地域の生物環境は, 植物生育が代表する自然環境の存在度と, 人為開発による地表土の裸出, 人工構造物の地表被覆度を観測することで判定しうる。
1972年11月26日観測のERTS-Aデータによって, 東京を中心とする100km圏内を, 植物が反射する6, 7Bandの光量と, 裸出地, 構造物が反射する4, 5Bandの光量の比率によってMulti-Data-Color-System4200型によって6段階に区分し, それぞれの自然環境保全度を, 赤外カラー写真, 熱映像率の資料によって検討, この地域の (1) 自然浄化力をもって生物環境に寄与すると想定される地域 (27%) , 浄化力均衡地域 (49%) 浄化力低下地 (13%) 都市環境地域 (5.3%) 高密度地域 (2.9%) の現況を求めると共に, 現在開発進行中の土地面積482km
2の分布を明らかにした。
またこの結果から首都50km圏においては, 特に高密度地域の環境調和を計るためには, 約48km
2の緑被の増加が期待されることが試算された。
なお今後, 季節を異にするデータの追跡によって, 植物生育の活力に応じた季節別環境条件の変化を観測する必要がある。
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