目的 : 更年期女性が体験する心身の変化とそれに対する対処を明らかにすることである.方法 : 質的因子探索型研究.便宜的サンプリングによる,更年期に心身の変調を体験した又は今も体験している閉経周辺期の女性7名を対象者とした.更年期に体験した身体と心の変化,その変化に対する対処法について,半構成的面接法で1〜2回の面接を個室で行った.データは逐語録とし,内容分析にて質的に分析した.結果と考察 : 心身の変化は10のカテゴリーが抽出された.それらは更年期症状とされるホットフラッシュや睡眠障害,気分変調を示すような内容の他に,<自分の状況がわからない><考えがまとまらなくなる><わかってもらえない辛さがある>など,戸惑い,混乱,孤独感に関するカテゴリーだった.これらは既存研究で殆ど論じられていない内容であり,身体的や心理的症状という見解では捉えられない,更年期の体験の複雑さや奥深さが明らかになった.対処法は12のカテゴリーが抽出された.<自分のペースを大事にする><自分をわかって適する方法で対処する>のように,今の自分の身体や心の状態に注意深く配慮し,今の体力,能力を基にした生活を心がけて,変化に適応しようとしていた.<こだわり過ぎないようにする><自分の中のバランスをとる><余力を確保して,今を大事にする>のように,全体的なバランス感覚も重視していた.<周囲との関係性の中でバランスをとる><信頼できる人とつながりを持つ>のように,人との関係性を大切にして自己を再認識したり再構築したりしていた.<意欲的に生活する><自分を労う>のように,症状緩和の視点だけでなく,より積極的で意図的取り組みも行っていた.結論 : 更年期女性は,包括的な変化を体験しており,変化に適応しようと多様な工夫を施していた.
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