本稿では六〇年代末の「青年の異議申立」にたいし、心理歴史的分析を中心とした事例研究をおこなった。
そしてまず「異議申立」の仮説には、政治的セクトを中心とし、「異議申立」を社会主義運動の一環とする社会主義運動仮説と、ノンセクトを中心とし、新しい社会運動の初期形態とする新しい社会運動仮説とが存在することを示した。
そして次に、東京大学を対象に心理歴史的分析を中心とした事例研究をおこない、社会主義運動仮説のほうが新しい社会運動仮説より説明力があること、またその理由としては当時の政治的危機にあった日本社会の、脱工業化の進展状況があげられること、を示した。
このように日本の「異議申立」は、主に社会主義運動としておこなわれたが、一部の大学で「テクニズム」に対する批判など、新しい社会運動の初期形態も先駆的に示した、ということができる。
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