Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
  • 羽多野 裕, 坂東 直樹, 大北 佳奈, 山本 美貴, 加納 麻子, 松本 篤, 上杉 慧太
    2026 年21 巻3 号 p. 215-221
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/10
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    電子付録

    【目的】介護支援専門員のがん緩和ケアに関する困難感について明らかとすること.【方法】奈良県の居宅介護支援事業所で勤務する介護支援専門員を対象にwebアンケートを実施.「がん緩和ケアに関する医療者の知識・実践・困難感尺度」の項目を含む緩和ケアに関する困難事について量的,質的に回答を得た.【結果】210人より回答を得た.困難感尺度のうち「患者が悪い知らせを受けた後,声のかけ方が難しい」について63%が「非常にそう思う」「そう思う」と回答した.59%が緩和ケアを学ぶ必要性について「非常に思う」と回答し,「都市部で勤務」,「がん患者が増えていると感じる」,「患者・家族とのコミュニケーションで困難感を感じる」が有意に関連した.【結論】多くの介護支援専門員が緩和ケアに関する困難感を抱えていることが示唆された.学習ニーズに応じた支援体制が望まれる.

  • 鈴木 由華, 石木 寛人, 石川 彩夏, 荒川 さやか, 天野 晃滋, 松岡 弘道, 里見 絵理子
    2026 年21 巻3 号 p. 209-214
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/10
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    【目的】メサドンは難治性がん疼痛に使用され,導入には複数の方法が報告されている.先行オピオイドを中止しメサドンを開始するstop-and-go(SG)法,オピオイドの一部をメサドンに切り替えるpartial switching(PS)法,メサドンを上乗せするadd-on(AO)法の効果と安全性を探索する.【方法】後方視的研究.2018年1月から2021年12月に当院でメサドンを処方された症例が対象.SG法,PS法,AO法の3群について,有効性,安全性を評価した.【結果】64例(SG群15例,PS群23例,AO群26例)が対象となり,有効例はSG群12例(80%),PS群13例(56.5%),AO群17例(65.4%)だった.重篤な副作用は認めなかった.【結論】3群ともにメサドンは有効かつ安全に導入可能だった.

  • 佐藤 綾子, 山﨑 まどか, 佐野 智望, 小田原 幸, 藤澤 大介, 松岡 豊, 和田 佐保
    2026 年21 巻3 号 p. 195-202
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/28
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    電子付録

    【目的】地域緩和ケアネットワーク構築の実態,促進・阻害要因,課題および必要な支援を明らかにする.【方法】2016~2023年の「地域緩和ケア連携調整員研修会」修了者を対象に,アンケートを行い,「顔の見える関係づくり」「体制づくり」「地域づくり」「その他」の側面と,導入期,実施期,維持期で内容分析した.【結果】46名(32施設)から回答を得た.促進要因として,「顔の見える関係づくり」では,退院支援看護師の配置や地域医療者の積極的関与,「体制作り」では病院機能変化,企画部門への相談,「地域づくり」では,WEB会議,既存勉強会の活用が認識された.一方,人的資源不足や地域内の制度・体制の違いが課題として認識され,研修会の継続や医師会等との協働事業等が必要な支援として挙げられた.【結論】地域緩和ケアネットワーク構築には各段階に固有の課題が存在し,それに応じた工夫と支援の必要性が示唆された.

  • 吉村 真一朗, 福田 和行, 小林 郁夫, 山口 健也, 寺坂 勇亮
    2026 年21 巻3 号 p. 189-194
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/23
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    【目的】葬祭分野では死後変化に伴う出血(死後出血)が生じうることが知られている.国内の急性期病院2施設の死亡退院患者を対象に,血管留置物抜去に伴う死後出血の実態を明らかにする.【方法】2024年2月から2026年4月に死亡退院した症例を対象とした.死亡後に抜去した留置物などの情報を記入した用紙を葬祭業者へ引き継ぎ,死後出血の有無,汚染範囲,発生時間等を記録後に回収した.【結果】出血頻度は4.0%(9/224箇所)であった.動脈穿刺部は静脈穿刺部よりも発生頻度が多かった(16% vs. 3%, p<0.05).衣類および寝具を広範囲に汚染した例が3例あり,発生時間は死亡後約17時間(中央値)で,最長38時間の症例も認めた.1例は遺族が発見していた.【結論】血管留置物抜去に伴う死後出血の頻度に加え,長時間経過後の発生や広範囲の汚染になりうることが判明した.死後処置の検討や遺族説明の工夫が必要である.

