日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
28 巻 , 1 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
学会奨励賞受賞報告
  • 伊藤 理, 井上 貴行, 水野 陽太, 麻生 裕紀, 林 和寛, 永谷 元基
    原稿種別: 学会奨励賞受賞報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    本チームは呼吸器内科系疾患,胸部や腹部の外科周術期,肝移植や骨髄移植症例,集中治療室入室症例,人工呼吸器装着症例,化学療法症例,終末期症例など幅広い疾患や症例を対象としている.術後の離床促進と合併症予防を目標とした周術期リハビリテーションは特に重要なミッションの一つであり,周術期リハビリテーションプログラムの確立を目標に掲げてきた.この目標に向けた礎として,我々は術式が異なる様々な疾患を対象とし,周術期における患者の状態とリハビリテーションの経過に関する観察研究を行い,身体機能や健康関連QOLが術前後でどのような状況であるか,術後アウトカムにどのように影響するかを明らかにしてきた.本研究で得られた主な結果として,周術期の身体機能を把握する上で,6分間歩行試験は簡便で有用な手法であると示唆された.

  • 大倉 和貴
    原稿種別: 学会奨励賞受賞報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    COPDでは,機械的および病態生理学的に横隔膜機能が低下する.近年,非侵襲的な超音波画像解析による横隔膜評価が広く用いられているが,COPDを対象にした検討は少ない.そこで,私たちの研究グループは,超音波画像解析によって横隔膜筋厚(Tdi)と筋厚変化率(ΔTdi%)を測定し,①COPD患者と健常者の比較,②COPDにおける睡眠時動脈血酸素飽和度との関連,さらに健常者を対象に③複数の負荷の吸気筋トレーニング(IMT)中におけるΔTdi%の違いについて検討した.その結果,①健常者と比較してCOPD患者の努力吸気時のTdiとΔTdi%は有意に低値であること,②COPD患者でΔTdi%と睡眠時の動脈血酸素飽和度と有意に関連すること,③最大吸気口腔内圧(PImax)の60%以上でIMTを行った場合にΔTdi%は低値を示すことが明らかになった.今後は,これらの結果を縦断的な検討に繋げる必要がある.

  • 三塚 由佳
    原稿種別: 学会奨励賞受賞報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    COPD患者の長期管理のためには,複数の専門スタッフで構成されるチームによる多面的な介入,すなわち包括的呼吸リハビリテーションの構築が必要である.当院の包括的外来呼吸リハビリテーションプログラム導入当初は,看護師が主体となって患者教育や自主トレーニングに重点を置き,療養日誌や歩数計を用いた管理を中心に行った.これが結果的に患者の身体活動性を維持することにつながり,QOLを向上させることができた.患者教育においては,増悪時アクションプランの指導を強化することで,増悪への早期対応が可能となり,早期回復および重症化の予防効果を認めた.東日本大震災時には,酸素供給維持への行動のない患者が酸素中断となったことが判明したため,災害時の対応をあらかじめ設定しておく災害時アクションプランの必要性が示された.これらのアクションプランは,現在患者指導プログラムに組み込まれているが,地域連携で活用されることが効果的と考え,地域連携システムを構築している.

特別講演
  • 塩谷 隆信, 佐藤 晋
    原稿種別: 特別講演
    2019 年 28 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性呼吸器疾患患者の機能を回復,維持させ,患者の日常生活を継続的に支援していく医療介入システムである.1950年代後半に欧米にわずかに遅れて,日本において呼吸理学療法あるいは呼吸リハビリが開始されたのは東京と北九州の2カ所で導入実施されている.

    COPD,間質性肺炎,肺結核後遺症,肺がん,肺高血圧症など呼吸不全を惹起する慢性呼吸器疾患がすべて呼吸リハビリの対象となる.呼吸リハビリにおいては,多専門職の学際的医療チームにより多次元的医療サービスが提供され,呼吸理学療法,運動療法,呼吸筋トレーニング(IMT),栄養療法,患者教育などの種目を中心にして展開される.栄養療法では抗炎症効果を有する栄養補助食品が臨床で用いられており,低強度運動療法と併用することでその効果が増加する.IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,新しい呼吸筋トレーニング機器が普及してきている.教育では,アクションプランの実施,セルフマネージメント,患者自身の行動変容が重要な課題である.

