間質性肺炎(interstitial pneumonia; IP)には,原発性肺癌,肺高血圧症(pulmonary hypertension; PH),肺感染症,気胸などを合併することが知られており,いずれも予後に重大な影響を与える合併症である.したがって,合併症対策の意義は大きく,早期発見・診断ならびに適切な対応が求められる.
原発性肺癌の診断は時に遅れる場合もあり,血液中の腫瘍マーカーの測定と胸部CT所見を経時的に比較することが肝要である.また,手術および化学療法は,IPの急性増悪や薬剤性肺障害のリスクが問題となるため,治療適応は制限される.
PHの頻度は,対象患者の重症度や診断方法の相違によりその頻度は一定していないが,気腫合併肺線維症では高くなることが知られている.治療は酸素療法が主体となるが,肺血管拡張薬の適応も検討するべきである.
肺感染症では,肺抗酸菌症,肺アスペルギルス症,細菌性肺炎,ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス(CMV)肺炎などのリスクが高くなる.したがって,定期的に血中β-D-グルカン,アスペルギルス抗原・抗体,抗Mycobacterium avium complex抗体,インターフェロンγ遊離試験であるT-SPOT,CMVアンチゲネミアなどの測定を行うことが必要である.
IPでは気胸や縦隔気腫を合併しやすく,中等度以上の気胸では,胸腔ドレナージを考慮する.エアリークが遷延する症例では,胸膜癒着術や外科的治療なども考慮しなければならないが,IP急性増悪の誘因になる可能性があるため,実際には自己血癒着を行うことが多く,治療に難渋する場合も多い.
間質性肺炎の合併症管理は,予後に大きな影響を与えるため,日常臨床において常に注意を払わなければならない.
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