はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)による神経障害について前向き多施設調査を行い,疫学的特徴を検討した.
対象と方法:OVFによる神経障害で加療した108例について骨折高位,狭窄部位,受傷機転の有無,神経障害型式,神経症状の局在,遅発性神経障害の有無を調査した.
結果:骨折高位はT11:1例,T12:14例,L1:14例,L2:15例,L3:26例,L4:26例,L5:12例であった.狭窄部位は脊柱管:69例(64%),椎間孔:24例(22%),脊柱管と椎間孔:15例(14%)であった.38例(35%)で受傷機転がなかった.神経障害型式は脊髄:22例(20%),神経根:54例(50%),馬尾:18例(17%),混合型:14例(13%)であった.神経症状の局在は片側:49例(46%),両側:59例(54%)で,遅発性神経障害は63例(58%)にみられた.
結語:OVFによる神経障害は中下位腰椎で多く,受傷機転がない例,椎間孔狭窄が全症例の1/3にみられた.半数以上の例で遅発性神経障害を呈していた.これらの特徴を認識することでOVFによる神経障害の適切な診療が可能となる.
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