Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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8 巻 , 2 号
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原著
  • 田辺 公一, 大久保 純, 池崎 友明, 北山 祥平, 恒田 祐樹, 新田 淳美, 今村 理佐, 藤 秀人, 島田 雅也, 村上 望, 北澤 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 177-183
    公開日: 2013/07/05
    ジャーナル フリー
    【背景】オクトレオチド酢酸塩(以下, OCT)と併用頻度の高いデキサメタゾンリン酸塩(以下, DEX)製剤との配合変化の機序については不明な点が多い. 【目的】本研究ではpHおよび添加物である亜硫酸水素ナトリウム(以下, SBS)に着目しOCTの安定性を検討した. 【測定方法】SBS濃度の異なる市販のDEXとの混合溶液, およびリン酸緩衝液でpH4, 7および9に調製した溶液, 並びにSBS添加溶液のOCT残存率を調製後3および10日後にそれぞれHPLC (高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定した. 【結果】SBSを含まないDEXとの配合において混合後10日目までOCT残存率は95%以上に維持されたが, 他剤ではいずれも85%に有意に低下した. また, SBSとの配合では3日で90%未満へとOCT残存率の有意な低下が認められた. 【考察・結論】OCTはSBS共存下で加水分解により残存率が低下することが示唆され, SBSを含まないDEX製剤を用いることでこの配合変化を避けうることが明らかとなった.
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  • 西 智弘, 森 雅紀, 松本 禎久, 佐藤 恭子, 上元 洵子, 宮本 信吾, 三浦 智史, 厨 芽衣子, 中野 貴美子, 佐藤 一樹, 下 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 184-191
    公開日: 2013/07/05
    ジャーナル フリー
    【背景】わが国における緩和ケアの需要は年々高まり, 緩和ケア医の養成は重要な課題である. しかし, 緩和ケア医を目指す若手医師が, 教育研修体制やキャリア構築などに対して, どのような満たされないニーズを抱えているかは明らかになっていない. 【目的】緩和ケア医を目指す若手医師が抱えるニーズを明らかにする. 【方法】卒後15年目までの医師を対象にグループディスカッションを中心としたフォーラムを行い「必要としているけれども十分に満たされていないことは?」などに対する意見をテーマ分析を用いて分析した. 【結果】40名の医師が参加した. 若手の抱えるニーズは, 「人手の確保」「研修プログラム・教育の質の担保」「ネットワークの充実」「緩和ケア医を続けていくことへの障害の除去」「専門医として成長する道筋の確立」であることが示された. 【結論】緩和ケア医を育成していくため, これら満たされないニーズの解決を議論していくべきである.
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  • 河村 康司, 福重 哲志
    8 巻 (2013) 2 号 p. 192-198
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    くも膜下オピオイド鎮痛法 (ITO)に伴う脊髄神経細胞の変性壊死や脱髄などの脊髄, 神経障害に関して病理組織学的に研究された報告はきわめて少ない. ITOにより神経組織障害が引き起こされたとする報告とないとする報告があり, 意見の一致をみていない. 今回ITOを施行された7症例 (男性4名, 女性3名)の剖検材料を用いて神経病理学的に検討した. モルヒネとブピバカインの投与が6例, フェンタニルとブピバカインの投与が1例であり投与期間は6~345日である. モルヒネを長期間投与した2症例は高度の脊髄神経細胞の変性壊死, グリオーシスおよび後角, 後根の脱髄が認められたが, 短期間しか投与しなかった4症例およびフェンタニル投与例ではこれらの神経病理学的変化は認められなかった. ITOで使用したモルヒネの総投与量および投与期間と脊髄神経障害の程度には関連性があり, ITOによる神経障害には主としてモルヒネが関与していると考えられた.
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  • 中村 陽一, 長尾 二郎, 斉田 芳久, 渡邉 学, 岡本 康, 浅井 浩司, 榎本 俊行, 桐林 孝治, 草地 信也
    8 巻 (2013) 2 号 p. 199-202
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    【目的】Prognostic Nutritional Index (PNI)[(アルブミン×10)+(0.005×総リンパ球数)]は客観的指標のみ算出可能な栄養学的指標である. がん終末期予後予測因子としてのPNIの有用性について検討した. 【方法】2007年4月より2011年3月までの終末期がん患者278例を対象とし, 死亡前3カ月, 2カ月, 1カ月, 3週間, 2週間, 1週間, 3日以内の各時点でのPNIをretrospectiveに算出した. 【結果】平均PNIは死亡前3カ月: 41.1, 死亡前2カ月: 39.5, 死亡前1カ月: 36.0, 死亡前3週間: 34.5, 死亡前2週間: 33.3, 死亡前1週間: 31.3, 死亡前3日以内: 30.4と漸減していた. 非消化器がんでは消化器がんよりもPNIの変化が少なかった. 【結語】PNIは予後予測因子の1つとして用いられ, 特に消化器がんで有用な可能性がある.
