はじめに:本邦の超高齢化にともない,高齢者に対する側方進入腰椎椎体間固定術(LLIF)の適応が増加している.LLIFは低侵襲であるが,Cage沈下が合併症として問題となる.本研究では,多椎間LLIFにおけるCage沈下の危険因子とHounsfield unit(HU)値やVertebral bone quality scoreの予測的有用性を検討した.
対象と方法:2016~2022年に2椎間以上のLLIF+PPSを施行し1年フォロー可能であった50例(121椎間)を後ろ向きに解析した.術前画像よりHU値およびVBQ scoreを測定し,Cage沈下の有無に応じて群分けし,多変量解析を行った.
結果:Cage沈下は26椎間(21%)に認められ,固定椎体HU値が有意に低く(p<0.01),ケージ高≧10 mmの使用が多かった(p=0.03).HU値とケージ高≧10 mmは独立した危険因子であり,HUカットオフ値は121(感度85%,特異度67%)であった.VBQ scoreとの有意な関連は認めなかった.
結語:多椎間LLIFにおけるCage沈下の危険因子は低HU値と高ケージ高であり,術前のHU評価に基づいたケージ選択や骨粗鬆症治療介入がCage沈下予防に重要である.
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