日本惑星科学会秋季講演会予稿集
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日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
選択された号の論文の97件中1~5を表示しています
オーラルセッション1 10/8(水)9:15~10:30
  • 山中 大学
    p. 99
    公開日: 2004/06/02
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    Hot Jupiterと呼ばれるものに代表される太陽系外の様々な惑星の発見は、GFD(地球流体力学)に新しいカテゴリーの問題を提供しつつある。これまでのGFDは、質量、角運動量、エネルギーの全てにおいて閉じた惑星システム内の大気(海洋)力学であり、一義的にはエネルギー(放射)収支で規定される子午面内で不均一な温度場と、自転方向の大気運動(角運動量)との間の平衡状態を論じるものであった。これまでの問題では、温度場は主星(および惑星内部)との放射収支で与えられるので、主星がどのような距離からどのような放射を発していても、それとバランスするような風速場を求めることができた(ここでは簡単のため、子午面循環による角運動量やエネルギーの再分布を無視している)。しかし、例えばhot Jupiterの場合は自転(ガス惑星の場合は大気角運動量にほかならない)が公転とシンクロナスであると考えられており、従って大気角運動量には主星との間に天体力学的な束縛条件(Kepler第三法則)が新たに要請される。放射収支で決まる風速場が、この天体力学的条件を満たすためには、hot Jupiterは主星に対して任意の位置に存在することは許されないことになる。これはほんの一例であるが、このように惑星系全体でみればミクロな力学(熱力学よりは大きいスケールなのでメソというべきかもしれないが)であったGFDには、巨視的な天体力学との間の連立系を構成することによって、新たな理論的諸問題が生まれてくることになる。また、天体力学的な惑星系形成論の側においても、本来ミクロ(メソ)なGFDとの連立によって要請される新たな条件が与えられるはずである。今回は、今後展開する予定の具体的な諸問題を解く前の導入編として、そのような新たな力学系の一般論について論じておきたい。
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  • 木村 勇気, 墻内 千尋
    p. 1
    公開日: 2004/06/02
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    隕石中でダイヤモンドが見つかり、星間空間におけるプリソーラーナノダイヤモンドの存在が示唆されてから、ダイヤモンドへの興味が非常に強く持たれるようになった。ナノダイヤモンドは隕石中のプリソーラーグレインとして最も多く存在しているだけでなく、銀河中のカーボンの多系としても最も多く存在していると考えられている。この星間でのダイヤモンドの生成メカニズムについて、多くの提案がなされ議論されているが、いまだ明らかとされていない。今回、ナノダイヤモンドがカーボンとシリコンの混合膜から、シリコンの存在だけで容易に生成できることを見出したことについて報告する。
    混合膜は、シリコンとカーボンの真空同時蒸着法を用いて作製した。膜中の比はおおよそ、シリコンが30% であった。この膜の電子回折パターンはハローであったが、高分解能電子顕微鏡観察の結果、ダイヤモンドの微結晶から成っている事が分かった。
    600℃で一時間加熱した結果、5 nmサイズのダイヤモンドが得られた。800℃で一時間加熱した結果、そのダイヤモンドは15-20 nmへと成長し、ダイヤモンドを示す電子回折パターンが得られた。また、高分解能電子顕微鏡観察の結果、(111)の格子縞が見られるダイヤモンド結晶の表面をβ-SiCが取り囲むようにエピタキシャルの関係で存在していた。そのため、ダイヤモンドはシリコンを吐き出しながら成長していると考えられる。
    アモルファスカーボン膜はグラファイトとダイヤモンドから構成されているが(1, 2、真空中で加熱してもダイヤモンドは現れない。シリコンがカーボン膜中に混合して触媒的に働くことで、カーボン原子はSP3軌道が優勢となり、ダイヤモンドが成長したものと思われた。しかし、シリコンと同様にSP3軌道を持ちダイヤモンド構造を取るゲルマニウムとカーボンとの実験を行った結果、ダイヤモンドは生成しなかった。それ故に、シリコンのSP3軌道よりも触媒的な効果の方がより重要であると考えられる。
    [1] T. Kozasa et al., Astron. Astrophys. 307 (1996) 551-560.
    [2] Y. Kimura et al., Carbon 40 (2002) 1043-1050.