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  • 坂口 幸弘, 宮下 光令, 森田 達也, 恒藤 暁, 志真 泰夫
    8 巻 (2013) 2 号 p. 203-210
    公開日: 2013/07/23
    ジャーナル フリー
    【目的】ホスピス・緩和ケア病棟で家族を亡くした遺族の複雑性悲嘆および抑うつ, 希死念慮の出現率と関連因子について明らかにする. 【方法】全国の緩和ケア病棟100施設を利用した遺族に対して自記式郵送質問紙調査を実施し, 438名(67.1%)からの有効回答を分析対象とした. おもな調査項目は, Inventory of Traumatic Grief (ITG), CES-D短縮版, Care Evaluation Scale (CES), Good Death Inventory (GDI)である. 【結果】複雑性悲嘆と評定された者は2.3%であった. 回答者の43.8%が臨床的に抑うつ状態にあると評定され, 11.9%に希死念慮が認められた. 重回帰分析の結果, ITGと, CESおよびGDIとの有意な関係性が示された. 【結論】緩和ケアや患者のQOLに対する遺族の評価が, 死別後の適応過程に影響を及ぼすことが示唆される.
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  • 村上 真基, 山本 直樹, 小林 友美, 清水 芳, 佐藤 裕信
    8 巻 (2013) 2 号 p. 211-216
    公開日: 2013/07/23
    ジャーナル フリー
    【目的】緩和ケア病棟で経験した腹部急変の特徴を調査し, 死亡時の家族の受容と病状の関連について検討した. 【方法】2010年1月~2013年3月に当病棟で腹部急変死した末期がん患者30名を対象として, 経過, 苦痛緩和, 病状説明, 死亡時の家族の受容などについて, 診療録の後ろ向き調査を行った. 【結果】急変から死亡までの時間は平均20.6時間(中央値13時間), 23名は24時間未満であった. 急変症状は疼痛28名, 血圧低下21名, 意識低下12名, 不穏・興奮10名であり, 切迫症状を18名に認めた. 家族の死の受容良好群21名は不良群9名に対して, 有意に苦痛緩和が良好で, 不穏・興奮が少なく, 事前の具体的病状説明が高率であった. 受容良好群は入院期間, 死亡までの時間が長い傾向であった. 【結論】腹部急変による看取りは24時間以内が多く, 急変を予測して説明を行い, 急変直後からの十分な苦痛緩和が家族の受容を良好にすると考えられた.
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  • 坂口 幸弘, 宮下 光令, 森田 達也, 恒藤 暁, 志真 泰夫
    8 巻 (2013) 2 号 p. 217-222
    公開日: 2013/07/23
    ジャーナル フリー
    【目的】遺族が受けたホスピス・緩和ケア病棟などでの遺族ケアサービスの内容とその評価, ニーズを明らかにする. 【方法】全国の緩和ケア病棟100施設を利用した遺族661名に対して自記式郵送質問紙調査を実施した(有効回答率68%, n=451). 【結果】ホスピス・緩和ケア病棟で提供された遺族ケアサービスとして, 最も多くの対象者が経験していたのは「手紙やカード」(49%)であった. ホスピス・緩和ケア病棟での各種遺厳ケアサービスに対して, 88~94%の遺族が肯定的に評価していた. 抑うつの水準が高い遺族は, 低水準の遺族に比べ, 各種遺族ケアサービスを希望する割合が有意に高かった. 【結論】今回の結果から, 特定の施設によるサービスではなく, それぞれの遺族ケアサービス自体の有効性が確認されたといえる. また, すべての遺族が, 等しく各種遺族ケアサービスを求めているわけではないことが示された.
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  • 黄 正国, 兒玉 憲一, 荒井 佐和子
    8 巻 (2013) 2 号 p. 223-231
    公開日: 2013/08/12
    ジャーナル フリー
    【目的】がん患者会参加者が評価する患者会の援助機能尺度の信頼性・妥当性を検証し, その関連要因を検討する. 【方法】患者会の参加者1,350名に無記名自記式質問紙調査を実施し, 属性, 患者会の援助機能に対する評価, 患者会への参加状況について尋ねた. 573名の有効回答を分析対象とした(有効回答率42.4%). 【結果】21項目からなる援助機能評価尺度の内的一貫性は良好であった. 因子分析の結果, 学ぶ機能, 支え合う機能, 社会参加機能, 成長促進機能の4因子が得られた. 各下位尺度得点において, 参加者の性別, 会における役割, がんの種類による差がみられた. また, 各下位尺度得点と参加頻度, 満足度, 参加した活動内容との間に有意な関連がみられた. 【考察】本尺度は, 参加者が患者会をどう役立つと認識しているかを把握できることが明らかになった. 最後に, 患者会の効果評価の有効な指標として本尺度をどう活用できるかその方法が議論された.
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  • 橋爪 可織, 楠葉 洋子, 宮原 千穂, 中根 佳純, 土屋 暁美, 飯田 哲也, 芦澤 和人
    8 巻 (2013) 2 号 p. 232-239
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル フリー
    【目的】外来化学療法を受けているがん患者の気がかりと療養生活における肯定的側面について明らかにする. 【方法】対象者は外来で化学療法を受けている成人がん患者で, 同意の得られた62名に, がん化学療法気がかり評定尺度(Cancer-chemotherapy Concerns Rating Scale; CCRS)と療養生活における肯定的側面について調査した. 【結果】無職および休職中の人は, 就労中の人よりCCRS得点が有意に高く, 副作用症状の有無では倦怠感, 食欲不振, 脱毛がある人のCCRS得点が有意に高かった. また, 9割以上の対象者は療養生活において病気の発症前より自分の身体に気をつけるようになり, 家族や友人の大切さを感じていた. 【考察】患者の気がかりを緩和するためには, 社会資源を活用することや副作用症状に対処できるように援助していくことが必要であると示唆された.
