日本義肢装具学会誌
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最新号
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巻頭言
特集 先人に学ぶ,達人に学ぶ,科学に学ぶ
  • —世界で一番簡単で高精度なモーションキャプチャシステム—
    網盛 一郎
    2021 年 37 巻 2 号 p. 94-99
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    e-skin MEVAは加速度センサとジャイロセンサを用いた慣性式モーションキャプチャ機能を有するスマートアパレルである.スマートアパレルとは着心地のよい洗濯可能なセンサ衣服であり,下半身版は7カ所,全身版は18カ所の慣性センサを用いて高精度のモーションキャプチャを行うことができる.普通の服のように着用できるため,簡便で場所を選ばずにモーション計測ができ,そこから歩行解析や筋活動解析も行うことができる.e-skin MEVAはスポーツだけでなく医療·リハビリテーション分野でも用いられており,来たるべき高齢化社会に向けてデータ駆動型予防医療の実現と,それによる安心安全な社会の創造を目指している.

  • 勝平 純司
    2021 年 37 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    今回,第36回日本義肢装具学会学術大会のシンポジウム「義肢装具と新技術の双方向性」において,発表する機会を得た.本発表において,自身が装着型機器トランクソリューションを開発した経験および起業して普及を行っている経験に基づき「義肢装具と新技術の双方向性」を達成するために必要な3つの要素について解説を行った.必要な要素の1つ目はDevelopmentであり,ここでいかに使用者のニーズをとらえて開発を行うことが大切かについて説明した.2つ目はEvidenceであり,開発したとしてもその開発したものに一定の効果が得られなければ新技術は活用されないと訴えた.3つ目はEducationであり,義肢装具,新技術ともに適切な教育がなければ使用されないことについても解説を行った.

  • 石井 慎一郎, 熊本 水頼
    2021 年 37 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    下肢が床面に接地した際に,下肢の剛性と系先端部の位置を同時に制御し,contact taskと呼ばれる制御上の難題を解決しなければなない.四肢の筋配列の基本型は,股関節,膝関節にそれぞれ対になる伸展単関節筋と屈曲単関節筋が存在し,これに加えて伸展二関節筋と屈曲二関節筋が存在する3対6筋機構である.3対6筋による協調制御システムによって,contact taskは全筋を一様に緊張させるだけで,contact taskを解決し,外乱にも対応した四肢の制御を可能にしている.contact taskを解決するための生体の制御機構を義足や長下肢装具に応用することができれば,contact taskの問題を代償するための異常歩行運動を抑制できる可能性がある.

  • 田上 未来, 井上 剛伸
    2021 年 37 巻 2 号 p. 112-114
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    厚生労働省の支援機器開発における施策は,平成19年生活支援技術革新ビジョン勉強会を機に,平成22年障害者自立支援機器等開発促進事業として開始された.本事業でこれまでに採択した開発機関の製品化率は約50%で,これは未製品化の開発機関も同程度存在することを示す.未製品化の要因としては,開発ニーズの絞り込みや実証試験(モニター評価)の実施,人材不足などいくつか大きな課題がある.これらの課題解決に,調査研究事業の成果を利用し,これまで開発機関に任せていた開発プロセスに行政として道筋を示し,持続的·継続的に真に障害当事者に必要とされる支援機器の開発促進を期待する.

  • —支援機器開発の視点—
    井上 剛伸, 間宮 郁子
    2021 年 37 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,支援機器の重要性が高まることを背景として,義肢装具との対比により,その開発促進に資する要件の抽出を試みた.ICFを用いた支援機器の特徴の抽出から,その開発では考慮すべき利用者の生活やステークホルダが多様である点が指摘された.それに対する解決策として,生活機能の分類を利用した支援機器のマッピング,および支援機器のコンセプト立案を行う方法論としてのFATIを提案した.さらに,FATIに基づく情報支援ロボットシステムの開発事例を示し,支援機器が抱える課題の解決策を示した.これらの議論を通して,今後の機器開発に役立つ知見を得ることができたと考えている.隣の芝生は青いと感じるだけかもしれないが….

