法による腰仙椎矯正固定を行った症例の術後成績を調査した.

    方法・結果:症例は16例(手術時平均年齢8.7歳,平均追跡期間5年)あった.術前の平均後弯角は146度であったが,術直後52.5度,最終観察時は58.5度で良好に矯正維持され,全例骨癒合も獲得できていた.術中合併症は硬膜損傷5例,胸膜損傷1例あり,術後合併症は15例(感染8例,縫合不全4例,インプラント関連合併症5例,proximal junctional kyphosis(PJK)1例)であった.

    考察:DM法ではロッドの尾側を仙骨翼の前面にクランク状に設置するため,力学上効果的に後弯矯正ができる特徴がある.二分脊椎・脊髄髄膜瘤に伴う脊柱変形に対する矯正手術では矯正損失,感染や偽関節などの合併症により治療に難渋することが多いが,本法は治療選択肢の一つとしてなり得る術式であると結論した.

  • 瀬本 喜啓, 藤原 憲太, 下 裕司, 永野 徹, 永野 宏佳
    2024 年15 巻11 号 p. 1298-1305
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:夜間装具を用いて治療を行った,思春期特発性側弯症の治療成績を報告する.

    対象と方法:30度以下の女子の思春期特発性側弯症37例に対し,瀬本・永野式夜間装具を用いて治療を行い,装具脱後2年以上経過した症例の治療成績を検討した.装具治療前の年齢は平均13歳4ヶ月,装具装着期間は平均2年4ヶ月,全治療期間は平均4年11ヶ月であった.装具脱後の経過年数は平均2年8ヶ月であった.装具治療開始時のRisser signが0から2の群(以下Risser0~2群)と,Risser sign 3の群(以下Risser3群)およびRisser sign 4の群(以下Risser4群)について装具による弯曲の変化を調査した.Risser0~2群の治療前Cobb角は平均20.4度,Risser3群は平均19.6度,Risser4群は平均20.1度であった.

    結果:Cobb角が5度以上減少したものを改善,5度以内の増減を進行なし,5度以上増加したものを進行とすると,Risser0~1群(16例)は,改善11例,進行なしが3例,悪化2例であった.Risser3群(9例)は改善4例,進行なし3例,悪化2例,またRisser4群(12例)は改善2例,進行なし7例,悪化3例であった.

    考察:今回の調査結果では,Risser0~2群の症例で16例中14例(87.5%)は進行を予防できた.さらに10度以上改善した例が4例(25%)あった.またこの群の20度以下の症例は8例で,そのうち2例は進行なし,6例は5度以上の改善が認められた.これは,装具では進行予防しかできないという今までの知見をくつがえし,早期に治療を開始することにより弯曲の改善が可能であるということを示唆する.Risser4群でも5度以上悪化する例も3例認められた.Risser signのみで装具の離脱の時期を判断することは適切ではないと考える.

    結語:1.瀬本・永野式夜間装具による側弯症治療例の治療成績を報告した.2.夜間装具は進行予防のみならず弯曲の改善も期待できる.3.20度未満の思春期特発性側弯症は,進行するのを待って装具治療を開始するのではなく,直ちに装具装着を開始すべきである.4.装具の離脱をRisser signのみで判断することは適切ではない.

  • 藤本 陽, 滝川 一晴
    2024 年15 巻11 号 p. 1306-1312
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:側弯症患者ではバランス制御能力が低下し疲労や痛みにつながることが示されているため,立位バランスは重要である.その評価においては静的指標の単純X線のみでは不十分であり,重心動揺計を用いた姿勢安定度の評価が有用とされる.Index of posture stability(IPS)は,側弯症患者の姿勢安定度を評価するための指標として有用だが,側弯症手術患者に適用した報告はまだない.本研究の目的は,IPSを用いて側弯症手術患者の術前後における姿勢安定度の変化を評価・比較することである.

    対象と方法:当院で2021年4月から2023年8月に側弯症手術を受けた23名を対象に,術前と術後1ヶ月に重心動揺検査を実施した.測定はアニマ社バランスコーダBW-31を用い,IPSは既報に従い算出した.測定項目は術前装具加療の有無,Cobb角,側弯柔軟性(fulcrum bendingと自動側屈),apex vertebra translation(以下AVT);(center of sacral vertical line,[以下CSVL]からのAVTとC7 plumb lineからのAVT),固定椎体数,矯正率とし,術前後のIPSを比較して姿勢安定度が改善,不変,悪化したものに分けて比較を行った.