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  • 小野寺 麻衣, 熊田 真紀子, 大桐 規子, 浅野 玲子, 小笠原 喜美代, 後藤 あき子, 柴田 弘子, 庄子 由美, 仙石 美枝子, 山 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 240-247
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル フリー
    【目的】看護師のがん看護に関する困難感を測定, 評価するための尺度を作成し, 尺度の信頼性・妥当性を検証することを目的とした. 【方法】東北大学病院でがん看護に携わる看護師を対象に, 自記式質問紙調査を行った. 【結果】探索的因子分析の結果, 6ドメイン49項目が同定され, 尺度全体のCronbachのα係数は0.68, ドメイン別は0.69~0.74であり十分な内的一貫性が示された. Multitrait Scaling分析の結果, 構成概念妥当性が認められ, 尺度化成功率はすべて100%であった. 緩和ケア病棟看護師とそれ以外のがん看護に携わる看護師の得点の比較により, 既知集団妥当性が示された. 【考察】看護師のがん看護に関する困難感尺度が十分な信頼性と妥当性を有することが確認された. 本尺度の活用により, 病院内のがん看護の現状アセスメントや教育支援体制の検討が可能となる. また, 教育支援の前後に用いて効果の検証にも活用できると考えられる.
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  • 上村 智彦, 青木 友孝, 伊藤 清能, 宮本 敏浩
    8 巻 (2013) 2 号 p. 248-253
    公開日: 2013/09/27
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】造血器悪性腫瘍で死亡した56例の診療記録から, 終末期と看取りの方針を誰が決め, 患者の意思決定を妨げる要因が何か, 看取りに関する事前指示の有無を調査し, 看取りの方針決定に関わった家族の語りを抽出した. 【結果】終末期の方針は45例で患者が決め, 11例では家族が代理決定していた. 患者の意思決定を妨げる要因は, 終末期では認知症が多く, 看取りでは全例が病状悪化だった. 看取りの方針は, 54例で家族が代理決定していた. 看取りの方針は49例がdo not attempt resuscitation, 7例が延命治療を希望した. 事前指示が7例で確認できた. 家族の語りから, 看取りの方針に関わる心理的葛藤が読みとれ, 事前指示がある家族からは心理的負担の軽減が示唆された. 【結論】終末期に比べ, 看取りの方針を患者自身が意思決定することは困難である. 事前指示の有用性について, さらに検討する必要がある.
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  • 大和田 攝子, 大和田 康二, 加山 寿也, 城下 安代
    8 巻 (2013) 2 号 p. 254-263
    公開日: 2013/09/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 緩和ケア病棟が主催する遺族サポートグループの参加者における心理プロセスとその促進要因について検討することである. 全12回のセッションの中で12名の参加者によって語られた言語データを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析し, グループに参加することで彼らの中に生じた変化や, グループが及ぼす影響について検討した. その結果, 145の概念, 20のサブカテゴリー, 7のカテゴリーが生成され, 参加者の心理プロセスが明らかになった. 全体的な流れとして, 【死別後の生活上の困難】【故人に対する想いの表出】【現実生活の情報交換】【死別後のナラティブの再編】【体験を通した悲嘆反応の客観化】【死別後の肯定的変化】という一連の過程が見出され, 【グループ相互作用によるエンパワメント】がそれらの変化の促進要因となっていることが示唆された.
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  • 佐藤 一樹, 志真 泰夫, 羽川 瞳, 安部 奈津子, 竹内 真帆, 宮下 光令
    8 巻 (2013) 2 号 p. 264-272
    公開日: 2013/10/22
    ジャーナル フリー
    【目的】全国の緩和ケア病棟の施設概要と利用状況の10年間の変化と平均在棟日数との関連を検討した. 【方法】日本ホスピス緩和ケア協会が緩和ケア病棟延べ998施設に行った調査資料を2次利用した. 【結果】利用状況の2001年度と2011年度の比較では, 入院や死亡退院数が増加し(119±55名, 163±78; 99±44名, 136±58), 平均在棟日数が減少した(48±15日, 39±15). 平均在棟日数の短い緩和ケア病棟は, 入院や死亡退院数が多く(≦30日, 31~60, ≧61の順に, 213±83名, 151±66, 83±25; 164±60名, 131±55, 85±25), 死亡退院割合や病床利用率が低かった(81±13%, 88±11, 92±7; 76±13%, 82±11, 86±13). 【結論】緩和ケア病棟の施設概要と利用状況の経年変化や平均在棟日数の短い施設の特徴が明らかとなった.
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  • 小田切 拓也, 森田 達也, 山内 敏宏, 今井 堅吾, 鄭 陽, 井上 聡
    8 巻 (2013) 2 号 p. 273-279
    公開日: 2013/10/22
    ジャーナル フリー
    【目的】終末期がん患者において, 短期間・低侵襲で感染症と腫瘍熱を鑑別する方法を開発することは, 症状緩和において有用である. 【方法】2009年4月から2011年8月の聖隷三方原病院ホスピス入院患者において, 腫瘍熱群と感染症群を後ろ向きに12人ずつ同定した. 両群の背景因子, 採血所見, 身体所見, 症状をカルテより抽出し, 比較した. 【結果】以下の項目で有意差を認めた. 平熱時と発熱時のC-reactive protein値の差(p<0.001), 平熱時と発熱時の白血球数の差(p=0.0017), 好中球率(p=0.023), リンパ球率(p=0.011), せん妄(p=0.012). 【結論】一般的採血項目とその時系列変化により, 腫瘍熱と感染症を鑑別できる可能性が示唆された.
