Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
16 巻, 4 号
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Editorial
原著
  • 福井 絢之郎, 伊藤 圭吾, 松本 智宏, 神原 俊輔
    2025 年16 巻4 号 p. 709-714
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊髄浮腫は一般的には頚椎症性脊髄症(以下,CSM)で認められることは少ないが,一部のCSMには伴うことがあり,その場合は頚椎症性髄内浮腫と呼ばれ,発生には動的因子の関与が考えられている.今回,ミエログラフィ後に前後屈時で撮影したCT(以下,Dynamic-MCT)を用いて,脊髄浮腫を伴う頚椎症性脊髄症の動的因子を検討した.

    対象と方法:2017年3月から2023年10月において当院で治療した頚椎症性髄内浮腫症例9例(平均年齢53±13.9歳,手術8例,保存1例)を対象とした.検討項目はDynamic-MCTにて最狭窄椎間・頭側椎間・尾側椎間の頚椎可動域,脊髄面積とその変化量,MRIにて手術例の術前と術後1年の浮腫占拠率,術前と術後1年のJOA scoreとその改善率とした.

    結果:頚椎可動域・脊髄面積とその変化量に有意差は認めなかった.浮腫占拠率は術後1年で有意に縮小した.JOA score改善率は42.9±11.0%であった.

    結論:最狭窄椎間と頭尾側椎間にて頚椎可動域・脊髄面積に有意差は認めない結果となった.

  • 金子 京平, 神原 俊輔, 松本 智宏, 福井 絢之郎, 伊藤 裕哉, 伊藤 圭吾
    2025 年16 巻4 号 p. 715-720
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    超高齢社会で増加傾向にある骨粗鬆症性椎体骨折に対する術式として,セメントスクリュー:Cement-augmented pedicle screw(以下,CAPS)使用が近年増加しており,セメント漏出,セメント塞栓,致死的な肺塞栓症が合併症となりうるが,セメント漏出を防ぐためのCAPSへのセメント注入法に関する報告はない.今回,CAPS使用時のセメント注入の小工夫を報告する.

    2022年4月から2023年11月の骨粗鬆症性椎体骨折あるいはびまん性特発性骨増殖症の12症例(男性4例,女性8例,平均年齢77.1歳)を対象とし,セメント漏出の有無は術後CTにて評価した.小工夫したセメント注入法は,同一のCAPSに一度にセメントを注入せず,0.3 mlずつ左右交互に数回に分けて注入し,合計1.0~1.2 mlとする.検討項目はCAPS刺入椎体のレベル,CAPS先端の位置,セメント漏出率,セメント漏出型(Yeom's分類)とした.CAPS刺入椎体はT9からL4までであった.CAPSの使用本数は46本であり,7本でセメント漏出を認め(15.2%),全12例中4例であった(33.3%).脊柱管内漏出,静脈塞栓,術後合併症は認めなかった.

    手術手技の工夫の結果,セメント漏出は全CAPSの15.2%に認め,セメント関連合併症の発生を認めなかった.

症例報告
  • 伊藤 大貴, 井上 太郎, 吉原 永武
    2025 年16 巻4 号 p. 721-725
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    頚椎硬膜外膿瘍は比較的稀であり,古典的には頚部痛,発熱,神経脱落症状が3兆候とされているが,一連の症状を呈するのは少ない.麻痺を呈した際には外科的介入も考慮される.今回外科的治療を要した頚椎硬膜外膿瘍2例を経験したため報告する.

    症例1:50歳男性,7日前から頚部痛を自覚.炎症反応高値認め当院内科入院.翌日右上肢優位の四肢不全麻痺が出現しMRIで後咽頭膿瘍,C4/5を中心に硬膜外膿瘍を認め同日頚椎椎弓形成術と排膿を施行.術前MMTは上肢近位筋:2/3,手関節掌背屈:1/1,下肢近位筋:2/3であった.最終経過観察時独歩可能まで改善を認めた.

    症例2:53歳男性,7日前からの頚部痛.疼痛増悪,体動困難で近医入院.入院翌日に四肢の不全麻痺を認めMRIでC5/6の椎間板炎,C2-Th2高位で髄内輝度変化認め当院へ搬送.同日頚椎椎弓形成術と排膿を施行.術前MMTは上肢近位筋:2/3,下肢:腸腰筋以遠0/0であった.最終経過観察時巧緻運動障害は軽度残存するも独歩可能となった.いずれも後方からの除圧術にて感染の鎮静化が得られ,麻痺の改善も良好だった.

