Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
16 巻, 9 号
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Editorial
原著
  • 瀧川 朋亨, 森田 卓也, 梶木 裕矢, 多田 圭太郎, 矢形 幸久, 伊藤 康夫
    2025 年16 巻9 号 p. 1168-1172
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:高齢化に伴い,循環器疾患や脳血管疾患に対して抗血栓薬を内服している患者が増加している.頚椎頚髄損傷において,抗血栓薬内服の影響を明らかにすることを目的とした.

    方法と対象:当院で手術加療を行った頚椎頚髄損傷425例を対象とした.抗血栓薬を受傷時に内服していた内服群46例と内服していなかった非内服群379例で比較検討した.検討項目は受傷時年齢,受傷機転,損傷形態,手術内容,周術期合併症,初診時と最終経過観察時のAIS分類である.

    結果:受傷時の平均年齢は内服群が75.4歳で非内服群の62.0歳に比べて高かった(p < 0.01).術中平均出血量は内服群が178 mlと非内服群の118 mlに比べ有意に多かった(p < 0.05).周術期の全身合併症発生率は内服群が52.2%,非内服群が33.0%と内服群の方が有意に高かった.両群間で受傷転機,損傷形態,手術時間,麻痺の改善,血栓症発生率に大きな違いを認めなかった.

    結語:抗血栓薬を要する虚血性血管疾患を有する高齢者の頚椎頚髄損傷では,術中出血が多くなりやすく,術後高率に全身合併症が起こることを認識しておく必要がある.

  • 井上 雄, 山元 駿, 金井 知彬, 窪田 誠, 斎藤 充
    2025 年16 巻9 号 p. 1173-1180
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:経仙骨的脊柱管形成術(TSCP)導入初期にカテーテル(カテ)損傷や癒着剥離困難症例を経験した.本研究の目的は,実施困難例の放射線学的特徴を調査することである.

    対象と方法:対象は導入初期の37例である.

    1)仙椎でのカテ挿入困難例の検討:挿入難度をGrade1~4で評価し,Grade4はL5/S1までカテを進められなかった症例とした.仙椎脊柱管最狭窄部前後径[A],仙椎後弯角[E],仙骨裂孔~S1後上縁間距離[C]を測定し,Grade間で比較した.

    2)腰椎での癒着剥離困難例の検討:癒着剥離難度をGrade1~3で評価し,Grade3は剥離不能な症例とした.腰椎脊柱管断面積[D],%すべり率[E],椎間楔状角[F]を測定し,Grade間で比較した.

    結果:1)[A]はGrade1と比べ3・4群で有意に小さく,Grade2と比較しても狭小化していた.2)[D]はGrade1と比べGrade2で有意に小さかった.

    結語:実施困難例では仙椎脊柱管最狭窄部前後径および腰椎脊柱管断面積が小さかった.術前の画像評価は重要である.

  • 富永 冬樹, 森 英治, 碇 博哉, 吉本 隆昌
    2025 年16 巻9 号 p. 1181-1187
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法後に手術に移行した症例の特徴について検討した.

    対象と方法:2018年12月から2023年7月までに注入療法を行った連続200例(男性127例,女性73例)を対象とした.平均年齢は46.2歳(15~89歳)で,注入前のtension signは146例(73%)で陽性であった.調査項目は注入後のヘルニア摘出術の有無と時期,注入前MRIでのヘルニア内T2高信号領域の有無を調べた.

    結果:注入後の手術は16例(8%)に施行され,その時期は注入後11.5±10.7週であった.再手術群とその他で比較検討すると,再手術群では年齢が高く(57.3歳vs 45.3歳,p=0.014),tension sign陽性率が低く(50% vs 75%,p=0.031),ヘルニア内T2高信号領域がない症例に多かった(25% vs 58.2%,p=0.011).

    結語:手術に移行していたのは8%で,注入後平均11.5週で施行されていた.年齢が高い,tension sign陰性,MRIでのヘルニア内T2高信号がない症例で多く,注意深く観察すべきである.

