日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
選択された号の論文の410件中351~400を表示しています
一般演題(ポスター)
  • 原田 和博, 橋詰 博行
    セッションID: 42_3-P-R-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】

    高齢化が進む現在、転倒による骨折は重大な問題であり、ポリファーマシーや転倒の誘因となる薬物[とくにベンゾおよび非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ベンゾ系睡眠薬)などの中枢神経作動薬や降圧薬など]には注意を払うように指摘されている。実臨床現場において、大腿骨骨折を発症した患者の服用薬剤および背景要因を調査し、これらの関連などについて検討した。

    【方法】

    当院に2019年4月以降に大腿骨骨折で搬送された患者(交通事故や転落などの事故は除外した)100名(頚部、転子部各々51、49名)の服用薬剤および年齢、性別、体重(BMI)、認知症の有無、合併症などを調査した。

    【結果・考察】

    年齢は86.0±6.9(平均±標準偏差、範囲:73~99)歳、男女は各々15、85名、BMIは20.2±3.4、認知症「なし」が39名、「あり」が61名(軽度、中・重度が各々30、31名)で、BMI22未満の患者は77名、22~25は13名、25以上は10名で全例糖尿病か認知症合併であった。服用薬剤数は平均6.1剤(0~15剤、6剤以上は54名)で、合併症別には、統合失調症(3名)12.3剤、透析患者(7名)9.4剤、心不全・心房細動(16名)8.4剤、糖尿病(22名)8.3剤、パーキンソン病(7名)8剤だった。中枢神経作動薬(認知症治療薬を除く)が処方されていた患者は39名(1剤22名、2剤13名、5~6剤4名)で、うちベンゾ系睡眠薬は18名(ブロチゾラム6名、ゾルピデム5名、アルプラゾラム2名、エスゾピクロン2名など)、抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウムなど)7名、抗パーキンソン薬(レボドパなど)7名、抗うつ薬(セルトラリンなど)4名、トラゾドン5名、チアプリド4名、スボレキサント3名、プレガバリン3名などであった。他のカテゴリーでは消化器系61名、降圧薬60名、便秘44名、認知症26名、利尿薬25名、抗血小板薬23名、脂質異常症23名、糖尿病22名、骨粗鬆症21名、鎮痛薬20名、抗凝固薬11名などであった。

    【結論】

    大腿骨骨折には、超高齢、女性、低体重、認知症が大きく関与することが再確認された。過半数の患者が服用薬剤数6剤以上のポリファーマシーであり、合併症にて薬剤数は増加した。転倒・骨折の要因となりうるベンゾ系睡眠薬は約2割で処方されており、骨折リスクの高い患者への処方にさらなる注意、啓蒙が必要であると考えられた。

  • 宮田 晃志, 坂東 寛, 合田 光寛, 中馬 真幸, 新田 侑生, 田崎 嘉一, 吉岡 俊彦, 小川 淳, 座間味 義人, 濱野 裕章, 石 ...
    セッションID: 42_3-P-R-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】てんかんおよび双極性障害の維持療法に適応を有するラモトリギンは、副作用として重篤な皮膚障害が現れることがあり、死亡に至った例も報告されたことから2015年に安全性速報で注意喚起がなされた。ラモトリギン誘発皮膚障害は、血中濃度の急激な上昇が関与しており、代謝経路に関与するUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)阻害作用を示すバルプロ酸との併用でリスクが高いことが知られている。しかし、UGT阻害作用を示す薬剤はバルプロ酸の他にも睡眠薬、鎮痛薬、免疫抑制薬など多数存在するにも関わらず、それらの薬剤併用によるラモトリギン誘発皮膚障害への影響は不明である。本研究では、医療ビッグデータ解析を用いてUGT阻害作用を示す薬剤がラモトリギン誘発皮膚障害の報告オッズ比に与える影響を検討した。さらに、徳島大学病院の病院診療情報を用いて、併用薬によるラモトリギンの皮膚障害リスクの変化を検討した。【方法】大規模副作用症例報告データベース(FAERS:FDA Adverse Event Reporting System)を用いて、ラモトリギンとの併用により皮膚障害報告数を上昇させる薬剤を探索した。さらに徳島大学病院診療録より、ラモトリギン服用を開始した患者を対象とし、ラモトリギンの投与量、併用薬、皮膚障害の有無などを調査した。【結果】FAERS解析から、UGT阻害作用を示す医薬品のうち、ラモトリギンとの併用により皮膚障害リスクの上昇が示唆される薬剤として、バルプロ酸(ROR: 2.98, 95%CI: 2.63-3.37)、フルニトラゼパム(ROR: 5.93, 95%CI: 4.33-8.14)およびニトラゼパム(ROR: 2.09, 95%CI: 1.24-3.51)が抽出された。徳島大学病院診療情報を用いた後方視的観察研究の結果、ラモトリギン服用が開始された患者の内、20%程度で皮膚障害が認められ、フルニトラゼパム併用患者では皮膚障害発生頻度が上昇する傾向が認められた。【考察】フルニトラゼパムおよびニトラゼパムは、UGT阻害作用を示す薬剤であることから、ラモトリギンの血中濃度に影響し、ラモトリギンの皮膚障害リスクを上昇させている可能性がある。また、睡眠薬であることから精神科領域で併用する可能性があり、睡眠薬の選択や併用時の副作用モニタリングに注意を要すると考えられる。

  • 前島 多絵, 渡邊 真知子, 板垣 文雄
    セッションID: 42_3-P-R-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】抗精神病薬の使用には血栓塞栓症のリスクがあることが知られており、2010年以降、本邦の添付文書においても注意喚起されている。日本人は欧米人と比較して血栓塞栓症の発症率が低く、また静脈血栓塞栓症(VTE)の先天性危険因子である特定の遺伝子変異が見られない等の特徴があるが、本邦における抗精神病薬使用下の血栓塞栓症に関しては十分に解析されていない。本研究は、PMDAが公開している有害事象自発報告データベース(JADER)を用いて、日本人における抗精神病薬使用下の血栓塞栓症を解析し、重篤な転帰をたどる要因を明らかにすることを目的とした。

    【方法】2004年4月から2020年7月までにJADERに登録された抗精神病薬使用下の血栓塞栓症の症例を抽出した。症例の抽出には「塞栓および血栓(SMQ)」を用いた。欠損および重複データを削除した後、 重篤でない転帰(回復と軽快)と重篤な転帰(後遺症あり、未回復、死亡)の2群に分類した。多変量ロジスティック回帰分析により、重篤な転帰をたどる要因を特定した。

    【結果・考察】抗精神病薬を使用していた32,421症例から、1,111症例の血栓塞栓症を抽出し、903症例を解析対象とした。重篤でない転帰には489症例、重篤な転帰には414症例がそれぞれ分類された。動脈血栓塞栓症(ATE)は169例、VTEは414例、血管タイプ不明あるいは混合型の塞栓および血栓は320例であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、重篤な転帰をたどるリスク要因として、使用薬剤の中に3剤以上の抗精神病薬が含まれることが抽出された(調整オッズ比:2.04,95%CI:1.34-3.09)。本邦では診療報酬において、3剤以上の抗精神病薬の使用に制限があるが、同時併用に限らず、薬剤調整や変更を含め3剤以上の抗精神病薬を使用することで血栓塞栓症の重篤な転帰のリスクとなることが示唆された。一方、ホルモン療法を併用した患者は、重篤な転帰をたどるリスクが低かった(調整オッズ比:0.21,95%CI:0.09-0.49)。これはホルモン療法併用患者における血栓塞栓症の79%がVTEであったことや、ホルモン療法が血栓症のリスク要因であることが既に認識されているため早期発見に至った可能性が理由として考えられる。

    【結論】ATEとVTEは病因や予後が異なるが、抗精神病薬使用時にはそれらの発症リスクを考慮し、さらに同時併用に限らず3剤以上の抗精神病薬を用いる場合は、重篤な血栓塞栓症の発症に注意が必要と考える。

  • Wang Danni, 池村 健治, 長谷川 翼, 山根 章寛, 奥田 真弘
    セッションID: 42_3-P-R-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】抗MRSA薬のリネゾリド(LZD)の重大な副作用である血小板減少は高頻度で発現し、治療継続の大きな妨げとなる。プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、ストレス性潰瘍予防を目的として重症患者の多くで使用されているが、LZDの血小板減少に対するPPIの影響は十分に検証されていない。本研究では後方視的調査及びFDA有害事象報告システム(FAERS)により、LZDの血小板減少に及ぼすPPI併用の影響を調査した。

    【方法】2010年1月~2020年6月に大阪大学医学部附属病院においてLZD点滴静注用製剤を投与されたICU患者150名を対象とした。LZD開始時より血小板数が30%以上の減少あるいは100(×109/μL)未満まで減少を認めた場合に血小板減少と判定し、血小板減少に及ぼすPPIの影響について解析を行った。さらに、2014年7月~2020年12月に登録されたFAERSを用い、LZDの血小板減少に対するPPI併用の報告オッズ比(ROR)、95%信頼区間(CI)を算出した。

    【結果・考察】血小板減少発症例(n=65)では未発症例(n=85)と比較し、ランソプラゾール(LPZ)併用割合が有意に高かった(62% vs 41%, P=0.021)。多変量解析より血小板減少に及ぼす有意な危険因子としてLPZ併用(OR:2.33, P=0.034)、LZD投与期間(OR:1.07, P=0.007)、クレアチニンクリアランス(OR:0.99, P=0.008)が挙げられたが、LPZ以外の PPIの併用は有意な因子とはならなかった(OR:1.84, P=0.292)。また、LPZ併用例(n=75)では非併用例(n=75)と比較し、LZD投与期間中における血小板数の最低値が有意に低く(P=0.003)、血小板減少発症までの期間が有意に短縮していた(P=0.020)。さらに、FAERS解析の結果から、LZD投与による血小板減少に対してLPZ併用で正のシグナルが検出されたが(ROR:1.64, 95%CI:1.25-2.16)、LPZ以外のPPIではシグナルは検出されず(ROR:0.97, 95%CI:0.80-1.18)、後方視的調査と矛盾しない結果が得られた。

    【結論】LZD投与患者におけるLPZの併用投与は、血小板減少の危険性を増大させることが示唆された。

  • 竹内 徹也, 土岐 浩介, 田渕 経司, 武川 寛樹, 原 尚人, 乃村 俊史, 土屋 輝一郎, 檜澤 伸之, 佐藤 豊実, 関根 郁夫, ...
    セッションID: 42_3-P-R-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】抗悪性腫瘍薬のパクリタキセル(PTX)は,薬物代謝酵素のCYP2C8とCYP3A4により代謝されるため,それらの阻害薬の併用時に体内からの消失が遅延し,副作用が重篤化する恐れがある.最近,代謝物がCYP2C8阻害作用を有するクロピドグレル(CLP)の併用患者において,PTXの副作用の重篤化が報告された.我々も,少数例のCLP併用患者でPTXによる好中球減少の重篤化を経験した.今回,さらに症例を追加して,PTXによる白血球減少に及ぼすCLP併用の影響について,アスピリン(ASP)併用患者と比較したので報告する.【方法】2013年から2021年に当院でPTXを投与された患者のうち,CLPを併用した16名(CLP併用群)及びASPを併用した31名(ASP併用群)を対象として,臨床検査値,併用薬及び副作用の発現(白血球・好中球減少と発熱性好中球減少症(FN)の発症)を後ろ向きに調査した.白血球及び好中球減少症の重症度は,CTCAE v5.0 - JCOGに従って評価し,grade 3/4の発現率を両群で比較した.本研究は,筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行った.【結果・考察】PTX投与前の白血球数と好中球数は,CLP併用群とASP併用群の間で差はなかった(白血球数6.4: 3.1~14.8 vs. 5.6: 3.0~23.2 ×103/μL, 好中球数4.07: 1.28~12.59 vs. 3.85: 1.71~22.30 ×103/μL).PTX投与後の白血球数と好中球数は,CLP併用群で有意に少なかった(白血球数2.0: 0.5~2.9 vs. 2.7: 0.7~5.4 ×103/μL, P<0.01, 好中球数0.89: 0.07~1.49 vs. 1.14: 0.12~3.19 ×103/μL, P<0.05).また,白血球数と好中球数の減少率も,CLP併用群で有意に大きかった(白血球66.9±14.1 vs. 51.1±17.6%, P<0.01, 好中球76.9±14.8 vs. 63.2±19.2%, P<0.05).Grade 3/4の白血球減少症の発現は,CLP併用群で有意に高く(50.0% vs. 19.4%, P<0.05),同様な傾向は好中球減少症でも認められた(68.8% vs. 38.7%, P=0.051).FNの診断は,CLP併用群の3名(18.8%)のみであった.PTXによる好中球減少は血中PTX濃度と関連する報告があることから,CLP併用患者ではCYP2C8の活性低下によって高い血中PTX濃度が持続した可能性が考えられた.【結論】CLPの併用は,ASPの併用と比較して,PTX投与による重篤な白血球減少を発現する頻度が高いことを確認した.CLPの併用下でPTXを投与する際は,FNの発症リスクを考慮して,減量等を検討する必要がある.