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  • 竹迫 弥生, 石川 鎮清, 梶井 英治
    8 巻 (2013) 2 号 p. 280-285
    公開日: 2013/11/26
    ジャーナル フリー
    【目的】介護老人福祉施設, 介護老人保健施設, 介護療養型医療施設(以下, 介護保険3 施設) における胃瘻の医療処置を受けている利用者の割合と, その割合が2007年から2010年で増加したかを明らかにする. 【方法】厚生労働省が2007年と2010年に行った全国調査の公表データをもとに, 施設種別ごと, 要介護度別ごとに, 介護保険3 施設内で行われた胃瘻の医療処置を受けた者の対在所者割合を算出した. 【結果】胃瘻の利用者割合は, 2007年, 2010年おのおの, 介護老人福祉施設で5.8%, 8.1%, 介護老人保健施設で3.9%, 5.9%, 介護療養型医療施設で18.4%, 26.1%であった. 介護保険3 施設共に, 要介護度3 以上の利用者で胃瘻の利用者割合は増加した. 【結論】2007年から2010 年にかけて, 介護保険施設内における胃瘻利用者は要介護度3 以上で増加した.
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  • 安藤 早紀, 原田 真里子, Michael A Weitzner, 久慈 瑞希, 清水 恵, 佐藤 一樹, 宮下 光令
    8 巻 (2013) 2 号 p. 286-292
    公開日: 2013/12/06
    ジャーナル フリー
    【目的】がん患者の家族のQOL尺度であるCQOLC (Caregiver Quality of Life Index-Cancer)日本語版の信頼性・妥当性を検証することである. 【方法・結果】対象は, インターネット調査会社に登録者のうち, がん患者の家族の主介護者400名である. 探索的因子分析の結果, 心理的負担感(8項目), 介護肯定感(5項目), 経済的負担感(3項目), 介護による生活の支障(5項目)の4ドメイン21項目にて尺度を確定した. 全項目, ドメイン別のCronbachのα係数は0.85, 0.75∼0.88であった. 合計得点はSF-36の「心の健康」「活力」「社会生活機能」「全体的健康感」「日常役割機能(精神)」のドメインと中程度に相関した. 合計得点, ドメイン得点の級内相関係数は0.78, 0.67∼0.74であった. 【結論】これらの結果から, CQOLC日本語版が十分な信頼性・妥当性を有することが確認された.
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  • 柴田 和彦, 浦上 裕美, 前田 誉子, 赤江 郁子, 高瀬 美咲枝, 道田 百代, 武島 稔
    8 巻 (2013) 2 号 p. 293-298
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】治療早期からの緩和ケア介入のあり方を考えることを目的に, 初回化学療法を導入する患者に対して, 治療開始前と開始3~4週後に, 「生活のしやすさに関する質問票」によるスクリーニングとEuroQol調査票(EQ5D)によるQOL評価を行った. 【結果】66名に対して調査を行い, 56名が2回目調査を終了した. 患者の「気がかり」は, 治療前後とも「病状・治療について」が半数を超えたが, その内訳は治療前後で変化した. 「身体症状」は治療前に80%以上の患者が有し, 治療後の改善・消失が13名, 新たな症状の出現が22名でみられた. 「気持ちのつらさ」は治療後に低下し, 初回に病状・治療についての気がかりを訴えた患者で顕著であった. EQ5D効用値は, 副作用症状が出現した患者で低下傾向, それ以外の患者では改善した. 【結論】初回化学療法の導入前後で緩和ケアニーズは変化し, 経時的なスクリーニングが必要と考えられた.
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短報
  • 杉浦 宗敏, 黒田 誠一郎, 海津 未希子, 中嶋 須磨子, 岩瀬 哲, 中島 由紀, 内野 克喜, 鈴木 洋史
    8 巻 (2013) 2 号 p. 319-325
    公開日: 2013/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】緩和医療における薬剤師の積極的な関与が期待されており, 薬学教育において死生観を形成するためのカリキュラム構築が重要である. 本研究は, その基礎的な情報収集として薬学生の死生観に対する意識を明らかにすることを目的とした. 【方法】東京薬科大学薬学部の2011年度6年次生159名に平井ら(2000)の臨老式死生観尺度を使用して, 死生観に対する意識を調査した. 家族, 近親者, 友人, ペットの死に立ち会った経験の有無で各因子スコアを比較し, 関連性をロジスティック回帰分析により解析した. 【結果・結論】対象学生の120名が有効な回答をした(有効回答率75.5%). 友人の死に立ち会った経験がある学生は, 「人生における目的意識」「死への関心」で有意に因子スコアが高かった(p<0.05). 家族などの死に立ち会った経験がある学生は, 「死への関心」と正の相関が, 「死の恐怖・不安」と負の相関が有意に認められた(p<0.05).
