医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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ISSN-L : 1881-3658
18 巻, 4 号
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原著
  • 篠原 直樹, 五十野 博基, 近藤 恵美子, 細川 克美, 田渕 典子, 石川 賀代, 小坂 泰二郎, 市田 未奈美, 政次 希容子
    2023 年18 巻4 号 p. 391-398
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
    目的:入院患者の転倒・転落のリスクマネジメントが医療現場の重要課題の一つとなっている.Coroban®は看護記録を人工知能が解析することで効率的な転倒・転落リスクの算出・把握が可能なツールとして開発された.本研究は,入院患者に対するCoroban®の転倒・転落予測精度を評価することを目的として計画した.
    対象と方法:2020年4月から2021年1月にHITO病院に入院した患者の転倒・転落アセスメントシート、インシデントレポート及びCoroban®の転倒・転落予測データを一括で抽出し,転倒・転落インシデント発生率,Coroban®及び転倒・転落アセスメントシートの転倒・転落予測精度(感度,特異度及び発報率)を算出した.
    結果:転倒・転落インシデント発生率は4.54‰であった .Coroban®及び転倒・転落アセスメントシートの感度は56%及び99%,特異度は70%及び7%であった.また,アラート発報の設定を,重症度3b以上のインシデントを80%捕捉する値(0.329)に変更した際の感度及び特異度は82%及び49%であった.
    結論:Coroban®は従来の転倒・転落アセスメントシートに比較して転倒・転落インシデント予測の特異度が高く,毎日の看護記録を AI が解析し転倒・転落リスクを表示するため、効率的なリスク算出や把握が可能となり、医療従事者の負担軽減にも寄与する可能性があることが示唆された.
  • 高山 智子, 齋藤 弓子, 奥野 順子, 花出 正美, 髙橋 朋子, 小郷 祐子, 若尾 文彦
    2023 年18 巻4 号 p. 399-413
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
    背景:診療ガイドラインは,患者らに適切に現在の標準治療を伝える重要なツールの一つとして,がん相談の場でも活用されることが期待されているが,その活用実態はわかっていない.本研究では,がん相談支援センターの相談員を対象に,診療ガイドラインの利用状況(利用種類数と利用意向場面の数)を明らかにし,活用促進の方策を検討することを目的とした.
    方法:2022年4月に相談員に対して,医療者向け診療ガイドライン25種類,患者向け診療ガイド8種類の利用状況を尋ねるオンライン調査を実施した.730名より回答が得られ,診療ガイドラインの利用状況と職種や研修受講を含む背景要因との関連を分析した.
    結果:医療者向け診療ガイドラインおよび患者向けガイドの利用種類数は,それぞれ平均7.2種/ 3.6種であっ た.利用意向場面は,自身の勉強や相談者への説明時の利用など提示した5場面中3つ以上で利用したい者は6割を超えていた.また診療ガイドラインの利用種類数には,相談員の従事形態や職種,相談対応の経験や件数が関連しており,研修受講は有意に診療ガイドラインの利用を高めていた.
    考察:相談員の診療ガイドラインの利用種類数は少ないが利用意向は高く,今後の活用が期待された.また診療ガイドラインの利用状況と研修受講の関連が示され,相談員に対する研修を通じて,診療ガイドラインの活用を促進し,標準治療の情報を活用する知識やスキルの向上につながると考えられた.
報告
  • 境 浩康, 熊田 恵介, 佐野 美佳, 飯原 大稔, 清水 雅仁
    2023 年18 巻4 号 p. 414-419
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
    当院では合併症に特化した報告手段がなく,全てインシデントとして報告を求めていたが,不可避な出来事としての合併症を過失的なイメージのあるインシデントとして報告することに抵抗があると現場の医師からは意見が寄せられていた.そこで,医師が抵抗を感じることなく報告できるよう合併症報告の導入を検討し,2021年5月6日よりその運用を開始した.運用開始前1年間と比較して,総報告数に占める合併症報告の割合や,全職種に占める医師の報告割合は増加を認めた.身体的影響レベル3b以上の合併症を必須の報告対象としたため3bや4bの事例が増加したが,レベル2や3aの事例についても増加を認めた.また,心臓血管外科や脳神経外科を含む8診療科から新たに報告を認めた.運用開始後,医師から自主的な報告が増加しており,合併症報告は医師の報告意識の醸成に寄与したと考えられた.
  • 深見 達弥, 北野 文将, 近本 亮, 生野 芳博, 林 達哉, 中村 京太, 大德 和之, 小林 和幸, 大友 千賀, 小沼 利光, 前田 ...
    2023 年18 巻4 号 p. 420-427
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
    2015年の医療法の改正により,死亡事例を全例把握することが特定機能病院承認要件の一つとなった.死亡事例の確認内容や把握後の判断プロセスについては各病院に任されているのが現状である.国立大学附属病院医療安全管理協議会に参加している大学病院において全死亡事例把握の現状と標準化を行う上での問題点などについて調査するためアンケートを行った.それぞれの病院で死亡事例への取り組み方は異なっており,現時点での画一的な標準化は困難と考えられる.しかし,他の病院がどのような取り組みを行っているのかを共有することにより,死亡事例把握の質向上につながるものと考えた.
  • 勝又 純俊, 岩上 悦子, 奥田 貴久
    2023 年18 巻4 号 p. 428-434
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
    保健師・助産師・看護師は,罰金以上の刑に処せられたり,その業務に関し犯罪または不正行為があったりすると,保健師助産師看護師法によって,戒告,3年以内の業務停止,免許取消,いずれかの行政処分を受けることになる.2001年度から2020年度までの20年間でのべ404名(保健師31名,助産師3名,保健師助産師両方の資格者1名,看護師364名)が処分されており,年平均20.2名であった.5名の看護師が2回処分を受けていた.処分理由別・処分内容別では,交通事犯,詐欺・窃盗,医療事故を理由とする処分が多く,この3つの理由で全処分の過半数を占めていた.交通事犯の多くと医療過誤を理由とする処分は業務停止6月以下に留まっていたが,詐欺・窃盗に対しては重い処分になっていた.さらに,殺人・傷害や性犯罪では免許取消処分が多かった.
    刑事処分を反映し,過失による事故に対する行政処分の業務停止期間は短めに,故意犯に対する処分は厳しいものとされていると考えられた.
短報
患者安全サミット報告
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