日本義肢装具学会誌
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巻頭言
特集 義肢装具のネクストステージ
  • 長倉 裕二
    2020 年 36 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    切断者を取り巻く現象が近年大きく変わりつつあり,現場においても義足適応,介入など多くの医療関係者が悩ましい問題と遭遇している.そして切断者のニーズが多様化している中,義足部品の発展,開発に合わせて切断者の能力も向上してきている現実がある.一方では高齢切断者の増加,重篤化によって難渋している切断者が増加してきていることも問題とされている.このように二極化している義足リハビリテーションの現状の中で陥りやすい現象について,病期別に段階的に理学療法介入を行う上で重要と考える内容をここでは概説したい.

  • 清水 新悟
    2020 年 36 巻 2 号 p. 88-91
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    足底挿板は,痛みの緩和,足底圧配分の改善などの目的で様々なものが存在する.現在の足底挿板は動的アライメントに着目し,骨配列でアライメントを制御するものが主である.知覚連動インサートは従来の足底挿板とは異なり,筋肉·腱でアライメント制御する足底挿板のことである.知覚連動インサートは,エレメントというスポットの作用を通じて筋や筋連鎖を刺激または抑制し,アライメントをコントロールすることで正しい筋肉の使い方を学習させる足底挿板である.今回は,知覚連動インサートの理論から評価方法,臨床効果について報告する.また知覚連動インサートはストレッチングや筋力トレーニングを併用することで効果を高めると考えられる.

  • 青木 隆明
    2020 年 36 巻 2 号 p. 92-94
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    多くの先人の先生方が下肢装具について研究され,簡単なものからロボットなどに至る複雑なものまで様々存在する.その中で,ごく日常の診療でよく使用される装具で,処方後気になったことや,不思議に思ったことについて検討した.それぞれの装具には長所と短所があり,各患者の適正にあったものを選ぶことが大切である.各患者によって適正を判断するのは難しいが,より便利で簡便な治療にむすびつく方法を考えてきた.日常の何気ない装具に対する疑問や今後の患者のニーズについて開発をすすめている.車いすに乗ると意外な時に恐怖を感じるという患者もいる.脊髄損傷のレベルによっては前方への体幹の移動は体幹保持ができないと恐怖で,転倒への危険性を回避するために,思い切った走行が困難である.それに対処する装具を考案した.

  • 大畑 光司
    2020 年 36 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    脳卒中後片麻痺者に対する装具使用は,障害された歩行に対して運動学的な変化を起こすことにより,パフォーマンスを改善する.しかし,装具によって得られる運動学的な変化について十分に整理されているとはいえない.短下肢装具により歩行速度や麻痺側荷重量が改善し,麻痺側足圧中心軌跡の延長や歩行コストの改善が得られるが,一方,その運動学的変化は,遊脚期の下垂足と反張膝の改善以外,特に特徴的な股関節や遊脚期の膝関節の運動においては一定の変化が見られない.したがって,装具処方時の歩行観察は,異常な歩容の改善だけでなく,パフォーマンスに対する変化を含めて観察することが重要である.

  • 森田 千晶
    2020 年 36 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    「生活を豊かにする」とはなんだろう.福祉用具を含めて義肢装具は「豊かな生活」にどのように役に立っているのだろう.義肢装具や福祉用具で「豊かな生活」を提供するためには対象者のニーズを的確に把握し,適切な義肢装具·福祉用具を提供できることが必要である.しかし,時に対象者とリハスタッフとの間にはゴールの考えたかにギャップが生じることがある.ギャップがあると適切な義肢装具を提供することは困難であり,対象者の望む「豊かな生活」をすることができない.対象者のニーズを適切に把握するためのツールとして作業療法場面ではADOC, COPMなどを利用している.これらを利用することで対象者とニーズ,ゴールを共有することが重要と考える.

  • 野坂 利也
    2020 年 36 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    義足の重要な構成要素の中でもソケットおよび膝継手に着目すると目覚ましい進歩がみられる.大腿義足ソケットでは,四辺形ソケットから坐骨収納型,MASソケット,NU-Flex SIVなどの選択肢が増えている.膝継手に関しては,立脚相制御に優れた機構が開発されており,転倒の危険を回避できるものが多く使用されている.遊脚相制御では,空圧,油圧などの流体制御機構が多くみられ,歩行速度に対応可能な膝継手が使用されている.また電子制御の膝継手には,信頼性の向上,個々の継手のモード変更など,選択する膝継手によって特徴が異なる機構となっており,どの膝継手を選択するかは試し履きなどを行い,慎重に選択する必要があるといえる.