    呼吸リハビリの実施により,COPDにおいては呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,身体活動性の向上,健康関連QOL・ADLの改善が得られることから,その実践と普及が大いに期待される.

教育講演
  • 藤本 圭作
    原稿種別: 教育講演
    2019 年 28 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    COPDに対する薬剤,呼吸リハビリテーション,栄養,酸素などの介入による治療効果の判定には,自覚症状,呼吸機能,運動耐容能,QOL,ADL,血液中のバイオマーカーといった評価項目だけでなく,増悪,経年的な呼吸機能低下,生命予後といった将来の危険性に対する効果も評価されるようになってきた.どの項目をエンドポイントとするかは治療介入の種類によって異なるが,多くの評価項目で相対的に評価することが望ましいと考えられる.本稿ではそれぞれの評価項目について紹介し,我々が考案した動的肺過膨張の評価法についても述べる.

  • 沓澤 智子
    原稿種別: 教育講演
    2019 年 28 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    COPD患者には,全身併存症の1つとして,骨格筋の機能障害が認められる.骨格筋機能障害とは,筋力の低下または持久力の低下,またはその両者として定義される.これには筋肉の萎縮だけではなく,筋肉の構造の変化,代謝の変化が関係する.これらの骨格筋の萎縮や機能障害は,運動耐容能の低下,身体活動性の低下をもたらし,生命予後にも関係することが報告されており,ATS/ERSの骨格筋機能障害に関する2014年の共同声明では,COPD患者の四肢筋の評価を奨励している.本稿では,COPDの筋肉機能障害の病態とその非侵襲的評価(筋肉量,筋力,持久力),加齢性サルコペニアとの違い,喫煙と骨格筋の変化につき概説する.最後に,筋肉の酸素化状態や代謝を非侵襲的に評価する近赤外分光法や31P-核磁気共鳴スペクトロスコピーについて,その測定法や結果について紹介する.

  • 石川 悠加, 竹内 伸太郎, 三浦 利彦
    原稿種別: 教育講演
    2019 年 28 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    近年,呼吸ケアに関する機器の進歩に伴い,NPPVの適応や条件調整に知見が加えられている.特に,睡眠時から覚醒時までの経皮炭酸ガス分圧(transcutaneous CO2:TcCO2)モニタを用いたタイムリーなNPPV導入や追加,条件調整は,新たな課題を提起している.神経筋疾患におけるNPPVによる睡眠呼吸障害の惹起については,睡眠ポリグラフを用いて分類や解析が進められている.また,人工呼吸器のマウスピースモードを用いたNPPVは,24時間NPPVのコンプライアンスを改善することが期待される.

コーヒーブレイクセミナー
  • 滝口 裕一
    原稿種別: コーヒーブレイクセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    非小細胞肺がんは予後不良な疾患の代表格であるが,化学療法の体系化,分子標的治療薬の進歩,免疫チェックポイント阻害薬の登場,さらに支持療法・緩和ケアの進歩により著しい生存期間の延長を認めている.しかし治癒は例外的にしか認められず,治療中・治療後の支持療法,生活支援の重要性が増してきた.COPDなど慢性疾患に対する栄養療法,リハビリに精進してきた本学会員に期待されるものは大きい.

  • 有薗 信一, 俵 祐一
    原稿種別: コーヒーブレイクセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動耐容能は強い予後予測因子であり,評価することは重要である.運動耐容能の評価には6分間歩行試験や漸増シャトルウォーキングテストなどの歩行試験や心肺運動負荷試験などの精密な機器が必要な運動負荷試験などがある.歩行試験は,運動耐容能の把握の他にCOPDの重症度の評価にも用いられ,また呼吸リハビリテーションや気管支拡張剤,酸素療法などの効果判定,運動処方にも用いられる.COPD患者における歩行試験は,エルゴメータを用いた心肺運動負荷試験や定常負荷試験より,運動終了時の呼吸困難感や下肢疲労感は弱いが,運動中の低酸素血症はより強くあらわれる.6分間歩行試験の歩行距離の低下や低酸素血症の悪化は,COPD急性増悪のリスクの増加や生存率の低下に強く影響する.COPD患者の長期酸素療法の適応判定や酸素流量の調節も,歩行試験を用いて評価していくことは重要である.

