Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
9 巻, 2 号
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原著
  • 角甲 純, 酒井 智子
    2014 年9 巻2 号 p. 101-107
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    終末期がん患者の呼吸困難に対する非薬物療法について, 緩和ケア病棟の看護師が行っている支援の状況を明らかにすることを目的とした. 2011年9~11月に, 関東甲信越地方の緩和ケア病棟承認施設の看護師450名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し, 回答のあった414名を分析の対象とした(有効回答率92.0%). 質問紙では, 文献レビューおよび看護師への意見聴取から得られた31項目の非薬物療法である看護支援について, 支援の実施頻度と支援の効果に対する印象を尋ねた. 支援の実施頻度の高い項目では, 比較的容易に実施できる, 実施に際する費用や時間が問題となりにくい支援が挙げられた. 実施頻度の低い項目では, 実施に際して特殊な知識や技術が必要となる支援が挙げられた. 支援の効果に対する印象が高い項目では, 実施頻度の高い支援と同様の支援が挙げられた. 本研究の結果は, 今後の看護実践の一助となることが期待される.
  • 今井 堅吾, 池永 昌之, 児玉 智之, 加村 玲奈, 田村 恵子, 嶽小原 恵, 高下 智子, 森田 達也
    2014 年9 巻2 号 p. 108-113
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】緩和ケアチーム介入のがん患者の悪心への効果を明らかにする. 【方法】2010年に淀川キリスト教病院緩和ケアチームに依頼があり, Support Team Assessment Schedule日本語版(以下, STAS-J)スコア2以上の悪心を認めた入院がん患者を対象とした. 悪心の原因を4つに分類し, 病態に応じ制吐薬を推奨し, 介入日と7日後の悪心STAS-Jスコアを評価した. 【結果】対象27名中24名で7日後の評価が可能であり解析対象とした. 化学的な原因9名, 消化管運動の低下8名, 中枢神経・前庭系の異常4名, 腸閉塞3名で, 悪心STAS-Jスコアは介入時3.0 (標準偏差, 0.55)から7日後1.1 (0.80)へ有意に低下した(p<0.001). 2名で眠気を認めた. 【結論】緩和ケアチームによる病態に応じた制吐薬の推奨が, がん患者の悪心に有用であることが示唆された.
  • 五十嵐 美幸, 佐藤 一樹, 清水 恵, 菅野 雄介, 菅野 喜久子, 川原 礼子, 宮下 光令
    2014 年9 巻2 号 p. 114-121
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/04
    ジャーナル フリー
    がん死亡および全死因の都道府県別自宅死亡割合と関連のある医療社会的指標を地域相関分析により明らかにする. 2010年の人口動態統計に基づく都道府県別自宅死亡割合と人口・世帯, 経済, 医療福祉などの各種統計指標を二次解析した. 探索的因子分析により指標を分類し, それを基に新たに作成した合成変数を用いて重回帰分析を行い, 自宅死亡割合との関連を検討した. 因子分析により3つの指標群に分類し, 「過疎高齢化」「病院施設リソース」「在宅医療へのアクセス」と命名した. この結果を用いて重回帰分析を行い, がん死亡と「在宅医療へのアクセス」に, 全死因と「病院施設リソース」「在宅医療へのアクセス」に有意な関連がみられた. がん死亡では「在宅医療へのアクセス」の良さが自宅死亡に強く影響し, 全死因では病院病床数などの「病院施設リソース」が少なく「在宅医療へのアクセス」が良い都道府県で自宅死亡割合が高い傾向にあった.
  • 志田 敏宏, 加藤 智幸, 冨田 善彦, 遠藤 裕司, 豊口 禎子, 白石 正
    2014 年9 巻2 号 p. 122-127
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    背景】エベロリムスは腎細胞がんおよび膵内分泌腫瘍に対する分子標的薬であり, 最も高頻度に出現する副作用の1つに口内炎が挙げられる. しかし, エベロリムス投与時の口内炎に対して適切な予防法に関する報告はない. 【方法】山形大学医学部附属病院泌尿器科では, 2010年10月よりアズレンスルホン酸ナトリウムの含嗽による予防的介入を実施している. 【結果】エベロリムスを投与した21例について, 含嗽による口内炎発現予防効果について調査した. その結果, 非介入群の口内炎発現が83.3%であったのに対して, 介入群の発現率は53.3%と低かった. さらに口内炎の発現時期に差はなかったものの, 介入群の口内炎の症状は軽度であった. 【考察】アズレンスルホン酸ナトリウムは, 抗炎症作用や粘膜保護作用に加え創部治癒促進作用をもつことから, 口内炎の予防に有効であったと考えられる. 今後は症例を増やし, 詳細な解析が必要である.
