日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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13 巻, 3 号
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教育講演Ⅶ
  • 荒木 登茂子
    原稿種別: 教育講演
    2004 年 13 巻 3 号 p. 405-409
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    医療機関での患者と治療スタッフの関係を円滑にするために,現場での普段の交流における非言語的コミュニケーションの重要性やコミュニケーションのズレの修復,患者の心理を理解するためのコミュニケーションスキル,インフォームドコンセントの留意点や,悪い知らせを受けた患者の反応や,それに対する基本的な応答を概観した.最後に患者を支えるための治療スタッフのメンタルケアの必要性について述べた.

シンポジウムⅡ
  • ―新たな運動療法マニュアルの作成と将来像―
    福地 義之助, 千住 秀明
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 410-411
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー
  • 呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法―の位置づけ
    植木 純
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 412-417
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸器疾患,特にCOPDは骨格筋の機能障害や低栄養など全身性疾患としての対応が必要となる病態であり,管理に際して非薬物療法の果たす役割は大きい.包括的な呼吸リハビリテーションは,呼吸理学療法/運動療法,患者教育,栄養カウンセリングより構成され,個別化してチーム治療により提供されるが,運動療法はその中核となる構成要素である.第13回日本呼吸管理学会学術集会において,日本呼吸管理学会が主体となり,日本呼吸器学会,日本理学療法士協会と共同で作成した運動療法のマニュアルの発表が発表された.近年のエビデンス,複数の学会のコンセンサスに基づいた実践的なマニュアルの発表は国際的にもはじめての試みである.呼吸リハビリテーションが今後さらにわが国に普及していくことが期待される.

  • ―医師の立場から―
    桂 秀樹
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 418-423
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    わが国においても在宅呼吸ケアの急速な普及に伴い,在宅呼吸ケアをより安全に実施し,かつ治療効果を高めるために包括的呼吸リハビリテーションに対する認識が高まってきた.包括的呼吸リハビリテーションの構成要素のうち,運動療法はその有効性につき最も科学的根拠を有し,患者のADLを高め,QOLを改善するという点でプログラムの根幹をなすものである.運動療法は,日常診療においてプライマリケア医から高度専門医療機関においてまで一貫したコンセプトで実施されるべき治療である.運動療法をより有効な治療法とするためには,呼吸リハビリテーションおよび運動療法を患者が生活している地域に浸透させ,地域で継続するためのサポート体制の確立が必要である.

  • ―理学療法士の立場から―
    千住 秀明, 神津 玲, 北川 知佳, 田平 一行, 川俣 幹雄, 鋤崎 利貴, 田中 貴子, 大池 貴行
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 424-427
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    呼吸理学療法とは,呼吸障害のために基本的動作能力が障害された者に対して,基本的動作能力の回復等を通して自立を図るために,運動療法等を組み合わせて個々の症例に応じて実施する理学療法である.

    呼吸理学療法の方法には運動療法とコンディショニングがあり,特に運動療法は呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善等の効果が科学的に実証されている.

  • 村田 朗
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 428-432
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    GOLDでは,COPD患者において運動療法を Stage II から推奨している.そこで,今回作成された運動療法マニュアルを活用した教育・運動療法指導が重要である.そのためには,医療スタッフが関係する日本呼吸管理学会などの各学会や保健所,教育機関ならびに広く一般へ,運動療法マニュアルの啓蒙活動を遂行することが大切である.これにより,より多くの患者が安い費用で運動療法を受けられるようになると考えられる.

  • 里宇 明元
    原稿種別: シンポジウム
    2004 年 13 巻 3 号 p. 433-438
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    近年,各種のガイドラインにおいて包括的呼吸リハビリテーションが慢性閉塞性肺疾患の重要な治療手段として位置づけられ,今後,わが国においても普及していくことが期待される.この分野をさらに発展させるために必要な課題として,リハビリテーション医学の立場から,呼吸器疾患患者における抵抗トレーニングの意義,日常生活動作(ADL)の評価尺度と効果的な指導法の確立,運動障害併存例への対応の3点について論じた.