  • 稲垣 武, 寺田 二郎
    原稿種別: コーヒーブレイクセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    間質性肺炎(IP)は,運動時低酸素血症,労作時呼吸困難を主症状とする進行性の慢性呼吸器疾患である.その運動中の病態評価には,6分間歩行試験(6MWT)が安全かつ簡便であることから日常臨床でよく用いられている.一般的に6MWTの結果のうち,6分間歩行距離(6MWD),最低SpO2の値が生命予後と関連することからも重要視されているが,近年は心拍数上昇やSpO2低下のパターンに着目した報告が散見される.本稿では,当院のIP患者における6MWT中のSpO2の変化と肺機能との関連性,重症度によるSpO2,心拍数の変化パターンの違いについて報告する.またIP患者に酸素を処方する際には,酸素流量やデバイス(鼻カヌラとオキシマイザー,リュックとカートなど)なども運動時低酸素血症に影響することを経験するため,各々の条件下での6MWTを用いた最適な在宅酸素療法の処方・デバイスの選定など当院の工夫についても紹介したい.

イブニングセミナー
  • 磯村 毅
    原稿種別: イブニングセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    喫煙には他の依存症と共通する神経学的変化(1.依存対象に対する永続する報酬系の過敏化,2.依存対象以外の報酬(食事・金銭など)に対する報酬系の反応性低下,3.前頭葉による制御機能の低下など)がある.しかしこれらの神経学的変化を喫煙者は必ずしも自覚しておらず,認知のゆがみが生じ,心理的にも禁煙が困難となっている(失楽園仮説).特に2の変化は自覚されにくく,ニコチンにより手軽に報酬が得られる喫煙の評価・優先順位が高くなってしまう.例えば食後の喫煙は至福の時と考える喫煙者は多いが,当人たちの認知とは裏腹に,これはニコチンの慢性作用に起因する食事の幸せに対する感受性低下を喫煙で対償しているに過ぎない.また禁煙後の生活を悲観する喫煙者は多いが,逆に禁煙に伴う報酬系機能の回復の可能性も示唆されている.これらの知見は喫煙者に客観的な視点を提供し,自らの喫煙行動を再考し禁煙への内的動機を高める契機となると期待される.

  • 杉浦 久敏
    原稿種別: イブニングセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    気管支喘息は気道の慢性炎症を本態とする疾患である.喘息患者の気道では,通常,慢性の好酸球性炎症が生じており,好酸球性炎症の有無や程度を知ることが喘息の診断や管理の上で極めて重要である.近年,呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide: FeNO)の測定が保険収載され,すでに日常臨床の場でも汎用されている.本項では,FeNOの測定原理や測定の実際,正常値,測定の際に留意すべき点,喘息患者におけるFeNO高値の機序などについて概説する.また,喘息とFeNOに関するエビデンスについて国内外の報告を紹介する.さらに重症喘息におけるFeNO測定の意義についても解説する.最後に慢性閉塞性肺疾患(COPD)と喘息の合併病態であるACO(asthma COPD overlap)におけるFeNO測定の有用性についても併せて紹介する.

  • 福家 聡
    原稿種別: イブニングセミナー
    2019 年 28 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    呼吸管理において重要なことは,酸素化と換気量の改善である.酸素化の指標としてのSpO2モニターは広く使用されているが,換気量を反映するPaCO2についてのモニタリングは十分に行えないことが多い.しかし,2016年より経皮的動脈血二酸化炭素分圧(PtcCO2)測定が保険適応となり,臨床現場での期待も高まっている.我々はこれまでPtcCO2装置(TOSCA®)の精度について基礎的な検討や急性および慢性呼吸不全の呼吸管理における有用性を報告してきた.

