Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
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原著
  • 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 朴 正旭, 谷 陽一, 足立 崇, 川島 康輝, 小野 直登, 中 信裕, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2025 年16 巻10 号 p. 1234-1242
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形に対するshort fusionにおける腰仙椎矯正による胸椎の間接矯正効果に関して調査した.

    対象と方法:T12以下で側方経路腰椎椎体間固定やanterior column realignment,後方は経皮的椎弓根スクリューを用いた前後方固定を施行し2年以上経過観察可能であったASD患者82名を対象とした.術後胸椎後弯が減少した患者(NK群),増加した患者(K群)2群間でUIVにおけるHU値,各種パラメーター,胸椎椎体性状を調査した.胸椎椎体性状は変性なし(type N),骨棘あり(type O),diffuse idiopathic skeletal hyperostosis(type D)の3つに分類した.

    結果:K群で有意に年齢が若く,HUが有意に高かった.K群において有意に術前後TKが大きく,術前SVAが小さかった.NK群において術前TK45°以上の9例において2例のみ術後胸椎後弯の改善が得られておらず,椎体性状がOであった.

    考察・結語:K群の変化はreciprocal change,NK群の変化は腰椎矯正による胸椎間接的矯正効果であることが示唆され,かつ,間接的矯正効果は胸椎の変性が軽いことが重要である.

  • 茶薗 昌明, 澤田 尚武
    2025 年16 巻10 号 p. 1243-1249
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:マルチスケールテクスチャーチタン合金(MSTT)ケージとpoly-ether-ether-ketone(PEEK)ケージを用いた単椎間PLIF症例を比較し,cyst signやcage subsidenceに加えて固定上位椎体海綿骨の骨梁構造の変化について比較検討した.

    対象:対象は腰椎変性疾患に対してPLIF手術を施行し術後1年以上経過したPEEKケージ30例,MSTTケージ44例である.CTを用いて術後1年時のケージ頭尾側の椎体終板のcyst signとcage subsidenceについて調査した.ケージ頭側椎体の海綿骨の平均HU値を算出して経時的な推移を検討した.

    結果:Cyst signの出現頻度は有意差がなかった.Cage subsidenceはMSTT群がPEEK群と比較して有意に低下していた.固定上位椎体海綿骨のHU値はMSTT群で術後1年まで上昇がみられた.術後1年時のHU値はMSTT群がPEEK群と比べて有意に高値であった.

    結語:MSTTケージは初期安定性に優れたcage subsidenceの少ないバイオアクティブチタンケージである.

  • 山浦 鉄人, 圓尾 圭史, 有住 文博, 木島 和也, 波多野 克, 橘 俊哉
    2025 年16 巻10 号 p. 1250-1256
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本邦の超高齢化にともない,高齢者に対する側方進入腰椎椎体間固定術(LLIF)の適応が増加している.LLIFは低侵襲であるが,Cage沈下が合併症として問題となる.本研究では,多椎間LLIFにおけるCage沈下の危険因子とHounsfield unit(HU)値やVertebral bone quality scoreの予測的有用性を検討した.

    対象と方法:2016~2022年に2椎間以上のLLIF+PPSを施行し1年フォロー可能であった50例(121椎間)を後ろ向きに解析した.術前画像よりHU値およびVBQ scoreを測定し,Cage沈下の有無に応じて群分けし,多変量解析を行った.

    結果:Cage沈下は26椎間(21%)に認められ,固定椎体HU値が有意に低く(p<0.01),ケージ高≧10 mmの使用が多かった(p=0.03).HU値とケージ高≧10 mmは独立した危険因子であり,HUカットオフ値は121(感度85%,特異度67%)であった.VBQ scoreとの有意な関連は認めなかった.

    結語:多椎間LLIFにおけるCage沈下の危険因子は低HU値と高ケージ高であり,術前のHU評価に基づいたケージ選択や骨粗鬆症治療介入がCage沈下予防に重要である.

  • 山田 賢太郎, 田村 聡至, 橋本 淳, 小沼 博明, 江川 聡, 松倉 遊, 平井 高志, 工藤 篤, 坂井 顕一郎, 大川 淳, 吉井 ...
    2025 年16 巻10 号 p. 1257-1263
    発行日: 2025/10/20
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:頚椎前方手術後の重篤な合併症である術後気道閉塞に対し,我々は医療従事者のActionプロトコールを策定し2023年より運用してきた.本研究の目的は策定したプロトコールの有用性を検証することである.

    対象と方法:2023年1月~2024年8月に当科で施行された手術のうち,記録不備/挿管帰室症例を除いた50例51手術を解析した.プロトコールでは気道閉塞の主徴候1項目または副徴候2項目の陽性を緊急気道確保の至急検討条件としている.ICU滞在中の記録用紙を用いた定期的観察から精度について検証した.

    結果:主徴候1項目以上は6例,副徴候2項目以上は5例に観察され,緊急気道確保検討条件には8例該当した.術後気道閉塞による再挿管は1例で,主徴候2項目/副徴候4項目が観察された.疑陽性の7例で多く観察された徴候は頻呼吸3例,痰がらみ5例,不穏3例であった.プロトコール精度は感度100%,特異度86%であった.

    結語:陽性徴候数が多ければ真の気道閉塞である確率が高い.重大な転帰を防ぐため感度が高いことが重要であり,本プロトコールは頚椎術後の気道狭窄の早期発見に有用なツールである.

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