  • 保月 静香, 爲本 雄太, 柴田 侑裕, 浅野 聡志, 吉友 葵, 佐藤 洋美, 樋坂 章博
    セッションID: 42_3-P-R-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】複数のCYP分子種の代謝が関わる薬物相互作用(DI) について、我々は得られる限りの情報を効率的に活用して変化を定量的に予測し、医薬品適正使用に貢献することを目指している。本研究では我々の樹立した薬物曝露の予測を各医薬品の現在の注意喚起と照合し、アナウンスの妥当性や問題点を探ることを目的とした。

    【方法】解析対象として、臨床試験で観測されたCYP1A2, 2C9, 2C19, 2D6, 3AのCYP基質薬67薬剤と阻害薬30薬剤を選択した。これらの併用によるAUC変化率(AUCR)のin vivo情報、分子種間の相対的関係を示唆するin vitro情報を用い、両情報をベイズ理論に基づく数理的解析法により統合することで、全2010の併用組み合わせによるAUC上昇率を網羅的に予測した。その結果から各薬剤のDIリスク分類を行い、臨床試験のAUCR値に基づいたFDAやPMDAによるリスク分類(1,2)と比較した。

    【結果・考察】AUC上昇率の網羅的予測において、in vivo情報のある組み合わせについてAUCRの観測値とAUCRの予測値を比較すると1/2~2倍以内の信頼精度で求まることを確認した。その際得られた、各CYPの基質薬代謝への寄与率や阻害薬の各CYPへの阻害率の推定値に基づき各薬剤のDIリスク分類を行ったところ、FDAやPMDAの分類と概ね一致した。一方で、特にmiconazoleやvoriconazoleをはじめとするアゾール系抗真菌薬については、複数のCYP分子種に類似した強度の阻害作用を示すin vitro情報がある一方で臨床試験情報が限られていることから、FDAやPMDAの分類では一部のDIリスクが見逃されている可能性が示唆された。

    【結論】in vitro試験で阻害が示されているにも関わらず、臨床試験では十分に調査されていない薬剤が散見された。今後DIマネジメントにおいて、in vitro情報を適切に活用することで臨床試験情報の不足を補完できると期待される。

    【参考文献】

    1) FDAリスク分類(https://www.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling)

    2) Maeda K and Hisaka A et al. DMPK, 2021, in press

  • 山口 大地, 勝部 孝行, 輪嶋 恵宏
    セッションID: 42_3-P-S-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるcefiderocolはカルバペネム耐性グラム陰性菌に有効であり,欧米において成人への使用が承認されている.現在,生後3ヶ月から18歳未満の小児患者を対象とした臨床試験が実施されており,3ヶ月未満の乳児及び新生児を対象とした試験も計画されている.乳児及び新生児は臓器成熟度に応じて薬物動態 (PK) が変化するため,成熟度群ごとに適切な被験者数のデータを収集することがPK評価に望ましいと考えられるが,低年齢患者の登録は容易ではない.そこで,PKパラメータの推定精度を指標として,cefiderocolの小児PK評価に必要な乳児及び新生児の被験者数,及び成人又は早産児データの必要性を評価した.【方法】これまでに,成人データに基づいて体重及び臓器成熟度の影響を考慮したcefiderocolの小児PK予測モデルを構築した [1].本小児PK予測モデルに基づいて,3ヶ月未満の詳細な年齢区分及び各区分での症例数について種々の条件を想定したシミュレーションを行い,各条件でのPKパラメータ推定精度をStochastic Simulation and Estimation (SSE) により評価した.成人データの有無または低妊娠後週齢 (PMA) の患者データの有無が推定精度に与える影響を評価した.SSEはNONMEM及びPerl-speaks NONMEMを用いた.【結果・考察】18歳未満のデータのみで解析した場合,各パラメータの推定精度は4.9~593.7%(CV,変動係数)であったのに対し,成人データを含めた場合,全てのパラメータについて20%未満であり,成人データが小児も含めた母集団PKパラメータの推定に有用であることが示唆された.3ヶ月未満の症例数が腎機能の成熟度に関するパラメータの推定に影響を与えること,また,少なくとも15例のデータが利用可能であれば精度よく推定できることが示唆された.成熟度の予測因子であるPMAに基づいた検討より,PMA37週齢未満3例を含む生後3ヶ月未満9例,もしくはPMA32週齢未満1例を含む生後3ヶ月未満7例の場合,全パラメータに対するCVが20%未満であった.【結論】Model-basedアプローチを用いて腎機能の成熟に依存するcefiderocolのPKの評価に対して,必要な乳児及び新生児の被験者数を提案することができた.腎排泄型のβ-ラクタム系抗菌薬においても同様の手法が適用できると考えられる.【参考文献】[1] Katsube T, et al. Poster Abstracts, 739. IDWeek 2019, Washington, DC.

  • 石渡 泰芳, 永田 将司, 小林 朋史, 今井 耕輔, 高木 正稔, 金兼 弘和, 森尾 友宏, 平川 晃弘, 高橋 弘充
    セッションID: 42_3-P-S-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】造血幹細胞移植の前処置に使用されている抗悪性腫瘍薬ブスルファン(BU)は治療濃度域が狭く、特に小児においては体内動態の個人差が大きいため、東京医科歯科大学医学部附属病院(以下、当院)ではBUの少量投与(試験投与)を行い、血中薬物濃度を測定し患者個別の薬物動態パラメータを求めた上で、実際の治療(本投与)で用いる投与量を決定している。しかしながら、各患者の薬物動態パラメータ算出のため、試験投与および本投与で各6回採血を行っており、小児患者にとって負担が大きいのが現状である。効果・副作用の指標である血中濃度-時間曲線下面積(AUC)を少ない採血点で予測可能なlimited sampling strategy(LSS)の報告がこれまで多数あるが、いずれも血液腫瘍患者を対象としたもので、原発性免疫不全患者に対してのLSSの報告はない。既に当研究室では、原発性免疫不全症候群の小児患者に対するBUの母集団薬物動態(PPK)モデルを構築している。そこで本研究では、確立されたPPKモデルをもとにベイズ推定法を用いることで、より少ない採血回数でも従来法(6回採血法)と同程度の血中濃度予測を可能とする投与設計法を開発することを目的とした。

    【方法】2017年4月以降に当院において造血幹細胞移植を実施した原発性免疫不全症候群の小児(15歳以下)を対象とし、診療録より試験投与および本投与におけるBU投与量、血中薬物濃度測定値、体重をそれぞれ抽出した。PPK解析は非線形混合効果モデルを使用し、ベイズ推定法を用いて患者個別の薬物動態パラメータを算出した。試験投与時の血中濃度から算出されたパラメータをもとに本投与時に期待されるAUCを推定し、実測AUCとの誤差を算出した。

    【結果・考察】種々の採血点での検討を行った結果、血中濃度2点では2および6時間値、1点では6時間値で予測した場合に誤差率が最も小さくなった。またこれらの予測精度は、従来法と比較し有意な差は認められなかった。以上の結果から、当研究室で構築したPPKモデルを用いたベイズ推定法により、採血回数を1または2回に減らしても従来と同程度の血中濃度予測ができることが示唆された。今回開発した投与設計法により、採血に伴う患者および医療従事者の負担が軽減されることが期待される。

  • 平井 利典, 青山 隆彦, 辻 泰弘, 宮本 葵, 松本 宜明, 伊東 俊雅, 岩本 卓也
    セッションID: 42_3-P-S-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】

    ワルファリン(Wf)は薬物動態および感受性の個人差が大きく、効果発現まで数日を要するため、患者ごとの維持用量の決定に時間を要する薬物である。Wf投与後の抗凝固能の指標にはプロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)が用いられている。我々は,臨床試験シミュレーションを行い、Hambergらが報告したWf母集団kinetic-pharmacodynamic (K-PD)モデル1)とベイズ推定を用い患者個人のPT-INR経時的推移を予測し投与量を決定する方法は、ノモグラムを用い投与量を決定する方法に比べ目標PT-INRが得られる確率が高いことを報告した2)。また、Wf投与後の出血イベントに腎機能が関与していることを報告した3)。本研究では、日本人患者のPT-INR予測精度の向上を目的とし、日本人を対象とした母集団K-PDモデルを新たに構築した。

    【方法】

    東京女子医科大学東医療センターにて2015年6月から2019年6月の間にWfを投与開始した患者を対象に後ろ向き観察研究を実施した。モデル構築にはNONMEM 7.4を用いた。Hambergらが報告した母集団K-PDモデルのパラメータを事前情報とし、PRIORサブルーチンを用い、モデルパラメータを推定した。薬効発現の個人差の予測因子として、年齢、体格、臨床検査値を検討した。本研究は、東京女子医科大学倫理委員会(5307)および日本大学薬学部倫理審査委員会(19-007)の承認を得て行った。

    【結果・考察】

    対象症例61名(年齢:74.2±10.0歳、eGFR:50.8±28.4 mL/min/1.73m2)の705採血点を解析に用いた。薬効発現の個人差の予測因子として血清クレアチニン (Scr)が検出され、Scr依存的に感受性が高くなることが予測された。K-PDモデルによって予測した個別予測値とPT-INR測定値との相関係数は0.74であった。 腎機能を考慮することにより、Wf投与後PT-INR推移の予測精度が向上すると考えられた。

    【結論】

    日本人患者を対象に、Wf投与後のPT-INR推移を予測する数理モデルを構築した。Scrを用いて患者のPT-INR推移を予測することで、投与計画の個別化に寄与すると考えられる。

    【参考文献】

    1) Clin Pharmacol Ther. 2010; 87(6):727-34.

    2) TDM研究. 2016: 33(1);15-23.

    3) Eur J Clin Pharmacol. 2017; 73(11):1491-1497.

  • 響谷 学, 川島 紀明, 野村 淳, 鈴木 明日香
    セッションID: 42_3-P-S-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】病院でのバンコマイシン(VCM)TDM実施例についてガイドラインによる推奨内容の達成状況を調査する。既報のVCMの母集団薬物動態(PPK)モデル6種1-6(現場で用いられるTDMソフト2種を含む)の予測性の違いを検討する。【方法】対象:2018年4月~2020年3月、市中総合病院(病床340床)でのVCMのTDM実施例130人。18歳未満の患者、透析患者は除外。(1)初回血中測定値(トラフ値)がガイドラインの推奨範囲内であった割合を算出した。(2)各PPKモデルにより各患者背景情報から血中濃度予測値を算出し、データセット全体で予測値と実測値の差が小さいと低値となるrelative root mean square error (rRMSE)により予測性能を比較した。【結果・考察】(1) 初回測定値が推奨範囲内であった患者は44人(34%)であった。 (2) 横山らの報告したPPKモデルのrRMSEは50.5%であり最も優れていた。推奨範囲10-15μg/mLから許容されるずれを5μg/mLと考えると、予測性能に改善の余地があると考えられた。【結論】今回分析を行った医療施設において、TDMの初回血中濃度(トラフ値)は半数以上の例で推奨濃度域外であった。臨床現場で利用されるTDMソフトのPPKモデルよりも優れた予測性能を示した既報モデルにおいても、予測値と初回血中測定値の差は未だ改善の余地があると考えられた。【文献】(1)Yasuhara M, et al. Ther Drug Monit. 1998;20:139-48. (2)大島梢他. TDM 研究. 2005;22:159-60. (3) 横山泰明他. TDM 研究. 2010;27:S138. (4)Winter M E. Basic Clinical Pharmacokinetics, 3rd, Lippincott Williams & Wilkins. 1994; 474-99. (5)Yamamoto M, et al. J Clin Pharm Ther. 2009;34:473-83. (6)Winter M E. Basic Clinical Pharmacokinetics, 5th, Lippincott Williams & Wilkins. 2010; 459-87.