    2017年2月にはTOSCA 500®の後継最新機器であるTCM 5が国内で発売開始された.TCM 5は,基本構造は従来機のシステムを踏襲しながら,視認性,操作性,簡便性が改善されている.今回はTCM 5の精度検討や使用感についての調査結果も報告する.精度検討については,TCM 5を装着した上で動脈血採取を行いPtcCO2とPaCO2を比較した.PtcCO2とPaCO2は良好な正の相関を示し,相関係数はR2=0.93であった.また使用感については,本装置を使用した看護師にアンケート調査を行った.その結果,TOSCA 500®と比較して,大きさ,重さ,画面の見やすさ,スイッチを入れて使用できるまでの時間,数値の確認において,TCM 5の方が優位であった.本装置の精度は臨床使用において問題なく,操作性については従来機より軽量かつタッチパネルが採用されており優れていることが示唆された.当科での臨床使用経験を併せて,経皮的CO2モニタリング装置について概説したい.

原著
  • 田中 貴子, 神津 玲
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】本邦における呼吸筋トレーニング(IMT)の現状と課題を明らかにすること.

    【方法】日本呼吸ケア・リハビリテーション学会の一般会員4,059名(2017年10月11日時点)を対象に,オンラインアンケートツールによるIMTの実施状況を調査した.

    【結果】回収率は14.6%(592名).回答者の約70%はIMT実施の経験があり,その方法は腹部重錘負荷法で,改善効果は呼吸困難の軽減が最多であった.しかし,対象の選択基準や負荷設定において,客観的基準は用いられていなかった.一方,IMT未経験者が約30%存在し,理由として,効果に疑問がある,付加価値が不明,方法がよくわからない,科学的根拠がない,などが挙げられた.

    【結論】本邦におけるIMTへの取り組みの現状が明らかとなり,呼吸リハビリテーションにおける統一化されたIMT普及のために,学会から実施マニュアルなどを提示する必要性が示唆された.

  • 松本 匠平, 玉木 彰, 和田 陽介, 道免 和久
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】呼吸理学療法において咳嗽介助や咳嗽練習は重要であるが,臨床上体位が制限されることは多い.本研究では若年者および高齢者を対象に体位が咳嗽・呼吸機能に与える影響を,複数の測定項目を用いて多くの観点から検討した.

    【方法】健常若年男女20名,健常高齢男女6名を対象とし,ベッド上で座位,背臥位,半側臥位,側臥位,半腹臥位,腹臥位の6つの姿勢を無作為にとらせ,肺活量,1秒量,咳嗽時最大流量,咳嗽時吸気量,呼吸筋力,咳嗽時の胸腹部の周径差,咳嗽加速度を算出した.

    【結果】若年者,高齢者ともに座位と比較すると臥位での咳嗽機能の数値は低下し,特に半腹臥位や腹臥位で低値を示した.

    【結論】半腹臥位や腹臥位では咳嗽機能が低下し,高齢者ではより顕著な低下を示した.端坐位の実施が困難である患者に対し,半腹臥位や腹臥位での介入は不利であるが,側臥位での介入は比較的有利である可能性が示唆された.

  • 西坂 智佳, 伊藤 郁乃, 佐藤 広之, 新藤 直子
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究の目的は呼吸器疾患患者に対するST介入症例の経口摂取の再獲得率,最終食形態について調査し,経口摂取に関連する項目の検証をすることである.

    方法:2014年4月~2016年3月に呼吸器疾患病名で入院した75歳以上の患者のうちSTが介入した95例を対象とし,退院時の栄養摂取形態から全量経口摂取,一部経口摂取,経口摂取なし群に分類し3群間比較を行った.

    結果:入退院時のBarthel Index値が高く認知機能が保たれている症例ほど,より経口摂取が可能であった.年齢・性別・呼吸器基礎疾患の有無は経口摂取の再獲得に関連しなかった.生存例の63.3%で全量経口摂取が可能となったが,そのうち84.4%では嚥下食の調整が必要であった.

    考察:入院加療を要した呼吸器疾患患者において経口摂取再獲得率は低く嚥下食の調整が必要となる割合は高い.経口摂取の機能予後は入院時の患者背景から層別化し予測をたてたアプローチが必要である.