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  • 小林 孝一郎, 村上 真由美, 富山 徹, 板倉 延樹, 加藤 真理子, 中屋 泉美, 武田 美和子, 横山 雄子, 平井 紀子, 河上 浩 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 326-333
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    緩和ケアの地域連携を目指して, 誰が使っても分かりやすく簡便な支援型の在宅緩和ケア地域連携クリニカルパスを作成し, 導入事例を用いてアンケート調査を実施し, 多職種14名から回答を得た. 導入時アンケートの全体評価は2点7名, 3点7名(3点満点)で, アンケート結果をもとにパスを改訂した. 改訂したパスを富山市内のがん診療連携拠点病院3施設で13名の在宅移行患者に試用してアンケート調査を実施し, 多職種10名から回答を得た. 試用後アンケートの全体評価は1点1名, 2点4名, 3点5名であった. アンケート結果をもとに運用を見直した.
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  • 越智 拓良, 中橋 恒, 西久保 直樹, 竹内 亮, 佐々木 徹, 森 洋二
    8 巻 (2013) 2 号 p. 334-340
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    【目的】終末期がん患者64名を対象とした呼吸困難に対するモルヒネの使用実態を報告する. 【方法】呼吸困難の程度はNumerical Rating Scale (NRS. 0~5の6段階)で評価した.【結果】投与期間平均34.7日,投与量平均93.0 mg/日によりNRSは3.5から1.6 (p<0.001)へ低下した.投与方法については,モルヒネの頓服群・非頓服群で呼吸困難緩和の効果に差はなく,両群ともに有意差をもってNRSの低下が認められた.対象症例全例において,モルヒネ投与による呼吸抑制や低酸素血症はみられず安全に投与できた.【結論】以上より,呼吸困難緩和に対するモルヒネは投与方法のいかんを問わず有用で,安全に投与可能な薬剤であり,ガイドラインが推奨する第一選択の薬剤と考える.
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  • 西 智弘, 武見 綾子, 吉川 幸子, 荒木 亜紀子, 宮森 正
    8 巻 (2013) 2 号 p. 341-345
    公開日: 2013/07/17
    ジャーナル フリー
    【背景】がんサロン(以下, サロン)の開催の多くは日中に限られており, 夜に開催しているサロンと比較検討を行った報告はない. 【目的】昼と夜のサロン開催時間での参加人数, 参加理由の差などを比較検討し, 昼のサロンの問題点を探索的に検討する. 【方法】2012年7月~12月にサロンを, 一方は14時, 一方は18時から各2時間開催し, 参加者へのアンケートをもとに検討を行った. 【結果】延べ69名が参加し, 昼は22名(32%), 夜は47名(68%)であった(p=0.004). アンケートは55名から回収し, 回収率は80%. 60歳未満は昼8名(40%)であったのに対して, 夜は21名(60%)と多い傾向にあった. 参加時間の選択理由について昼は「特になし(55%)」が, 夜は「仕事の都合(34%)」が最多であった. 【考察】日中のサロン開催は若い働く世代が参加しにくい傾向があり, 夜のサロン開催は有用である可能性がある.
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  • 柴田 賢三, 青山 美善, 宇野 達也
    8 巻 (2013) 2 号 p. 346-350
    公開日: 2013/07/17
    ジャーナル フリー
    【目的】保険薬局の地域緩和ケアを支える医療福祉リソースとしての関わりについて, 在宅療養中に持続的鎮静を行った症例に対する取り組みから検討した. 【方法】2011年1月~2012年12月までに, 居宅療養管理指導を行った終末期在宅患者のうち, 苦痛緩和のために鎮静が施行され在宅死となった13例を対象とした. 検討項目は鎮静開始前後の苦痛の改善度, 無菌調製実施回数, 医師・薬剤師の訪問回数および薬剤師訪問理由の変化とした. 【結果】苦痛の改善度は76.9%であった. 無菌調製実施回数および医師・薬剤師の訪問回数(1日あたり)は鎮静開始後に有意に増加し(p<0.01), 訪問理由の変化については「緊急的な対応」が有意に増加していた(p<0.05). 【考察】在宅での鎮静に対しては緊急対応可能な医師の存在が必須であり, 保険薬局もそれを支える医療福祉リソースとして同様の体制が求められることが示唆された.
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  • 増永 悦子, 大谷 尚
    8 巻 (2013) 2 号 p. 351-360
    公開日: 2013/07/23
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】がん患者遺族(以下, 遺族)による緩和ケア病棟ボランティアの意味の解明を目的に, 遺族7名の語りをSCAT (Steps for Coding and Theorization)で分析した. 【結果】遺族によるボランティアの意味は『家族を看取った場所への思い』『動機』『果たすべき役割』『実際の活動内容』という4つのテーマで構成され, それぞれの下位概念として19のカテゴリーを得た. 動機はボランティア活動の古典的条件と重なり, さらに緩和ケアの満足感, 遺族の死生観と合致した看取りを含めた最善の最後などであった. また, 緩和ケアがもつ治療の場より生活の場という特性への支援が, ボランティア活動の内容となっていた. 【結論】医療職が遺族ボランティアと連携・協働しながら, ボランティア活動の場に対する遺族の両義的感情を理解して安全に支援するための介入を行う必要性が示唆された. 遺族ボランティアの適切な開始時期の目安の解明は今後の課題である.
