医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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12 巻, 3 号
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原著
  • 宮沢 直幹, 石田 晃代, 有賀 康城, 川名 一朗
    2017 年12 巻3 号 p. 259-
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比し,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は筋弛緩作用が少なく,転倒・転落が少ないとの報告がある.睡眠薬常用の場合,転倒予防として非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が予め選択されている場合も多く,正確な評価が難しい. 方法:入院中の不眠時必要時指示による睡眠薬頓用内服に注目し,転倒・転落との関連性について検討した. 結果:2015年4月から2016年3月までの1年間,延入院患者数は164,320人,転倒・転落件数は318件(男性181件,女性137件),平均年齢は77.3±12.1[SD]歳であった.必要時指示による主な睡眠薬頓用内服はゾルピデム2,614件,エスゾピクロン646件,ブロチゾラム571件であった.転倒・転落前に必要時指示で睡眠薬を頓用内服しており,関連性が疑われたのはゾルピデム9件(全ゾルピデム頓用内服の0.34%),エスゾピクロン1件(0.15%),ブロチゾラム3件(0.53%)であった. 結論:他の報告と同様に睡眠薬との関連性が疑われた転倒・転落はベンゾジアゼピン系のブロチゾラムより非ベンゾジアゼピン系のゾルピデム,エスゾピクロンの方が少ない傾向にあった.エスゾピクロンは多数使用されているにもかかわらず転倒・転落事例は極めて少なく,必要時指示での有用性が示唆された.
  • 重森 雅嘉
    2017 年12 巻3 号 p. 263-
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:処方箋などの文字の見間違いが重大な事故を引き起こす場合がある.このような文字の見間違いは,思い込みにより作られる可能性がある.なぜなら,人は,同じパターンを繰り返し経験すると以後も同様のパターンが出現するという思い込みを持ちやすいからである.そこで,本研究は,繰り返し経験により作られた思い込みが文字の見間違いを誘発するという仮説を検証することを目的とした. 方法:パーセントがつけられた10個の手書き数字を書き写す実験を2つ行った.実験はそれぞれ2つの条件を含むものであった.すべての条件を通じて7番目の数字は同じものであり,これをターゲットとした.ターゲットは「%」の左側の丸が大きく書かれており,「0」と見誤りやすいものであった.このため,本当は「5%」であったが「50%」と見間違いやすくなっていた.実験1では,ターゲット以外の数字が2桁である条件とすべて1桁である条件を実施した.実験2では2桁と1桁を半分ずつ混ぜた条件(混合条件)を2つ用意した.これら2つは,ターゲットの直前が2桁であるか,1桁である点が異なった. 結果:ターゲットの見間違いは,実験1では1桁条件よりも2桁条件の参加者が多く,また実験2のいずれの混合条件よりも実験1の2桁条件の参加者が多く,1桁条件の参加者が少なかった. 結論:これらの結果により,対象の紛らわしさだけでなく,繰り返し経験により作られた思い込みが見間違いの発生率を高めることが分かった.
  • 鳥羽 三佳代, 森脇 睦子, 横内 清子, 尾林 聡, 伏見 清秀
    2017 年12 巻3 号 p. 270-
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:診療報酬情報を用いて有害事象を抽出し,他のデータを統合して事例を検出するモニタリング手法を開発することを目的として検討を行った.対象事例は,転倒・転落に起因する骨折と頭蓋内出血とした. 方法:2012年4月1日以降に当院に入院し2015年12月31日までに退院した患者64,832人を対象として,以下3つの方法で症例検出を試みた.第1法:入院翌日以降に骨折および頭蓋内出血のレセプト病名がついている症例を収集することで,診療報酬情報のみで症例を検出.第2法:第1法で収集された症例の診療録調査を実施し,事例を検出.第3法:第2法とインシデントレポート提出事例を統合して検出. 結果:各法で検出された症例数は,第1法:313人,324人,第2法:21人,11人,第3法: 24人,11人で,第3法により検出された件数を全数と仮定すると,第1法の感度・特異度・陽性的中率は骨折が87.5%,99.5%,6.7%,頭蓋内出血が100%,99.5%,3.4%であり,診療録調査を実施して症例を検出する第2法を実施すると,特異度と陽性的中率は100%となった. 考察:診療報酬情報で症例を絞り込み,診療録調査で当該事象を検出し,その結果をインシデントレポートと統合する方法は有害事象のモニタリングに応用可能な手法の一つである.
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