  • 大島 和馬, 都島 幹人, 富田 浩之, 森下 和明, 大山 博己, 中島 宏彰, 大内田 隼, 長谷 康弘, 今釜 史郎, 金村 徳相
    2025 年16 巻4 号 p. 726-731
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:首下がり症候群は頚椎の後弯により頭部が下垂する疾患である.首下がり症候群をきたしうる疾患は多彩であり,神経筋原性疾患やパーキンソン病などがある.近年,悪性腫瘍に対する治療の進歩はめざましく,長期生存する患者が増加しているが,その一方で放射線治療の晩期合併症として,首下がり症候群の報告が散見されるようになっている.我々は下咽頭癌に対して放射線治療された後,晩期合併症として首下がり症候群が生じた症例を経験した.

    症例:65歳.男性.53歳時に下咽頭癌に対して抗がん剤加療,左頚部郭清術と,強化療法として放射線照射の既往歴があった.61歳時に頚部痛,63歳時に首下がりが出現した.神経学的に無症候であったため原疾患の精査を先行するも診断に至らず,徐々に首下がりの増悪,両上肢の筋力低下や歩行時のふらつきなどの脊髄障害が出現したため,65歳時に後方除圧固定術を行った.術後も依然として原因が不明なため,放射線障害が原因と判断した.

    結語:今後も医療の発展により,がんサバイバーが増加することが見込まれ,放射線障害による首下がり患者が増加する可能性があり,首下がり症候群の原因の一つとして留意する必要がある.

  • 貝沼 慎悟, 福岡 宗良, 渡邊 宣之, 山田 宏毅, 遠藤 浩二郎, 井村 直哉, 桑山 剛, 片岡 真弥, 伊藤 慈紘, 宮下 竣
    2025 年16 巻4 号 p. 732-737
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:化膿性脊椎炎に対する手術的アプローチを考える場合,基本的に脊柱管前方に存在する病変は前方からのアプローチが効果的である.上位胸椎病変は前方からのアプローチが困難な部位であるが,我々は胸骨縦割アプローチにより胸椎前方掻爬固定術を行うことができたので報告する.

    症例:55歳男性.10日前から背部痛および右下肢の筋力低下を認め,胸椎の感染が疑われて当科を紹介受診した.MRIではTh3-4高位で椎間板と椎体の圧壊を認め,硬膜外膿瘍により脊髄は前方から圧迫されていた.同部位からの生検でMSSAを検出した.進行性に麻痺が悪化したため,まず胸椎後方固定術(Th1-6)および胸椎椎弓切除術(Th2-4)を施行し,二期的に胸骨縦割アプローチによる胸椎前方掻爬固定術(Th2-4)を施行した.術後,背部痛は改善し麻痺も改善した.感染の再燃も認めず経過は良好である.

    考察:胸骨縦割アプローチは比較的安全に良好な術野を展開することができるため,病変が椎体前方に限局している場合は有用な進入法である.

  • 鈴木 伸幸, 加藤 賢治, 八木 清, 後藤 祐太, 村上 英樹
    2025 年16 巻4 号 p. 738-743
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)矯正手術においてLIF(Lateral Interbody Fusion)のみでは椎間解離が困難で,ケージ挿入により椎体縦骨折や終板骨折を来たす症例を経験する.そのような症例は後方解離後LIFで矯正固定するが,1期的手術では侵襲が大きいため2期的手術を計画することが多い.2期的手術には様々な方法があるが,我々は1期目に椎間関節解離,スクリュー刺入,ロッド締結を行い,2期目にLIFおよび後方固定を行っている.その1期目のロッド形成にロッドベンディングシステムBendini(NuVasive社,米国:以下Bendini)を使用すると変形が残存したままでもロッド締結が容易に行うことができたので報告する.

    症例:症例1:76歳女性;1期目T7-SAI固定+T11-L4椎間関節切除,2期目L1/2-L3/4 XLIF+T12 BKP.

    症例2:75歳女性;1期目T9-SAI固定+L1-5椎間関節切除+L3/4除圧+L5/S1 PLIF,2期目L1/2-L3/4 XLIF,L4/5 PLIF.

    いずれも1期目は変形が残ったままBendiniを使用してロッド締結した.

    結語:2期的ASD矯正手術においてBendiniを使用するとロッド締結が容易であった.

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