  • 綿貫 成明, 飯野 京子, 小山 友里江, 栗原 美穂, 市川 智里, 岡田 教子, 上杉 英生, 浅沼 智恵, 大幸 宏幸, 藤田 武郎, ...
    2014 年9 巻2 号 p. 128-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    【目的】胸部食道がん根治術後患者が退院後から1年以内の生活において知覚している困難の実態を明らかにし, 外来において必要とされる看護援助について考察する. 【方法】がん専門病院の食道外科外来において胸部食道がん手術を受けた術後患者の診療録を調査し, 術後の症状・徴候・処置, 外来で患者が看護師に相談した困難を抽出し, 内容分析を行った. 本研究は研究施設の倫理委員会の承認のもと実施した. 【結果】胸部食道がんの手術を受けた66名の患者が対象となった. 患者の困難の記録単位は221, カテゴリは25, コードは65に分類された. これらから, 食事摂取に伴う多様な症状, 身体活動, 不安や日常生活に関する困難が示された. 【結論】退院後は多様な困難があり, 効果的な自己管理を促進するために継続的なケアが重要であることが示された.
短報
  • 上林 孝豊, 中務 博信, 本井 真樹, 加藤 直子
    2014 年9 巻2 号 p. 301-306
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    【目的】当院, 緩和ケア病棟入院中のがん患者に生じた感染症に対する抗菌薬治療の現状と, その効果を明らかにすること. 【方法】2012年5月1日から2013年4月30日までの期間に, 当院緩和ケア病棟入院中に注射用抗菌薬治療が行われた感染症症例を対象とし, 電子カルテによる後ろ向き調査で行った. 【結果】当病棟に入院した症例のうち, 44.3%に注射用抗菌薬が投与されていた. 感染症の内訳としては, 肺炎が最多(63.6%)で, 次いで尿路感染が多かった(18.2%). 抗菌薬の効果に関しては, 「有効」59.1%, 「不変」9.1%, 「無効」13.6%, 「不明」18.2%であった. 抗菌薬治療の効果は, 尿路感染症で得られやすい一方, 死期が近いタイミングでは得られにくい可能性が示唆された. 【結論】感染症に対する抗菌薬治療は, 緩和ケア病棟においても, よく行われている現状と, 一定効果のあることが明らかとなった.
症例報告
  • 小西 徹夫, 児玉 佳之, 長岡 康裕, 吉田 晴恒
    2014 年9 巻2 号 p. 501-505
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/04
    ジャーナル フリー
    【目的】消化管閉塞をきたした膵がん患者に対し倫理的考察を行い, チームが共通の理解基盤のもとで治療方針を決定し, 技術的工夫を行った減圧目的の経皮内視鏡的胃瘻造設術と摂取可能な食品の検討で患者のQOLが改善したため報告する. 【症例】80歳代, 女性. 膵がん末期でbest supportive careにて自宅療養をしていたが, 十二指腸浸潤から通過障害をきたした. われわれは患者・家族の思いを確認し, 臨床倫理の4分割表を用いて倫理的考察を行ったうえで減圧PEGを施行した. 減圧PEGでは胃内容物のリークによる腹膜炎や胃瘻チューブ閉塞が問題となるが, 胃壁固定の継続や人工胃液を用いて摂取可能な食品を検討した. 形態は限られるが, 経口摂取再開と外出が可能となったことから, QOLが改善した. 【結論】倫理的考察には臨床倫理の4分割表を用いたカンファレンスが有効であり, 減圧PEGや摂取可能な食品の検討でQOL改善の可能性がある.
活動報告
  • 井原 亜沙子, 酒井 郁吉子, 水田 友子, 不破 理映, 輕部 太一, 濱口 まどか, 瀬野 佳奈子, 大湊 梨菜, 岡田 綾佳, 趙 斌 ...
    2014 年9 巻2 号 p. 901-905
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル フリー
    カぺシタビン療法に伴うhand-foot syndrome (HFS)を早めに察知し治療継続ができることを目的に, 本研究を実施した. 大腸がん術後に本治療を行う症例を対象とし, 医師は減量・休薬の判断, 薬剤師は服薬指導, 病棟看護師はパンフレットとDVDでの指導, 治療開始から8週間, 週1回の電話・面談を行い訴えや状態を把握し, 最後にアンケートで満足度調査を行った. サポートを終了した10例の対象者すべてがスキンケアを継続できた. 3例にGrade 2以上のHFSが出現したが, 早急に休薬, 減量を行うことができた. 電話・面談サポートは, 化学療法継続への不安を軽減するという副次的効果もあった. 今後は, 個々の治療経過や希望に沿ったサポートシステムを構築していく必要性が示唆された.
