Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
14 巻 , 3 号
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原著
  • 村上 敏史, 五十嵐 麻美, 宮野 加奈子, 上園 保仁, 八岡 和歌子, 上野 尚雄, 鈴木 恵里, 石井 妙子, 松田 裕美
    2019 年 14 巻 3 号 p. 159-167
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/16
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    電子付録

    【目的】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽の有効性を検討した.半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することで症状緩和の有効性およびコンプライアンスが向上するか検討した.【方法】対象症例を無作為に振り分けたうえで,半夏瀉心湯または蜂蜜併用半夏瀉心湯含嗽を2週間施行した.開始前後で口腔乾燥,口臭,口内炎,口腔内不快感,含嗽のコンプライアンスについて評価を行った.【結果】対象症例は22例であった.半夏瀉心湯含嗽による口腔内乾燥度の改善,呼気中硫化水素の減少が認められたが,含嗽による臨床効果や含嗽のコンプライアンスと蜂蜜併用の有無に大きな関連は認められなかった.【結論】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽は,患者の生活の質向上に寄与することが示唆されたが,蜂蜜の使用についてはとくに大きな利点は認めなかった.口腔内不快事象を緩和させることは終末期がん患者のケアに有効であると考えられる.

  • 木内 大佑, 久永 貴之, 萩原 信悟, 阿部 克哉, 長田 明, 東 健二郎, 杉原 有希, 沼田 綾, 久原 幸, 森田 達也, 小川 ...
    2019 年 14 巻 3 号 p. 169-175
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/30
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    研究目的は緩和ケア病棟入院中の難治性せん妄患者に対する,クロルプロマジン持続皮下注射による有効性を観察することである.2013年7月〜2014年5月において2施設の緩和ケア病棟で,せん妄に対し規定量以上の抗精神病薬治療が行われているにもかかわらずDelirium Rating Scale Revised-98(DRS-R-98)≥13で,クロルプロマジン持続皮下注射で治療したすべての患者を対象とした.評価は治療開始前と48時間後と7日後に行い,DRS-R-98<12となる,もしくはDRS-R-98が低下しかつCommunication Capacity Scale(CCS)≤2であるものを有効例とした.評価対象84名中60名(71.4% 95%CI:61-80%)が有効例であった.CCSの平均値は治療前後で1.48から1.03に改善した(p<0.001).持続皮下注射の安全性についてはCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)注射部位反応でGr2以上は1名(1.2% 95%CI:0-7%)であった.難治性せん妄患者に対するクロルプロマジン持続皮下注射は,コミュニケーション能力を保ったまま,せん妄重症度を増悪させない可能性がある.

  • 宇根底 亜希子, 佐藤 一樹, 大西 佑果, 宮下 光令, 森田 達也, 岩淵 正博, 後藤 佑菜, 木下 寛也
    2019 年 14 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/01
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    電子付録

    【目的】非がん患者の終末期のケアと望ましい死の達成の遺族評価をがん患者と比較した.【方法】がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎で死亡した患者遺族を対象にインターネットで調査した.ケア評価は全般的満足度とCare Evaluation Scale(CES),望ましい死の達成の評価は Good Death Inventory(GDI)を用いた.【結果】がん118名,心疾患103名,脳血管疾患71名,肺炎125名の有効回答を得た.ケアの全般的満足度では有意差はなかった.CESの身体的ケア,GDIの自立の項目などで有意差を認め(p<0.05),すべて非がん患者の方が低かった.【結語】非がん患者が受けたケアの全般的満足度は,がん患者同様,高かったが,CESとGDIの数項目ではがん患者より低い評価で,各疾患の課題が示唆された.原疾患の治療と同時に苦痛症状の緩和と終末期を意識した対応が重要である.

  • 久松 美佐子, 堤 由美子, 西田 伊豆美, 荒井 春生, 植田 麻実, 小玉 博子, 平田 直美
    2019 年 14 巻 3 号 p. 227-235
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/10
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    【目的】本研究は,緩和的化学療法を受けているがん患者の配偶者の気持ちの不安定さに関わる要因を明らかにした.【方法】緩和的化学療法中のがん患者の配偶者を対象に,半構造的面接を行い,質的に分析した.【結果】分析の結果,[病状説明による事態の厳しさの受け止め][経過の見通せなさ][治療手段を失う脅威][療養方針の決断への切迫感][介護による生活にのしかかる負荷][将来展望の崩れ][医療者との意思疎通][患者との率直な対話][他者との関係性]の9の要因が関わることが明らかとなった.【結論】看護者は,これらの要因が家族の気持ちの不安定さに関わっていることを理解して,家族が過度の混乱に陥ることなく,現実的に検討し, 治療効果で得られた患者との貴重な時間を有意義に過ごせるよう支援することが重要である.