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  • 山田 祐司, 平方 眞, 轟 慶子, 岡崎 賀美, 石黒 理加, 延藤 麻子, 松原 芽衣, 小坂 麻利, 羽田 かおり, 岩満 優美
    8 巻 (2013) 2 号 p. 361-370
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】一般市民の緩和ケア病棟に対する認識には誤解があることが知られており, 緩和ケア病棟入院の患者とその家族は, 緩和ケア病棟に関する情報が十分ないままの入院となることが推測できる. そこで, 緩和ケア病棟入院前後の患者・家族が置かれている状況を理解するために, 緩和ケア病棟勤務の看護師を対象にアンケート調査を実施した. 【結果】以下の2点が明らかになった: (1)約55%の看護師は患者・家族が緩和ケア病棟入院前に十分な情報をもっておらず, 約62%の看護師は患者が十分な説明を受けずに, 約37%の看護師は家族が十分な説明を受けずに入院になったと認識していた. (2)入院前は緩和ケア病棟の利用の仕方について, 入院後は治療や病状についての質問が多かった. 【考察】入院前の患者・家族のみならず, 一般病棟で働く医療者に対しても, 緩和ケア病棟における治療内容, 入院の条件などの十分な説明が必要であることが示唆された.
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  • 小林 孝一郎, 村上 真由美, 富山 徹, 加藤 真理子, 中屋 泉美, 武田 美和子, 横山 雄子, 平井 紀子, 河上 浩康
    8 巻 (2013) 2 号 p. 371-375
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】在宅緩和ケアにおける多職種間の速やかな情報共有と緩和ケアチームによる苦痛緩和支援を目指して, ITクラウドを活用した地域医療支援システムEIRを導入した. 試用期間半年間に, 緩和ケアチームが関わって在宅緩和ケアに移行した5事例を対象として, 関わった医療者11名にアンケート調査を実施して, 有用性について検討した. 【結果】入力装置として全員がパソコンを使用, iPhone併用は4名, 現場で入力した経験があるのは2名であった. 入力時間は9名が5分以下で, 閲覧はさまざまな装置と場所で行われていた. 有用性は, 至急・重要メールは役立ちましたか: 3点6名, 2点3名, 1点1名, 0点1名, 情報量は適切でしたか: 3点9名, 2点2名, 連携はスムーズにできましたか: 3点9名, 2点2名, そして総合評価として在宅緩和ケアに活用できましたか: 3点9名, 2点2名であった. 【結論】在宅緩和ケアにおいて有用である可能性が示唆された.
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  • 正法院 友理奈, 松村 千佳子, 中村 暢彦, 森 由美子, 田崎 武信, 矢野 義孝
    8 巻 (2013) 2 号 p. 376-387
    公開日: 2013/09/11
    ジャーナル フリー
    【目的】がん疼痛緩和において, 適切な鎮痛薬を選択するために患者が訴える痛みに関する表現語とオピオイド効果との関係を評価し, 表現語から鎮痛薬選択が可能な新しい疼痛評価シートを提案する. 【方法】表現語を『がん疼痛の薬物治療に関するガイドライン』に基づき3つのクラスに分類したうえで, オピオイド鎮痛薬の有効率との関連性を図式化し, クラスター分析により表現語をグループ化した. その結果をもとに簡便な評価シートを考案し, 患者および薬剤師によりその妥当性を評価した. 【結果】クラス分類を行うことで, 表現語とそれに対するオピオイド鎮痛薬の有効率との関係を整理することができた. また, クラスター分析により表現語をグループ化することで, 疼痛評価シートの作成に利用できた. 【結論】痛みの表現語にはさまざまなものがあるが, クラス分けおよび有効率に基づいた分類を行うことで, 表現語から適切な鎮痛薬選択のための疼痛評価シートを提供できた.
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  • 浦 綾子, 奥園 夏美, 石橋 曜子, 松永 明子, 宮林 郁子, 高橋 博美
    8 巻 (2013) 2 号 p. 388-395
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    【目的】再発をくり返す肝がんサバイバーの入院待機中における睡眠の特徴と影響要因を明らかにする. 【方法】肝細胞がんを再発して入院待機中の患者12名の睡眠と倦怠感, 心の健康を分析した. 主観的評価はPSQI-J, 客観的評価はActigraphを用いた. 【結果】対象は平均74.1歳, 再発は平均3.7回であった. PSQI総得点は平均6.7点, 主観的には50%が睡眠不良で入眠や睡眠時間,睡眠の質が悪かった. 客観的には360分未満の睡眠時間が50%,入眠潜時は3~29分で入眠障害はなく, 5分以上の覚醒回数は3.3回であった. 主観的睡眠は睡眠剤内服と倦怠感の強さ, 心の健康の低さが影響し, 睡眠剤内服は入眠後の覚醒時間を短縮した. 睡眠効率が高く, 覚醒回数が少なくても主観的な睡眠の質は悪く, 客観的と主観的評価は一致しなかった. 【結論】肝がんサバイバーの睡眠は, 睡眠剤内服や倦怠感,心の健康への介入の必要性が示唆された.