  • 奥岡 由美, 本田 日奈子, 古山 悦子, 清水 伸一, 澁谷 春美, 日下 勝博
    2026 年21 巻3 号 p. 181-187
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/23
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    【目的】在宅終末期ケアを担う同行看護師が実践する役割の実態を明らかにするため,終末期・慢性期患者および家族への関わりを比較検討した.【方法】機能強化型在宅支援診療所の同行看護師10名を対象に,診療場面/診療以外の場面での看護実践を複数回答可の自記式で調査した.その内容をχ2検定により終末期・慢性期の群間比較でその差を分析した.【結果】調査期間中患者286名(終末期61名,慢性期225名)に対し実践1533件であった.群間比較の結果,終末期の診療場面では「医材・薬剤の準備」「意思決定支援」「診療時の多職種連携・マネジメント」,診療以外の場面では新規患者の「相談」に有意差がみられた.【結論】同行看護師は,とくに終末期患者の訪問診療場面において関わりの特徴があり,医師と患者・家族の間に立って意思決定支援を行い,多職種マネジメントで継続支援,療養環境作り等を担う重要な存在であることが示唆された.

  • 瀧澤 理穂, 牧野 智恵
    2026 年21 巻3 号 p. 171-179
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/23
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    本研究の目的は,がんサロンで活動するピアサポーターが抱く困難と支援の要望を明らかにすることである.ピアサポーター27名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的研究の手法で分析した.その結果,困難は「専門的知識を要する医学・経済的相談への対応」,「多様な背景や病状の参加者への関わりにおける葛藤」,「死別や辛い語りに伴う情緒的負担のコントロール」等の6カテゴリー,支援の要望は「他機関や医療者との連携・協力体制の構築」や「リフレクションの機会」等の3カテゴリーが抽出された.病院内外で活動するサポーターは,専門知識の不足や情緒面での負担を抱える傾向にある.そのため,個人のセルフケアに依拠せず,研修やリフレクションを組織的に保障する支援の構築が求められる.サポーターが活動を継続していくためには,地域の関係機関が連携した支援体制の構築が重要であると示唆された.

  • 久村 和穂, 木村 美代, 松井 優子, 久野 真知子, 矢﨑 未来, 西部 明子, 元雄 良治, 龍澤 泰彦
    2026 年21 巻3 号 p. 159-170
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/23
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    電子付録

    【目的】本研究はがん経験者と美容業従事者の視点から地域の外見支援の実態と課題を明らかにし,支援の方向性を検討することを目的とした.多層的支援体制の構築に資する知見を得ることを意図した.【方法】患者58名,美容業従事者262名に質問紙調査を行い,量的分析に加え自由記述を内容分析し,社会生態学モデルに基づき統合的に整理した.【結果】患者調査では外見変化に伴う長期的な心理社会的負担,相談先の曖昧さ,地域資源情報の不足など課題が示された.美容業従事者は支援意欲が高い一方,知識・技術不足やプライバシー配慮と安全性判断の難しさ,医療との連携不足が支援の障壁となっていた.統合的分析の結果,外見支援へのアクセス障壁は個人のみならず,組織・地域・制度要因が相互に作用する構造的課題と示された.【結論】医療・美容・地域がそれぞれの役割を生かし協働する枠組みの必要性が示唆され,今後の支援体制構築に重要な知見を提供した.

