Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
1 巻, 1 号
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原著
  • 金石 圭祐, 松尾 直樹, 余宮 きのみ
    2006 年1 巻1 号 p. 101-108
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    オピオイド投与時において嘔気の出現はしばしば問題となる副作用のひとつである. 今回オピオイド持続投与の際の嘔気予防としてハロペリドール単独投与群と塩酸ヒドロキシジン, ハロペリドールの併用投与群各50名に関し, 嘔気の出現率等についてretrospectiveな調査を行った. 持続投与開始後の嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(34%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(10%)間で有意差を認めた. 多変量解析の結果では嘔気の危険因子として, 治療開始前の嘔気, イレウス, 塩酸ヒドロキシジン併用の有無が抽出された. また両群間のモルヒネ投与症例のみを検討しても, 嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(32.5%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(4.5%)間で有意差を認めた. オピオイド持続投与時の嘔気予防にハロペリドール・塩酸ヒドロキシジン併用が有効である可能性が示唆された.
  • 谷田 憲俊, ベッカー カール, 林 貴啓, 山本 佳世子, 岩田 文昭, 得丸 定子
    2006 年1 巻1 号 p. 109-113
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    スピリチュアル・エデュケーション研究の一環として, ホスピス・緩和ケア施設職員が学校でスピリチュアル及び生と死の教育にどれほど関与しているかを調査した. 郵便アンケートを138 施設に送り67施設から回答を得た. 15施設で多職種が生と死の教育を行い, 多くは家族の死に子どもが悲嘆する姿を見て, 開始していた. 対象は, 6施設が小学校,8施設が中学校, 6施設が高校であった. 出向回数は1年に97回で, 多くは講義と質問時間で1~3時間を費やしていた. 未実施の施設も含めて, ほとんどが学校での教育への取り組みに意義あると記していた. 「スピリチュアル教育」でも「生と死の教育」でも子どもたちに有効と考えるが, 前者より後者の言葉がホスピス・緩和ケア職員には受け容れられやすかった.ホスピス・緩和ケア施設の職員は, その専門性と経験から教育資源として重要と考えられる.
  • 守田 美奈子, 吉田 みつ子, 朝倉 隆司, 奥原 秀盛, 福井 里美, 遠藤 公久
    2006 年1 巻1 号 p. 114-120
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, がん患者のためのサポート・グループ(以下SGと略す)を運営するファシリテーター育成のための教育プログラムを構築し, 評価することである. ファシリテーター育成プログラムは, がん看護経験のある看護職を対象に, SG運用に対する自己効力感が高まることを目的として2日間のカリキュラムを構築し運用した. SG運用に関する知識を問う質問紙および不安感, 自己効力感を評価する質問紙を独自に作成し, 参加前後の変化を比較検討した. 本プログラムに参加し分析対象となった看護職は58名であった. その結果, SGに関する知識は参加後有意に向上した(p<0.05). SG運用に関する不安感および自己効力感を問う質問項目12項目のうち, 不安感は3項目で有意に軽減し, 自己効力感は7項目で有意に改善した. またSG運用に関する意欲は参加後有意に高まっていた. したがって, 本プログラムはファシリテーターのための入門編としては有効であると考える.
  • 中島 信久, 秦 温信
    2006 年1 巻1 号 p. 121-128
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    【目的】初回治療, 再発, そして終末期という経過の中で, 進行再発に対して化学療法を行う際に, 病状やendpointの説明の有無がその後の化学療法の中止の判断や終末期ケアの質に及ぼす影響について検討した. 【方法】最近2年間に死亡した癌患者85例のうち, 経過中に化学療法を行った53例を対象とした. 病状説明ならびに明確なendpointの呈示の有無により3群に分けた(A群:いずれもあり, B群:病状説明のみ, C群:いずれもなし). 終末期ケアの質の検証にはSupport Team Assessment Schedule(以下, STAS)日本語版を用いた. 【成績】「良好」なギアチェンジはA群:88%, B群:41%, C群:0%で行われた(p<0.01). 身体症状や患者, 家族の不安は各群で差はなく, 病状認識とコミュニケーションは, 3群間に有意な差を認めた(p<0.001). 【結論】進行再発癌患者に対して化学療法を行う際に, 病状を説明し, 治療の endpointを明確にすることは, 適切なギアチェンジを可能とし, 終末期ケアの質の向上につながる可能性が示唆された.
