医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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16 巻, 2 号
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原著
  • 瀬戸 加奈子, 畠山 洋輔, 鮎澤 純子, 藤田 茂, 平尾 智広, 北澤 健文, 飯田 修平, 永井 庸次, 嶋森 好子, 長谷川 友紀
    2021 年16 巻2 号 p. 131-144
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/07
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では,医療安全の分野におけるe-learningを用いた教育の現状について,教育内容,教育対象者等の特徴を検討し,その位置づけを明らかにすることを目的とした. 対象と方法:医学文献のデータベースであるPubMedを用いたシステマティックレビューを行い,119文献を採用した. 結果:文献数は,年々増加し(p=0.01),システマティックレビュー又はメタアナリシスの文献が2010年以降増えていた.教育対象者は,医師,看護職で約半数を占めた.教育目標は,知識,技術に加え,2015年以降は医療安全文化など態度を目標にするものが散見された. 結論:公表文献の調査は必ずしも教育現場の状況を直接示すものではないが,医療安全に関する関心の増加,e-learning手法の普及により,医療安全教育においてe-learningを用いた教育は増加傾向にあり,その教育対象者も医師・看護師,医学生・看護学生など幅広くなりつつあることが窺えた.教育効果の検証では,実際の医療安全の寄与について有害事象やエラーの件数などのアウトカムを用いた評価を可能にする仕組みづくりの検討が今後の課題であると考えられた.
報告
  • 上間 あおい, 中島 和江, 高橋 りょう子, 清水 健太郎, 三谷 朋, 北村 温美, 長浜 宗敏, 田中 宏明
    2021 年16 巻2 号 p. 145-153
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/07
    ジャーナル フリー
    大阪大学医学部附属病院は,BMJグループとの契約により“International Forum on Quality & Safety in Healthcare, Remote Participation Program”(国際医療の質・安全学会遠隔地参加プログラム)を,5年間,計5回にわたり日本国内で開催し,延べ1,552名の参加者に対して海外の演者による講演を日本語で紹介,解説した.参加者アンケートの結果によると,講演や教材の評価は概ね肯定的であり,継続的な参加を希望する者も多かった.国際学会の現地参加には,言語の壁や時間的,経済的な負担が存在する.このため,海外の貴重な学術情報を身近に得られる本プログラムには一定の意義がある.一方で,企画のコンセプトを明確に打ち出し,幅広く医療の質・安全に関係する領域から核となるテーマを継続的に紹介していくためには,多様な視点からの検討が必要である.将来的には,学術団体の国際委員会等が中心となり,専門家が連携することで同様の機会を拡大,発展させていくことが必要である.
  • 鈴木 千波, 久保 淳一, 高木 明彦, 髙取 士剛, 水谷 彰史, 佐藤 裕資, 森田 眞樹子, 佐藤 公人
    2021 年16 巻2 号 p. 154-159
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/07
    ジャーナル フリー
    JA北海道厚生連遠軽厚生病院は院内処方から院外処方への移行にあたり疑義照会簡素化プロトコールを作成した.そこで,移行前の処方内容からプロトコールの効果を検討した.2018年1月から3月までの患者数は12,861名,年齢は59.5±24.7歳,そのうち65歳以上の割合は55.6%であった.また,処方件数は28,052件,平均剤数は3.2±2.6剤であった.疑義照会対象の処方件数は4,020件であった.模擬疑義照会にて要した時間は75.4±20.5秒/件,疑義照会対象の4,020件に換算すると3ヶ月で約84.1時間であった.プロトコールの運用は院外処方への移行により想定された疑義照会を効率的に実施することを可能とし,医師の業務負担の軽減,保険薬局での患者待ち時間軽減に一定の効果が示された可能性があった.今後もプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)を活用しながら地域の医療スタッフが連携をもち患者薬物治療に関わっていくことが重要であると考えられる.
  • 鳥谷部 真一, 戸田 由美子, 田口 由美子, 松村 由美, 長島 久, 小松 康宏, 相馬 孝博
    2021 年16 巻2 号 p. 160-169
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/07
    ジャーナル フリー
    目的:国立大学附属病院医療安全管理協議会教育委員会は,国立大学の医療系学生の2018年度の医療安全教育の実態を明らかにするために,全国の国立大学を対象にアンケート調査を行った. 方法:全国の国立大学医学部附属病院の医療安全管理部門に調査票を送付し,各大学に調査への協力を依頼した.調査結果を2011年度の調査結果と比較するとともに,学部・学科(医学科生,看護学生,歯学部生)間で比較した. 結果:46大学に送付し,34大学から回答を得た(回収率73.9%).授業時間および授業内容は大学間で大きく異なっており,大学間で標準化が進んでいない現状がうかがえた.授業形態は各学部・学科とも,実習が10~30%程度であり,講義を主体としていた.学部・学科間で,授業時間や授業内容には差異があった.全体としてみると,WHO患者安全カリキュラムガイドの11トピック(WHO項目)のうち授業で取り上げられていたのは中央値で7項目,日本特有の10項目(Japan項目)のうち中央値で4項目だった.病院の医療安全管理部門が関与する授業は全体の半数以下だった.以上の結果は2011年の前回調査から大きな変化はなかった. 結論:国立大学における医療安全教育は量も内容も十分とは言えず,大学間で大きな差異があった.こうした状況は2011年から大きな変化はなかった.WHO項目とJapan項目は日本における医療安全教育では必須の学習項目であると考えられるが,授業で取り上げられていない項目が存在した.各項目の教育内容を具体化・明確化する必要があり,そのためには,モデル・コア・カリキュラム策定に医療安全の専門家が参画すべきと考えられた.
学術集会報告
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