  • 伊藤 光, 平松 哲夫, 河合 香奈
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は,成人喘息患者における服薬アドヒアランスに関連する背景要因を調査し,治療満足度と服薬アドヒアランスとの関連性を検討した.対象は平松内科呼吸器内科小牧ぜんそく睡眠リハビリクリニック通院中の患者159名.服薬アドヒアランスはAdherence Starts with Knowledge-12(ASK-12),治療満足度はClient Satisfaction Questionnaire8項目版(CSQ-8J),喘息コントロール状況は日本語版Asthma Control Test(ACT)で評価した.また,過去3か月間の全身ステロイド薬の使用歴を確認し,喘息の増悪の有無を調査した.喘息コントロール状況別でみたASK-12スコアに有意な差は認めず,過去3か月間に増悪のなかった患者のASK-12スコアは有意に低かった(p<0.0001).ASK-12スコアとACTスコアとの相関はなく,ASK-12スコアはCSQ-8Jスコアと相関関係を認めた(p<0.0001).重回帰分析の結果,CSQ-8JスコアはASK-12スコアと有意な独立説明変数として関連していた(β:-0.3897 p<0.0001).本研究により治療満足度は服薬アドヒアランスの予測因子であることが示唆された.

  • 白石 匡, 東本 有司, 澤田 優子, 杉谷 竜司, 水澤 裕貴, 釜田 千聡, 西山 理, 木村 保, 東田 有智, 福田 寛二
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【はじめに,目的】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は,呼吸困難により身体活動量(以下PA)の減少をきたす.近年,COPD患者において自己管理の重要性が注目されている.本研究の目的はCOPD患者における自己管理能力とPAの関係を検討することとした.

    【方法】当院にて外来呼吸リハビリテーション(以下呼吸リハ)を実施した,GOLD stage 2~4期の安定期のCOPD患者30例を対象とした.自己管理能力はLINQで評価し,PAは3軸加速度計で計測した.評価は呼吸リハ介入時と介入後12週以降に実施した.呼吸リハ前後でLINQの項目に改善が見られた群を改善群とし,改善が見られなかった群を非改善群とした.

    【結果】改善群・非改善群ともに,6MWDに改善を認めた(p<0.05).改善群ではPAに改善を認めた(p<0.05)が非改善群ではPAが改善しなかった.

    【結論】身体活動を改善するためには運動療法のみではなく,自己管理能力を獲得させ,生活習慣を変えていくことが重要である.

  • 三谷 有司, 沖 侑大郎, 藤本 由香里, 山口 卓巳, 山田 洋二, 山田 莞爾, 岩田 優助, 石川 朗
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 108-112
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】 FIM,MASA,CONUTを用いて肺炎の関連因子について検討し,さらに肺炎発症までの期間に与える影響を考慮することで,院内肺炎発症の予測の妥当性について検証した.

    【対象】医療療養ならびに一般病床に新規入院した130名.

    【方法】入院から1年間の追跡調査の中で肺炎発症群と未発症群とに分類して比較した.さらに発症因子の検討にはロジスティック回帰分析を使用し,調査期間における影響度の検討にはKaplan-Meier分析,Coxハザード回帰分析を行った.

    【結果】130名中52名(40.0%)が肺炎を発症.要因分析の結果,MASAが有意な因子であった.発症時間解析では,MASA<168群では有意に発症率が高かった

    【結論】院内肺炎の要因として嚥下状態が重要な因子であることが示唆された.今後は活動・栄養の観点も加えて,肺炎の予防に繋げられるか検討していくべきであると考える.

  • 山口 育子, 内田 学, 丸山 仁司
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 113-119
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】高齢者の呼吸筋力,呼吸機能をはじめとする身体機能の実態把握と,運動耐容能との関連因子について検討した.

    【方法】歩行が自立した地域在住高齢女性60名を対象とした.呼吸筋力はPImax,PEmax,呼吸機能はVC,FVC,FEV1.0,PEF,運動機能は握力,膝伸展筋力,歩行速度,CS-30,TUG,片脚立位,FR,6MWD,身体組成は筋量,筋率を測定した.対象者の握力と歩行速度の結果から運動機能低下群(低下群)と運動機能維持群(維持群)の2群に分け,2群間の比較と,群ごとの6MWDと膝伸展筋力,歩行速度,VC,PImax,PEmax,SMIとの関連性を重回帰分析にて分析した.

    【結果】筋量,筋力は年代別基準値と近似したが,呼吸筋力,呼吸機能と運動耐容能は予測値より低く,低下群は維持群より有意に低値であった.低下群では運動耐容能の関連因子として呼吸機能が選択された.