  • 本橋 秀之, 伊藤 美羽, 上野 楓, 竹林 裕美子, 永井 純也
    セッションID: 42_3-P-S-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】1,5-Anhydroglucitol(1,5-AG)はグリコヘモグロビンやグリコアルブミンに比べ、直近の血糖コントロールの指標として有用性が期待されている。1,5-AGは体内でほとんど生成されず、食事によって体内に取りこまれる。血中の1,5-AGはD-グルコースと同様に糸球体濾過され、腎近位尿細管において再吸収されると考えられている。尿細管における1,5-AGの再吸収は、D-グルコースによって競合的に阻害されると考えられており、血漿中1,5-AGレベルは血糖値と逆相関することが報告されている。本研究室では、1,5-AGを高感度で測定できる高速液体クロマトグラフ質量分析法(LC-MS/MS法)を構築してきた。本研究では糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの血漿中1,5-AG濃度に及ぼす影響について検討した。【方法】1,5-AGは、島津製作所の高速液体クロマトグラフタンデム質量分析計LCMS-8045を用い測定した。Wistar系雄性ラット(250-330 g)をモデル動物とし、vehicle(生理食塩水)またはダパグリフロジンを投与した。投与前後に経時的に採血、採尿を行った。得られた試料中の1,5-AGはLC-MS/MS分析によって定量した。【結果・考察】通常飼育下、ラットの定常状態における血漿中1,5-AG濃度を測定した結果、10 μg/ml程度と一定の値を示した。Vehicle投与によって血漿中1,5-AG濃度は投与前後で変化が認められなかったが、ダパグリフロジン投与後は血漿中1,5-AG濃度が投与前に比べ有意に低下した。さらに、尿中1,5-AG排泄量はvehicle投与によって影響を受けなかったが、ダパグリフロジン投与によって有意に上昇した。【結論】SGLT2阻害薬ダパグリフロジン投与によって、尿中への1,5-AG排泄が増加し、血漿中1,5-AG濃度が低下することが明らかとなった。今後、より詳細な1,5-AG体内動態について明らかにするとともに、各種糖尿病治療薬の影響について検討を進めることを予定している。

  • 藤田 唯人, 村井 麻里子, 村木 翔太, 廣田 豪, 家入 一郎
    セッションID: 42_3-P-S-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】ペランパネル(PER)は,α-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionic acid (AMPA) 受容体拮抗作用を有する新規抗てんかん薬である.PERは主にCYP3A4による代謝を受けるため,同酵素を誘導するカルバマゼピン(CBZ)等の抗てんかん薬の併用は,PERの薬物動態に大きな影響を与えることが知られている.しかしこれまでに,実臨床データを用いてCBZとPERの相互作用を記述したPPKモデルは報告されていない。本研究では,TDMデータを用いて,CBZの併用の影響を考慮したPERのPPKモデルを構築することで,その適正使用に有用な情報を提供することを目的に検討を行った.

    【方法】九州大学病院にて,PERの投与が行われ,その血中濃度測定が実施されたてんかん患者64名を解析対象とした.患者背景,臨床検査値,併用薬についての情報を電子カルテよりレトロスペクティブに収集した.対象患者のうち,CBZの投与およびその血中濃度測定が行われていた者については,それに関連するデータも同様に収集し,PER血中濃度と併せて解析を行った.PERおよびCBZの薬物動態を表現する構造モデルとして,1-コンパートメントモデルおよび2-コンパートメントモデルを候補とした.加えて,CBZによる薬物代謝酵素の誘導を考慮するために,代謝酵素コンパートメントを仮定し構造モデルに組み込んだ.年齢,性別,体重を含む各種臨床検査値,併用薬を共変量候補とし,尤度比検定に基づき共変量の選択を行った.上記の解析にはNONMEM 7.4.3を用いた.本研究は,九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.

    【結果・考察】 対象患者より,PERおよびCBZの血中濃度測定値がそれぞれ133点および55点得られた.PERおよびCBZの薬物動態は,いずれも1-コンパートメントモデルにより表現された.加えて,代謝酵素コンパートメントの導入により,CBZ濃度依存的なPERのクリアランスの誘導を表現した.共変量探索の結果,PERのクリアランスに影響する因子として,性別の影響が組み込まれた.

    【結論】本研究では,TDMデータを用いて,CBZの併用の影響を考慮したPERのPPKモデルを構築した.本研究で構築したモデルは,抗てんかん薬併用療法におけるPERの適正使用に寄与すると考えられる.

  • 坂野 晴彦, 近藤 孝之, 奥宮 太郎, 新堂 晃大, 眞木 崇州, 池田 学, 金丸 和富, 釜江 和恵, 渡邉 敏文, 内川 治, 冨本 ...
    セッションID: 42_3-P-T-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】アルツハイマー病(AD)は認知症の原因の半数以上を占める。プレセニリン1(PSEN1)遺伝子は、若年性家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として最も多く、現在PSEN1-ADに対する効果的な治療法はない。疾患特異的iPS細胞を用いたドラッグスクリーニングにより、既存薬ライブラリの中から、ブロモクリプチンがPSEN1-ADの治療薬となる可能性が示され、今回我々はPSEN1-ADに対するブロモクリプチンの医師主導治験を計画した。【方法】 本医師主導治験は、第I/II相、多施設共同、プラセボ対照、ランダム化並行群間比較試験であり、MMSE-Jスコアが25以下のPSEN1-AD患者を実薬4例以上、プラセボ2例以上集積する予定である。被験者は2:1の割合でブロモクリプチン内服群、もしくはプラセボ内服群に割り付けられる。本治験は8週間のスクリーニング期、37週間の二重盲検期、13週間の継続投与期から構成される。二重盲検期は、ブロモクリプチン1日量10mgまでの低用量期、およびブロモクリプチン1日量22.5mgまでの高用量期からなる。主要評価項目は安全性と有効性であり、有効性評価指標として、認知機能検査Severe Impairment Battery日本語版(SIB-J)および行動・心理症状を測定するNeuropsychiatric Inventory(NPI)スコアを設定した。加えて、副次評価項目および参考評価項目として種々のバイオマーカーを計測する。 【結果】 本治験は2020年6月に被験者登録を開始し、2021年3月に登録を終了した。2022年の治験終了を予定している。【考察】iPS創薬のプロセスで得られた知見を用いて、効果の予想される対象に絞って被験者を集積(enrichment)することが、本治験デザインの特徴である。【倫理的配慮】本研究はGCPおよびヘルシンキ宣言に則り、各実施施設の倫理審査委員会の承認を受けて実施されている。

  • 平島 学, 早川 裕二, 鈴木 啓介, 伊藤 健吾
    セッションID: 42_3-P-T-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】治験の被験者候補を選出する際、治験参加前の診療情報を参照するカルテスクリーニングが広く実施されており、治験実施計画書の適格性基準を満たしている"と思われる"被験者に治験のスクリーニング検査を実施することが多い。しかし、認知症治験における脱落率は全世界的に高いことが知られており、治験依頼者および実施医療機関に共通した非常に重要な課題である。そこで本研究では後方視的カルテ調査により、これまで治験に参加した被験者を対象として認知症治験における脱落に影響を与える因子を検討した。

    【方法】2014年4月1日~2020年3月31日に実施した軽度認知障害から軽度アルツハイマー型認知症(以下、AD)が対象の治験に参加した被験者を対象とし、治験参加前の診療情報をカルテ調査にて収集した283例のうちMini-Mental State Examination(以下、MMSE)データを有する178例を解析対象とした。研究対象者の背景(年齢、性別、生活環境)、高齢者総合機能評価(認知機能(MMSE)、日常生活動作(Barthel Index)、手段的日常生活動作(IADL)、老年期うつ尺度(GDS15)、意欲(Vitality Index)等)、認知症診断名、抗認知症薬服用歴、各種臨床検査、画像検査(頭部MRI、脳血流シンチ)、脱落理由、各検査実施日などを因子として、スクリーニング検査における転帰で比較検討した。統計解析にはSPSS for Windows ver.26を用いた。

    【結果・考察】認知症治験における脱落を予測する因子は「脳血流シンチの読影結果がnon AD/ DLB(レビー小体型認知症)」[OR 3.03; 95%CI 1.16-7.92; p=0.024]、「頭部MRIのVoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)のVOI内萎縮度としてZ値の平均値が1.65未満および1.96以上」[OR 3.43; 95%CI 1.25-9.43; p=0.017]であった。多くの治験で適格基準の一つであるMMSEについて、各治験の「MMSEの適格基準の下限値から1点低い」および「MMSEの適格基準の下限値」の被験者と「それ以外の点数」の被験者を比較すると「MMSEの適格基準の下限値から1点低い」被験者に脱落が多い傾向がみられたが有意差はなかった。これらより、治験参加前のMMSEのみでは脱落予測は難しく、脳血流シンチの読影結果及び頭部MRIの結果を複合的に検討することで脱落を予測できる可能性が示唆された。

    【結論】認知症治験における脱落を予測する因子は「脳血流シンチの読影結果」、「頭部MRIにおけるVSRADのZ値」であった。

  • 川口 敦弘, 清水 秀俊, 平井 学, 西村 祐貴子
    セッションID: 42_3-P-T-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】ラジカット/Radicava(エダラボン静注製剤)は,日本や米国などで筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬として承認され,身体の機能低下の進行を遅らせることが示されている.静脈内に長期にわたり連日反復投与する静注製剤であることから,患者,介護者及び医療重視者への負担が大きく,利便性の高い製剤の開発が強く望まれている.エダラボンの経口懸濁製剤を開発し,薬物動態(PK)及び静注製剤との生物学的同等性を評価する.

    【方法】健康被験者又は経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)あり又はなしのALS患者を対象にした非盲検第1相臨床試験(試験1,2,3)を実施した.試験1は,単回クロスオーバーによる健康被験者42例の生物学的同等性試験であり,エダラボン105 mgを経口投与及び60 mg/60分で静脈内投与し,各投与製剤のPKパラメータ,代謝物プロファイル及び消失経路を評価した.また,ALS患者9例(試験2)及びPEGチューブを留置したALS患者6例(試験3)を対象に,エダラボン経口懸濁製剤105 mgを単回投与したときのPKを試験1と合わせて評価比較した.

    【結果】健康被験者(試験1)において,60 mg静注製剤に対する105 mg経口懸濁製剤の血漿中濃度下面積(AUC)は生物学的同等性の基準を満たし,最高血漿中濃度(Cmax)の最小二乗平均比の90%信頼区間の上限が生物学的同等性の許容範囲をわずかに超えた.いずれの製剤もCmaxに到達後,血漿中濃度は三相性の推移を示し濃度推移は非常に類似していた.投与経路によらず,主にグルクロナイド抱合体および硫酸抱合体として尿中に排泄され,未変化体の尿中排泄率は低く,未変化体及び代謝物の尿中相対組成比は同程度であった.

    ALS患者(試験2)およびPEGチューブを留置したALS患者(試験3)において,投与後の吸収は良好であり,健康被験者(試験1)と同様の血漿中濃度推移およびPKパラメータが得られた.

    【考察・結論】経口懸濁製剤が既承認のエダラボン静注製剤の血漿中暴露を下回らず,ほぼ生物学的同等性の基準内であることが示され,忍容性も良好であった.健康成人とALS患者とで差がなく,ALS患者のエダラボン静注製剤での治療を経口懸濁製剤へ切り替え可能であり,また病態の進展で嚥下障害が生じ胃瘻を造設する場合でも,エダラボン105 mg経口懸濁剤を胃瘻から投与できることが示された.

    【参考文献】Shimizu H, et al. Clin Pharmacol Drug Dev. 2021 [Epub ahead of print].

