日本小児放射線学会雑誌
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最新号
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特集 感染症の画像診断
  • 村松 一洋
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 57
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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  • 髙梨 潤一
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 58-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株が流行の主流となった第6波以降,小児SARS-CoV-2感染症(COVID-19)患者数は急激に増加し,それに伴い重症例も増えている.COVID-19関連急性脳症は2022年11月までに103例が報告され,症候群別ではけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)が最多(27例,26.2%)であった.出血性ショック脳症症候群(HSES)8例,劇症脳浮腫型脳症(AFCE)6例,急性壊死性脳症(ANE)4例とサイトカインストーム型脳症が18例(17.5%)であり,COVID-19以前の他のウイルスによる急性脳症症候群別頻度ANE 2.8%,HSES 1.7%に比して高頻度であった.重篤な経過を呈するHSES,AFCEが高頻度であることから,COVID-19関連急性脳症の予後は不良(死亡11例,10.7%)であった.

  • 野崎 太希, 巷岡 祐子, 河野 達夫, 陣崎 雅弘
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    小児骨髄炎の画像診断は,単純X線写真,次にMRIが第一選択であり,骨髄炎の存在診断および広がり診断,デブリドマンを必要とする膿瘍の有無,骨端線をこえる病変など成長障害リスク因子の評価,血栓症など随伴合併症の有無の判断が求められる.そのために発達過程の骨の解剖学的・生理学的特性を理解し,年齢に応じたMRIプロトコールの組み立てが望まれる.読影におけるポイントとしてブドウ球菌等の急性細菌性骨髄炎とマイコバクテリウム等の弱毒菌による画像所見の差異,亜急性・慢性骨髄炎の画像所見を述べる.小児の骨髄炎では晩期合併症としての成長障害が大きな問題となるため,的確な早期診断が望まれる.

  • 奥村 彰久
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 72-80
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    インフルエンザ脳症は多様な病型を含んでいる.発症に関与する病態としては,代謝異常・全身性炎症反応・興奮毒性などが推定されている.画像所見はインフルエンザ脳症の診断において重要である.急性壊死性脳症では両側の視床病変が特徴である.けいれん重積型(二相性)脳症では,皮質下白質優位の拡散能低下(bright tree appearance)が特徴である.可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症では,脳梁膨大部の拡散能低下が特徴であり,深部白質に対称性の病変を伴うことがある.出血性ショック脳症症候群では,急速に進行する広範な脳浮腫が特徴である.劇症脳浮腫型脳症は近年提唱された疾患概念であり,画像所見の知見はまだ確立していない.それぞれの画像所見は特徴的であるが,診断においては臨床症状などと合わせて総合的に判断する必要がある.

  • 酒井 美緒, 市田 和香子, 吉留 江吏子, 高橋 洋人, 柏木 伸夫, 西川 正則, 中西 克之, 大場 洋, 富山 憲幸
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    先天感染症には一般に胎内,周産期の感染が含まれる.TORCH症候群として,先天性トキソプラズマ症,先天性風疹症候群,先天性サイトメガロウイルス感染症,新生児単純ヘルペスウイルス脳炎,先天性HIV感染症や肝炎ウイルスの先天感染がある.他にリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス,ジカウイルスの胎内感染,周産期感染ではヒトパレコウイルス3型,B群溶血性レンサ球菌溶連菌等による中枢神経障害も知られている.

    胎内感染では胎児の感染時期で症状・画像所見が異なり,感染時期が早いほど重篤である.脳室拡大,脳実質内の石灰化など共通する画像所見があるが,脳室拡大の原因が水頭症か脳容積減少か,脳内石灰化の部位など疾患により特徴がある.周産期中枢神経感染症は迅速な診断・治療が非常に重要である.確定診断は髄液や血液からの起炎菌検出だが結果に時間を要することもある.画像診断は早期診断の間接的根拠となり,特に拡散強調像を含むMRIは有用である.

  • 中俣 彰裕, 松木 充, 村松 一洋
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    先天性サイトメガロウイルス感染はTORCH症候群の中で最多で,新生児300人に1人の頻度と推定される.症候性感染児には生後2か月以内のバルガンシクロビル投与が有効で,頭部画像所見に脳内石灰化や白質病変など異常所見を認めた場合は症候性感染として治療開始が検討される.画像所見は感染時期によって様々であり,また,神経学的予後や難聴との関連が判明している所見もある.本稿では先天性サイトメガロウイルス感染の臨床的事項,画像所見とその鑑別となる疾患について概説する.

