はじめに:脊椎手術後の末梢血リンパ球数減少(<1,000/uL)は手術部位感染(surgical site infection:SSI)の指標とされるがSSIでない症例を経験する.非感染群における術後7日目のリンパ球減少に関連する因子を検討した.
対象と方法:対象は脊椎手術329例(SSI:9例),術前・術後2/7/14日目の末梢血リンパ球数減少(<1,000/uL)・リンパ球数・白血球との比率(リンパ球比率)についてSSI群と非感染群間の有意差を検証した.術後7日目のリンパ球減少に関連する術前リンパ球数を算出,その値に関連する既往・併存疾患を検索した.
結果:2群間比較でリンパ球比率のみ有意差を認めた.術前リンパ球数のcut off値は1,386/uLで,非感染群における術前リンパ球低値群(<1,386/uL)は周術期全般でリンパ球数は低値で推移し,術前低蛋白・免疫抑制剤・腎障害が関連因子であった.
結語:術前低栄養・併存疾患が関連するリンパ球数低値を呈する群が存在し,術後7日目のリンパ球減少はこれら非感染群に留意する必要がある.
抄録全体を表示