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症例報告
  • 西本 哲郎, 山川 宣, 大森 知子, 関本 剛, 安保 博文
    8 巻 (2013) 2 号 p. 534-537
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    【症例】症例は71歳, 女性. 終末期卵巣がん患者で, 糖尿病を合併していた. 腹水貯留に伴う腹痛と食欲不振の症状があり, 症状緩和のために腹腔穿刺による腹水の排液を行ったが, 腹水は数日で再貯留し, 頻回の腹腔穿刺を要した. 当院での4回目の腹水の排液時に, 症状緩和を目的としてトリアムシノロン・アセトニド(10 mg/kg)を腹腔内投与した. その結果, 腹腔穿刺の間隔は著明に延長したが, トリアムシノロン・アセトニドが単回投与であったにも関わらず高血糖状態が遷延し, 8日間インスリン療法が必要となった. 【考察】トリアムシノロン・アセトニドの腹腔内投与による高血糖遷延は過去に報告がなく, 糖尿病を合併した患者にトリアムシノロン・アセトニドを投与する場合には注意を要する.
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  • 中野渡 正行, 尾崎 鈴子, 福原 敬, 飯田 道夫, 本間 次郎, 乙黒 雄平, 鈴木 恵士郎
    8 巻 (2013) 2 号 p. 538-543
    公開日: 2013/07/17
    ジャーナル フリー
    【症例】切除不能進行胃がんからの持続する出血により重度の貧血をきたし, 頻回の輸血が必要であった60歳代, 女性の症例を報告する. 出血コントロールのため, 胃がんに対して30 Gy/10回の放射線治療施行. タール便はすぐに止まり, ヘモグロビン値は上昇し, 輸血は不要となった. 1カ月後, 照射がなされた領域辺縁部から再出血. 24 Gy/8回の追加照射により止血は成功. 患者は4カ月間輸血の必要がなく良好に過ごした. 【考察】進行胃がんからの出血は, 腫瘍が摘出されなければそのコントロールは難しい. 内視鏡的な止血は困難な時が多い. 血管内治療(IVR)は動脈性出血であれば適応の可能性はある. しかし, 持続する静脈性出血の適応には議論の余地がある. われわれは放射線治療の実施により, 重大な合併症を引き起こすことなく止血することに成功した. それゆえ放射線治療は, 切除不能進行胃がんからの持続する静脈性出血に対して合併症に十分注意すれば有効な治療法になると考えられる.
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  • 三枝 美香, 石原 辰彦, 上元 洵子, 畠 尚子, 蓮尾 英明, 岡田 美登里, 木村 秀幸
    8 巻 (2013) 2 号 p. 544-547
    公開日: 2013/07/17
    ジャーナル フリー
    【緒言】今回, われわれはがん性髄膜炎による頭蓋内圧亢進症状にアセタゾラミドが有効であった1例を経験した. 【症例】症例は50歳代, 男性, 肺腺がん. 当病棟入院後にがん性髄膜炎による頭痛, 嘔吐が出現し, ステロイド投与およびグリセリン点滴を行うも朝方の頭痛のみ残存したため, アセタゾラミド500 mg/日を使用し, 症状の改善を認めた. 【考察】頭蓋内病変による朝方の頭痛は夜間睡眠中に血中CO2濃度が上昇し, 頭蓋内圧が亢進することによって生じることが知られており, アセタゾラミドが血中CO2濃度を低下させ, 頭痛症状が緩和したのではないかと推察された.
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  • 中嶋 真一郎, 谷向 仁, 馬場 美華, 天野 晃滋, 川崎 宗謙, 若山 宏
    8 巻 (2013) 2 号 p. 548-553
    公開日: 2013/08/08
    ジャーナル フリー
    【目的】進行がん患者のうつ病に対して,エスシタロプラム(ESC)が有効であった2症例を報告する. 【症例1】50歳代, 男性, 直腸がん再発.The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-IV-TR)にて大うつ病エピソードと診断, ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)は20点であった. ESC 10 mg/日を開始, 14日目より症状は改善し, 23日目のHAMD-17は4点に改善した. 【症例2】50歳代, 女性,外耳道がん. DSM-IV-TRにて大うつ病エピソードと診断, HAMD-17は26点であった. ESC 10 mg/日を開始, 28日目のHAMD-17は13点に改善した. 両症例とも重篤な副作用やうつ病の再燃, 断薬による退薬症候群は認めなかった. 【結論】ESCは進行がん患者のうつ病に対し, 有効な治療薬の1つとなる可能性がある.
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  • 齊藤 英一
    8 巻 (2013) 2 号 p. 554-559
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル フリー
    【緒言】在宅で分子標的薬を投与し, 症状の緩和と生存期間の延長を得られた肺がん脳転移, 髄膜転移の1例を経験した. 【症例】症例は76歳の日本人女性, 喫煙歴はない. 2010年4月, 呂律の回らなさ, 歩行障害が出現し, CT, MRIで肺がん, 肺内転移, リンパ節転移, 髄膜転移, 脳転移, 脊椎転移(T1bN1M1b, stage IV)と診断された. 5月7日より自宅にてエルロチニブ100 mgの内服を開始し, 6月6日からはエルロチニブを150 mgに増量し, 亡くなる2011年7月まで内服を続けた. PSが低下した2011年4月からはホスピスへ入院したが, エルロチニブの内服は続けた. 21日より経口摂取が回復し始め, 起座が可能となった. 8月6日のCTで肺原発巣はPR, MRIで髄膜転移と脳転移はSDであった. エルロチニブの有害事象はgrade IIの皮疹のみで, ステロイド外用剤でマネジメントできた.
