日本義肢装具学会誌
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34 巻 , 3 号
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巻頭言
特集 小児整形外科疾患と装具
  • 亀ヶ谷 真琴
    2018 年 34 巻 3 号 p. 178-180
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    小児整形外科疾患の治療において,保存治療は手術治療と同様に重要な治療手段である.装具治療はその主役をなす.その背景には,小児が成長途上にあり成長に伴い疾患の状況が変化することと,驚異的な自家矯正力を有することがある.現状での病的変化が成長とともにどう変化していくのかを観察していくことが重要であり,その経過の中で将来不良な結果が予測できる場合には,それを極力予防し,より良い方向へ誘導するために装具は有効な手段となる.

  • 薩摩 眞一
    2018 年 34 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    先天性内反足の病因は特定できていないが,1,000∼2,000出生に1人程度の発生率で,2:1で男児に多い.病態として距骨の形成不全,足根骨相互間の配列異常,筋·腱·靭帯·関節包など軟部組織の形成不全に伴う拘縮が存在する.診断は特徴的な足部変形により新生児期から容易である.治療は早期に開始することが望ましくPonseti法が現在のgold standardである.同法は理論的で標準化されたマニピュレーションを特徴とし,残存した尖足に対してはアキレス腱皮下切腱を行うものである.矯正終了後には長期にわたる装具治療が不可欠で,再発を予防する唯一無二の手段といえる.しかしながら一部の難治例,再発例のなかには広範囲軟部組織解離を回避できない場合がある.

  • 服部 義
    2018 年 34 巻 3 号 p. 186-191
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    先天性股関節脱臼は最近発育性股関節形成不全(DDH)という用語で呼ばれるようになっている.このDDHは1970年代の脱臼予防活動や最近の少子化により,激減したとし,すでに過去の疾患であると認識されることもある.しかし2013年の日本小児整形外科学会が行った全国多施設調査では,まだ全国的に発症があり,さらに1歳以後の診断遅延例が15%と予想以上に多くなっていた.治療は生後6カ月まではリーメンビューゲル(Rb)装具,それ以上は徒手整復や牽引による保存的整復とともに,観血的整復も行われる.DDHの治療は,整復方法とともに,整復後の装具の良否がその治療の成功·不成功に大きくかかわっている.特に骨頭障害が生ずればその児の人生に大きなハンディキャップを残す.そのためそれを取り扱う医師·義肢装具士は正しい装着方法を理解し,真摯に治療に取り組まなければならない

  • 中村 直行
    2018 年 34 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    ペルテス病治療に関して,近年世界の注目は手術治療に傾倒している.しかし,本来ペルテス病はself-limitedな疾患であることを考えれば,今後も装具を利用した保存治療が治療選択肢として大きなものであることは変わらないであろう.一方で,いかなる治療を行っても,いずれも極端に悪い成績を伴うこともなく,成績が不良でも生命危機をもたらす疾患でもないため,多くの治療装具がいまだに現存·濫立しており収束する気配もない.本稿では,ペルテス病に対する保存装具治療のこれまでの経緯,そして,現在,本邦で多く利用されている代表的装具の画像供覧,および,使用されている先生方のコメントを掲載する.

  • 福岡 真二
    2018 年 34 巻 3 号 p. 198-201
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    小児期にみられる弛緩性麻痺の代表疾患は脊髄髄膜瘤(二分脊椎),痙性麻痺の代表疾患は脳性麻痺である.弛緩性麻痺に対する整形外科治療の原則は,機能的な肢位の獲得(拘縮を除くための筋腱靭帯解離術)と良肢位での全足関節固定術(汎距骨固定術)である.痙性麻痺に対する治療原則は,機能的な肢位の獲得とorthopaedic selective spasticity-control surgeryである.この手術では,痙性麻痺において過活動性の高い多関節筋を選択的に解離し,拮抗する単関節を賦活することで,体を直立に支える力を回復させる.脳性麻痺の場合,運動発達がみられる4〜6歳までは訓練と装具が治療の主体であり,4〜6歳以降で筋緊張や変形が固定化し運動発達が難しくなったときは,この手術を行った上で訓練を継続する.

  • 柿崎 潤
    2018 年 34 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    小児整形外科の治療には保存療法である理学療法·作業療法と装具療法,手術治療とがあるが,多くの疾患では保存療法が第一選択となるものも多い.小児の装具療法の多くは下肢装具であることが多いが,上肢装具も少なからず使用することが多い.小児整形外科疾患の中で,上肢装具を処方する疾患には,先天性の形成不全,麻痺性疾患や拘縮を生じる疾患などが対象となる.本稿では日常診療で上肢装具を処方する機会の多い疾患の概略などについて述べる.

