女性心身医学
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巻頭言
特集 第51回日本女性心身医学会学術集会 第36 回日本女性心身医学会研修会
【第36 回日本女性心身医学会研修会】
【第51 回日本女性心身医学会学術集会】
原著
  • 伏見 もも, 飯島 竜星, 木山 水月, 久保川 媛加, 菅原 このみ, 高倉 麻里子, 野口 史織, 金野 倫子, 有竹(岡田) 清夏
    2024 年 28 巻 3 号 p. 337-348
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル フリー

    【目的】女性の月経周期に伴う体温リズムは睡眠と密接に関連しており,黄体期では眠気が強い一方,睡眠の質が低下することが報告されている.月経周期に伴う睡眠障害は,女性が社会生活を送る上での大きな問題である.本研究では,身体運動による熱放散の促進に着目し,女性の卵胞期・黄体期における熱放散と睡眠構造の生理的特性の検討とともに,身体運動による体温,熱放散,夜間睡眠,主観的評価への効果を検証した.本研究は,埼玉県立大学倫理委員会の承認を得て行われた.【方法】若年成人女性12名を対象に卵胞期非運動条件,卵胞期運動条件,黄体期非運動条件,黄体期運動条件の4条件にて計4日間の実験を実施した.運動条件では日中に約40分間のレジスタンストレーニングを実施後,夜間睡眠脳波を測定した.実験中は体温を同時計測し,遠位皮膚温と近位皮膚温の温度差から熱放散且つ入眠指標である遠位-近位皮膚温勾配DPG(distal-proximal skin temperature gradient)を算出した.【結果】有害事象の認められなかった9名のデータ(合計36データ)を解析に使用した.卵胞期・黄体期のいずれにおいてもレジスタンストレーニングによって熱放散が促進され,夜間睡眠中の深睡眠が増加した.さらに深睡眠の夜間就床中における時間的分布を調べたところ,卵胞期では深睡眠が夜間徐々に減少していくのに対し,黄体期では睡眠の中後半の時点でも深睡眠の出現が非運動時よりも高く持続し,この深睡眠の持続と同じタイミングにおいて熱放散も促進されていた.【結論】レジスタンストレーニングは女性の卵胞期において深睡眠を増加させるだけでなく,体温が高く体温リズムに減り張りのない状態である黄体期においても熱放散を促進し,夜間の深睡眠を増加させる可能性がある.

  • —覚醒剤使用のメリット・デメリットに焦点を当てて—
    喜多村 真紀, 嶋根 卓也, 高橋 哲, 小林 美智子, 大伴 真理惠, 鈴木 愛弓, 松本 俊彦
    2024 年 28 巻 3 号 p. 349-356
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,月経前症状が薬物使用のトリガーとなった経験を持つ女性の特徴について検討することであった.2017年,法務省法務総合研究所は,全国の刑事施設(医療刑務所および拘置支所を除く78庁)にて受刑中の覚醒剤事犯者を対象に「薬物事犯者に関する研究」を実施した.本研究では,この研究データの二次分析を行った.本研究は国立精神・神経医療研究センターの倫理審査の承認を得たうえ実施した.分析対象である女性受刑者は,2017年7~11月の調査期間中配布された質問紙の質問項目のうち,気分変調,倦怠感,食欲異常,睡眠障害の4つの月経前症状と薬物使用の関連項目すべてに回答した182名であった.4つの月経前症状のいずれかが薬物使用のトリガーとなった経験を持つ女性を該当群(94名),いずれの症状もトリガーとなった経験を持たない女性を対照群(88名)とし,薬物使用の関連項目について2群の差の検定を実施した.支援ニーズについては,覚醒剤を使用することによるメリットおよびデメリットとして認識している項目を複数選択で求め,それぞれの項目数の単純加算について2群の差異が認められるかを検討した.該当群は対照群よりも,覚醒剤を使用し始めた年齢が有意に低く,今回の逮捕などにより身柄を拘束される直前の1カ月間の平均使用日数が多く,薬物問題の重症度を評価するDAST-20日本語版スコアが高いという結果が得られた.このことから,トリガーとしての月経前症状を持つ女性はそうでない女性よりも薬物問題が深刻であり,治療の必要性が高い可能性が示された.該当群は対照群よりも,覚醒剤を使用することのメリットおよびデメリットのいずれの該当項目数も多く,該当群は覚醒剤をポジティブな効果やネガティブな影響をもたらす物質として認識し,覚醒剤を使用することにより,月経前症状と同様の症状の緩和や低減を体験していた可能性が示唆された.

症例報告
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