  • 大和 雄, 長谷川 智彦, 吉田 剛, 坂野 友啓, 大江 慎, 有馬 秀幸, 山田 智裕, 井出 浩一郎, 黒須 健太, 村上 悠介, 松 ...
    2025 年16 巻9 号 p. 1188-1194
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形の手術希望者に検査入院として,脊椎や全身の精査,身体評価および術前後の生活リハビリ指導を行っている.検査入院後に手術中止した症例の理由や特徴を調査し,検査入院の手術決定への影響を検討した.

    対象と方法:対象は2018年から2023年に検査入院をおこなった症例である.検査入院後に手術を行わなかった症例(中止群)について,その理由を診療録から調査した.中止群と同時期に手術施行した手術群と,患者背景,patient-reported outcome,脊柱骨盤パラメータを比較検討した.

    結果:期間内に207例(平均年齢70歳)が検査入院を施行し,36例(17.4%)が検査入院後に手術を中止した(中止群).主な中止理由は症状が軽度(7例),他部位の手術(5例),神経疾患と診断(3例),術後の生活様式(17例)であった.中止群は手術群171例に比べ,身長,体重,sacral slope,pelvic incidenceが有意に低値であった.

    結語:検査入院後に患者要因と診断要因により手術中止となっており,十分な診察と説明が手術決定には重要である.

  • 長谷部 弘之, 織田 格, 竹内 宏仁, 大嶋 茂樹, 福島 瑛, 安保 裕之, 藤谷 正紀
    2025 年16 巻9 号 p. 1195-1202
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)に対するVertebral body stenting(VBS)とBalloon kyphoplasty(BKP)の手術成績をPropensity score matching(PSM)を用いて比較した.

    対象と方法:後ろ向き研究.対象はOVFに対しVBSもしくはBKPを行い術後3ヶ月以上追跡できた症例.術前患者データと画像所見により,椎体ごとのPSを算出し1:1でMatchingを行った.両群の再手術,隣接椎体骨折発生,術後%椎体高,椎体楔状角,局所後弯角を比較した.

    結果:PSMで各群24椎体ずつ選定された.再手術はVBS群,BKP群に1例ずつ,隣接椎体骨折はVBS群に6例,BKP群に4例生じた(P=0.48).VBS群は椎体楔状角が術後と術後3ヶ月で有意に小さかった(P= 0.001/P= 0.02).%椎体高,局所後弯角について有意差はなかった.

    結語:PSMにてVBSとBKPを比較した最初の報告である.VBSは椎体の整復と維持に優れるが,局所後弯や隣接椎体骨折において有意差はなかった.

  • 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 朴 正旭, 谷 陽一, 足立 崇, 川島 康輝, 小野 直登, 中 信裕, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2025 年16 巻9 号 p. 1203-1209
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)術後PI-LL>10°を許容できる患者の特徴を調査した.

    対象と方法:LLIFとPPSを用いた全周性低侵襲矯正固定術(CMIS)を施行し2年以上経過観察可能であったASD患者156名のうち術直後PI-LL>10°であった38名を対象とした.固定範囲は全例下位胸椎から骨盤,平均年齢は75.1歳,平均経過観察期間は55ヶ月であった.PI-LL>10°を許容可能の定義として術直後PI-LL>10°,かつ最終観察(final)SVA<50 mmとした.final-SVA<50 mmのG群とfinal-SVA≧50 mmのP群に分け比較検討した.

    結果:G群で年齢が有意に低く,術後ODIが有意に低かった.P群で有意に術後SVAが大きく,その他のパラメーターにおいて有意差はなかった.G群で歩行速度およびTUGが有意に早く,下肢筋力においては有意差を認めなかった.年齢とfinal-SVAの相関は低く,歩行速度とfinal-SVAとの間に中等度相関を認めた.

    結語:ASD術後矯正不足を許容できる条件として歩行速度があげられ,代償能の重要性が示唆された.