  • 藤原 憲太
    2018 年 34 巻 3 号 p. 208-215
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    小児整形外科と装具治療は切ってもきれない関係がある.中でも脊柱側弯症に対しては,歴史的に様々な装具治療が行われてきた.現在においても,装具治療は手術治療と双璧をなす重要な治療法である.今回,頻度の高い特発性脊柱側弯症を取り上げ,その基本知識,側弯症装具の歴史と側弯症装具の矯正理論を概説する.各論として,筆者が使用している大阪医大式装具とSemoto-Nagano式夜間装具の開発の歴史,特徴,矯正理論,適応,作成,装具装着上の注意点,患者への説明について述べる.

  • 及川 泰宏
    2018 年 34 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    こどもの頸椎疾患で装具を要する疾患は多くはないが,適切な治療が行われないと再発や後遺症を残すことがある.こどもに選択可能な装具は少なく,タオルなど他の物品で代用することが多い.採型を必要とする装具ではこどもの協力が必要であり,装具療法を開始するまで時間を要することも1つの問題点としてあげられる.当院で行っている筋性斜頸と環軸椎回旋位固定に対する装具療法について報告する.

原著
  • —長下肢装具から短下肢装具へ移行する際の足継手調整の検討—
    梅田 匡純, 森下 元賀, 川浦 昭彦, 河村 顕治
    2018 年 34 巻 3 号 p. 222-229
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    脳卒中患者の歩行獲得にとって,長下肢装具(KAFO)から短下肢装具(AFO)への移行は重要な要素となる.膝継手遊動化のKAFOを装着した歩行練習は,その過程の中で多く経験するが,足部調整には経験則によるところが大きい.AFOを対象にした報告では,足底屈制動の有効性に異論はないが,膝伸展を補うとされる足背屈制動については,推進力が抑制されるなどその見解は分かれる.そこで健常者13名を対象に,膝継手遊動のKAFOを装着し足背屈制限有無の歩行時床反力から検討を加えた結果,足背屈制限を付加した場合においても推進力は維持され,かつ膝関節は伸展方向へ安定させる傾向を示した.この結果からKAFOにおける足背屈制限は,AFO移行に向けた有効適応の可能性を示唆させた.

短報
  • 中谷 知生, 田口 潤智, 笹岡 保典, 堤 万佐子, 小松 歩
    2018 年 34 巻 3 号 p. 230-233
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    近年脳卒中片麻痺者の歩行トレーニングにおいて,様々な歩行支援機が使用される機会が増えている.本研究では,弾性バンドの張力を用い麻痺側下肢の機能を補助する歩行補助具T-Support(川村義肢株式会社製)を用い,弾性バンド装着が片麻痺者の歩行因子に及ぼす影響を検証した.対象は回復期病棟入院中で短下肢装具を用いた歩行トレーニングを行っている15症例であった.結果,装着により歩行速度が向上し,立脚終期の腓腹筋活動量および足関節底屈モーメントを増大させる効果が明らかとなり,片麻痺者の歩行トレーニングにおいて使用することの有効性が示唆された.

症例報告
  • 花川 晃一, 大島 埴生, 青木 智也, 米広 幸平, 池田 直樹
    2018 年 34 巻 3 号 p. 234-237
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    近年,リハビリテーション領域においてロボットの導入が注目されており,脳卒中ガイドライン2015においても歩行補助ロボットが推奨されている.今回,歩行練習アシスト(Gait Exercise Assist Robot : GEAR)を用いた歩行練習の脳卒中片麻痺症例への臨床応用における効果について検証した.18日間の介入により,歩行速度が改善し,歩行能力の向上を認めた.これは,膝関節の段階的な制御や独力での多数歩練習による歩行練習量の確保,感覚障害に対する視覚フィードバック機能を用いた運動学習効果などの要因が考えられた.このことからGEARを用いた歩行練習は,脳卒中片麻痺症例に対して有用な手段であることが再確認された.今後は,より効率的·実践的なプロトコルの作成に向けて,症例数を増やし,さらには長期的なデータの蓄積および検討が課題になると考えられる.

講座 福祉用具の開発と支給制度
  • 清水 壮一
    2018 年 34 巻 3 号 p. 238-243
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2019/07/15
    ジャーナル フリー

    福祉用具の安全性については,製品そのものの安全性と製品の選定·適合性·使い方·利用環境等の安全性の両面が求められる.製品そのものの安全性を反映した福祉用具のJISは,現在50規格となり,介護保険対象福祉用具については主要な品目についてはほぼ策定済みとなった.今後,ロボット介護機器などの新しい製品の安全性を反映した規格を策定する必要があるとともに,25年後の高齢者人口の減少に伴い縮小していく福祉用具の国内マーケットに対応するためには,特に製品スペックの変更の必要のないアジア圏への輸出が重要となるが,そのためには,アジア人の体型を反映しているJISのISO化が重要となる.

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