公益事業研究
Online ISSN : 2759-0011
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研究論文
  • 新井 海斗
    2025 年77 巻1 号 p. 15-26
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/02/03
    ジャーナル フリー

    本稿では、PPPの導入が公立病院の効率性に与える影響を分析している。公立病院は地域医療の基幹的役割を果たす一方で、自治体の財政を圧迫しており、公共の福祉と経済性の調和を図ることが求められている。先行研究では公立病院の技術効率性を測定するためにDEAが用いられることが多いが、PPPの導入が効率性に及ぼす影響について研究したものは国内においてはなく、国外においてもサンプルサイズが少ないなど検証の余地がある。本研究では、400の公立病院を対象にDEAを用いて技術効率性を測定し、その後、PPP導入病院とPPP非導入病院の効率性を分析した。さらに、Tobitモデルを用いた実証分析を行った。その結果、PPP導入病院の効率性がPPP非導入病院よりも高いことが明らかとなった。

研究ノート
  • —仙台市と大津市の事例から—
    原田 峻平, 爲近 英恵
    2025 年77 巻1 号 p. 27-39
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/02/03
    ジャーナル フリー

    公営都市ガス事業者は、近年その民間譲渡などが相次いでいる。本稿は、公営都市ガス事業者の事業運営のあり方について、その規模が第1位の仙台市と第2位の大津市の事例分析を行った。仙台市では一旦は民間譲渡を選択したが、入札において最優秀提案者なしとされて公営が継続している。大津市では、コンセッション方式が採用され、大阪ガスを中心とするグループによる運営が開始されている。両事例について公表資料の分析やヒアリング調査を実施し、民間譲渡とコンセッション方式のメリットや課題について明らかにした。両事例の比較から抽出された論点として、資産評価に伴う情報の非対称性、入札の競争性、地域の市場環境、行政内の組織配置、人手不足への対応といった複数の観点を取り上げた。その考察から、公営都市ガス事業の今後の事業運営の望ましいあり方について単一の回答が得られるわけではなく、地域の実情に合わせた官民の役割分担を検討する必要があることを指摘した。

  • 佐藤 佳邦
    2025 年77 巻1 号 p. 41-52
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/02/03
    ジャーナル フリー

    本稿は、原子力発電所の運転差止めを求める民事差止訴訟において、裁判所が原子力発電の公益性をどのように位置づけてきたかを検討する。過去の裁判例を差止めの判断基準から整理すると、(1)具体的危険性の有無を基準とする裁判例(例:平成26年大飯一審判決)、(2)受忍限度超過を差止めの要件とし、その枠内で公益性を考慮する裁判例(例:平成18年志賀一審判決)、(3)差止めの他に代替手段がないことを要求する裁判例(平成30年大飯控訴審判決)に分類できる。このうち(1)と(3)の裁判例は一般的な民事差止訴訟の判例と乖離しているほか、(1)の裁判例は民事訴訟の規範としては妥当ではなく、(3)の裁判例も差止めの要件を過度に高くしている。他方で公益性の主張については、その主張立証責任の所在の問題に加えて、そもそも裁判所はそれを判断する者として適切かといった問題も指摘できる。そして原子力発電の是非といった問題は民事訴訟になじまず、本来的には政治選択に委ねられるべきものであり、政治選択の結果を裁判所は公益性として考慮すべきである。

業界通信
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