短報
  • 深谷 陽子, 安藤 詳子, 稲垣 聡美, 宮崎 雅之, 中村 みゆき, 澤井 美穂, 野田 幸裕, 神里 みどり
    2006 年1 巻1 号 p. 201-205
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 患者が簡便な操作で随時, 主観的な痛みの強さを記録できる「痛み計」を開発し, 臨床における有用性を確認することである. 「痛み計」(23cm x 6cm x 2cm,160g)は, 0-10 Numeric Rating Scale (NRS)を採用した11個の押しボタンを有し, 患者が疼痛に相当する数値のボタンを押すとその数値と日時を記憶する. 「痛み計」をパソコンに接続すると, 痛みの強さをグラフとして印刷できる. 研究方法は事例検討である. 大学病院に入院中でがん性疼痛のある患者1例に14日間, 痛み計の使用を依頼した. 印刷したグラフは患者と医療スタッフに渡した. その結果, 以下の点が示唆された. 1.0-10NRSを用いたことにより, 患者は痛みを円滑に表現できた. 2.操作を簡便にしたことにより, 患者は随時, 入力できた. 3.1日の痛みの推移をグラフで出力したことは, 疼痛アセスメントに有効であった.
症例報告
  • 西森 武雄, 櫻井 康弘, 坂下 克也, 柏木 伸一郎
    2006 年1 巻1 号 p. 301-305
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    癌の終末期に大腸狭窄をきたすと腸閉塞を併発し, 経口摂取不能や腹痛をきたすことが多い. われわれは切除不能な大腸悪性狭窄の5症例に対して, 大腸内視鏡下に自己拡張型金属ステントを挿入した. ステント内腫瘍増殖が2例にみられたが, 全例イレウス症状を解除することができ, 死亡するまで自力排便が可能であり, QOLの向上が得られた. ステント留置術は悪性大腸狭窄に対して, 低侵襲で有用な方法であると思われた. しかし, 大腸に対する金属ステントには, 1)保険適応外である, 2)大腸用ステントが開発されていない, 3)ステント挿入の手技が困難な場合がある, などの問題点がある.
  • 新城 拓也, 岡田 雅邦
    2006 年1 巻1 号 p. 306-310
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    悪性腹水を伴うがん患者に対して, 腹水穿刺は有効な治療法である. 多くの症例は, 腹水の再貯留により頻回の穿刺が必要であり, 処置の苦痛と合併症を軽減する目的にカテーテルを留置する方法がある. 症例は, 73歳男性の膵臓がん患者. 合併した悪性腹水の貯留による症状緩和を目的に, 中心静脈カテーテルを留置した. 留置から死亡まで21日間, 連日1,000mlの腹水をドレナージした. 合併症であるカテーテル閉塞を防止するために複数の穴を加え, 発生した腹水リークに対しては医療用シアノアクリレート系接着剤(アロンアルファA®)を使用し良好な効果を得た. 中心静脈カテーテルを用いた腹水ドレナージは処置の侵襲を軽減させ, 低コストである. またカテーテル留置による合併症に対する工夫を報告した.
  • 国分 秀也, とおし 幸市朗, 的場 元弘, 磯野 雅子, 外 須美夫, 矢後 和夫
    2006 年1 巻1 号 p. 311-316
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    アセトアミノフェン(APAP)坐薬の成分含量は1個200mgが最大で, がん性疼痛患者に用いる場合, 海外における用量(4000mg/日上限)を目安に投与するケースがあるため, 一回に3~4個挿入しなければならない. そこで, 今回, 1個600~800mgの坐薬を調製し, その有用性について検討した. 方法は, APAP経口投与患者と直腸内投与患者の血中トラフ濃度を測定し, 副作用についても比較検討した. その結果, APAP経口投与群と直腸内投与群の血中濃度は, ほぼ同等な値を示した. また, APAP使用1週間後のAST, ALTおよび総ビリルビン値に異常値は認められなかった. さらに, APAPを経口投与から直腸内投与に切り替えた症例で, 切り替え前後でNRSに変化がなく, 血中濃度もほぼ同等な値を示していた. 以上のことから, 今回, 調製した高用量APAP坐薬はがん性疼痛患者において血中濃度と安全性に問題なく使用可能であると考えられた.
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