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  • 木村 勇気, 池上 亜紀美, 鈴木 仁志, 墻内 千尋
    p. 2
    公開日: 2004/06/02
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    近年、カーボンリッチなAGBスターの中間赤外スペクトルに見られる特徴的な20.1 μmの起源について盛んに議論されている。最近、1.1 nmサイズのTiCクラスターにおいて20.1 μmに吸収が見られるという報告がなされ、TiCに候補物質としての注目が集まった。現在、これに対し否定的な結果が多く出ており、盛んに議論が行われている。バルクのTiC結晶においては、中間赤外領域に吸収はまったく見られない。隕石中から抽出されたTiCのサイズはおよそ50 nmであることから、我々は50 nmサイズのTiCグレインを作成し、その赤外線吸収スペクトルを測定した。その結果、9.5と12.5 μmに特徴的なピークが見られたが、20.1 μm付近にはまったく吸収は見られなかった。
    ガス中蒸発法を用いてTiCを直接作製する方法では、数ナノメートルサイズのTiCを作製するのが困難なため、今回、Ti粒子上に真空蒸着法を用いてカーボンを蒸着し、界面での反応を用いてナノオーダーのTiC微結晶を作製した。また、その粒子を700℃で60分間加熱することにより、TiC微結晶を成長させ、微結晶サイズと赤外線吸収スペクトルとの関係を明らかとした。さらに、膜厚の異なるTi- C粒子を用意し、カーボンマントル層の赤外吸収スペクトルに与える影響を調べた。まずカーボン膜厚3 nm程度のTi- C粒子では、Ti粒子表面におよそ3 nm 程度のTiC微結晶が生成し、赤外線吸収ピークは14.3 μmに見られた。その粒子を加熱すると、Ti粒子中へのカーボンの拡散によって、TiC微結晶はおよそ6 nm 程度に成長し、14.3 μmの吸収強度は減少した。次に、カーボン膜厚を、6 nm程度まで増加させたTi- C粒子では、約4 nm のTiC微結晶が生成していたが、この赤外スペクトルには吸収が見られなかった。これはTiC微結晶が厚いカーボン層に覆われているためであると考えられる。この粒子を加熱するとTiC微結晶が成長し、表面に現れる。この時、赤外吸収を測定すると14 .5 μm に吸収が見られた。3 nmサイズのTiC微結晶においても、20.1 μm付近に吸収ピークは見られなかった。
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  • 木村 勇気, 佐藤 岳志, 墻内 千尋
    p. 3
    公開日: 2004/06/02
    会議録・要旨集 フリー
    これまでの多くの観測によって、我々の銀河に存在する星間塵のほとんどが217.5 nmに減光のピークを示すことが分かっている。この減光の起源となる物質は炭素質グレインが有力であると考えられており、graphite、HAC、coal、fullerenes、graphite onions、diamond-like carbon、PAHs そして QCCなどが提案されているが、これまでそのピーク波長位置やシャープなprofileを十分に満たす物質は得られていない。今回我々は、メタンガス中で金属ワイヤーを加熱するだけの簡単な方法で、この220 nm付近にシャープな減光ピークを示すcarbonaceousグレインの創製に成功したことについて報告する。また、生成条件によって吸収ピーク波長をコントロールできることが分かった。さらに、高分解能電子顕微鏡観察からグレインサイズとピーク波長位置との関係を明らかにする。
    メタンガス80 Torrで満たした実験装置内で金属ワイヤーを加熱すると黒い煙が立ち昇るのが見えるようになる。1,400℃で加熱した際に得られた煤の紫外線スペクトルを測定したところ、224.5 nmに鋭い吸収ピークを示した。この吸収ピークは、加熱温度を上げる事で短波長側にシフトし、2,800℃においては216.5 nmを示した。この時、生成温度とピーク位置とはリニアな関係がみられ、星間減光スペクトルに見られる217.5 nmの吸収ピークは2,600℃でメタンガスを加熱することで得られる事が分かった。
    高分解能電子顕微鏡観察の結果、得られた煤はグラファイトが巻いた構造をしていた。煤のグレインサイズは、224.5 nmを示す1,400℃での場合50 nmであり、2,800℃では5 nmであった。すなわち、217.5 nmに対応する候補物質が5 nm程度のグレインサイズをもつグラファイトの巻いた構造によって説明できることが分かった。これまで計算によって、5 nmサイズのグラファイトが217.5 nmを示すであろうと予測された。しかし、5 nmというサイズの揃った粒子が存在しているとは考えにくく、その様な粒子を作製する事も困難であった。しかし、今回の実験により、ガスから粒子が生成する場合には、条件次第でかなりサイズの揃ったものが得られることが分かった。