    結果:全23名中,特発性側弯症が18名で最も多く,その他キアリ奇形,Marfan症候群,Beals症候群,Prader-Willi症候群に伴う症候性側弯症が含まれた.平均年齢は15.3歳,男性4名,女性19名だった.術前Cobb角は57.2°,術後は13.9°,矯正率は77.6%,固定椎体数は9.8椎,Lenke typeにあてはめたカーブパターンはType 1が8名,Type 2が4名,Type 3が4名,Type 5が4名,Type 6が3名だった.術後の姿勢安定度は改善が6名,不変が12名,悪化が5名で,群間比較では唯一術前IPSのみ有意差があり,ほかの計測項目には統計的に有意な差がなかった.

    結語:側弯症患者では健常者と比較して術前より立位バランスは悪化していた.術後立位バランスが改善,悪化する要因は不明だが必ずしも全例において低下するわけではなかった.

  • 中嶋 望, 藤森 孝人, 鈴木 裕紀, 喜多 洸介, 蟹江 祐哉, 古家 雅之, 岩崎 幹季, 木戸 尚治, 岡田 誠司
    2024 年15 巻11 号 p. 1313-1320
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:側弯症診療においてX線画像での計測は必須の作業であるが,手動計測には誤差の問題(3~8°程度)と計測時間・労力の問題がある.計測の自動化のために,ディープラーニングの技術を利用したAIの開発が進んでいる.本研究では大規模なデータセットを使用して,特発性側弯症患者の術前及び術後の全脊椎X線正面像を自動計測するAIの開発を目的とした.

    対象と方法:特発性側弯症患者の全脊椎正面X線画像2,059枚を使用し,椎体の4隅および,仙骨,骨盤,鎖骨,骨頭のキーポイントに正解値を作成,深層学習を行いAIモデルの作成を行った.Cobb角を含むパラメータの計測を行い,5分割交差法を用いて誤差の検証を行った.

    結果:Cobb角はメジャーカーブの絶対平均誤差が2.5°,相関係数0.99と高い精度で計測可能であった.学習を重ねることでインプラントと重なっていても椎体の角を正確に認識する事が可能になった.計測時間は1枚あたり1.4秒であった.

    結語:大規模なデータセットで学習することで,インプラントが入っていても側弯症患者X線画像の自動計測を高い精度で行うことが可能になった.計測時間も大幅に短縮でき,AIは臨床上非常に有用なツールとなり得る.

  • 佐藤 雅之, 大橋 正幸, 渡辺 慶, 長谷川 和宏, 平野 徹, 田仕 英希, 牧野 達夫, 湊 圭太郎
    2024 年15 巻11 号 p. 1321-1327
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過,特に中年期における変化は不明な点が多い.本研究の目的はAIS非手術例の側弯変形,柔軟性,および矢状面アライメントに関して中年期における変化を明らかにすることである.

    対象と方法:AIS非手術例のうち,骨成熟時の側弯Cobb角が30°以上で,30歳以降に1年以上の間隔をあけて2回以上のX線検査を行うことのできた27例(全例女性)を対象とした.立位全脊椎X線で冠状面・矢状面アライメントを,側屈ストレス撮影で側弯柔軟性を評価した.

    結果:成人期の初回調査時年齢は平均40.7歳,最終調査時は平均46.3歳で,観察期間は平均5.8年であった.側弯Cobb角は胸椎,胸腰椎/腰椎(TL/L)側弯ともに有意な変化はなかったが,TL/L側弯の柔軟性は有意に減少した.矢状面ではLLとSSは有意に減少し,SVA,PI-LL,およびPTは有意に増加した.

    結論:中年期における約6年の経過において,側弯進行は限定的である一方,TL/L側弯柔軟性の低下と矢状面で腰椎前弯減少と骨盤後傾を生じていた.中年期には側弯柔軟性や矢状面アライメントも含めた経過観察が必要である.

