医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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ISSN-L : 1881-3658
18 巻, 1 号
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原著
  • 宇野 美雪, 樋口 翔平, 八田 聡美, 木下 一之, 法木 左近, 後藤 伸之, 内木 宏延, 稲井 邦博
    2023 年18 巻1 号 p. 3-16
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー
    目的:医療関連死の端緒は死のプロセスの「重大な転帰や併存症(=介在死因)」と想定されるが,病理解剖が激減している現在,医療関連死調査の大半は臨床情報からの推定に留まっている.そこで,病理解剖知見を医療安全活動で共有する目的で,介在死因に着目したデータベースを作成し,介在死因に影響を与えた医療行為の特徴を解析した.

    対象と方法:1991年1月~2020年12月に本学分子病理学講座で施行された病理解剖症例から,肝胆膵領域疾患107例の原死因,介在死因,直接死因を抽出してデータベースを作成後,10年ごとの3期に分けて,医療安全に関係する介在死因の特徴を検討した.

    結果:医療安全に関連する介在死因はⅠ期2/41例,Ⅱ期1/18例,Ⅲ期11/48例に含まれ,Ⅰ期に対しⅢ期は有意に増加した(p<0.05).内訳もⅠ~Ⅱ期のCVカテーテル,胸腔ドレーンの2項目から,Ⅲ期にはCVポート,胸水穿刺,肝生検,腎瘻造設,放射線肝障害,薬剤に起因する肺障害や免疫抑制状態など多岐に亘っていた.また,感染症の項目もⅠ期9例,Ⅱ期0例,Ⅲ期19例と,Ⅱ,Ⅲ期の間で有意に増加していた(p<0.01).

    結論:病理解剖結果に医療安全活動の浸透を推定させる死因データの充実が図られており,死因データベースの充実を進めると,類似症例検索などに寄与する,医療関連死の解析に繋がる介在死因知見の共有と利活用が期待される.
報告
  • 中村 智海, 清水 明子, 鮎澤 純子
    2023 年18 巻1 号 p. 17-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー
    non-technical skills(NTS)は,ヒューマンファクターによるエラーを減じるための手法として病院等の臨床現場で向上の取り組みが進んでいるが,保険薬局においては進んでおらず,保険薬局とNTSに関連する研究も少ない.そこで本研究では保険薬局におけるインシデントとNTSの関連を調査した.株式会社K社において,2019年10月から2020年9月の間に本部に提出されたインシデント67件を2名の評価者で分析した結果,8割以上にNTSが関連することが示された.評価の一致性はκ統計量により判定し,中等度の一致を得た.さらにNTSが関連したインシデントをFlinらのNTSカテゴリーに基づき分類した結果,上位3項目の状況認識,意思決定,リーダーシップが全体の7割以上を占めた.本研究により保険薬局におけるインシデントとNTSには関連があることが示唆された.今後は保険薬局の業態に合わせたNTSのフレームワークや体系的教育プログラムの検討・開発が求められる.
  • 増田 博也, 合田 さやか, 澤口 友紀, 大荒 政志, 鹿沼 奈央, 川村 大輔, 坂本 真衣, 吉川 真央, 井上 萌, 久岡 清子
    2023 年18 巻1 号 p. 26-33
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー
    育和会記念病院薬剤部では,保険薬局と同様に他の医療・介護施設と施設間情報提供書を用いて薬剤・患者情報を共有している.病院薬剤師と他の医療・介護施設の情報共有において,情報提供書の有用性や必要とされる情報内容を示した報告は少ない.そこで我々は他の医療・介護施設へ交付した施設間情報提供書の有用性評価を行った.2017年10月~2020年9月に入院中に処方変更されたなど,情報提供の必要な患者を対象に,保険薬局又は他の医療・介護施設へ返書付き施設間情報提供書を233件交付した.返書を131件回収し,返書に追加した施設間情報提供書に関するアンケート調査を集計した.その結果,8割以上の医療・介護施設が施設間情報提供書を役に立ったと評価した.他の医療・介護施設へ交付した施設間情報提供書は,役に立ったと評価されていることが確認された.病院薬剤師は安全な薬物治療を支援するために,他の医療・介護施設へ積極的な情報提供が求められる.
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