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  • 達見 圭介, 小沢 一仁, 永原 裕子, 橘 省吾
    p. 4
    公開日: 2004/06/02
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    惑星形成時の現象の考察する時、惑星を構成する固体物質の最小構成単位として気相から凝縮したダストの描像が求められる。こういったダストがいかなる形態、組成、鉱物からなっているか、というのは未だ直接確かめられてはいないが、宇宙に存在する難揮発性元素の存在度からMg, Fe, Siなどがこういうダストを構成する主だった元素だと考えられている。若い天体周辺の赤外吸収スペクトル観測からダストとしてのマグネシウムシリケイトの存在が有力である。一方もう一つの主要な難揮発性元素であるFeは酸化物あるいは硫化物としての存在が示唆されているが必ずしも酸素や硫黄がダスト形成の場で存在していたとは限らず鉄が単体でダストを形成していたり、先に凝縮したマグネシウムシリケイトの上に凝縮していた可能性もある。本発表ではこの鉄のダストの様相を探るべく行った凝縮実験の結果を報告しそこから考えうる宇宙空間中での現象を議論する。 今回の実験では真空実験装置を用いた。ステンレス製の円筒形容器(内径高さ共約40cm)中にタングステン製の円筒形電熱メッシュヒーターが据えられておりその周囲を円筒形に断熱板が覆っており、ヒーターの輻射熱が真空装置外壁に直接伝わらないようになっている。容器は常に真空ポンプで10^-4_から_-5 Pa程度に減圧され、気相の鉄はヒーターの中心に0.5mm厚の鉄プレートを設置しヒーターで過熱し表面から蒸発させることによってえる。ヒーターを取り囲む断熱板は数箇所穴が貫通している箇所があり断熱板内部で蒸発した気体はその穴を通って外部に排出される。今実験ではその穴の一つの出口をモリブデン製のプレートで塞ぎ、そのプレート上に凝縮した鉄の様相を操作型電子顕微鏡などを使って観察した。実験温度はW-Re熱電対で計測され、中心の鉄を蒸発させる場を約1,130℃に固定し行った。この条件下では凝縮させる場の温度は約430℃であった。実験時間は6,24,96時間の3回行った。回収された鉄のプレートの質量減少量は実験時間に比例しており、実験中の装置内の圧力もほとんど変動してないため、Fe原子は蒸発試料上から定常的なフラックスで蒸発していたものと考えられ、その為凝縮基盤への気相鉄の供給量は時間比例だと考えてよい。走査電子顕微鏡での観察像からは以降の事柄が見て取れた。 6時間の実験では凝縮物は平均径100nm、最大でも200nm程度の球形_から_結晶面らしき面の確認できる塊を単位としてそれらが互いに成長途中で衝突し連結したような凝縮物群が観察された。また、ところどころに基盤の面が見られた。24時間の実験では平均サイズが500nm程度の一つの結晶と見られる塊が同様に連結しあった凝縮物が卓越し、6時間のものに見られた球状の表面は姿を消しほぼ全てが結晶面に覆われた凝縮物の様子が観察された。またそれらは階層状に積み重なっているように見えた。96時間の実験では24時間のものに比べて多少結晶の塊の最大サイズが大きくなっており(700nm程度)それ以外は劇的な変化はなかったが階層構造は空隙を作りながらさらに奥行きを増しているように見受けられた。また、凝縮基板上で断熱板の穴の端の方にあたり、単位時間当たりに到達する気相鉄原子の数が中心部より少ない、と見られる場に凝縮したものは生のモリブデンの基盤が見えている上にぽつりぽつりと最小で径が数十nmから最大で1μm以上程度の大きな鉄結晶を作っており、小さな凝縮粒子でも結晶面が見て取れた。 以上の観察結果から以下のことが言える。この実験の温度圧力条件下では鉄は気相から直接結晶として取り込まれるわけではなく、直線的に飛来して基盤に衝突した場所に蒸着し、その後基板上をある程度移動しておそらく最初はアモルファスな塊として2次元核形成をする。気相鉄のフラックスが多いところでは今回の実験で見られたような密度で核形成が起こり成長し、互いがぶつかる。飛来する鉄粒子のフラックスの少ない断熱板の穴の端にあたる場所では2次元核形成の頻度が少ないので一つの核が他の核と衝突しないため中心部より大きく成長できる。結晶化は実験中にアニーリングの結果として進行する。その為、6時間の実験では比較的大きな塊でも表面が曲面状であったが96時間の実験で見られた凝縮物は小さくても結晶化していた、と考えられる。今回はこのような観察事実を元にダストとしての鉄の様相に言及する。
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