    【結論】握力や歩行速度が低下してきた高齢者の運動耐容能の維持には,呼吸機能,呼吸筋力の重要性が示唆された.

  • 片山 均, 三好 誠吾, 片山 晋, 都築 佐枝, 片山 衣子, 石井 美喜, 山口 和子, 水内 泰子, 片山 純
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 120-125
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【背景】一般人の肺への健康意識を高めるために肺年齢の普及が進められているが,測定には最大努力呼気が必要である.

    【目的】安静換気中に測定可能な強制オシレーション法(Forced Oscillation Technique: FOT)を用いて肺年齢を推定する.

    【対象と方法】2017年4月から2018年5月までにFOTとスパイロメトリーを行った18歳以上の男女114例を後ろ向きに検討した.84症例で肺年齢と実年齢の差(実測肺年齢差)とFOT測定値との相関を求めてFOT測定値から肺年齢の推定式を作成し(開発研究),別の30症例で作成した肺年齢推定式を検証した(検証研究).

    【結果】開発研究において実測肺年齢差は呼吸リアクタンス,共振周波数および低周波数面積との間に有意な相関を認めた.開発・検証の両研究において,推定肺年齢と実測肺年齢に強い相関を認め,推定値と実測値の一致度も高かった.

    【結論】FOTを用いて肺年齢を推定出来ることが示唆された.

  • 田村 宏, 玉木 彰, 荒木 信人, 名和 厳, 兪 陽子
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 126-129
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    目的:入院中の高齢肺炎患者を対象に在院日数に関与する因子を調査し効果的な介入を検討することとした.

    方法:対象は201X年4月~9月より当院に入院し,呼吸リハビリテーション(PR)依頼のあった高齢肺炎患者79例(年齢85.5±9.7歳).評価項目は在院日数,年齢,肺炎の重症度,入院前のBarthel Index(BI),入院からPR開始までの日数,CRP,BMI,血清アルブミン,入院日の室内気吸入時における酸素飽和度の最低値をカルテより後方視的に調査した.統計は在院日数と他の因子についてPearsonの積率相関係数を用いて検討し単相関を認めた因子について目的変数を在院日数,説明変数をその他の調査項目としてStepwise重回帰分析を行った.

    結果と考案:入院前のBI,入院からPR開始までの日数に有意な相関を認め予測式が抽出された.今後は入院前のBIを踏まえPRの早期介入の必要性が示唆された.

  • 猪飼 やす子, 田辺 直也, 野原 淳, 渡邉 壽規, 中谷 光一
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 130-134
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    背景:慢性閉塞性肺疾患(COPD)において在宅酸素療法の施行は,生活を強制的に変容させる出来事である.在宅酸素療法の施行が精神面に与える影響を,患者の認知する病気の不確かさの指標を用いて検証した.

    方法:非増悪期COPD患者98名を対象に属性及び療養の場を問わず使用できる病気の不確かさ尺度(UUIS,26項目6下位尺度,高値ほど不確かさが高い)を調査し,在宅酸素施行症例と非施行症例を比較した.

    結果:在宅酸素療法施行群におけるUUISの総得点(98.4±19.1)は,非施行群(81.7±22.4)より高値であった.重回帰分析の結果,在宅酸素療法の施行は,修正MRCスコアで評価した呼吸困難の程度や過去1年間の増悪歴,喫煙指数とは独立してUUISの下位尺度である【病気回復予測不能性】の上昇に関与していた.

    考察:在宅酸素療法の施行は,回復が見通せないという【病気回復予測不能性】の不確かさの認知に影響を与えており,生活の変化に適応するための心身の援助が必要と考えられる.

