全国の自治体で地域の人口規模に即した適切な支援のあり方が求められるが,広い県土を持つ岩手県では地理的不利があり地域格差が指摘される.本調査では,岩手県の年少人口1,000人あたり障害児通所支援事業所数は1.18であり,保健医療圏域ごとでは0.28と極端に少ない圏域もあった(2021 年10月時点).2020年度の岩手県調査であげられた「地域における神経発達症児への早期支援の課題」は,計量テキスト分析の結果,①子どもに適した療育指導・相談支援を行う業務ができる人材,心理相談員などの専門職不足,②保護者の理解が得られない場合の支援方法,③児童発達支援の受け皿不足であった.過疎地である岩手県は専門職不足を補うシステムを構築することが望ましい.保護者の理解を促すためには,客観的指標を根拠に児童発達支援の必要性を伝えることが大事である.小児科医の技能向上のため岩手県は岩手県小児科医会と協働し,オンライン勉強会や各種研修会を開催している.
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