GOLDでは,COPD患者において運動療法を Stage II から推奨している.そこで,今回作成された運動療法マニュアルを活用した教育・運動療法指導が重要である.そのためには,医療スタッフが関係する日本呼吸管理学会などの各学会や保健所,教育機関ならびに広く一般へ,運動療法マニュアルの啓蒙活動を遂行することが大切である.これにより,より多くの患者が安い費用で運動療法を受けられるようになると考えられる.
ICUにおいてNPPVが注目されている.ICUにおける急性呼吸不全(acute respiratory failure)に対してNPPVはスタンダードな治療方法として用いられるようになったが,その適応を見極めなければならない.急性心原性肺水腫に対しNPPVは,ほとんどの研究でその有効性を認め,使用を推奨している.NPPVは急性心原性肺水腫に対し,マスクによる酸素投与のみと比較すると早期に酸素化能を改善,呼吸数を減少,血行動態を改善させ,その結果として気管内挿管を減らし,予後を改善する.ALI/ARDSにはNPPV使用は有効例と無効例が報告されていて,いまだその効果は確認されていない.ALIに対するNPPVは酸素化能を改善させることは可能だが,酸素化能などのpulmonary gas exchangeが改善しても,全身状態の改善には時間がかかり,stressfulな時間が長くなり,失敗しやすくなるものと思われれる.現時点ではALI/ARDSにはNPPV使用の有効性は確認されていないと思われる.