特別シンポジウム
ジョイントミーティング
  • 大井 元晴, 鈴川 正之
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 468
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー
  • 坪井 知正
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 469-473
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    2型慢性呼吸不全を呈する肺結核後遺症では長期NPPVが有効なことが知られているが,より有効な群を見いだすために,5年間以上継続した長期生存21例と3年間未満で死亡した短期死亡20例の比較を行った.両群間で,導入時の状態・性・年齢,導入前のLTOT歴・入院回数と日数・肺機能・PaCO2・栄養状態(BMI),導入後のPaCO2 の変化に有意差はなかった.導入1~3年後の入院回数・日数は長期生存群で減少していた.人工呼吸器の換気モードでは,ControlやTモードで長期生存が得られやすく,Assist/ControlやSTモードでは短期死亡が多かった.

  • 石原 英樹
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 474-477
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    高二酸化炭素血症を伴う患者に対する換気補助療法としてNPPVが普及・定着しつつある.NPPVには,肺胞換気量コントロールや呼吸筋休息効果のほかに,呼吸調節系リセッティングの可能性などが期待され,従来の古典的人工呼吸法にない簡便性・早期導入の容易さなどの利点がある.COPD急性増悪時のNPPVの関しては,エビデンス的にも確立されており,今後COPD急性増悪時の換気補助療法の第一選択となっていくと思われる.また,安定期COPDに対するNPPVに関しては,いまだ有用であるというエビデンスは確立しておらず,今後,生存予後を含めて,客観的なQOL・ADL評価も含めた,大規模な検討が必要であると思われる.

  • 松井 晃
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 478-481
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    当センターにおける小児NPPVの経験を,①急性期,②未熟児・新生児,③閉塞性睡眠時無呼吸症候群(在宅),④肺胞低換気症候群(在宅)の4つに分類して報告する.

    小児におけるNPPVの導入は,成人と比べ容易ではない.しかし,小児における適応は幅広く,NPPVのメリットを理解し,患児に適したNPPV装置の選択,マスク装着の工夫,安全対策によりNPPVは有用な治療法になると考えられる.

  • 竹田 晋浩
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 482-484
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    ICUにおいてNPPVが注目されている.ICUにおける急性呼吸不全(acute respiratory failure)に対してNPPVはスタンダードな治療方法として用いられるようになったが,その適応を見極めなければならない.急性心原性肺水腫に対しNPPVは,ほとんどの研究でその有効性を認め,使用を推奨している.NPPVは急性心原性肺水腫に対し,マスクによる酸素投与のみと比較すると早期に酸素化能を改善,呼吸数を減少,血行動態を改善させ,その結果として気管内挿管を減らし,予後を改善する.ALI/ARDSにはNPPV使用は有効例と無効例が報告されていて,いまだその効果は確認されていない.ALIに対するNPPVは酸素化能を改善させることは可能だが,酸素化能などのpulmonary gas exchangeが改善しても,全身状態の改善には時間がかかり,stressfulな時間が長くなり,失敗しやすくなるものと思われれる.現時点ではALI/ARDSにはNPPV使用の有効性は確認されていないと思われる.

  • ―集中治療医の立場から―
    山口 修, 速水 元, 大木 浩, 矢澤 利枝, 小山 敦子
    原稿種別: ジョイントミーティング
    2004 年 13 巻 3 号 p. 485-489
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    従来の慢性高炭酸ガス血症性呼吸不全に加えて,急性低酸素性呼吸不全においても,非侵襲的換気療法の有用性を裏付けるエビデンスが揃いつつある.気管挿管の絶対的適応でなければとりあえず非侵襲的換気療法から開始し,施行後早期(1時間以内)に,呼吸,循環,患者の受け入れ具合を評価する.その結果,少しでも不都合があれば,迷わず気管挿管に移行することにより,適,不適を早期に見極めることが重要と考える.

原著
  • 滝口 裕一, 黒須 克志, 笠原 靖紀, 田辺 信宏, 巽 浩一郎, 栗山 喬之
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 490-495
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    第13回日本呼吸管理学会・第25回日本呼吸療法医学会合同学術集会の参加者を対象に喫煙に関するアンケート調査を行った.いずれの職種でも全国統計に比べた喫煙率は男女とも低率であったが,多変量解析では,医師に比べ,看護師,理学・作業療法士,その他の職種で,女性に比べ男性で,また年齢階級では若年者で喫煙率が高かった.喫煙に関する意見には回答者の喫煙状況が影響していた.医療従事者の喫煙状況が,患者に対する禁煙指導にどのように影響するか今後調査する必要があると思われた.

  • ―評価に関するアンケート調査について―
    木田 厚瑞, 野村 浩一郎, 山田 浩一, 茂木 孝
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 496-500
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    欧州と北米における呼吸リハビリテーション・プログラムの構成には差異があるが,これは評価方法の違いを反映している可能性がある.そこで欧州(51施設),北米(50施設)に13項目からなるアンケートを送付した.