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  • 石田 勝, 柏山 史穂, 小池 直義, 小原 玲, 塚本 信宏, 中島 洋介
    8 巻 (2013) 2 号 p. 560-565
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代, 男性. 初期治療として局所進行性前立腺がん(cT3aN0M0)に対して内分泌治療併用放射線治療を施行した. その後, 再発し, 閉鎖リンパ節から頸部リンパ節まで及ぶ多発リンパ節転移を認めた. 内分泌交替療法についでドセタキセルによる化学療法を施行したが徐々に進行, 右側の外腸骨リンパ節の一部, 閉鎖リンパ節および内腸骨リンパ節への転移が一塊となったことによる右下肢のリンパ浮腫をきたした. すでに小骨盤には放射線照射がされており, 骨盤リンパ節への再照射は周囲正常組織の耐容線量を超えるため, 有害事象の発生が懸念された. そこで, われわれは位置精度が高いサイバーナイフを用いて腫大リンパ節への照射を施行, 下肢浮腫は改善し, 浮腫により低下していたADLも回復した. 照射から7カ月後に永眠されたが, その間, 下肢の浮腫は再発せずに経過することができた. 緩和医療領域におけるサイバーナイフの有効例を経験したので報告する.
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  • 木村 好江, 池垣 淳一, 駒澤 伸泰
    8 巻 (2013) 2 号 p. 566-569
    公開日: 2013/10/02
    ジャーナル フリー
    【症例】耐糖能異常のないがん患者が, クエチアピン内服中に低血糖を発症した. 低血糖は, クエチアピン増量後に, 絶食を契機に起こっていた. 【考察】クエチアピンは, 飢餓時の低血糖代償反応を抑制した可能性がある. 【結論】クエチアピン服用中のがん患者では, 高血糖のみならず低血糖の発症も念頭においた症状の観察と, 定期的な血糖値測定が望ましいと考えられる.
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  • 山本 泰大, 藤堂 真紀, 西田 希久代, 岩崎 慶大, 鈴木 千春, 近藤 美樹, 木下 章子, 神原 和代, 藪下 廣光, 若槻 明彦, ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 570-574
    公開日: 2013/11/13
    ジャーナル フリー
    【緒言】塩酸トラマドール(TRM)はWHO方式がん疼痛治療法の3段階除痛ラダーで第2段階の弱オピオイドに位置しており, 広くがん疼痛治療に用いられている薬剤である. 今回, 重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)を有するがん疼痛患者に対してTRMを使用した症例を経験した. 【症例】70歳代, 女性. 子宮体癌, 右胸壁転移再発あり, 右胸部に疼痛の訴えがあったため, TRMカプセル75 mg/日で経口投与開始となり, 100 mg/日で疼痛コントロールは良好であった. 内服後一過性の筋脱力はみられたものの, 筋無力性クリーゼの出現はなく, 除痛効果を得ることが可能であったため報告する.
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総説
  • 飯野 京子, 綿貫 成明, 小山 友里江, 鈴木 恭子, 和田 千穂子, 森 美知子, 栗原 美穂, 岡田 教子, 市川 智里, 上杉 英生 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 701-720
    公開日: 2013/08/13
    ジャーナル フリー
    【目的】上部消化管術後障害に伴うがん患者の症状・徴候とその変化を系統的に収集・統合する. 【方法】PubMedおよび医学中央雑誌で, キーワードを"gastric cancer" "esopha∗ cancer" "surgery" "symptom" および「胃がん」「食道がん」「手術」「徴候 or 症状」として検索した. その結果, 37件の論文が採択され, 徴候と症状ごとに抽出したデータを評価・考察した. 【結果・考察】消化器症状に関する標準化尺度には, 嚥下・通過障害, 逆流などの評価が含まれた. 症状の頻度や回復経過の推移は, 多様であることが報告されていた. しかし, 症状・徴候の経過は個別性が高いため, 症状・徴候に合わせて患者が適切に保健行動をとれるよう, 医療者が継続的・体系的に患者を支援する重要性が示唆された.
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活動報告
  • 高橋 修, 加藤 聡彦, 林 路子, 清水 佳都子, 千葉 康子, 白濱 秋美, 窪蔵 孝道, 佐々木 啓吾, 長嶋 敦, 原 直, 栗原 ...
    8 巻 (2013) 2 号 p. 901-906
    公開日: 2013/11/13
    ジャーナル フリー
    【はじめに】がん難民「ゼロ」を目指す横浜市鶴見区の取り組みを報告する. 【現状】鶴見区内には, 区外・県外でがん治療を受ける患者も多いが, 治療終了後や状態悪化時には, 地元での療養を求められることも多い. 緩和ケア病床数は限られており, 緊急対応は困難である. 鶴見区では, 緩和ケアに積極的な診療所も多いが, 患者・家族の療養の場の希望は変化し, 最後まで在宅療養が可能とは限らない. 地域連携の拠点として「つるみ在宅ケアネットワーク」が組織され, 緩和ケアの充実を目標に活動している. 当院は専門施設として積極的に関与し, 診療所に対して緩和ケア提供状況をアンケートで把握, 在宅管理を依頼, 緊急時のバックアップを担保し, 基幹病院に対しては早期からの併診を求め, 円滑な移行を可能としている. 【課題】地域緩和ケア連携には専門施設が外来機能を強化し, 確実なバックアップを提供することが大切だが, 在宅スタッフのスキルアップ, 緩和ケアの啓蒙, 診々連携の構築が課題である.
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