  • 石岡 有生, 四月朔日 聖一, 平岡 宏太良, 石川 洋一, 船木 善仁, 原田 龍一, 岡村 信行, 荒井 啓行, 古本 祥三, 谷内 一 ...
    セッションID: 42_3-P-T-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】モノアミン酸化酵素B(MAO-B)は様々な臓器に分布して多様な機能を果たしているが、ヒトの全身分布の詳細はまだ十分に明らかにされていない。また最近では、アルツハイマー病患者の脳における神経炎症の一所見として増大する反応性アストロサイトにもMAO-Bが高発現することが知られている。我々は、MAO-Bに特異的に結合する新規PET診断薬剤18F-SMBT-1を開発し、ヒトにおいて脳を含む全身臓器のMAO-B分布に関する基礎データを構築するために初期臨床試験を開始した。【方法】健常成人男性4名(20~50歳代)を対象として、18F-SMBT-1のトレーサーを約185 MBq投与して、適宜休憩をはさみながら約5時間の全身PET測定を断続的に行った。PET画像をMRI画像に重ね合わせて各臓器への集積値を計測し、その時間的変化のパターンを調べた。 【結果・考察】PET薬剤18F-SMBT-1は、薬剤投与初期(最初の5分間)にすみやかに脳、心臓、胃、腎臓、消化管等に分布し、投与後から30分までは比較的高い取り込みを示しつつ、徐々に減少した。その後、肝臓および胆嚢に強い集積が観察され、薬剤投与後期には胆嚢、小腸~大腸、膀胱等に強い集積を示した。胆嚢の集積ピーク値は膀胱の10倍程度となった。また、全身の主要臓器における薬剤集積の変化に被験者間で大きな差異は認められなかった。小腸~大腸の集積所見については、胆汁排泄により薬剤が総肝管を経由し腸管に移動することが結果に影響している可能性が考えられ、生理的集積と排泄に伴う消化管集積が混在していると推測された。【結論】18F-SMBT-1は胆汁排泄の割合が高い薬剤であることがわかった。また、全身臓器のMAO-Bマッピングの目的に十分利用可能な薬剤であるとともに、脳マッピングのために十分な量の脳内分布があることがわかった。

  • 木村 信之, 鈴木 昭之, 三好 聡, Carrie Northcott, Robert J. Mather
    セッションID: 42_3-P-T-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    最近のセンシング技術の向上およびIoT(Internet of Things)の進展により,ウェアラブルデバイスや外部センサーを用いて患者の実生活の体動データをリアルタイムに収集することが可能となってきた。そして,病態に伴う無意識の行動の可視化や,自覚症状の定量的な説明に役立つデジタルバイオマーカーの研究が盛んに行われている。

    世界保健機関(WHO)はデジタルヘルスに関するグローバル戦略と行動計画を2019年に策定し,デジタルヘルスにより健康的な生活が確保され,人々の幸福を促進する機会の提供が期待されている。アメリカ食品医薬品局(FDA)はDigital Health Center of Excellenceを2020年に創設し,デジタルヘルステクノロジーへの包括的なアプローチの準備を整えている。バイオセンサーとデジタルヘルステクノロジーの活用は,臨床試験においても新しい評価手法となる可能性が考えられる。

    アトピー性皮膚炎患者等では,痒みにより皮膚を掻く行為(掻破行動)の睡眠中の発生状況について,治験薬投与前後の変化を評価する際,従来では客観的指標を用いた評価は困難であった。ウェアラブルデバイスの1つである加速度計(例:GENEActiv,ActivInsights Ltd.,英国およびCentrePoint Insight Watch,Actigraph LLC,米国)は,さまざまな身体の部位に着用でき,どのような活動をしていたか,内蔵されているセンサーからデータを収集することが可能である。このデバイスを腕に着用することにより,睡眠中の腕の詳細な動きをモニターでき,掻破行動を客観的指標で評価できる可能性がある。このようなデバイスで収集したデータは,時系列連続データであるため,臨床薬理で従来取り扱っている薬力学データやバイオマーカーとして解析することが可能である。

    現時点では,本邦の臨床薬理担当者による体動データ収集の試験計画立案や解析経験は少ないと思われる。今回の発表を通して臨床薬理担当者がデータ構造や解析手法への理解を深め,従来は困難であった課題に対し新たな技術を活用して解決し,患者の実生活における活動の評価や医薬品開発の更なる進展に寄与することを期待する。

  • 浅田 圭祐, 小野 俊介
    セッションID: 42_3-P-T-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】治験計画時の実施期間及び症例集積速度は、対象患者数、被験薬の特性、被験者への負担、既承認薬の有無、同じ疾患領域での経験や予算など様々な情報を基に設定される。治験の実施者は計画に従って治験を開始するが、英国の治験の多くは当初想定していた期間内に完了しないと報告されている。日本の治験の実施期間に関する報告は少ない。本研究では、日本の治験実施期間の現状(特に計画との乖離)の把握を目的とした。

    【方法】2013年1月-2020年4月に開始・完了した第2相以降の728試験をClinicalTrials.govで特定し、計画時の実施期間・症例数、実際の実施期間・症例数、対象疾患、スポンサー名等を収集した。728試験のうち、実施期間又は症例数を収集できなかった29試験、試験終了後に初回の情報登録を行った2試験を除いた697試験を分析対象とした。試験の対象疾患を14領域に分類した。スポンサーを内資系、外資系及び企業以外に分類した。

    【結果・考察】分析対象の697試験では、計画時の平均実施期間が22.0か月、実績の平均実施期間が21.8か月、3か月(90日)以上実施期間を延長した試験は190試験(27.3%)であった。実施期間を3か月以上延長した試験の割合は、精神系(11試験/23試験、47.8%)、がん領域(41試験/91試験、45.1%)で高く、眼(2試験/18試験、11.1%)、免疫・炎症(29試験/182試験、15.9%)で低かった。企業以外がスポンサーの試験(22試験中12試験、54.5%)は内資系企業(40試験/186試験、21.5%)及び外資系企業(116試験/397試験、29.2%)の試験と比較して3か月以上試験遅延した試験の割合が高かった。

    【結論】日本の治験実施期間は平均的には計画と実績に大きな乖離はないが、計画から大きく遅れる試験(逆に早期に終了する試験)も相当数あること、計画からの遅れは精神系、がん領域で目立つことが分かった。計画と実績の乖離は主に症例集積の成否によって生じていると考えられる。症例集積の背景にあるメカニズム(試験デザイン、患者数、被験薬の特性との関係)を考慮し、計画と実績が乖離する理由を更に検討する必要がある。

  • 鈴木 千恵子, 小田切 圭一, 牧野 公美子, 大村 知広, 木山 由実, 坪田 裕美, 乾 直輝, 梅村 和夫, 渡邉 裕司
    セッションID: 42_3-P-U-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【背景・目的】臨床研究法(以下、法)が施行され3年が経過した。特定臨床研究(以下、研究)の実施においては、法施行規則及び課長通知で、「臨床研究保険(以下、保険)」への原則加入が規定され、新たな保険商品も登場した。本学の「認定臨床研究審査委員会(以下、CRB)」では、これに基づき、全ての研究で保険加入を原則としている。しかし、研究を企画しながらも、保険料高額のため、研究を断念する事例がいくつか見られている。一方で、法のQ&A 3-14では、「実施計画、研究計画書及び説明同意文書に、保険に加入せず(中略)医療の提供のみを行うこと及びその理由を記載し、認定委員会の承認を得る」ことができれば、保険未加入も認められている。本学CRBにおいても保険加入の判断を柔軟に行う必要性が認識され、医療の提供のみで実施できる研究はどのような範疇のものかを検討している。今回、その検討材料の収集を目的として、本学以外のCRBの対応を調査することとした。

    【方法】2018年4月~2021年6月に本学以外のCRBで審査され、本学管理者の実施許可を得た研究のうち、法施行後に開始された研究における保険加入の実態と未加入の際の理由を、管理者許可申請資料を用いて調査した。

    【結果・考察】調査対象となった研究は43件であった。このうち、保険に加入している研究は28件(うち賠償責任のみの保険は4件)、保険未加入の研究は15件であった。保険未加入又は賠償責任のみの保険に加入している研究19件のうち、その理由が未記載の研究は5件、記載されているものは14件であった。保険未加入の理由は「通常の診療範囲を超える医療行為ではない」「日常診療から離れたより実験的なものではない」「未知のリスクは少ない」などであった。薬事承認内の医薬品等を用いた臨床研究で、企業資金で実施されるため「特定臨床研究」となっている研究は、仮に保険未加入であっても医薬品副作用被害救済制度を利用できる可能性がある。他方、適応外の医薬品等を使用している研究で「通常の診療範囲」とするものがあり、保険未加入の理由として適切かどうか疑問が残った。

    【結論】今回の調査において、保険未加入又は賠償責任のみの保険に加入している研究は全体の45%を占めた。一部、適切で妥当な理由の記載がない研究もあったが、医療の提供のみで行うことができる研究の範疇を示唆する情報を得ることができた。

  • 片島 るみ, 渡部 有加, 福井 裕介, 山口 知子, 佐藤 由美, 前田 和寿
    セッションID: 42_3-P-U-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】今回実施した観察日誌を用いた研究について、支援方法の有効性を検討する。【方法】令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進事業)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)に参加し、当院の非接種者で研究への参加に同意した300人を対象として、問診票および健康観察日誌の配布、回収、データ入力等を行った。問診票、健康観察日誌には、体温、全身症状等を記載してもらい、問診票は接種当日に回収、健康観察日誌(接種後1~8日:日誌1、接種後9、10日:日誌2の2部に分けて記載)は回収ボックスで記載後に回収した。提出依頼手段は、メール、書面、口頭で行い、提出依頼対象は個人または部署に対して行った。【結果・考察】接種1回目の日誌1の回収率は98.3%、日誌2は92.3%、接種2回目の日誌1は96.7%、日誌2は90.3%であった。接種2回目の時に接種1回目の日誌未提出者へ口頭で依頼、さらに、その後、各部署単位または個人単位で、書面またはメール等で提出を依頼し続けた。その結果、最終的に健康観察日誌を100%回収することができた。今回は研究対象が医療従事者であったため、研究に対する関心が高く、そのことが高い回収率につながったと考えられる。また、未提出者へ依頼する際に、個人を対象または部署を対象として行ったところ、連絡系統が明確な部署に関しては、部署単位での依頼が有効である傾向が示された。【結論】今回、観察日誌等を用いた研究を実施し、研究対象の属性がデータ回収に影響すること、属性に応じた回収方法を用いることが重要であることが示唆された。

  • 杉山 伊吹, 古島 大資, 野村 優月, 海野 けい子, 中村 順行, 山田 浩
    セッションID: 42_3-P-U-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】緑茶の主要な遊離アミノ酸であるL-テアニンが、抗ストレス作用を示すことが動物実験ならびに臨床試験で報告されている。また、テアニンに次いで緑茶に多く含まれるアルギニンとの併用摂取によって、テアニンの抗ストレス作用が増強する可能性が動物実験で示されている。しかし、ヒトに対するテアニン・アルギニン併用時の影響については明らかにされていない。そこで本研究では、ヒトにおけるテアニン及びアルギニン併用摂取のストレスへの影響を、単盲検ランダム化比較試験により検討した。

    【方法】静岡県立大学の健康成人120名(平均年齢22.4歳、女性62.5%)を対象とし、十分なインフォームドコンセントによる文書同意を得た後、テアニン・アルギニン併用群(テアニン100 mg・アルギニン50 mg摂取)、テアニン単独群(テアニン100 mg摂取)、プラセボ群の3群にランダムに割り付けた。対象者へのストレス負荷として内田クレペリン精神検査法を、ストレス指標として唾液中アミラーゼ活性(salivary amylase activity: sAA)を採用した。sAAをストレス負荷前、直後、5、15、30分後に測定し、sAAの経時変化やストレス負荷前後のsAAの変化量を3群間で比較した。なお本研究は、静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。

    【結果・考察】ストレス負荷前から、負荷15分後におけるsAA変化量の平均値(標準偏差)は、テアニン・アルギニン併用群で-2.75(11.2)KIU/L、テアニン単独群で-0.40(11.5)KIU/L、プラセボ群で6.95(18.6)KIU/Lであり、テアニン・アルギニン併用群とプラセボ群間(p=0.0053)およびテアニン単独群とプラセボ群間(p=0.0413)で統計学的有意差が認められた。以上のことから、テアニンとアルギニンの併用摂取は、ヒトにおいても短時間の抗ストレス作用があることが示唆された。テアニン・アルギニン併用群とテアニン単独群間でsAA変化量の統計学的有意差は認められなかったが、テアニン・アルギニン併用摂取時にsAA減少量が大きくなる傾向がみられた。

    【結論】テアニン単独摂取時と比較して、テアニン・アルギニンの併用摂取により抗ストレス作用が増強する可能性が示唆された。しかし本研究の被検者は20代を中心としているため、結果の一般化には幅広い年齢層を対象とした大規模臨床試験によって検討する必要がある。

