本稿は二つの部分から成っている。第一点 (前半) は、都市の機能分析に新しく「機関的方法」を導入し、行政機関の質と量をソシオメトリックな方法で処理したスケールによる我国都市の行政機能の測定、第二点 (後半) は、行政機能の測定結果が包蔵する社会学的問題性に触れている。
第一点では、「機関的方法」による都市機能の測定が可能であること、第二点では、行政機能のヒエラルキーが、 (一) 統治、 (二) 密居規模、 (三) 社会成層、 (四) 生活水準、 (五) 都市経済力、 (六) 都市化、それぞれのヒエラルキー、及びこれらの集約として (七) 総合的都市機能のヒエラルキーを随伴することを明らかにした。
論中にみらるる様に、「機関」そのもののもつ都市機能の測定指標としての限界と、応用されたソシオメトリー技術の初歩性は、本研究に相当の制約を与えている。然し、これらの困難を乗り越えて、「機関的方法」の長所である、具体的事実の把握を容易にするという高度の「実際的有効性」と、機能を担う最終の社会的活動単位である「機関」の理解に助けられて、都市機能の存在と消長を規定する基本構造に迄アプローチし得るという「構造照射性」を、今後の都市研究に一層役立てる必要がある。
抄録全体を表示