社会学評論
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72 巻, 1 号
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投稿論文
  • コン アラン
    2021 年72 巻1 号 p. 2-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,世代間所得移動が階層帰属意識に対してもつ影響を1955年から2015年までのSSM調査(社会階層と社会移動全国調査)データを用いて,時系列的に検証したものである.世代間所得移動の測定には,父親の所得を推定する方法を用いた.検証にあたり,本研究では,①現在の階層的地位のみが階層帰属意識を決定するという「絶対地位仮説」,②上昇(下降)移動は相対的満足感(剝奪感)を与え,階層帰属意識を高める(低める)という「相対地位仮説」,③上昇(下降)移動しても,過去の低い(高い)階層的地位の影響が残るため,階層帰属意識を低める(高める)という「慣性仮説」の3つの仮説を提示し,データを用いて検討した.分析の結果,1975年においては世代間所得移動は階層帰属意識に対して正の影響力をもつが,1985年になるとその影響力を失い,2015年,再び統計的に有意な負の影響力をもつことがわかった.この結果,1975年においては「相対地位仮説」,1985年から2005年においては「絶対地位仮説」,2015年においては「慣性仮説」と合致する結果となった.本研究により,世代間所得移動は階層帰属意識に影響しており,その影響力と方向は時代により変化していることが明らかとなった.

  • ―終末期の点滴をめぐる在宅医の語りから―
    井口 真紀子
    2021 年72 巻1 号 p. 19-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    疾患治療から生活の質を支えることへと医療の力点が移行するに伴い,在宅医療が現在推進されている.本稿では在宅医療の中でも,患者が終末期となり口から食べられなくなった場合に点滴をするかどうかという場面での医師の経験に注目し,そこから地域包括ケア時代の在宅医の役割認識を考察する.終末期の点滴は医学的に推奨されるものではない.しかし,点滴に期待することは人によってさまざまである.在宅医療はパーソンズの述べる医師役割のうち「限定性」「感情中立性」が後退せざるを得ない医療である.同時に,医師である以上具体的目的に沿った行為をすることへの圧力もかかっている.医師は終末期の点滴をめぐる意思決定に関して複数の規範の中で葛藤することになる.本稿は2名の医師へのインタビューを通じて,葛藤の中で医師たちが患者や家族と物語をやりとりし,その結果意思決定に関わる規範が拡張されていることを明らかにした.このような拡張を可能にする医師の「変容可能性」は,患者の生の重みに関わる葛藤を限定性に逃げ込むことによって回避せざるを得なかった医師役割の限界点を乗り越える道筋となる可能性があり,地域包括ケア時代の新しい医師の役割認識を示唆するものである.

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