  • 深堀 理, 青木 雅彦, 澤田 武志, 上村 尚人, 中島 貴子
    セッションID: 42_3-P-U-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 医薬品等の早期臨床開発 における産官学連携やステークホルダーの協同による開発エコシステムの構築は、本邦に課せられた喫緊の課題である。その中で、早期臨床開発を担当する専任診療科を設置している医療施設は少ない。今回我々は、自身の取り組みを含め、全国大学病院と国立高度専門医療研究センターにおける専任診療科の実態を調査した。【方法】 臨床研究中核病院14施設、上記を除く大学病院70施設、国立高度専門医療研究センター5施設を対象として、主に治験関連情報の記載のあるホームページをもとに、早期臨床開発に関する情報を抽出した。実施試験内容、早期臨床試験専用病床(Phase1ユニット等)、早期臨床開発専任医師・診療科の有無、その他特色について調査した。【結果・考察】 早期臨床試験専用病床を設置する施設は10施設( 大学病院9施設、研究センター1施設)で、臨床研究中核病院が5施設、非中核病院が5施設であった 。健常人対象の生物学的同等性試験のみを対象とする施設が1施設、健常人対象の生物学的同等性試験とfirst-in-human試験のみを対象とする施設が1施設、疾患対象試験のみを対象とする施設が4施設、いずれの試験も対象としている施設が4施設であった(京都大学医学部付属病院(当院)を含む)。専任診療科(講座)を有する施設は3施設であった。 専任診療科を有さない施設では、対象疾患の当該診療科の医師が試験を実施していた。当院では我々早期医療開発科が専任で担当しており、所属医師は総合内科、腫瘍内科をサブスペシャリティーとしている。健常人対象試験に加え、がんを含む難治性疾患を対象とした臨床試験、さらに自・他大学のアカデミアシーズに関するトランスレーショナルリサーチも行いながら、先進的かつ独創的な早期開発を実施するプラットフォームを構築している。また臨床薬理専門家による恒常的教育、first-in-human試験におけるアドバイスを得るべく、大分大学との連携も構築している。【結論】 早期臨床開発を専任で実施する診療科を設置し、健常人対象・疾患対象いずれの試験も実施している施設は3施設と少なかった。これらの施設と効率的に情報交換、協同しながら、本邦の早期臨床開発における多くの課題を解決し、促進していきたい。

  • 青木 雅彦, 高倉 昭治, 山下 武史, 森下 理恵, 上森 美和子, 老本 名津子, 穂積 順子, 境 祐司, 深堀 理, 澤田 武志, ...
    セッションID: 42_3-P-U-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】 京都大学医学部附属病院では、早期臨床試験に特化した臨床試験専用病棟(次世代医療・iPS細胞治療研究センター:Ki-CONNECT)を2020年4月に開設した。Ki-CONNECTでは、疾患対象早期臨床試験における参加者募集のための登録パネル(以下、Ki-CONNECT疾患パネル)を設置した。我々の取り組みも含め、本邦での登録パネルの状況について検討した。【方法】全国大学病院82施設及び国立高度専門医療研究センター7施設に於いて、被検者候補の登録パネルの有無とその運用について(登録対象、入力項目、該当試験案内方法など)、各施設ホームページ(以下、HP)から検索した。【結果・考察】 HPで調査した結果、3施設(当院を除く)に登録パネルが設置されており、いずれもHPから検索可能であった。3施設のうち、登録対象を健常人及び患者の両方としている施設が2施設、健常人のみとしている施設は1施設であった。入力項目は年齢、性別、血液型、身長、体重、職業などと項目数は少なく、疾患名は含まれていなかった。該当試験の案内方法は、いずれの施設も共通しており、臨床試験を実施する際にメールなどで登録者に知らせる運用であった。当院では、健常人対象試験においては候補者リクルートを企業に外注しているが、疾患対象試験試験に向けてKi-CONNECT疾患パネルを2020年12月4日より設置、運用を開始した。入力項目は年齢、性別、血液型、身長、体重、国籍、疾患、内服薬に加え、疾患名(癌かそれ以外かを選択、その後疾患臓器を選択)としている。該当試験の登録者への案内は、専用アドレスからのメール送信とした。登録促進のため、HP上での案内のみならず、関連病院及び当院に紹介歴のある768施設へ案内状とポスターを送付し、登録促進に繋げている。【結論】 Ki-CONNECTでは疾患対象試験の実施に向けて疾患毎の登録パネルを活用する独自の取り組みを開始しており、疾患対象臨床試験への登録促進に寄与することが期待される。

  • 小椋 幹夫, 井上 眞璃子, 松岡 良, 小栗 岳, 澁谷 美穂子, 中島 文晴, 川久保 千佳, 渡部 歌織, 吉本 真, 丸山 達也, ...
    セッションID: 42_3-P-U-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】東京大学医学部附属病院(以下、当院)では、臨床研究法(以下、法)の特定臨床研究の適正な実施体制を確保するため、管理者許可の前に、臨床研究推進センターが当院規程に照らし、当該研究を当院で実施することが可能か否かの観点から研究計画書や説明文書の内容を確認している。また、その過程で、法及び臨床研究法施行規則(以下、規則)に規定された事項の記載の有無を独自に作成したチェックリストを使用して確認してきた。今回、その状況をまとめ、法及び規則を遵守した研究計画書及び説明文書となっていることを確認するためのチェックリスト活用の有用性について報告する。【方法】他機関の認定臨床研究審査委員会で承認され、研究代表医師から提供された特定臨床研究の研究計画書と説明文書を、規則第14条並びに法第9条及び規則第46条を反映したチェックリストを使用して、必要な記載の有無を確認した。なお、施行通知では、規則第14条について「臨床研究の内容に応じて記載することとして差し支えない。」とされているが、今回はその点は考慮していない。また、同一研究グループが作成した研究計画書と説明文書については、そのうちの最新の研究のみを採用することとし、計9件の特定臨床研究について確認した。【結果】法及び規則に規定された事項の記載状況は、平均で研究計画書が約7割、説明文書が約8割であった。しかしながら、研究計画書では、「症例報告書に直接記入され、かつ原資料と解すべき内容」、「医薬品等製造販売業者と利益相反関係の有無とその内容」等、説明文書では、「医薬品の概要」、「研究計画書その他の特定臨床研究の実施に関する資料の入手又は閲覧の方法」等の規定された事項の記載が十分とは言えない研究もあり、当院の研究者にその旨伝えた。【結論】今回チェックリストを活用した結果、記載漏れとなりやすい事項を抽出できた。研究計画書等の作成者は、当該事項を念頭にいれて作成することにより、さらに法や規則に則った研究計画書や説明文書になると考えられる。また、チェックリストを研究者自身が使用することで自己点検も可能であり、さらに点検済のチェックリストを研究計画書等に添付することにより、認定臨床研究審査委員会や共同研究機関の管理者許可時の書類確認においても有用と考えられる。今後はさまざまな用途についても有効に活用されることが期待される。

  • 本永 正矩, 寺谷 祐亮, 板村 亮, 小林 遼平, 佐伯 康之, 檜井 孝夫, 松尾 裕彰
    セッションID: 42_3-P-U-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【目的】がんゲノム医療において治療へ至る可能性を広げるため広島大学病院では、臨床試験情報のデータベース:Hirodai-DB(情報源:がんゲノム検査実施機関、がんゲノム情報管理センター、公共データベース(DB)、臨床医、臨床試験調整事務局)を構築した。Hirodai-DBを解析し、より良い臨床試験の情報収集を行うための問題点を明らかにする。【方法】2019年12月から2021年6月までのがんゲノム医療の実施件数ならびにHirodai-DBに登録した臨床試験のうち標的分子に基づいた臨床試験を解析対象とした。解析内容はHirodai-DBへの全登録件数、解析対象件数、標的分子の種類とがん種と各々の件数および臨床試験調整事務局への問合せ件数と確認内容とした。【結果・考察】がんゲノム医療の実施件数は352件であった。Hirodai-DBへの全登録件数286件の臨床試験のうち解析対象は123件であった。それらのうち標的分子は、EGFR 26件、FGF/FGFR 15件、ホルモンレセプター関連15件、RAS 12件、HER2 10件、BRCA 10件、TMB 5件、MET 5件の順に多かった。がん種は、非小細胞肺癌28件、固形がん21件、乳癌15件、大腸癌9件の順に多かった。問合せ件数は56件であり、その確認内容は、適格基準の詳細16件、募集状況15件、遺伝子変異の詳細12件、募集がん種の詳細8件、同一臨床試験での複数公共DB掲載内容の齟齬3件、試験薬の作用機序1件、治験責任医師情報1件であった。また、調整事務局から機密情報のため臨床試験実施施設に直接問合せを依頼された経験もした。募集がん種詳細8件のうち6件は固形がんに関する問合せであり、がん種が制限されていることを経験した。EGFRを標的とした非小細胞肺癌の臨床試験が最も多かった。臨床試験情報収集の問題点として、公共DBでは臨床試験の詳細な情報が記載されていないことが多く、開示できない詳細情報の存在やがんゲノム医療の実施件数に比べて問合せ件数が約16%と少ないことが挙げられる。本調査において問合せにより詳細情報を蓄積し精度の高いDBとする重要性が示唆された。しかし、Hirodai-DBは単施設によるものであり、がんゲノム医療を推進するためには臨床試験の詳細情報が容易に入手可能な体制の構築が必要と考える。【結論】がんゲノム医療実施の都度、問合せによる精度の高いDBへのアップデートが必要だが、単施設では難しく、効率的な臨床試験の詳細情報が容易に入手可能な体制の構築が必要と考える。

  • Taubel Jorg , Pimenta Dominic , Garitaonandia Ibon , Spencer Christoph ...
    セッションID: 42_3-P-U-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    The global prevalence of non-alcoholic fatty liver disease (NAFLD) is an estimated 25%. There is a recognised correlation between the development of fatty deposits in the liver and chronically elevated serum alanine transaminase (ALT). NAFLD may progress to non-alcoholic steatohepatitis (NASH), characterised by liver inflammation and a risk factor for future liver cirrhosis, failure and malignancy. Risk factors for the development of NAFLD include diabetes, metabolic syndrome and obesity, though seemingly healthy individuals can also develop NAFLD idiopathically.

  • 金城 衣良, 脇田 夏鈴, 植田 真一郎, 松下(武藤) 明子
    セッションID: 42_3-P-V-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】現在世界中で感染拡大しているCOVID-19は呼吸器症状のみならず、血栓症を合併し臓器障害を引き起こす.血栓の形成には様々な要因が存在するが、COVID-19での血栓の原因の一つに、活性化した白血球が細胞外に自身のDNAを放出する細胞外トラップ生成がある.我々は過剰な細胞外トラップ生成の抑制が、血栓による臓器不全を防止できると考え、白血球活性化を抑制するコルヒチンの白血球細胞外トラップ生成に対する効果を検討した.

    【方法】単球系細胞株THP-1をホルボールエステルによりマクロファージ様細胞(Diff.THP-1)に、またはリンパ球様細胞株HL-60をDMSOで好中球様細胞(Diff.HL-60)に分化させたものを使用した.刺激としてTLR9リガンド作用を有するウイルス由来DNAモチーフ、LPSまたはTNFαを用い、刺激4時間での核酸染色試薬Sytox Greenの蛍光により細胞外トラップ生成を、刺激1時間でのwestern blottingによりNFκB p65リン酸化とIκB-α発現をみることで細胞内炎症シグナルを、コルヒチン前処置(1x10-8M, 1x10-6M)の有無で評価した.

    【結果】Diff.THP-1においてコルヒチン1x10-8M前処置はTLR9リガンド、TNFa刺激による細胞外トラップ生成を抑制する傾向がみられ、TLR9リガンド、LPS刺激による炎症シグナル亢進を抑制した.Diff.HL-60においてTLR9リガンド刺激で同様の結果だった.また、コルヒチン1x10-6M前処置にはこれらの抑制効果がなかった.

    【結論】コルヒチンは適切な濃度でNFκB経路活性化および細胞外トラップ生成を抑制する.これはCOVID-19の血栓形成による重症化予防にコルヒチンが有効であることを示唆する.

  • 八木 遥, 成川 衛
    セッションID: 42_3-P-V-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】日本で承認された新薬のヒト初回投与試験における開始用量の実態を把握し,問題点や改善の可能性を考察することを目的とし,無毒性量(NOAEL)またはクリアランス(CL)に基づいた用量設定法を用いて比較検討を行った.