  • 澤村 千佳子, 畑地 治, 田口 修
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 1 号 p. 135-139
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    認定看護師は,2017年8月に18,728人が認定されている.慢性呼吸器疾患看護認定看護師(以下CNCR)は,20番目に認定された専門分野であり2018年2月現在271名が活躍している.CNCRの役割は慢性呼吸器疾患を抱える患者とその家族に,呼吸機能の評価や呼吸管理を行うと共に,病状の悪化予防,社会復帰に向けたリハビリテーション等の支援をする事である.今回,病院に勤務するCNCRが在宅医療・福祉分野との連携や拡大に向けて課題を見出す為に,三重県医師会に所属する医師を対象にアンケート調査を行った.調査内容は,CN制度の認知,CNCRの認知と期待する役割である.三重県におけるCN制度の認知度は40%,CNCRの認知度は6%,期待する役割は予防活動(29%),薬物療法の指導(24%),日常生活動作の指導(20%),酸素療法(19%),呼吸リハビリの実施(18%),アクションプラン(15%),疾患指導(14%),喘息管理(11%),精神的な介入(9%),コメディカルへの指導(8%),栄養管理(6%),災害時の対処(4%)であった.

症例報告
  • 髙木 優衣, 若原 恵子, 井上 貴行, 伊藤 理, 水野 陽太, 長谷川 好規, 永谷 元基
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 140-143
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    肺移植に至るには移植待機期間における身体機能の維持が重要であるが,移植待機患者の身体機能の経過やリハビリテーション(リハ)の影響についての報告はない.今回,肺移植待機期間にリハを行った肺リンパ脈管筋腫症症例を経験したので身体機能や日常生活動作(ADL)の推移などについて報告する.40歳代女性.肺移植登録後に複数回の入退院を繰り返し,その度に包括的なリハ介入を行った.初回入院時より重度の呼吸機能障害,身体機能の低下を認めた.移植待機期間中,経過とともに病態は進行し,運動耐容能や筋力は低下した.一方,骨格筋量,栄養状態は維持され,各退院時のADLは自立した状態にあり,最終的には肺移植に至った.また,入院期間の前後で膝伸展筋力は維持および向上する傾向が認められ,リハ介入の有効性が推察される.

研究報告
  • 川越 厚良, 清川 憲孝, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 柴田 和幸, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 研究報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 144-150
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における6分間歩行距離(six-minutes walking distance:以下6MWD)と日常生活の低活動性動作との関連性を検討する.

    【対象および方法】対象は3軸加速度計A-MESTM(ソリッド・ブレインズ社製,熊本)を用いて,在宅生活の1日における姿勢・動作時間の平均値を求めた安定期高齢COPD患者30例(年齢74±7歳,%FEV1: 55.9±26.1%)とした.対象者を低運動耐容能群(6MWD<357 m,LEC群)と高運動耐容能群(6MWD≧357 m,HEC群)に群分けし,それぞれの姿勢・動作時間を比較し,さらに全対象者における各種運動機能指標との関連性を検討した.

    【結果】LEC群における1日の座位+臥位時間はHEC群に比べ有意に多く(548±100分/日 vs 454±118分/日,p<.05),座位+臥位時間は6MWD(r=-0.451,p<.05)および膝伸展筋力(r=-0.487,p<.05)と有意な負の相関関係が得られた.

    【まとめ】日常生活における座位+臥位時間の延長は運動耐容能の低下と有意な関連性があり,COPD患者の予後改善に向けて重要な因子となることが示唆された.

  • 猪飼 やす子
    原稿種別: 研究報告
    2019 年 28 巻 1 号 p. 151-154
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー HTML

    目的:線維化性非特異性間質性肺炎をもつ人のエンドオブライフの記述から,生きられた体験の意味を探究する.

    方法:呼吸困難感の悪化に伴い,役割等を喪失しているA氏との非構造化面接を実施し,Colaizzi(1948)の現象学的記述方法を行い,体験の意味を分析した.

    倫理的配慮:本人と家族の同意を得た.所属当時の研究医療機関の倫理委員会の承認を受けた.

    結果:A氏は,【自立や役割を喪失していくことに対する「どうしてわたしが」という思いを募らせる】も,若き日に【子どもを亡くした悲しみがもたらした長く生きてはならないという誓い】があった.そして,【悲しみを共有した重要他者と紡いだ絆に気づき生きる意味を見出す】ことにより,苦しい日々を生き抜いた.

    考察:生きることへの罪悪感と生きられた日々との間にある揺らぎが,病いを契機に情緒面に顕在化したと考えられた.人生の根底に流れている体験を傾聴する援助による実存的苦痛の緩和が示唆された.

レター
奥付
feedback
Top