  • 川島 夏希, 久永 貴之, 浜野 淳, 前田 一石, 今井 堅吾, 坂下 明大, 松本 禎久, 上村 恵一, 小田切 拓也, 小川 朝生, ...
    2019 年 14 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/26
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    電子付録

    【目的】せん妄を呈した進行がん患者における苦悩の実態の検討.【方法】国内14施設の緩和ケア病棟に入院中または国内10施設の一般病棟に入院し精神腫瘍科が介入中の進行がん患者のうち,せん妄と診断され抗精神病薬の定期投与を受ける患者を前向きに連続サンプリングした.苦悩の有無を緩和ケア専門医が判断し,患者背景,DRS-R-98で評価したせん妄の重症度を比較した.【結果】対象患者818名のうち99名(12.1%)に苦悩を認めた.年齢,39歳以下,認知症の有無に有意差を認めた.治療前のDRS-R-98(15.3±8.1点 vs 17.3±7.8点,p<0.02)は苦悩を伴う群で有意に低く,情動の変容は有意に高かった.【考察】せん妄を呈した進行がん患者で苦悩を伴うものでは年齢が低く,認知症の併存が少なく,せん妄の重症度は低く,情動の変容が強いことが示された.

短報
  • 橋本 孝太郎, 佐藤 一樹, 佐々木 光晴, 高林 広明, 河原 正典, 鈴木 雅夫
    2019 年 14 巻 3 号 p. 187-192
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/01
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    電子付録

    【目的】在宅終末期がん患者に対する臨死期の鎮静薬の使用と,在宅療養期間との関連を明らかにする.【方法】2013年6〜11月末までに在宅特化型診療所17施設の診療を受けたがん患者1,032名の診療録調査から自宅死亡前48時間以内に使用した鎮静薬を調べ,鎮静薬使用群と不使用群に分けて,在宅療養期間を比較した.【結果】使用された鎮静薬はジアゼパム(n, %:100, 52%), フルニトラゼパム(29, 15%), ブロマゼパム(27, 14%), ミダゾラム(26, 13%), フェノバルビタール(20, 10%)の順であった.鎮静薬使用群と不使用群とで療養期間中央値[四分位範囲]はそれぞれ,26[13, 63]日,25[10, 64]日(Adj p=0.79)であった.【結論】在宅終末期がん患者に対する,臨死期の鎮静薬使用は24%にみられ,その半数以上はジアゼパムであった.在宅療養期間との関連は認めなかった.

症例報告
  • 大岸 美和子, 瀧野 陽子, 竹内 麻理, 阿部 晃子, 伊原 奈帆, 橋口 さおり
    2019 年 14 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/27
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    【緒言】放射線照射後疼痛症候群の神経障害性疼痛と考えられた患者に,真武湯が有効であった症例を経験したため報告する.【症例】83歳男性.2016年4月に左肺S3領域の肺腺がんStage IBと診断された.手術適応であったが放射線治療を希望し,同年5月に体幹部定位放射線治療を開始し,その後2017年1月末ごろより左乳頭周辺から側胸部の神経障害性疼痛が出現した.ロキソプロフェンやアセトアミノフェンは無効で,トラマドール/アセトアミノフェン配合錠やプレガバリンでは眠気やふらつきが出現し難渋した.当科再診時に漢方治療を希望し,冷え症や胃腸虚弱を目標に,ツムラ真武湯エキス顆粒5 g/日をプレガバリン25 mg/日に追加したところ,2カ月後には胸痛がほぼ消失しプレガバリンを中止できた.【考察】真武湯は疼痛や痺れに有効とされる附子を含んでおり,西洋薬で難渋する神経障害性疼痛の治療の一つの選択肢となる可能性がある.

  • 原口 哲子, 髙橋 佳子, 大久保 晃樹, 西小野 美咲, 榊 美紀, 原口 優清
    2019 年 14 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/27
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    電子付録

    【緒言】解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンはWHO(世界保健機関)方式がん疼痛治療法では代表的な薬剤の一つとして位置づけられている.【症例】75歳,女性. 左上葉肺がん術後再発.多発骨転移によるがん疼痛に対しアセトアミノフェンを使用していたが,同薬剤の商品を変更しアレルギー症状が出現したため中止し,症状は消失した.同薬剤の別の商品へ変更し継続した.【考察】アレルギー症状はアセトアミノフェンの添加剤が原因と推察された.【結論】アセトアミノフェンによるアレルギー症状の出現時,規格を変更することで薬剤使用を継続できる可能性がある.