特別寄稿
  • 澤村 誠志
    2021 年 37 巻 2 号 p. 120-129
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    第36回日本義肢装具学会学術会議が芳賀信彦会長により東大本郷キャンパスで開催された.芳賀会長はこの大会のテーマを,“先人に学ぶ,達人に学ぶ,科学に学ぶ”とされた.多くの先人たちが,我が国の義肢装具に関する教育,福祉制度,標準規格,学会などの基盤整備,そして国際協力に素晴らしい活動をされたが,残念ながらほとんどの先人たちが亡くなっておられる.私が本学会の設立に関係しているので,先人の1人としてそのあゆみを報告したい.ただ,私が義肢装具の発展に関与を始めた昭和35年(1960)頃は,志を同じくする仲間がいなかったので,個人的な行動が先行した報告になることをお許しいただきたい.

海外招待講演
原著
  • 阿部 紀之, 細矢 貴宏, 松田 雅弘
    2021 年 37 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    装具処方の必要性や装具種類の判断に有用な指標を明らかにするため,被殻出血患者34名を対象に装具処方有無の2群と,処方された装具の種類(長下肢装具 : KAFO·支柱付き短下肢装具 : MAFO·プラスチック短下肢装具 : PAFO)により3群に分け,脳画像所見,装具情報,身体機能をそれぞれ比較した.装具処方の有無では在院日数,入退院時の歩行能力,運動機能,ADLで有意差を認めた.また,出血量と短径はKAFO-PAFO群間,長径はKAFO-PAFO群,MAFO-PAFO群間で有意差を認めたが,身体機能は3群間の差を認めなかった.装具処方の必要性は身体機能やADLが有用な指標であるが,処方装具の種類には脳画像所見も有用な指標であることが示唆された.

  • 村田 知之, 横山 修, 浅井 直樹, 丸谷 守保, 鳥山 貴大, 太田 啓介, 柏原 康徳, 菅野 達也
    2021 年 37 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    外骨格型ロボットを用いた脊髄損傷者の歩行再建は,機種によりその用途が異なる.自立支援型の外骨格型ロボットは,移動を目的に使用するため獲得できる歩行速度は生活の質に影響を与する.そこで本研究では,自立支援型の外骨格型ロボットの1つであるReWalkTM に着目し,歩行速度の向上につながる歩行の特徴を明らかにするため,歩行速度の横断的な比較と三次元動作分析による歩行の空間的時間的パラメータや体幹の角度変化について検討した.その結果,歩行速度と体幹の前屈角度に強い負の相関が認められ,歩行時のロフストランドクラッチによる体幹のコントロールが歩行速度の向上に寄与する要因の1つであることが示唆された.

症例報告
調査・研究報告
  • —12年間の年次推移ならびに処方装具と歩行能力との関係についての検討—
    髙木 聖, 小川 優喜, 児玉 賢佑, 中村 優希, 安藤 直樹, 山本 大海, 紙本 薫, 今村 康宏
    2021 年 37 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    2007年から2018年までの回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)における脳卒中片麻痺患者に対する下肢装具処方状況について調査した.装具作製患者の割合は12%で,そのうち両側支柱付短下肢装具(支柱付AFO)と長下肢装具(KAFO)が全体の約80%を占めていた.各年における発症から採型までの平均期間は30〜40日で,各年間に有意差はみられなかった.装具の種類別では支柱付AFOとKAFOが発症後早期に処方されていた.KAFO作製患者の退院時歩行能力は他の装具作製患者に比べて有意に低かった.回復期病棟における装具処方時期や種類についての推移が明らかになるとともに,発症後早期に治療用装具が処方されている実態が示された.

講座 下肢救済における装具の役割と課題
  • —フットケアナースの立場から—
    橘 優子
    2021 年 37 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

    高齢長寿社会において高齢者の歩行維持,つまり足病変の予防は我が国の重要な課題である.しかし,加齢とともに筋力低下,関節変形などが生じ,また糖尿病や動脈硬化などの慢性疾患を有する人も増加し,高齢になるに伴い足病変を有する人は増えている.足病変とは,変形,血流障害,浮腫,神経障害,皮膚病変などの複数の要因が複雑に絡まりあう多様な病態であり,多角的な視点でのアセスメントを必要とする.治療においては外科的治療,薬物療法だけでなく,フットケア,適切な靴の着用,靴装具の作製が有効であり,また,患者自身が行うセルフケアも重要となる.

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