  • 溝部 二十四, 陳 隆明, 戸田 光紀, 柴田 八衣子, 岡本 真規子, 増田 章人
    2020 年 36 巻 2 号 p. 110-112
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    近年,義肢のテクノロジーの急速な発展に伴い,上肢切断者を取り巻く環境は大きく変化した.日本における筋電義手はおおよそ50年前に研究,開発が開始されたが普及に至らなかった歴史がある.しかし,労働者災害補償保険による片側前腕切断者への筋電義手給付が,研究用支給を経て2013年に実現されたことで普及の兆しがみえ始めた.そして現在,多機能,高性能の筋電義手が利用可能となり,上肢切断者のニーズに対してより高い水準で対応しうる時代が到来した.しかしながら,高性能で高価な筋電義手の支給基準に対するコンセンサスは得られていないのが現状である.今回は,国内で入手可能な5指駆動型筋電義手と昨年当センターで実施した試用評価の紹介,および今後の課題について述べる.

  • 中村 隆
    2020 年 36 巻 2 号 p. 113-115
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    近年,世界中のメーカーより高機能膝継手が開発,販売されているが,「高機能」の定義や適応はあいまいなままである.「高機能」には切断者が非切断者に近づくための「高機能」と低活動切断者が義足適応となるための「高機能」の2つの意味がある.また,運動特性の「高機能」と電子制御ゆえの利便性を求めた「多機能」との整理が必要である.Okitaらは,高機能の1つであるイールディング機能について,三次元動作解析結果から膝継手の使いこなしのエビデンスを得た.高機能部品の適応については,“活動度”の高低に関係なくその活動度に応じて必要な機能として,切断者へ提供されるようエビデンスの蓄積が必要である.

  • —その機能を本当に引き出せていますか—
    岩下 航大
    2020 年 36 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    電子制御膝継手は,著しく進歩し,未来思考でみると,「失われた部分」には義足構成要素のテクノロジー進化により今後,「無限の可能性」が広がっているともいえる.そのシャワー効果が,臨床現場までさらに届くことを,強く期待する一方で,現実思考でみると,私たちが日々向き合う切断者は,リスクの高い糖尿病·血管原性切断者と虚弱高齢切断者であることに主眼を置かねばならい(2025年団塊世代·後期高齢者).今後,医療従事者は,それらを見据え補装具制度,費用対効果を熟知したうえでの義肢チームによるリハビリテーションを再考し,電子制御膝継手が,青壮年期の切断者だけではなく,糖尿病·血管原性を起因とした虚弱高齢切断者や重度障がい者(両側大腿切断等)にとっても機能改善に貢献するかどうか,知見の蓄積を行っていかねばならない.

  • 奥田 邦晴, 片岡 正教
    2020 年 36 巻 2 号 p. 121-123
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    ボッチャは重度障がい者の代表的なパラスポーツであり,参加する選手の障がい像は重く,多様性に富んでおり,複雑である.そのため,使用する用具の影響は非常に大きく,精度はもとより個々の選手の障がい像やプレースタイルへの適合性が勝敗に大きく影響する.本稿ではボール,ランプ,リリーサーなどのボッチャに使用する用具について解説する.

  • 高橋 俊潤
    2020 年 36 巻 2 号 p. 124-125
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    オットーボック社は,ドイツに本社を置く義肢·装具·車いす製造販売会社である.パラリンピック競技大会での修理サービスは,ソウル1988大会において4名の義肢装具士によって始められ,平昌2018大会で30周年を迎えた.今回は,リオデジャネイロ2016夏季大会と平昌2018冬季大会を例にして,夏季と冬季大会の違いを織り交ぜながら,国際パラリンピック委員会のワールドワイドパートナーであり,東京大会のオフィシャルサポーターである弊社の修理サービスについて紹介する.