    【方法】2009年度から2018年度に承認された新薬のうち新有効成分含有医薬品を研究対象とした.まず,反復投与毒性試験のNOAELを基に,体表面積を指標としたヒト等価用量(HED: human equivalent dose)を算出し,次いで,これとヒト初回投与量(FHD)との比であるFHD index(HED/FHD)を算出した.また,動物の薬物動態試験の結果からCLを抽出または算出し,allometric equation (CL=a(W)^b)を使用してヒトでのCLを予測した上で,CL予測値に反復投与毒性試験のNOAELにおけるAUCを乗じてHEDを算出した.実際にヒトで測定されたCLの値を使用し,実測値に基づくHEDの算出も行った.そして,NOAELおよびCLの両手法で算出されたHEDについて,承認用量(APD)との比であるAPD index(HED/APD)を算出した.なお,FHD設定の方法が低分子化合物と異なる抗がん剤や生物学的製剤,体内診断薬や配合剤等は研究対象から除外した.

    【結果・考察】対象薬剤は86剤であった.NOAELを用いた用量設定方法において,FHD index(=安全係数)の中央値は72.1[15.3-333.3](中央値[四分位範囲])であり,APD indexの中央値は3.81[0.82-18.7]であった.FHD indexとAPD indexの間に大きな乖離がみられたことから,より適切な安全係数を適用することで,被験者の安全を確保しながらも,より効率的に医薬品開発を進めることができる可能性が考えられた.両手法で算出されたAPD indexは,いずれも多くの薬剤(54剤)において10を下回り,このことから安全係数10を適用することで算出されるFHDは,承認用量よりも低用量となった.このことから多くの薬剤において,FDAガイダンスで推奨される安全係数10を適用することで,被験者の安全を十分に確保出来ることが確認された.加えて,類薬の情報等を加味することで,迅速な臨床開発を進めることが出来ると考えられる.

    【結論】今後,より適切な安全係数,用量設定方法を適用するための技術や手法の発展によって,被験者の安全を損なうことなく,有効で安全な医薬品が患者により早く届けられるようになることが期待される.

  • 堀内 瑞樹, 井上 真輔, 大澤 茉由, 尾瀬 淳, 金 盛烈, 小上 淑子, 清水 貴子, 仲井 健也, 成島 和哉, 三好 聡, 奥津 ...
    セッションID: 42_3-P-V-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    これまでの医薬品開発における臨床薬理の役割は、低分子医薬品や抗体医薬の開発において確立されてきた。近年、核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療など、様々な新規の創薬基盤技術を活用した医薬品が開発・承認され、低分子医薬品や抗体医薬では治療できなかった疾患に対して効果を発揮している。低分子医薬品、抗体医薬を従来型モダリティ、核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療を新規モダリティと定義すると、従来型モダリティでは当たり前だった薬物濃度をベースにした非臨床から臨床へのトランスレーション、及び用法用量の最適化という臨床薬理の主たる方法論が、新規モダリティでは通用しない可能性が想定される。内因性・外因性要因が医薬品のリスク・ベネフィットバランスに及ぼす影響の評価の一環として従来型モダリティで実施されていた臨床薬理的評価(腎・肝障害患者対象試験、thorough QT試験、薬物相互作用試験、薬物動態の民族差の評価など)を実施しなくなることも想定され、製薬企業の臨床薬理担当者が行うべき業務は転換期を迎えている。定量的に医薬品を評価する専門家としての存在意義を持っていた臨床薬理担当者は、新規モダリティの医薬品開発にどのように関わって行くべきか真剣に考え、これまでの業務でベースとしてきた薬物濃度を代替するバイオマーカーなどの指標を選択し、新たなツールによる医薬品開発への貢献を見つけていく必要がある。

    日本製薬工業協会臨床評価部会臨床薬理タスクフォースでは、2020年12月時点で日米欧で承認された全身性作用の新規モダリティ医薬品(核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療)について、以下の項目に関する調査を行っており、調査結果を当日発表する。

     - 用法用量の設定方法

     - バイオマーカー

     - バイオアナリシス

     - モデリング&シミュレーション

     - その他の臨床薬理的評価

    調査結果を踏まえ、今後の新規モダリティ医薬品開発における臨床薬理担当者の貢献の方向性について議論したい。

  • 繁本 憲文, 杉山 大介, 木阪 智彦, 松浦 康之, 管 仕成, 津賀 一弘
    セッションID: 42_3-P-V-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    広島大学は2019年にAMED「次世代医療機器開発連携拠点整備等事業」に採択され、国際競争力を飛躍的に高める普遍的医療機器開発の拠点となるべく体制整備を行ってきた。医薬品開発と比較して、医療機器開発においてはより良い製品開発や改良を行うためにはニーズ収集や使用感の調査など臨床現場とより綿密な連携が必要である。広島大学病院において臨床現場観察が行えるように規則を制定したものの、2019年末より続くコロナ禍により医療従事者であっても学外者の立ち入りが制限される事態が続いており、まだ終息が見えていない。そこで、本拠点における臨床現場観察に代わるものとして(1)模擬病棟・診察室を活用した臨床現場の再現、(2)ニーズ紹介動画の作成、(3)実臨床現場の映像撮影といった取り組みを行ってきた。個人情報保護や企業秘密に配慮した上で、これら本拠点の新しい取り組みについて報告する。

  • 脇田 夏鈴, 金城 衣良, 植田 真一郎, 松下(武藤) 明子
    セッションID: 42_3-P-V-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】COVID-19が世界的規模で蔓延している現在、その治療薬や重症化予防法の開発は喫緊の課題である.コロナウイルスを含む病原体の多くはエンドサイトーシス(Edcs)で細胞内に侵入し、感染・増殖する.ヒトコロナウイルスはカベオラEdcsで取り込まれることが報告されているが、COVID-19原因ウイルスSARS-CoV-2に関しての知見は少ない.我々はSARS-CoV-2の細胞内侵入経路と、それに対する微小管阻害薬コルヒチン(Col)の効果について細胞を用い検討したので報告する.

    【方法】ヒト単球系細胞株THP-1をマクロファージ様細胞に分化したものをガラス上に播種し、Col (1x10-8M, 1x10-6M)または溶媒を一晩処置し、カベオラEdcsを生じるコレラトキシンb (CTb)、またはリコンビナントSARS-CoV-2スパイクエンベロープ(Cv2SE)を1時間暴露後固定し、caveolin-1(cav1)またはゴルジ体マーカー(GM130 or Golgin97)と免疫染色し共焦点顕微鏡にて観察した.

    【結果】[CTb 暴露] 溶媒処置では細胞内でcav1および ゴルジと共局在していたことからカベオラEncsを確認した.Col 1x10-8M処置は細胞膜上cav1発現部位にCTbは共局在しゴルジとは重ならずEdcs減少を認めた.Col 1x10-6M処置もCTbは主に細胞膜上に分布しcav1と共局在したが、ゴルジの細胞内局在が細胞内全体に分散し劇的に変化しており、高濃度Col処置では様々な細胞内シグナル経路の崩壊が起きていることが示唆された.[Cv2SE 暴露] 溶媒処置でゴルジと共局在を認めEdcsを確認した.Col1x10-8M処置は共局在が減少しておりEdcsが抑制されていた.ただしcav1とは局在せず、カベオラ以外でのEdcsが示唆された.

    【結論】 SARS-CoV-2は非カベオラ経由Edcsで細胞内に侵入し、臨床用量ColのEdcs減少作用はCOVID-19感染抑制を期待できる.

  • 杉山 大介
    セッションID: 42_3-P-V-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    日本政府の新しい医療イノベーション戦略を実践するために、広島本学では、2018年4月、医療系トランスレーショナルリサーチ(TR)推進機構を発足させ、学内共同教育研究施設としてトランスレーショナルリサーチセンター(TRC)を設置した。併せて、2020年6月、病院組織を改組編成し、広島臨床研究開発支援センター(CRCH)を新設した。CRCH内部に細胞加工支援部門を設置し、1細胞培養加工施設の管理・運営、2再生医療研究支援、3再生医療診療支援の業務を開始した。殊に、1に関しては、コンサルテーションを受けつつ、細胞培養加工施設のリノベーションを実施し、安全に再生医療を実施出来るハード面を整備し、併せて手順書の見直しを行った。本学会では、再整備した細胞培養加工施設の紹介に加えて、CRCH細胞加工支援部門の活動を報告する。

  • 家田 維哉, 安部 賀央里, 頭金 正博
    セッションID: 42_3-P-V-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
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    【背景・目的】

    薬剤性急性腎障害(AKI)は、多種多様な医薬品が原因となり、重篤な副作用であるため、薬剤性AKIを発症するリスクの高い医薬品を同定することは臨床上重要である。一方で、市販後の臨床現場における副作用の実態を網羅している副作用報告データベースを用いることで、医薬品と副作用の関連性を見出すことができる。そこで、我々はこれまでに医薬品副作用報告データベースを利用し、機械学習を応用して薬剤性AKIの発症する可能性の高い医薬品を、化学構造情報から予測するモデルを発表してきた。本研究では、複数の機械学習予測アルゴリズムを組み合わせて予測を行うアンサンブル機械学習モデルを適用することで機械学習予測モデルの精緻化を目指した。

    【方法】

    副作用データベースとしては、主に国内からの副作用報告に基づくJapanese Adverse Drug Event Report database(JADER)およびグローバルに副作用報告を集積したFDA Adverse Event Reporting System(FAERS)を用いた。FAERSにおいて、一般財団法人日本医薬情報センターがデータクリーニングを実施したJAPIC FAERSを用いた。対象副作用は、MedDRA/J ver23.0の標準検索式の「急性腎障害」とした。薬剤性AKI発症リスクの陽性・陰性の定義にはシグナル検出法であるReporting Odds Ratios法と報告件数を用い、該当する医薬品を抽出し、薬剤性AKIデータセットを作成した。AlvaDescにより算出した分子記述子を説明変数とし、k近傍法、adaboost、Random Forestを組み合わせたアンサンブル機械学習モデルを用いて、薬剤性AKI発症リスクの陽性・陰性を判別するモデルを構築した。

    【結果・考察】

    JADER(陽性:135剤、陰性:131剤)、JAPIC FAERS(陽性:239剤、陰性:248剤)およびそれらを統合したデータセット(陽性:302剤、陰性:344剤)の3パターンのデータセットを用いてアンサンブル機械学習モデルを構築したところ、モデルの性能を示すArea Under the ROC Curveは、JAPIC FAERSあるいは統合したデータセットでは、0.8以上になり、アンサンブル機械学習モデルは、単独のアルゴリズムを用いた機械学習法よりも高い予測性能を発揮した。

    【結論】

    今回の研究では、2種類の副作用報告データベースを活用して、医薬品の化学構造情報から薬剤性AKIを発症する可能性の高い医薬品を判別するアンサンブル機械学習モデルを構築することができた。

Late-Breaking Session
  • 吉山 友二, 臼井 美結, 大里 美由紀, 古賀 真理子, 宮澤 美咲, 上田 祥貴
    セッションID: 42_1-LBS-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】北里大学薬学部では、医療の現場と密接に連携した教育の一環として、実務実習を経験した6年生が主体となって低学年にクリニカル・ミーティングを開催してきた。開催方法として講師の招致によるライブ型の講義形式で行ってきたが、13回目となる今回はITシステムを活用したオンデマンド配信による開催を実践した。今回、臨床薬理を志向したクリニカル・ミーティング企画をITシステムで取組むことの教育的有用性を明らかとした。【方法】6年生は今回、病院での勤務経験のある薬局薬剤師に「病院と薬局での働き方」をテーマに講義を依頼した。オンデマンドで実施するため、事前に参加者を申し込み制とし、動画視聴期間を設け、ホームページ上で視聴できるように企画した。動画公開ページにQRコードおよびURLを表示させ、参加学生に視聴後アンケートを実施することとした。アンケート内では質問を受け付け、講師の先生からの回答を質問者に個別で返信を行うことで双方向性を確保するようにした。開催方法や講義に関する事項をアンケート調査することでITシステムでの実践に関して評価を行った。【結果】6年生の視点から低学年の学生の興味を認識し、企画を行った。オンデマンドで実践するために、視聴方法の検討や講義の長さを考慮した開催が必要となった。本企画への申し込み人数は82名であり、36名から視聴後アンケートの回答を得た。今回のテーマは将来薬剤師になる参加学生のニーズを満たしており、参加学生にとっても有意義な内容であると捉えた。【考察】ITシステムで取り組むことで時間や場所に縛られない学びの場を、薬学生が主体となって作ることができる。参加学生は限られた時間の中で自分の興味を知ることができる。10回以上も受け継がれてきたこの次世代による教育の息吹は今後も時代の中で新しい形になっていくだろう。その中でも形にとらわれることなく、企画者、参加学生という次世代のリーダーである薬学生の貴重な教育の機会であることが考えられた。