  • 三村 悠祐, 宮城 正行, 横関 雄司, 田中 慶秀, 池田 信介, 白澤 栄樹, 斎藤 亘, 井村 貴之, 中澤 俊之, 井上 玄, 髙相 ...
    2024 年15 巻11 号 p. 1328-1334
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)女児患者における冠状面アライメント・バランスとCobb角,体幹または四肢筋量との関係を調査した.

    対象と方法:骨成熟が完了したAIS女児患者196例を対象とし,年齢,身長で補正した体幹・四肢筋肉量と,単純X線でCobb角,L4 Tilt,C7-Central sacrum vertical line(CSVL),Radiographic shoulder height(RSH)を評価した.L4Tilt10度以上,C7-CSVL20 mm以上,RSH20 mm以上を冠状面アライメント・バランス不良と定義し,評価項目の2群間比較,並びに多重ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:Cobb角とRSH,年齢と補正四肢筋肉量弱い正の相関関係を認めたが,年齢と補正体幹筋肉量は負の相関関係を認めた.冠状面アライメント・バランス不良群は正常群と比べ,有意にCobb角が高値を,補正体幹筋肉量が低値を示したが,補正四肢筋肉量は有意差を認めなかった.多重ロジスティック回帰分析の結果,補正体幹筋肉量はCobb角とともに冠状面アライメント・バランス不良の有意な独立した影響因子であった.

    結語:Cobb角高値と低体幹筋肉量はAIS患者の冠状面アライメント・バランス不良に関与する可能性が示唆された.

  • 生田 匠, 茶薗 昌明
    2024 年15 巻11 号 p. 1335-1340
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)の弯曲進行予測には骨成熟評価が重要である.本研究では超音波診断装置(US)による母指骨の骨成熟度評価を行い,X線による評価と比較検討した.

    対象と方法:AIS患者21名(男児6名,女児15名,初診時平均年齢は13.0歳,初診時平均側弯Cobb角は18.7°)の手指骨X線撮影後にUSのリニアプローブを手掌部から当てて母指基節骨(末節骨)骨端核厚を計測しX線計測との級内相関係数(ICC)を計測した.また,X線による母指骨骨成熟度評価法(TOCI)を行い,USでの骨成熟度評価との一致率を検討した.

    結果:X線像による母指基節骨/末節骨骨端核厚は平均3.26 mm/ 2.54 mm,US掌側アプローチでは3.33 mm/ 3.12 mm,US撓側アプローチでは2.57 mm/ 2.48 mmであった.X線とUSにおける母指基節骨端核厚のICCはX線とUS撓側アプローチで0.90であった.母指末節骨骨端核厚のICCはX線とUS掌側/撓側アプローチで0.88/ 0.87であった.本研究でのX線とUSにおける骨成熟評価での一致率は95%,Kappa統計量は0.936であった.

    結語:USによる母指骨骨成熟度評価はX線被曝することなく簡便で非侵襲的に施行可能で即座に結果を得ることが利点であり,AIS骨成熟過程の把握の一助となり,弯曲の進行予測に役立つ有用な検査である.

  • 小甲 晃史, 重松 英樹, 田中 幸博, 門野 文彦, 山本 聡, 石川 蓉子, 岩崎 倫政, 須藤 英毅
    2024 年15 巻11 号 p. 1341-1347
    発行日: 2024/11/20
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:これまでに3次元(D)デプスセンサと独自開発したプログラムを用いて予測側弯角を自動算出するクラスII医療機器を開発した.本研究では,さらに,側弯角15°未満の2次検診不要例を判定するための深層学習アルゴリズムを作成した.

    対象と方法:側弯症検診にて本機を使用し,かつ,X線による実側弯角が判明している学童334名の背部3D点群データを使用した.側弯角平均値12°をカットオフとする2値予測の深層学習モデルを作成し,12°を超える予測確率を算出した.さらに,15°以上の最小予測確率をカットオフ値として側弯角15°未満の2次検診不要例を判定した.250例を内部検証に,残り84例を外部検証に用いた.

    結果:内部検証において最小予測確率0.47のモデルが作成された.外部検証では実側弯角15°未満の39例(63%)が2次検診不要例と判定された.

    考察:本アルゴリズムは2次検診不要例を検出するのに有用であることが示唆された.不要なX線撮影の回避や医療費削減に繋がることが期待される.

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