  • 金島 正幸, 余宮 きのみ
    2019 年 14 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/27
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    タペンタドールは,トラマドールをもとにセロトニン再取り込み阻害作用を軽減して創られた薬であるものの,若干のセロトニン再取り込み阻害作用を有している.今回,われわれは,選択的セロトニン再取り込み阻害薬が投与されている49歳女性の食道がん患者にタペンタドールを開始したところ,内服当日より,静坐不能となり,悪心,めまい,不眠が出現し,さらに翌日には,発熱,発汗,上肢を中心とするミオクローヌス,四肢の振戦,頻脈を認めた症例を経験した.3つの診断基準に照らし合わせて,セロトニン症候群と診断した.タペンタドールの中止とベンゾジアゼピン系薬の開始にて,速やかに症状は消失した.本邦において,タペンタドールは,がん疼痛治療に用いられているオピオイド鎮痛薬であるが,抗うつ薬と併用する際には,セロトニン症候群を念頭に入れた観察を行うことが必要である.

  • 若山 尚士, 平松 佑斗, 棚橋 順治, 末永 大介, 高木 裕介, 今井 視保子, 室田 かおる, 吉田 幸彦
    2019 年 14 巻 3 号 p. 215-219
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/29
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    【背景】癌性心膜炎に伴う心囊水貯留はドレナージを要することが多いが,心囊穿刺は心囊水が少量の場合は危険を伴い,繰り返し行うことは困難である.【症例】71歳男性.2012年に非小細胞肺がんと診断.術後再発をきたし化学療法を繰り返した.癌性心膜炎を合併し2018年6月に心囊ドレナージを施行した.化学療法を再開したが2018年8月に再度心囊水の貯留をきたし,呼吸困難が増悪した.頻回の排液を要すると予想され,心囊内に皮下埋込型ポートを留置した.それ以後,心囊水を適宜排液して呼吸困難に対処した.次第に心囊水を排液しても循環動態が保てなくなり,術後36日で死亡に至った.【考察】癌性心膜炎の心囊穿刺を繰り返すのは困難であり,心囊ドレーンを皮下埋込型ポートとして留置し,適宜排液すれば安全に呼吸困難の緩和が続けられ,患者のQuality of Life(QOL)維持に有用と思われる.症例数を蓄積してさらなる検討が望まれる.

活動報告
  • 川島 正裕, 所 昭宏, 柏木 雄次郎
    2019 年 14 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/29
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    政府は,がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画において「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により,緩和ケアについての基本的な知識を習得すること」を目標に掲げ,2008年から「がんに携わる医師に対する緩和ケア研修会」の開催を各拠点病院に指示した.2009年より大阪府がん診療連携協議会・緩和ケア部会では,府内の緩和ケア研修会の開催日程調整と,講師登録・派遣を開始した.10年間で延べ357回の緩和ケア研修会を支援し,2018年3月の時点で,8416名の医師と2674名のメディカルスタッフが緩和ケア研修会を修了した.府内の緩和ケア・精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会修了医師に毎年講師の協力を呼びかけ,2017〜2018年度には身体142名,精神64名が登録し,各緩和ケア研修会に身体5名,精神2名の医師が派遣された.講師派遣制度は,大阪府内の緩和ケア研修会の円滑な開催と研修会修了者増加に寄与したと思われた.

  • 平山 貴敏, 小嶋 リベカ, 池田 千里, 宇田川 涼子, 小林 真理子, 新藤 明絵, 田中 萌子, 栁井 優子, 石木 寛人, 清水 研 ...
    2019 年 14 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/10
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    思春期若年成人(Adolescent and Young Adult: AYA)世代のがん患者は,院内で同世代の患者と交流する機会が乏しいため,2016年よりAYA世代のがん患者の交流の場「AYAひろば」を月1回開催している.その満足度と効果を調べるため行ったアンケート調査(延べ130名中97名)の結果は,男性/女性 38/59名,年齢中央値29(14~39)歳,外来/入院 31/66名,初回/2回目以上 42/55名,がん診断は肉腫45名,悪性リンパ腫11名,脳腫瘍9名,胚細胞腫瘍7名,白血病6名,悪性黒色腫5名,乳がん3名,神経芽細胞種3名,ウィルムス腫瘍2名,肺がん・子宮頸がん・咽頭がん・舌がんがそれぞれ1名(無記入2名)であった.参加者は「とても満足」(61.7%), 「とても役立った」(65%)と回答し,感想から,同世代との交流・気分転換・情報の獲得の3つの点で効果が示唆された.

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