  • 梶岡 俊一, 岡部 彩美, 李 賢, 武井 実根雄, 横溝 晃, 沖本 りさ, 高松 肇, 野村 博之, 高橋 良輔, 江藤 正俊
    セッションID: 42_1-LBS-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    <目的>元来健康な膀胱は無菌的であると考えられてき たが、最近の 16SrRNA 次世代シークエンサーの進歩に より、健常人でも膀胱内細菌叢の存在が明らかになって きた。そこで本研究では健常コン トロール群 ( 整形外科 )、がん患者群からカテーテル尿 を収集し 16SrRNA 細菌叢解析により膀胱内細菌叢の細 菌構成の分布を明らかにし各群の相違の有無を確認することで各種疾患、特に腎癌の新たなバイオマー カーを探索する。<方法>九州大学病院、及び原三信病 院で、間質性膀胱炎群 (18 例 )、腎がん群 (22 例 )、その 他がん群 ( 含前立腺癌 )(16 例 )、及び健常コントロール 群 ( 整形外科 ) として 64 例、の4群、合計 120 例のカテーテル 尿を患者の同意を得たのちに、100ml 採取し、16SrRNA 細菌叢解析を実施した。<結果・考察> (1) 本カテーテル尿採 取法により安定して、尿細菌叢が採取できることがわかった。(2) 今回 4 つの群に分けたが、それらの群間に違いはなかったと判定された。 尿細菌叢は最適なグループ数は、約 2 と推定されルことが判明し、 多様性に関しては、腸内細菌叢とは明らかに異なること がわかった。(3) 他群と比べて、間質性膀胱炎群に置い て、多く出現している細菌 (k_bacteria_p 等 ) は存在し たが、( マーカーとなりうる ) 特に突出した細菌は認められなかった。特徴として、間質性膀胱炎群でヒトミト コンドリアが多く検出された。(4) 次に、主座標分析に よる解析を行なった。次元圧縮のための手法で 、細菌叢を1つの生態系とみなし、生態系間の多様 性の違いであるβ多様性を視覚化する方法で、この分析においては、間質性膀胱 炎群においては、他群のサンプルと近距離でプロットさ れ、細菌叢の構成が類似していることがわかった。興味深いのは、腎がん患者の尿細菌叢は、コントロール、及 び他群と比較して、細菌叢の構成に多様性に富んでいる ことがわかった。<結論>カテーテル尿採取法により、安定した信頼性のあるデータを得ることができた。本カテーテル尿採取方を広め、本邦における尿細菌叢のメガデータバンクの完成を目指し、各種疾患との関連性に活かすことが期待される。腎癌患者の尿細菌叢は、症例数が少ないものの多様性に富んでおり、今後の検討課題となりうるものと考えられた。

  • 上南 静佳, 太田 光, 大槻 輝, 佐々木 礼一郎, 岩田 和実, 天ヶ瀬 紀久子
    セッションID: 42_1-LBS-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】抗がん剤の副作用の一種である腸炎の発生は、がん治療の変更や中断に加えて患者のQOL低下につながり臨床上の大きな問題となっている。5-フルオロウラシル (5-FU) は、腸炎を高頻度に引き起こす抗がん剤の一種で、使用患者の約50-80%に下痢を伴う腸炎が観察される。5-FUによる腸炎の病態には、細胞増殖抑制作用やアポトーシス、腸内細菌叢の変化などが報告されているが、未だ不明な部分が多く予防・治療法の確立に至っていない。グルタミン酸は食餌中に最も多く含まれる非必須アミノ酸で、消化管粘膜局所における機能の調節・維持に関与しており、種々の消化管障害に対する有用性が期待されている。本研究は、抗がん剤誘起性腸炎の病態解明を行い、新たな予防・治療のターゲットを提案することを目的に、5-FU誘起性腸炎におけるグルタミン酸の保護効果を検証した。

    【方法】雄性C57BL/6Nマウスを用いて5-FU (50 mg/kg, i.p.) を6日間連続投与した。グルタミン酸 (500 or 1000 mg/kg, p.o.) は5-FU投与開始7日前から1日2回投与を行った。5-FU投与期間中、体重および糞便の状態を経日的に測定し、5-FU最終投与24時間後に回腸を摘出し、絨毛および腺窩細胞数に対する影響を組織学的に解析した。また、小腸上皮細胞株IEC-6/Caco-2を用いて、5-FUおよびグルタミン酸の細胞毒性・上皮バリア機能に及ぼす影響を評価した。

    【結果・考察】5-FUは顕著な下痢を伴う体重減少を引き起こした。一方、グルタミン酸の7日間前投与は、5-FUによる体重減少および下痢の程度には影響を与えなかったが、5-FUによる小腸絨毛の短縮および腺窩構成細胞数の減少を有意に抑制した。5-FUはIEC-6およびCaco-2細胞において濃度および時間依存的に細胞増殖を抑制した。また、5-FUは経上皮電気抵抗値 (TEER) の低下およびタイトジャンクション関連因子のmRNA発現を低下させ、上皮バリア機能の破綻を引き起こした。一方、グルタミン酸は5-FUによるTEERの低下を有意に抑制した。

    【結論】グルタミン酸は5-FU誘起性腸炎に対して保護効果を示し、これには小腸上皮におけるバリア機能調節が関与するものと示唆された。上皮バリア機能の破綻は炎症性腸疾患をはじめとした様々な消化管病因に関与しており、今後これらに対する有益なターゲットの探索につながることが期待出来る。

  • 岡部 彩美, 李 賢, 武井 実根雄, 梶岡 俊一
    セッションID: 42_1-LBS-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】間質性膀胱炎と過活動膀胱の尿流動態検査結果の特徴を後ろ向きに検討した。【方法】水圧拡張術を施行され間質性膀胱炎と診断された女性患者44名(ハンナ型15名、非ハンナ型29名)と、尿流動態検査にて排尿筋過活動があり主病名が過活動膀胱と登録されている女性患者25名の尿流動態検査で、各主要項目について検討した。【結果・考察】ハンナ型間質性膀胱炎群と非ハンナ型間質性膀胱炎群と過活動膀胱群の3群で以下のパラメーターを比較した。1) 初発尿意は過活動膀胱群と比較し間質性膀胱炎群で有意に低下した。2) 最大尿意はハンナ型群のみ有意に低く、過活動膀胱群と非ハンナ型群では有意差を認めなかった。3) 膀胱容量はハンナ型群のみ有意に低く、過活動膀胱群と非ハンナ型群では有意差を認めなかった。4) 排尿量は過活動膀胱群、非ハンナ型群、ハンナ型群の順で有意に低下した。5) 平均尿流量率は過活動膀胱群と比較して間質性膀胱炎群で有意に低下した。6) 残尿量は3群間で有意差を認めなかった。7) 年齢と尿流動態検査の各種パラメーターを比較した。初発尿意に関して過活動膀胱群は年齢層が高く、年齢によるばらつきを認めた。しかし、ハンナ型群は年齢層が高いが、ばらつきなく低値であった。さらに、非ハンナ型群は年齢層(19歳-84歳 中央値56歳)が広いにも関わらず、ばらつきなく低値を示した。【結論】過活動膀胱群と間質性膀胱炎群の尿流動態検査の各種パラメーターの有意差を示せた。今後、年齢によらず初発尿意が間質性膀胱炎の診断の一助となる可能性がある。

  • 田中 敏博
    セッションID: 42_1-LBS-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【はじめに】ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)は、片頭痛に関連すると考えられているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するよう設計された新規作用機序のモノクローナル抗体である。片頭痛の予防を適応として2018年9月、米国において承認を取得し、本邦でも2021年4月に発売となった。

    【症例】15歳男児、中学3年生

    【既往歴】特記事項なし

    【家族歴】母、片頭痛

    【現病歴】以前より天候の影響を受けるなどして頭痛を訴えることがあり、登校できないこともあった。当科を受診し、頭痛対策としてアセトアミノフェンやロキソプロフェン、片頭痛としてバルプロ酸、起立性調節障害としてミドドリン等を順次服用したが、効果を認めなかった。中学3年生になり、春先は登校できていたが梅雨時期に入って状態が悪化。頭痛が続き、登校も運動もできなくなって、精神的な落ち込みが顕著となった。本人および保護者と相談し、ガルカネズマブを投与することとし、7月末に初回の2本を投与した。

    【経過】投与後数日して頭痛の軽減を自覚した。日々の調子がよくなり、自発的に身体を動かす意欲が出てきて、食欲も増進した。8月末、9月末と1本ずつ投与し、2学期からは登校ができてサッカーの練習にも参加、体育祭にも出場した。

    【結語】年長児の従来の治療薬に抵抗性の片頭痛に対して、ガルカネズマブの投与は選択肢となり得る。ただし、特に小児における長期的な有効性と安全性の評価に留意していかなくてはならない。

  • 井出 和希, 小柴 均
    セッションID: 42_3-LBS-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】未査読の学術論文を公開するための手段として、近年、医学・薬学領域においてもプレプリントの活用が進んでいる。一方、専門家による審査を経ていない論文が他の研究や社会に対して及ぼす影響については懸念も生じている。そこで、具体的な事例について検討し議論の基礎となる情報を供することを目的として、公開動向を調査すると共に事例を分析した。

    【方法】公開動向の調査対象期間は2020年1月から9月とした。プレプリントの公開媒体としては、arXiv、ChemRxiv、medRxiv、bioRxiv、Social Science Research Network(SSRN)、Preprints with The Lancet(SSRNの一部であるが、医学系研究に焦点を絞ったプラットフォームであるため区分した)を対象とし、時点ごとの累積公開数を算出した。併せて、現在までの期間に他の研究や社会に対して顕著な影響を及ぼしたと考えられる事例を抽出し、その具体的な内容を整理した。

    【結果・考察】1月末時点で39件、3月末時点で1,827件、6月末時点で10,010件、9月末時点で16,066件のプレプリントが公開されていた。公開件数は経時的に増加しており、新型コロナウイルス感染症の拡がりと共に迅速に知見を共有する目的で広く活用されたものと推察された。また、特徴的な事例として、初期にはYangらがmedRxivにおいて公開した中国における疫学情報についてのプレプリントが公開後に取り下げられた。一方、2021年9月末時点で修正稿は公開されていない。なお、同プレプリントはLancet姉妹紙等でも引用された。また、ElgazzarらがResearch Squareにおいて公開したイベルメクチンの作用に関する臨床研究の結果についても取り下げられ、現在も調査は進行中である。この成果については非専門家向けのメディアにおいても報道が為された。

    【結論】2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症に関連するプレプリントの公開件数は1万5000件以上に及んでいた。影響についても鑑みると、出版に係る規定の見直しや取扱いについてのステークホルダー間のコンセンサス形成が必要であると考えられた。

  • 土井 更良, 安部 賀央里, 頭金 正博
    セッションID: 42_3-LBS-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】

    薬物性肝障害(Drug-Induced Liver Injury; DILI)は、臨床試験中止及び市販後撤退の主な原因となっている。DILIの中には特異体質性薬物性肝障害(idiosyncratic DILI; iDILI)も多く、医薬品の開発段階において動物試験や臨床試験では発見することが難しい。そこで、DILIを予測する新たなアプローチの開発が求められている。本研究では、副作用の自発報告データベースを活用し、市販後の臨床現場におけるDILIに着目し、医薬品の構造情報からDILIを予測する機械学習モデルを構築することを目的とした。

    【方法】

    医薬品情報の抽出には、FDA Adverse Event Reporting System(FAERS)の1997年第4四半期2020年第2四半期までに報告されたデータを用いた。重複報告の削除、医薬品名の統一のため、一般財団法人日本医薬情報センターがFAERSをクリーニングしたJAPIC AERSを用いた。対象副作用は、MedDRA ver23.0の標準検索式の「薬剤に関する肝障害」とした。DILI陽性定義はシグナル検出法であるProportional Reporting Ratios法によりシグナルが検出された医薬品とした。DILI陰性定義はDILIの報告が1件も無い医薬品とした。陽性・陰性に該当する医薬品をJAPIC AERSから抽出し、予測モデル用のDILIデータセットを作成した。説明変数として、化学構造情報である分子記述子を使用した。分子記述子計算ソフトであるalvaDescにより2D記述子を算出し、分子記述子同士の相関係数が大きいものは削除した。機械学習のアルゴリズムの1つであるRandom Forest(RF)によってDILI予測モデルを構築した。

