社会学評論
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61 巻 , 2 号
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投稿論文
  • 中澤 渉
    2010 年 61 巻 2 号 p. 112-129
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,潜在クラス分析により,両親と本人の世代間学歴移動のパターンの変化を,教育拡大と関連づけて明らかにすることにある.教育は社会階層の研究において最も重要な変数の1つであるが,両親の学歴が高いほど本人も学歴が高いという関係以外には,質的な関係はそれほど詳らかになっているわけではない.専門学校や短大が教育拡大の中でどこに位置づけられてきたのかの評価も,定説は存在していない.そこで父・母・本人の3者の教育変数のクロス表から潜在クラスを導き出し,コーホートごとに多く観察される学歴関係のパターンを見出すことにした.データは2005年SSM調査を用い,導かれた潜在クラスが特定の職業階層や文化的背景のもとに見られるかを確認するため,多項ロジット潜在クラス分析を推定した.その結果,男女,いずれのコーホートでも3つの潜在クラスが導き出せた.潜在クラス分析の結果は,教育の拡大は格差を維持したまま進行すること,教育の優位度分布は一定で,進学率の上昇は進学のしやすさの閾値構造の変化で示されるという先行研究を概ね支持するものであった.その上,それぞれの潜在クラスは,父職や文化的資産によって異なる傾向をもっていた.専門学校進学者は男女とも高卒層の多いクラスに多く,女性の短大層は当初は4年制大学の多いクラスに所属していたが,徐々に異なるクラスへと分岐していったことが明らかになった.
  • 柴田 悠
    2010 年 61 巻 2 号 p. 130-149
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    社会の近代化に伴って,親密性やその意味は,いかに変化するのか.
    先行研究によれば,特定の条件に依存しない「再帰的親密性」(親族・近隣・職場以外での友人関係など)は,社会の近代化に伴って普及し,個人にとって一定の重要性を帯びたと考えられる.しかし未検証の仮説として,社会が近代化すると,(1)「再帰的親密性の数や割合が変化する」,(2)再帰的親密性の重要度が「上昇する」,(3)「必ずしも上昇せず,上限未満の一定の高さを得た後で上昇しなくなりうる,または下降しうる」(特定条件に再埋め込みされた親密性もまた次第に重要になる),との3つの仮説が想定できた.検証方法としては国と個人のマルチレベル分析が必要であったため,それを採用した.
    まずISSPデータ(2001年)で「再帰的に選択された友人の数と割合」を分析すると,国レベル近代化変数「総就学率」が効果を示した.また再帰的友人関係の「幸福度に対する貢献度」(一般的重要度)を分析すると,国レベル近代化変数「一人当たりGDP」の上昇に伴って,一般的重要度は低下した.
    さらにWVSデータ(1990年と2000年)で,友人と家族の主観的重要度の比を分析すると,「一人当たりGDP」の上昇に伴って「友人関係(比較的再帰的な親密性)の相対的重要化」がある程度は進行するが,それ以上は進行しなくなった.
    以上の結果は,仮説(1)を支持するとともに,仮説(2)よりも仮説(3)のほうを支持した.
  • 牧野 智和
    2010 年 61 巻 2 号 p. 150-167
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,大学生の就職活動における自己分析という慣行の定着を,新規大卒採用市場における1つのサブ市場の確立と捉える.このことで,先行研究の欠落点であった,自己分析への関わり方の多様性,送り手と受け手,その影響力の限定性という論点に対応することができる.また本稿では自己分析を,「自己の自己との関係」を通した主体化を行う「自己のテクノロジー」と捉える.このことで他の自己論との比較を可能とし,また先行研究の難点であった定着因の考察を資料内在的に行うことができる.このような観点から,自己分析市場が提供する「自己のテクノロジー」の分析とその機能の考察を行った.
    分析対象は自己分析をその内容に含む就職対策書,190タイトル計758冊である.自己分析の作業課題の核には,自らの過去の回顧,現在の分析,未来の想像を通して「本当の自分」を抽出する志向がみられる.だがこれは純粋に心理主義的なものではない.自己分析では具体的な職業の導出,内定の獲得に向けた自己の客観化,積極的な自己表現もともに求められるためである.分析を通して,自己分析市場は新規大卒採用市場における不透明性の低減,動機づけの個人的獲得支援・調整,社会問題の個人化という機能を果たしていると考えられた.だが採用状況の悪化によって社会問題の個人化機能が突出するとき,それを可能にする「自己のテクノロジー」への注意が払われなければならない.
  • 李 洪章
    2010 年 61 巻 2 号 p. 168-185
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,朝鮮籍を有する若い世代の在日朝鮮人の語りから,彼らのナショナル・アイデンティティについて考察し,さらには彼らが政治的/社会的に不利な状況を打破するために打ち立てる生存と連携のための戦略のあり方を明らかにするものである。
    朝鮮籍者は,在日朝鮮人の法的地位が変遷していくなかで,一貫して管理対象として取り扱われ,「無国籍者」あるいは「北朝鮮国民」として一方的に規定されてきた.ただし,こうした管理体制のもとで,朝鮮籍者が一貫して受動的な生を営んでいるわけではない.朝鮮籍者はみずからが維持している朝鮮籍を,あらゆる眼差しを受けながら解釈しなおし,朝鮮籍に積極的な意味づけを行おうとする.また,こうした実践は,つねに日本人/日本籍者/「ダブル」など,異なる他者との日常的なコミュニケーションのなかで行われる.それゆえ,朝鮮籍問題をめぐる連帯構築に向けた模索からは,日常生活に根ざした「権力性を伴わない開かれた連帯」の可能性をうかがい知ることができる.
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