日本義肢装具学会誌
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30 巻, 4 号
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巻頭言
特集 30巻記念企画 動画で学ぶ義足・義手
特別寄稿
  • 田中 宏太佳
    2014 年 30 巻 4 号 p. 219-222
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    筋電電動義手支給制度には,(1)労災保険において平成20年度から両側上肢切断者の片側上肢への筋電電動義手の基準外交付制度が確立し,同時に片側上肢切断者への研究用支給が試行された後に,義肢等補装具費支給要項等が改正され平成25年4月から片側上肢切断者も支給対象者とされた.また(2)障害者総合支援法(旧自立支援法)においては,平成18年から特例補装具(従来の基準外交付)の支給品目として運用されている.この論文ではこれらの制度の概略を説明し,その実際の運用においての注意点,またその意見書の記載内容のポイントなどについても言及した.
短報
  • —健常成人での検討—
    杉田 翔, 藤本 修平, 小向 佳奈子, 小川 大祐, 大高 洋平, 近藤 国嗣
    2014 年 30 巻 4 号 p. 223-226
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者に処方される短下肢装具(以下,AFO)は,椅座位で採型されることが多いが,実際に使用する際は全荷重位である立位であることが多く,AFOの適合性に問題が生じる可能性がある.本研究では,健常成人女性を対象に,立位で採型したAFO(以下,立位AFO)と椅座位で採型したAFO(以下,座位AFO)との相違点を立位時のバランス,下肢アライメント,足部の疼痛について検討した.その結果,立位AFOの着用により,座位AFOと比較し,立位バランスの安定化およびアーチ高率の減少を認め,さらに足部疼痛の減少傾向を認めた.AFOの作製時には,採型姿勢を考慮する必要性が示唆された.
  • 福井 信佳, 谷合 義旦, 永井 栄一
    2014 年 30 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    2013年度から,筆者らは義肢装具学の授業においてギプスソケットを用いた仮義手システム(以下,仮義手システム)の製作を導入している.対象は作業療法学専攻の第3学年の学生である.本研究の目的は,学生にとって仮義手システム製作の導入がどのような学習課題の理解と関係しているのかを分析することである.調査は授業終了後に実施したアンケートによって行った.その結果,仮義手システム製作は「義手の種類」,「ハーネスの操作」,「ソフトドレッシング法」,「リジッドドレッシング法」を学習することに対して正の相関を認めた.仮義手システム製作の導入は,今後いっそう授業の進め方に工夫が必要であるが,切断の評価と訓練を学習する上で,有効な学習方法になりえるのではないかと考えられた.
症例報告
  • 上口 茂徳, 大平 吉夫, 大塚 未来子, 古川 雅英
    2014 年 30 巻 4 号 p. 232-235
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    下肢の大切断となる患者の多くは感染や虚血が切断原因となっていることが多い.虚血による大切断の場合,切断前からADL低下を生じており,義足が適合しても歩行を獲得できるかは別問題である.また,大切断は生命予後に影響するハイリスク因子であり,切断後の生存率は不良である.そのため複数の診療科で集学的に治療を行い,大切断を回避し,歩ける下肢救済が近年目指すべき医療として注目されている.本症例は,重症下肢虚血を伴った二分脊椎症患者であるため,通常であれば大切断となる症例であった.集学的な治療により大切断を回避し,長下肢装具を装着することで従来と同様の歩行を獲得した.断端に潰瘍を再発することなく日常生活が行えており,下肢救済領域において義肢装具士が担う役割は大きいと考える.
  • 幸野 秀志, 陳 隆明, 戸田 光紀, 高瀬 泉, 手塚 勇輔, 東 祐二, 占部 貴大, 赤澤 康史, 本田 雄一郎, 中村 豪, 原 良 ...
    2014 年 30 巻 4 号 p. 236-239
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    本田技術研究所が開発した「歩行アシスト」は,対象者の腰部から大腿部に装着し,歩行周期を改善することにより歩行運動を支援する装着型装置である.その特性から,下肢切断者に使用することにより,異常歩行を改善し,より効率的な歩行の獲得が可能となると予測される.今回,異常歩行を有する大腿義足のユーザーに対し,歩行アシストを適用し,歩容の改善効果を調べた.PCI測定および動作解析を行い,PCIの減少および股関節可動域の改善を認め,歩容の改善が認められた.
講座 義肢装具発展の歴史とこれからのあり方—次世代に受け継ぐべきもの—
  • 中村 俊郎
    2014 年 30 巻 4 号 p. 240-247
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    2020年に東京オリンピック·パラリンピックの開催が決まり,義肢装具のことが話題に上ることが多くなっています.夏·冬の大会を問わず,あらゆるスポーツの分野で義足の選手,障がいを克服した若者の大活躍の姿が人々に勇気と感動を与えているのです.国内外の義肢装具の進歩を高く評価されることも多くなり,これまで,義肢装具の製作·販売に携わってきた業者の立場の者としてもありがたく感謝しているところです.筆者がこの50年近くにわたり,義肢装具製作者として直接·間接に多くの先駆者·リーダーから学んだチャレンジ精神も交え,物づくりとしての義肢装具の魅力の大きさ,深さを述べながら,未来への展望,在り方を模索してみたいと思います.
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