本稿は、福祉政策研究における組織理論導入の試みとして、生活保護政策をとりあげ、その政策決定システムにおける組織連関を事例に即して検討することを課題とする。
まず、生活保護政策をシステムモデルとしてとらえ、政策決定システム、政策実施システム、異議申立てシステムの三つの行為システムと、生活保護法を主プログラムとする制度システムから構成されることをしめす。
ついで、生活保護の政策決定システムの組織連関をあきらかにするために、生活保護基準のなかの生活扶助基準と老齢加算の二つの事例をとりあげ考察する。その際、組織連関関係をうみだす基盤としての資源の稀少性問題と価値・規範の共有・対立問題、および厚生省がとった戦略が注目される。
本稿は政治社会学的あるいは官僚制・行政社会学的視角からの社会福祉研究でもある。
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