  • 首藤 智美, 清松 美枝子, 首藤 真理子
    2014 年9 巻2 号 p. 906-909
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/07
    ジャーナル フリー
    【背景】当院では平成24(2012)年4月の緩和ケア病棟開設時より, 「心を支える食事」を提供するために, 緩和ケア病棟担当の食事チームを立ち上げた. 【方法】平成24年4月から平成25年3月までの間に当院緩和ケア病棟を退院した患者84名を対象とした. 管理栄養士による病棟定期訪問および臨時訪問を行い, リクエスト内容について調査した. 当院緩和ケア病棟で看取った患者については食事摂取期間を調査した. 【結果】リクエストの内容としては主食27種, 主菜12種, 副菜13種, 果物・デザート・飲み物が18種, 漬物・ふりかけが6種であり, 全リクエスト種類数は76種類であった. 看取り患者では死亡直前(0日~7日前)まで57%の患者が食事を摂取した. 【結語】患者個人の担当制を導入し, 週1回の定期訪問に加え, 臨時訪問を行ったことで, 患者の希望に沿った食事を提供し, 最期まで食べたいという患者の気持ちを支えることができた.
  • 伊藤 浩明
    2014 年9 巻2 号 p. 910-914
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/07
    ジャーナル フリー
    【背景】当院はがん診療連携拠点病院の緩和ケア病棟として, 開設時から在宅医療機関と相談して地域での役割を模索したが, 現在その役割は「ホスピス機能を有する急性期緩和ケア病棟」と捉えている. 終末期ケア目的の「ホスピス」機能に加え, 早期からの緩和ケアを目的に「第2の家」として, 地域を「地域ホスピス」と捉え, (1)症状緩和, (2)患者家族への意思決定支援, (3)療養場所の調整・移行, (4)療養困難時の支援体制の調整, を行う「急性期緩和ケア病棟」の機能を重視した.【結果】開設3年間で入退院患者数・在宅移行患者数・在宅移行率・在宅死亡患者数・在宅死亡率は増加し, 平均在院日数・PCU再入院率は減少した.【考察】OPTIM-studyでは, 地域の緩和ケアに関わる医療福祉従事者が「出会う」機会を設定することでその地域の能力を最大化できると述べている3)が, 当地域では, 緩和ケア病棟開設が機会となって在宅医療機関との連携が深まった.
  • 越智 拓良, 中橋 恒, 西久保 直樹, 佐々木 徹, 森 洋二, 上杉 和美, 太田 多佳子
    2014 年9 巻2 号 p. 915-919
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    【目的】がん患者の望む療養場所は変化する. 当院ではかかりつけ医との24時間連携体制〔ホスピスホットライン(以下, HL)〕を構築し, 平成22 (2010)年4月から実施している. 今後の連携充実に向けた課題抽出を目的に3年間のHL症例を検討した. 【方法】緩和ケア医が患者家族と面談を行い, 同意の得られた症例をHLへ登録した. 【結果】平成22年4月~25年4月までのHL登録は75例あり, かかりつけ医のHLへの要望はバックアップ病床69例, 症状緩和のコンサルト14例であった. 転帰は当院入院42例(うち緊急21例), かかりつけ医による在宅看取り18例, 他院入院4例, 継続11例であった. 【考察】当院入院の半数が緊急入院(うち時間外6例)であり, かかりつけ医・緩和ケア病棟双方の負担をより軽減するために, より密な連携をとっていく必要がある. これにより早期からの症状緩和や入院時期の適切な決定などにさらなる効果が期待される.
  • 前田 文子, 秦 洋一, 三原 直子, 古川 香, 須田 沙耶香, 丸山 淳子
    2013 年9 巻2 号 p. 920-923
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    【目的】終末期がん患者は, 排泄動作の自立度低下に伴い, 精神的苦痛や自尊心低下を感じる. これらはQOL低下に直結するため, 身体的・精神的に排泄しやすい環境調整が求められる. 今回, 緩和ケアチームで取り組んだ排泄環境を考慮したケアについて報告する. 【症例】肺がん, 多発骨転移の診断を受けた60歳代女性. 入院時, 基本動作・歩行自立であったが, トイレにて転倒, 左上腕骨病的骨折受傷し, 予後的観点より保存療法を選択した. トイレ移動時の疼痛や骨折リスクが考えられたが, 患者は排泄に関して「トイレでしたい」と希望した. その意欲や自尊心に配慮し, 疼痛コントロールを図ったうえで移動と移乗・下衣操作訓練を実施した. また便座高などの物的環境や介護に携わる者の人的環境を整備し, チームで統一したケアを行った. 【結果】徐々に疼痛悪化しADL低下がみられたが, トイレやポータブルトイレでの排泄動作が鎮静直前まで可能であった.【結語】本症例より, QOLや患者の尊厳に直結する排泄ケアをチームで実践することが可能であることを経験した.
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