  • 清水 青葉
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    日本は2021年に結核低蔓延国となり,小児結核患者は2023年に35人まで減少した.一方で結核高蔓延国から日本への移住者は増加傾向にあり,海外出生者の結核は乳幼児の父母となり得る20–30代の若年層が多くを占めることから,小児結核においても今後,注意が必要である.小児の肺結核では第一次結核症の比率が高く,胸部X線では所見が同定できない場合が多い.また,肺門部・縦隔のリンパ節腫脹が特徴的であり,結核が疑われる場合には積極的な胸部造影CTの撮像が必要である.また,乳幼児では粟粒結核や結核性髄膜炎の合併にも注意が必要であり,特に縦隔リンパ節に腫大を認める場合にはそれらの検索が必要である.結核性髄膜炎における頭部CT及びMRIでは中大脳動脈領域の脳梗塞,交通性水頭症の有無の判断が必要である.先天結核は新生児特有の結核であり,母が未診断の性器結核の場合には画像も誤嚥性肺炎に類似したものであることから診断に時間を要することが多い.

症例報告
  • 三輪 樹, 中井 義知, 安池 政志, 坪井 恵亮, 喜馬 真希, 文野 誠久, 小野 滋, 山田 惠
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 40 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    馬蹄肺は,両側肺底部が中縦隔を跨いで結合した非常に稀な先天性の呼吸器血管奇形である.Scimitar症候群などの心血管奇形を伴いやすく,小児で繰り返す肺炎や肺高血圧症の原因となり時に致死的である一方で,他の合併奇形がなく臨床症状に問題がなければ経過観察も考慮される.我々は当初肺葉内肺分画症が疑われていたが,術前精査のCT検査で馬蹄肺と診断し,手術侵襲を回避できた1例を経験した.馬蹄肺は未だ症例数が少ないものの,報告される症例は多彩である.先天性の呼吸器奇形を疑った際には肺の所見だけでなく,動静脈や気管支などの走行にも注意して診断していくことが重要である.

  • 島田 里美, 中村 拓自, 岡 政史, 西原 正志, 松尾 宗明
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 40 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    Kallmann症候群は,低ゴナドトロピン性の性腺機能低下症と嗅覚異常を合併する遺伝性疾患であり,遺伝形式ごとに様々な随伴症状を認める.症例は3歳男児.1歳半健診で指摘された視線の合いにくさを契機に,斜視,左眼瞼下垂及び左弱視を認め,頭部MRI検査で嗅球及び嗅溝,嗅索の欠損があり,Kallmann症候群が疑われた.血液検査でゴナドトロピン低値を認め,遺伝子検査でANOS1遺伝子(KAL1遺伝子)変異を同定し,Kallmann症候群と確定診断した.また,腹部MRI検査と腎シンチグラフィー検査で右単腎と診断した.Kallmann症候群は思春期遅発症を契機に診断されることが多いが,様々な随伴症状を呈するため,眼瞼下垂や弱視,腎形成不全等の随伴症状を契機に早期診断できる可能性がある.また,頭部MRIでの嗅球および嗅溝,嗅索の欠損は本症に特徴的な所見であり,Kallmann症候群の診断に有用である.

  • 木原 崇志, 山下 裕加, 栢木 大誓, 山本 茜, 石藏 礼一, 濱畑 啓悟, 安藤 久美子
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 40 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    Rubinstein-Taybi症候群は,精神運動発達遅滞,幅広い母指趾などを特徴とする先天異常症候群である.過去の報告は患者の成長発達や身体所見に関するものが主であり,頭部MRIにおける一般的特徴に関する文献は少ない.今回,生後早期から正中脳構造に多彩かつ特徴的な異常所見を認めた男児を報告する.

    在胎38週2日,出生体重1,954 g.出生時から特徴的顔貌,幅広い両側母趾および足趾のアライメント不整を認めた.頭部単純MRI検査で脳梁低形成,鎌静脈洞の遺残,頭蓋骨膜洞といった複数の正中脳構造の異常を認めた.鎌静脈洞の遺残や頭蓋骨膜洞の存在は正中脳構造の形成異常と関連している可能性がある.Rubinstein-Taybi症候群の診断は臨床所見および遺伝学的検査によりなされているが,今後放射線学的所見の知見を蓄積していくことが,より早期の診断に寄与するものと考える.

  • 有賀 ひらり, 真島 久和, 石井 睦夫, 小畑 美希, 木下 佳美
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 40 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/14
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    症例は生後11か月の男児で双胎の第1子であった.双胎の第2子は母乳栄養である一方,本児は人工栄養であり,本児のみ原因不明の発達遅滞を認めていた.母一人で育児をしていたところ,突然の意識障害があり当院へ救急搬送された.来院時,小児Glasgow Coma ScaleはE1V2M1であったが,頭部MRI検査では明らかな異常を認めなかった.入院後,意識状態は改善傾向であったが,第3病日から頻回のけいれんが始まり,第6病日の頭部MRI検査で急性硬膜下血腫と拡散強調画像にて両側側頭葉後頭葉のbright tree appearanceを認めた.養育状況と眼科診察で眼底出血を認めたことから,二相性臨床経過と遅発性拡散能低下を呈する乳児外傷性脳損傷と考えられた.ステロイドパルス療法を行い,臨床的には病前と同等の状態に回復したが,第33病日の頭部MRI検査では多嚢胞性変化を認めた.

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