  • 大塚 滋
    2020 年 36 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    株式会社今仙技術研究所は「競技人口の増加」を目標として掲げ,15年以上に渡りスポーツ用義足部品の研究·開発·実用化を行ってきた.これらの研究開発により実用化された製品は,部品の選択幅を広げ,競技人口の増加,下肢切断者のQOLの向上に寄与している.近年,開発を開始した頃よりも競技者人口は急増し,競技会,イベントも数多く開催されるようになった.この背景には機器開発の発展とともにスポーツにより得られる効能や社会活動への貢献認められていることが大きく,スポーツ用義足を製作する,使う,そして情報を得ることができる環境は醸成されながら最盛期を迎えつつある.この分野は今後も一層発展する分野として注目を集めている.

原著
  • 吉村 学, 妹尾 勝利, 井上 桂子, 富山 弘基, 鴨生 賢悟
    2020 年 36 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,健常者が装着可能な模擬義手ソケットを作製し,肘関節屈曲伸展時の電極と皮膚間の剪断力と圧力の測定から,筋電義手の誤作動の要因を検証した.対象は健常成人14名とし,模擬義手ソケット内の,(1) 外側電極位置(外側部),(2) 肘頭から2.5 cm上部(肘頭上部),(3) 内側電極位置(内側部)の3カ所に小型で薄型の剪断力·圧力センサを貼付して測定した.肘関節屈曲伸展時の剪断力は,各部位で0.3 N以下と低値であり,電極が皮膚からずれることで誤作動が起きているとは考えにくい結果であった.一方,圧力は内側部が外側部に比べ有意に低かった.この結果は,外側部に比べて内側部は断端との接触不良を起こしやすいことを示し,筋電義手の誤作動の要因の1つになることが示唆された.

  • —装具の種類と身体機能が装着時間に与える影響—
    右田 正澄, 丸山 仁司, 山本 澄子
    2020 年 36 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    脳卒中患者の短下肢装具装着に着目して,装具の種類と身体機能が装着時間に影響しているのかを明らかにするために本研究を実施した.生活期の脳卒中患者19名に対して,Shoe Horn Braceと継手付短下肢装具,Gait Solution Design (GSD)の3種類の短下肢装具を用いて装着時間を測定した.利き手による影響を確認後,Brunnstrom Recovery Stageごとに各装具の装着時間を算出した結果,継手付短下肢装具が最も装着時間が短く,装具の足関節の可動性の有無と下腿ベルトの位置が装着時間に影響していることが示唆された.GSDは装着のために時間を要し,使用する際は装着指導も必要であった.

短報
  • 西村 信哉, 伊藤 由樹, 上里 涼子, 三浦 和知, 津田 英一
    2020 年 36 巻 2 号 p. 143-145
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    手関節尺側部痛に対する治療には,保存療法が第一選択として行われ,その中でもスプリントが多く使用されている.今回,手関節尺側部痛に対するスプリントの効果について検討したため報告する.対象は手関節尺側部痛に対しスプリントを作製した18例18手とした.Visual analog scale (VAS)による安静時痛,動作時痛を初回評価時と最終評価時にて測定し比較した.最終評価が可能であったのは13例13手であり,安静時痛,動作時痛ともに有意に減少した(p<0.01).スプリント装着により遠位橈尺関節の適合性を高め,動作時痛の軽減が得られたと考えられる.しかし,スプリント装着時の詳細な遠位橈尺関節の動態に関しては解明されていないために,今後の検討が必要である.

  • 石黒 正樹, 岡元 信弥, 戸田 海渉, 早野 充浩, 野末 琢馬, 田島 資子, 近藤 穣, 小川 鉄男, 齋藤 恒一, 畠中 泰彦
    2020 年 36 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,片麻痺者の麻痺側荷重応答期における股関節伸展モーメントのアシストを,股関節伸展アシスト型の歩行支援機ACSIVEを用いて行い,麻痺側股関節に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は片麻痺者12例である.ACSIVE装着により,初期接地時の股関節屈曲角度は減少し,立脚期股関節最大伸展角度は増大した.また,荷重応答期の股関節最大伸展モーメントは減少し,立脚期股関節最大屈曲モーメントは増大した.ACSIVE装着により,立脚期股関節最大伸展角度および股関節屈曲モーメントの増大が得られたことから,歩行能力を改善させ得ることが考えられる.

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