目的:ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比し,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は筋弛緩作用が少なく,転倒・転落が少ないとの報告がある.睡眠薬常用の場合,転倒予防として非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が予め選択されている場合も多く,正確な評価が難しい.
方法:入院中の不眠時必要時指示による睡眠薬頓用内服に注目し,転倒・転落との関連性について検討した.
結果:2015年4月から2016年3月までの1年間,延入院患者数は164,320人,転倒・転落件数は318件(男性181件,女性137件),平均年齢は77.3±12.1[SD]歳であった.必要時指示による主な睡眠薬頓用内服はゾルピデム2,614件,エスゾピクロン646件,ブロチゾラム571件であった.転倒・転落前に必要時指示で睡眠薬を頓用内服しており,関連性が疑われたのはゾルピデム9件(全ゾルピデム頓用内服の0.34%),エスゾピクロン1件(0.15%),ブロチゾラム3件(0.53%)であった.
結論:他の報告と同様に睡眠薬との関連性が疑われた転倒・転落はベンゾジアゼピン系のブロチゾラムより非ベンゾジアゼピン系のゾルピデム,エスゾピクロンの方が少ない傾向にあった.エスゾピクロンは多数使用されているにもかかわらず転倒・転落事例は極めて少なく,必要時指示での有用性が示唆された.
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