  • 米澤 郁穂, 吉田 真, 篠崎 智大, 山田 浩司, 網代 泰充, 大堀 靖夫, 井野 正剛, 中尾 祐介, 熊野 洋, 星地 亜都司
    2025 年16 巻9 号 p. 1210-1216
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:首下がり症候群(DHS)における上腕骨頭中心(AHH)と脊椎矢状面アライメント(SSA)の関連性を検討した.

    対象と方法:対象はDHS 12例,頚椎症脊髄症(CSM)55例,腰部脊柱管狭窄症(LCS)112例,健常者(NV)62例で通常の肢位(position1)と上腕を最大限後方へ引いた肢位(position2)のX線脊椎全長側面像を撮影した.SSA関連parameterとAHHの位置を示すshoulder incidence(SI:AHHとT1椎体上縁の中点を結ぶ線とT1椎体上縁に対する垂線のなす角)を計測し各疾患の比較を行った.またDHSのSIとparameter間の相関性を検討した.

    結果:DHSはCSM,LCS,NVと比べT1-5 kyphotic angle(KA),SI(posoition2)が有意に大きく,SI(posoition2)>0°(AHHが胸椎椎体中央部より前方に位置する)の割合が有意に高かった.DHSのSIとT1-5 KAに有意な相関を認めた.

    結語:DHSの病態にAHHの位置とT1-5 KAが関与している可能性がある.

  • 大下 優介, 飯沼 雅央, 酒井 大輔, 江守 永, 松山 大輔, 宮城 正行, 井村 貴之, 檜山 明彦, 加藤 裕幸, 福田 健太郎, ...
    2025 年16 巻9 号 p. 1217-1223
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:高齢者に発生する骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)の治療において,入院中にしばしば合併症が発生する.本研究では,OVFの入院加療中に発生した合併症と入院時の患者の栄養状態との関連性について検討したので報告する.

    対象と方法:2022年4月から2023年3月までに入院治療を行った73例(男性30例,女性43例)を対象とした.入院中の合併症発生について,初診時の栄養状態を評価するため,Controlling Nutritional Status(CONUT)変法とPrognostic Nutritional Index(PNI)を用いて評価した.

    結果:合併症は18例(24.7%)に発生していた.栄養正常群では24例中4例(16.7%),軽度栄養不良群では42例中11例(26.2%),中等度栄養不良群では7例中3例(42.9%)に合併症の発生が認められた.CONUT変法の3点,PNIの45.2点が合併症発生のカットオフ値であった.入院中の合併症は多くの要因の影響を受けるが低栄養がリスクの1つである可能性が示唆された.

    結語:低栄養はOVF患者における合併症の発生に影響を与える可能性がある.

二次出版
  • 喜多 洸介, 藤森 孝人, 鈴木 裕紀, 蟹江 祐哉, 武中 章太, 海渡 貴司, 瀧 琢有, 古家 雅之, 幸 博和, 中嶋 望, 杉浦 ...
    2025 年16 巻9 号 p. 1224-1233
    発行日: 2025/09/20
    公開日: 2025/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊髄腫瘍を診断するために,患者情報と画像を統合して解析するバイモーダルAIを提案した.

    対象と方法:我々のモデルは,表形式データ用の最先端の深層学習モデルであるTabNetと,画像を解析する畳み込みニューラルネットワークを組み合わせたものである.学習データとして,259人の脊髄腫瘍患者(神経鞘腫158人,髄膜腫101人)を収集した.MRI画像のみを解析するユニモーダルモデル,患者情報のみを解析するユニモーダルモデル,勾配ブースティング決定木を用いたバイモーダルモデル,TabNetを用いたバイモーダルモデルの性能を比較した.

    結果:TabNetを用いたバイモーダルモデルは,トレーニングデータにおいて最も良好な結果を示し(area under the receiver-operating characteristic curve[AUROC]:0.91),医師の読影結果を有意に上回った.他2施設から収集した62症例を用いた外部検証でも,本バイモーダルモデルはAUROC 0.92を示し,モデルの汎化性が確認された.

    結語:TabNetを用いたバイモーダルモデルは,脊髄腫瘍の鑑別に有効であった.

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