    評価方法は北米,欧州間でQOL,運動耐容能,ADL評価などに差異が認められ,プログラムの内容,医療機関の規模,医療保険制度を反映していることが示唆された.

  • 本木 綾, 石橋 靖子, 佐々木 誠
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 501-505
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    健常学生19名をThreshold-IMTを用いた吸気筋トレーニング(IMT)群とabdominal pad法によるトレーニング(APT)群に振り分け,最大の力の30%負荷で1日2回15分ずつのトレーニングを2週間行わせた.その結果,IMTが最大吸気筋力,最大呼気筋力を増強する効果があるのに対し,APTは腹部隆起力を増強するものの最大吸気筋力,最大呼気筋力を強化せず,本研究で実施したabdominal pad法では腹筋の強化が優先されている可能性が示唆された.

  • ―栄養サポートチーム(NST)立ち上げの意義―
    尾崎 由加理, 高嶋 敏子, 杉崎 幸, 中村 佳代, 香川 雅俊, 奥條 朝子, 山内 英雄, 中村 洋之, 田岡 輝久, 塩谷 泰一
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    職種横断的な栄養サポートチーム(NST)を立ち上げ,慢性呼吸不全患者のよりよい治療に向けて,病棟回診をはじめとした介入を開始した.経口摂取可能な患者は嗜好調査をもとに摂取しやすい食事へ変更し,試飲によって好みの栄養補助食の追加を行った.挿管中など経口摂取不可能な患者は,より早期の経管栄養を開始した.その結果,摂取カロリー量が増加し,1~3ヵ月後にはBMI,血清アルブミン値も上昇し,呼吸を含めた全身状態の改善を認めた.

  • 小熊 英敏, 宮本 顕二, 木野 靖史, 笠原 敏史
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    病棟や在宅酸素療法で使われる加湿器(気泡式,表面気化式,両者の混合式)の加湿能力は,1) 機種による違いはあるものの,気泡式が一番高く,ついで混合式,表面気化式の順であり,いずれも酸素流量の増加に伴い相対湿度は低下する,2) 気泡式加湿器であっても加湿能力は決して高くなく(24℃,酸素 2 L/分で相対湿度67~83%),表面気化式の場合はさらに低い(24℃,酸素 2 L/分で相対湿度40~53%).

  • 有田 健一, 高倉 るみ枝, 三戸 晶子, 西野 亮平, 駄賀 晴子, 森谷 知恵, 大橋 信之
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 516-522
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    医療費の増額による在宅酸素療法(HOT)への影響をアンケート調査した.HOT患者43名に対する調査では,72%の患者から増額された医療費を継続して支払うことの困難さと不安が訴えられた.医師に対する調査(回答率57.6%)では,医療費の一部負担が開始されて以来12.6%のHOT患者から医療費減額に関する相談があり,2.7%の患者がHOTを中止したことが明らかになった.中止例は医療費補助が受けられない例や収入が限られている例が多く,医師は医療費補助の獲得に努めようとする姿勢をみせた.医療費補助の必要性から今後はHOTの導入基準が今以上に守られるようになるであろう.関連学術専門団体は科学的,専門的な立場から法改正に基づく新たな医療環境の設定を評価し,社会的な責務に応えるべきである.

  • ―宮城県の現状―
    飛田 渉, 黒澤 一, 上月 正博
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 523-527
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(home oxygen therapy; HOT),在宅人工呼吸療法(home mechanical ventilation; HMV)などによる在宅呼吸管理患者が急増し,患者の高齢化および重症化が進んでいることから,介護老人保健施設および介護老人福祉施設の利用希望者の増加が見込まれる.これら介護保健施設においてHOT,HMVが入所の際の障害になる可能性がある.これらの施設の現状を把握する目的で,今回,宮城県の介護保健施設における在宅呼吸管理患者に対する対応について,郵送法によってアンケート調査した.HOT患者に対しては施設の約45%が実施中あるいはこれまで実施したことがある施設であった.HMV患者に対してはわずか1施設1名のみの実施で,ほとんどの施設で実施したことはなかった.在宅呼吸療法患者の介護保健施設との連携をスムーズに行うためには,介護保健施設スタッフへの在宅呼吸管理に関する情報提供,介護のための支援体制ならびに医療保険上の支援体制の充実などが必要と思われた.

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