  • 小室 多恵子, 右田 清志, 森 芙美, 加藤 周子, 川畑 哲史, 上野 ますみ, 松添 大助
    2026 年21 巻3 号 p. 149-157
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/14
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    【目的】ホスピス病棟における非末梢挿入型中心静脈カテーテル(central venous catheter: CVC)からミッドラインカテーテル(midline catheter: MLC)への移行に伴う使用実態と臨床転帰の変化を検討する.【方法】2017年7月から2025年7月に聖フランシスコ病院ホスピス病棟でCVCまたはMLCを挿入された69例(CVC群28例,MLC群41例)を対象とした後方視的観察研究である.【結果】CVC群では死亡による抜去が89.3%を占め,留置期間中央値は33.5日であった.MLC群では偶発抜去や閉塞などの非死亡要因による抜去があり,留置期間中央値は15.0日とCVC群より有意に短かった(p<0.001).全生存期間中央値はCVC群33.5日,MLC群26.0日であり,有意差は認めなかった(p=0.816).【結論】MLCは偶発抜去や閉塞のリスクを伴うものの,予後には影響せず,ホスピス病棟における静脈路の選択肢となりうる.

  • 永島 彩佳, 田上 恵太, 小田切 拓也, 釆野 優
    2026 年21 巻3 号 p. 135-143
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/14
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    【目的】終末期がん患者のケア移行推移,およびケア移行回数と望ましい死の達成との関連を調べた.【方法】がん患者遺族を対象に質問紙調査を行った.望ましい死の達成はGood Death Inventory(GDI)で評価した.【結果】遺族1789名から回答があり,ケア移行を経験した654名を解析した.がん治療終了後の最初の移行先は,緩和ケア病棟(palliative care units: PCU)以外の病院・病棟が55.6%,PCUが24.3%,自宅・その他が20.2%であった.最初にPCUへ移行すると82%はPCUで亡くなる等,最初の移行先が死亡場所に影響することが示唆された.移行回数が1回,2回,3回以上群でGDIの有意差は検出できなかった.【結語】がん終末期に移行を繰り返すことと望ましい死との関連は示されなかった.移行の複雑性や患者意向との一致,ケアの連続性等も考慮する必要がある.

症例報告
  • 深澤 義輝
    2026 年21 巻3 号 p. 145-148
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/14
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    【背景】セロトニン症候群の発症には原因薬剤の血中濃度の上昇が関与している.発症のタイミングは薬剤投与量の変更後が一般的だが,薬物動態の変化が発症契機となる可能性が指摘されている.【症例】82歳女性.多発性骨髄腫のため5年前から化学療法を継続中で,CYP(Cytochrome P450)阻害作用を有するフルコナゾールを常用していた.抑うつ症状に対してミルタザピンを開始した約3週間後に腸閉塞を発症し,脱水による急性腎障害をきたした.翌日から高熱,頻脈,意識障害,ミオクローヌスを認めセロトニン症候群を疑った.薬剤中止により症状は速やかに改善した.【結論】セロトニン症候群の発症には原因薬剤の投与量変更以外に,腎機能障害や薬物相互作用による薬物動態の変化が関与しうる.比較的リスクが低い薬剤でも複合要因での発症に注意を要する.

活動報告
  • 重久 加代子, 田中 香織
    2026 年21 巻3 号 p. 203-208
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/11
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    【目的】本研修はケアリング能力を高めることを目的に実施された.【活動の概要】A緩和ケア病棟の看護師21名にCPCN(Caring Peculiar to Cancer Nursing)を用いて,7回/年の研修を行った.成果を評価するための調査内容は自己評価,ケアリング行動質問紙,看取りケア尺度他四つの尺度であった.分析はウイルコクソンの符号付順位検定と相関分析を用いた.【成果】分析対象は16名で参加状況等に弱い相関が認められた.また,研修前後の尺度得点では,ケアリング行動質問紙得点前3.89,後4.13(p=.036),看取りケア得点前76,後85.63(p=.004),患者ケアに対する満足度得点前51.75,後59.19(p=.007),看護婦の自律性得点前148.5,後159.25(p=.047)で,有意差が認められた(有意水準5%).【結論】『看護のなかの死』の事例を教材とし,CPCNを用いた,終末期がん看護のケアリング教育の成果が示唆された.

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