    【結果・考察】

    JAPIC AERS(陽性:447剤、陰性:207剤)を用いて、RFによる判別モデルを構築したところ、モデルの性能を示すArea Under the ROC Curve(ROC-AUC)は0.78程度であった。副作用自発報告データベースからシグナル検出によってDILI発症リスク陽性・陰性物質を抽出し、機械学習による判別モデルを構築する手法は、医薬品の化学構造情報のみから効率的にDILIの予測を行うことができると示唆された。

    【結論】

    今回の研究では、副作用自発報告データベースと機械学習を活用することで、DILIの予測の新たなアプローチへの可能性が確認できた。本手法は医薬品開発のスクリーニングや臨床現場における薬物性肝障害の起因薬同定などへの活用が期待される。

  • 島田 裕脩, 頭金 正博
    セッションID: 42_3-LBS-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】メトトレキサート(MTX)は、関節リウマチ(RA)の治療において第一選択薬であり、RA治療におけるMTXの位置づけは高い。経口剤に加え、2013年頃から米国・欧州で使用が開始されたMTXの皮下注射剤は生物学的利用能が高く、経口投与で効果不十分なRA患者において治療効果が報告されており、より有効性が高いとされている。しかし、稀に発生する有害事象について投与経路が異なる2剤を多数の被験者で比較した報告はない。そこで、FDAの構築する有害事象データベース(FAERS)を用いて、多数の患者を対象としてMTXの投与経路ごとの安全性情報について比較・検討を行った。【方法】本研究ではFAERSをデータクリーニングしたJAPIC AERSを用いた。2013年第1四半期から2020年第2四半期までのデータの中で、第一被疑薬として報告されている薬剤の有害事象について解析を行った。MTXの経口投与と皮下注射の投与経路ごとに、注目する有害事象についてPRRを指標としてシグナル探索を行った。対象の有害事象は感染症(敗血症、感染性肺炎)、肝酵素異常、骨髄抑制、口腔咽頭の異常とした。また、患者の疾患活動性を考慮し、生物学的製剤(bDMARDs)の併用の有無で層別化し解析を行った。【結果・考察】MTXにより有害事象が発生した患者のデータは、アメリカ、カナダからの報告が大半を占め、投与経路が異なる2剤で患者背景を比較したところ、年齢・性別で有意な差は見られず、50-70歳の報告が多く、男女比はいずれの群でも3:7であった。投与量の中央値(四分位範囲)は、経口投与群で15(10-20)mg、皮下投与群で20(15-25)mgと、皮下投与群で有意に高かった。経口投与群においてシグナルが見られたのは、敗血症、肝酵素異常、骨髄抑制であった。一方、皮下投与群では、肝酵素異常のみでシグナルが見られた。bDMARDsの併用の有無で層別化したところ、MTX単剤皮下投与群でのみ骨髄抑制のシグナルが見られた。【結論】皮下投与群は、経口投与群と比較し高用量の投与にも関わらず、MTXによる重篤な有害事象である感染症や骨髄抑制等のシグナルは検出されず、相対的に安全性が高いことが示唆された。しかし、bDMARDsの併用の有無で層別した解析によると、MTX単剤皮下投与群においても高用量投与時には、骨髄抑制の有害事象には注意が必要と示唆された。以上のことに留意し、MTXの皮下注射製剤を使用していくことがMTXの適正使用にとって重要と考えられる。

  • 百 賢二, 金 正興, 伊藤 綾花, 星 茜, 内倉 健, 佐々木 忠徳
    セッションID: 42_3-LBS-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    一般に、血中濃度測定のための専用機器は高額であり、病院の規模によっては薬剤部門や検査部門に設置することが難しいことも少なくない。そのような場合、外部の検体測定会社へ血中濃度の測定を依頼するものの、結果が得られるまでに数日程度要し、特に急性期の患者においては臨床的に当該測定値を利用することが困難である。今回、臨床における簡便な薬物血中濃度測定を目的として開発された装置(LM1010、日立ハイテクサイエンス)を薬剤部門に導入したので、専用試薬の安定性および測定の精度について評価を行った。

    【方法】

    評価には、ボリコナゾールの血中濃度測定の際に使用する専用試薬(Quality control:QC、Standard:STD)およびボリコナゾール添加血清(2μg/mL)を用いた。安定性評価は、専用試薬開封後の4℃保存条件で経時的に8週間、試薬の含量を評価した。測定精度は、ボリコナゾール添加血清を用い、2施設間の測定誤差について評価するとともに、Therapeutic Drug monitoring業務未経験の薬剤師(n=5)を対象として評価した。

    【結果】

    QC(n=1)およびSTD(n=1)は、4℃で保管したところ、開封から8週間安定であった。また、ボリコナゾール添加血清(n=5)を2施設で測定したところそれぞれ1.9±0.1μg/mLおよび2.0±0.1μg/mLであった。薬物血中濃度測定業務未経験の薬剤師を対象とし、10分間のレクチャーの後、ボリコナゾール添加血清を用いた濃度測定を行ったところ、2.0±0.3μg/mLであった。

    【考察】

    本研究では、薬物血中濃度測定のための専用機器(LM1010)に関し、専用試薬開封後の安定性評価および測定精度について評価を行った。その結果、どちらも十分な安定性ならびに精度であることを明らかにした。以上より、本測定機器は、簡便に臨床業務に導入できる可能性が示唆された。

  • 宮崎 敦, 溝口 佳代, 古川 さとみ, 只野 茉莉子, 長友 篤志, 中山 佳郎, 草葉 一友, 大座 紀子
    セッションID: 42_3-LBS-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
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    【目的】佐賀県医療センター好生館(以下、「当館」という。)は佐賀県の第一種及び第二種感染症指定医療機関であり、COVID-19の治療にも対応している。治験の直接閲覧のため当館が定めている流行地より来館する場合、来館前3日以内のPCR検査結果(証明書の写し等)を当日持参してもらい当館の担当職員が結果を確認する等感染対策を講じている。しかし、感染の拡大等により訪問での閲覧が難しいと判断される場合もあった。また、「臨床研究・治験活性化5か年計画 2012」において、短期的目標としてリモートSDVの推進が示されていることもあり、当館既存のシステムの応用による治験への導入を検討した。【方法】治験依頼者には、仮想カルテ端末にログイン可能な院外用(リモートアクセス用)タブレット端末(以下、「貸与機器」という。)を当館より宅配便の「セキュリティーサービス」を利用し提供する。治験依頼者は社内Wi-Fi(Free-Wi-Fi不可)にてインターネット接続する。貸与機器とVPN装置との通信はSSL-VPNによる暗号化通信を行う。治験依頼者は貸与機器を用いて仮想カルテ端末にログインし、電子カルテを利用する。閲覧できる患者は当該治験の被験者のみとした。【結果・考察】SSL-VPNによる通信の暗号化で安全に通信を行うことができるが、ウイルス対策などを確実に行う必要がある。機器の貸与については治験依頼者と契約を締結している。貸与機器使用の際は権限を有する者以外が閲覧できない社内の個室で閲覧することとし、事前に治験依頼者の手順書により実施方法の安全性等を確認している。貸与機器のID・パスワードの情報は事前に通知する。ログインはワンタイムパスワード(以下、「OTP」という。)との二要素認証とし、閲覧申込時間外はログインできない手順とした。OTPはOTPトークン(一度限り有効なパスワードを表示するカード)に表示される。モニターは直接閲覧申込時間内に当館職員に電話しOTP発行を依頼する。セキュリティには十分注意しているが、今後はWEB会議システムを用いての本人確認等も必要になる可能性もある。【結論】SSL-VPNによる通信とリモートSDV用タブレット端末の二要素認証により、リモートSDVは安全に実施できると考えられる。ただし、貸与機器の貸出先のセキュリティ確保の確認方法についてはさらなる検討が必要である。

  • 関根 智美, 前田 実花, 志村 国広, 石川 俊広, 厚田 幸一郎, 石倉 健司, 高相 晶士
    セッションID: 42_3-LBS-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】北里大学病院(当院) HRP(Human Research Protections)室は、病院長を中心とした臨床研究(研究)管理体制の強化を目的に2019年に新設された。この度制定された「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(指針)では、多機関共同研究に係る研究計画書については、原則として一の倫理審査委員会による一括した審査を求めており、このような審査を受けた研究について適切かつ合理的に許可手続きを行い、また実施される研究を管理する仕組みが必要とされた。今回、他機関の認定臨床研究審査委員会(CRB)・倫理委員会(EC)において承認を受けた研究の実施許可手続き等を検討し、体制の整備を試みたのでその内容を報告する。

    【方法】1.「臨床研究法」(法)及び指針に基づく研究の実施許可と管理に必要となる情報等を調査した。2.1の結果に基づき必要となる手続きを整備した。

    【結果・考察】研究の実施許可の判断と管理に必要となる資料・情報は、CRB・ECに提出された書類、CRB・ECの審査結果、審査過程のわかる記録、委員の出欠状況、当院の研究実施体制、当院での実施予定症例数、実施症例数であった。

    実施許可申請の窓口はHRP室とした。法に従う研究は、当該研究を当院で適切に実施できる体制がとられているかを中心に、病院長のもと設置された臨床研究ガバナンス委員会(委員会)にて確認し、実施の可否を判断することとした。委員会は病院長、副院長(教育・研究・倫理担当)と病院長補佐(臨床研究・新規医療担当)、研究支援部門の長、研究倫理審査部門の長、事務部長、薬剤部長、その他病院長が指名する者で構成した。管理的事項として予め取り決めた事項の変更等はHRP室員が病院長より権限移譲を受け、HRP室員の確認で許可できることとした。指針に従う研究は、病院長及び副院長と病院長補佐の確認のもと、必要に応じ委員会に諮ることとした。手続きに用いる書式は厚生労働省から示された法の統一書式及び当院のECの書式を基に準備した。

    現在は紙ベースの運用であるが、即時的かつ確実な管理に向け、電磁的な研究管理データベースが必要とされた。このため、一元的な研究の管理を可能とするWebの申請・実施許可システムの構築をすすめている。

    【結論】法と指針に従った病院長による実施許可の体制を整えた。今後も更に病院長を中心とした適切な研究管理体制の整備を進める。

  • 今村 寿宏
    セッションID: 42_3-LBS-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/14
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】保存療法に抵抗性がある腰椎椎間板ヘルニアにおける観血的治療として全身麻酔下で内視鏡下椎間板後方摘出術 (MED法)を行ってきた。MED法では術後早期に鎮痛薬が不要になることが多い。2018年より局所麻酔下でコンドリアーゼ(ヘルニコアR)を用いた椎間板内酵素注入療法が保険診療上、可能となり当院でも2019年から適応に対し施行してきた。本研究の目的は腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素治療前後における疼痛の推移、鎮痛剤使用状況について調査、検討することである。

    【方法】2019年9月から2021年9月まで保存療法抵抗性の腰椎椎間板ヘルニアに対し当院で椎間板内酵素注入療法を施行した11例を対象とした。調査項目として罹患高位、術前、術後1週、4週時の疼痛に対しNumeric Rating Scale (NRS)、Denis Pain Scale (DPS)、鎮痛剤使用状況を評価した。

    【結果・考察】罹患高位L2/3: 2例、L3/4: 2例、L4/5: 6、L5/S1: 1(外側ヘルニア2例を含む)、平均NRS(腰痛: 術前、術後1週、4週/下肢痛: 術前、術後1週、4週)(腰痛: 4.8、2.6、2.7/下肢痛: 8.1、2.8、3.5)、DPS (術前 4.8、術後1週 3.2、4週 2.9)であった。術後1週以内に鎮痛薬を中止可能は1例、術後4週時において鎮痛薬が常時必要であったのは3例であった。鎮痛薬使用状況(併用含む)は術前、オピオイド5例、NSAIDs5例、Gabapentinoid 9例で、術後4週時はオピオイド3例、NSAIDs4例、Gabapentinoid 4例であった。またコンドリアーゼに因るアナフィラキシー反応と考えられた症例を1例認めたが非重篤であった。

    【結論】椎間板酵素注入は疼痛緩和には優れているものの術前に内服されていた鎮痛薬を術後4週時に中止できていたのは1例であり、残存する腰痛や下肢痛が鎮痛薬継続の原因であった。

    【参考文献】

    岩田久:コンドロイチナーゼABC chemonucleolysis-molecular surgeryの可能性. 医学のあゆみ 144: 807, 1988

    千葉一裕、松山幸弘、岩田久 腰椎椎間板ヘルニアに対する新たな化学的髄核融解術 コンドリアーゼとその適正使用 脊椎脊髄 32(12):1057-1063, 2019

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