日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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30 巻, 3 号
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追悼
シンポジウム
  • 横山 俊樹
    原稿種別: シンポジウム
    2022 年 30 巻 3 号 p. 255-259
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    特発性肺線維症(IPF)の急性増悪をはじめとして,間質性肺炎における急性呼吸不全は予後不良として知られている.間質性肺炎の呼吸管理においては気管挿管による人工呼吸が忌避される傾向があり,HFNCOTやNPPVといった非挿管による呼吸管理に注目が集まっている.

    一般に,HFNCOTは最大60 L/minまでの高流量の混合酸素を十分な加湿のもとに投与できる特殊な酸素療法だが,PEEP様効果や死腔洗い出し効果など特徴的な臨床効果が期待でき,本邦においても間質性肺炎におけるHFNCOTの使用頻度は増加している.間質性肺炎におけるHFNCOTの有効性を示す報告もみられてきているが,さらなる経験の集積が必要である.また,間質性肺炎急性増悪は必ずしも救命が可能な病態とは限らない.患者個々の背景によって呼吸管理を慎重に行うことが重要である.状況に応じて各種のデバイスを使い分けることが重要であり,中でもHFNCOTは重要な位置を占めつつある.

  • 門脇 徹
    原稿種別: シンポジウム
    2022 年 30 巻 3 号 p. 260-263
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    COPD急性増悪によるII型呼吸不全に対する呼吸管理はNPPVが第一選択であり,ゴールドスタンダードである.一方,現時点ではエビデンスは不十分ながらも高流量鼻カニュラ酸素療法(High flow nasal cannula, HFNC)はその特長からCOPD増悪によるII型呼吸不全に対しても有利に働くことが予測され,実際に使用頻度が増加している.実臨床からの経験上は軽症の呼吸性アシドーシスでは非常に有用な呼吸管理法と考えられるが,NPPVとの棲み分けやHFNCを行わない基準等について今後エビデンスを蓄積していく必要がある.

  • 横村 光司
    原稿種別: シンポジウム
    2022 年 30 巻 3 号 p. 264-269
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    HFNC(high flow nasal cannula)の終末期患者における利用は,その簡便性・快適性といった特徴から有用性が高いと考えられる.十分なエビデンスが得られている領域ではないが,諸外国の報告もふまえ国内の複数のガイドラインやマニュアルにもその有用性が言及されるようになった.当院でもHFNCの利用頻度は年々増加しており,挿管管理までは行わない間質性肺炎患者での使用においてNPPV(non-invasive positive pressure ventilation)との比較で後ろ向きに検討し,忍容性とQOLの面で優れることを報告した.多くの患者にHFNCを使用した場合,病院内で大量の酸素が必要となること,緩和的な面では吸気の熱感が強く作動音が大きいこと,また在宅利用は保険診療上 認められていないことなど,解決すべき問題点は残されるが,当院での終末期患者での使用状況を実例を交えて紹介した.

ワークショップ
  • 宮城 芳江, 長谷川 智子
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 270
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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  • 神野 正博
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    チーム医療の推進と働き方改革の議論の中で,看護師特定行為研修を修了した看護師に期待されている役割は極め大きい.それは,チーム医療のキーマンとしてチームをコーディネイトするばかりではなく,フィジカルアセスメントの上で,臨床推論を駆使して判断する能力は,医師の働き方改革におけるタスク・シフティングの観点でも,患者に対してのタイムリーで適切なケア提供の観点でも極めて大きなことであろうからだ.

    本制度が誕生後5年を経過し,未だ修了者が少ないことが問題視されているが,課題の検討と解決とともに,医療提供者への周知と患者への周知が望まれる.

  • 長谷川 智子
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 280-284
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    厚生労働省は2025年に向けた在宅医療推進のために,医師または歯科医師の判断を待たずして特定の医療行為ができる看護師の研修(特定行為に係わる看護師の研修制度)を2015年より施行している.これをうけて日本看護協会は,現行の認定看護師教育課程を,特定行為研修を組み込んだ新認定看護師課程に変更することを発表しており,すでに14分野の新認定看護師教育課程基準カリキュラムが発表されている.呼吸器分野の新分野名は【呼吸器疾患看護】となる予定で,慢性疾患のみならず急性期から慢性期まで連続性をもった視点でケアを提供できる看護師の養成を行う予定となっている.特定行為を行う上では高い臨床推論力と病態判断力が求められており,臨床病態生理学や臨床推論,フィジカルアセスメント,臨床薬理論などの教育がいっそう強化されている.

  • ―セルフケア理論の観点から―
    本城 綾子
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    慢性呼吸不全患者は,普遍的セルフケア要件「十分な空気摂取の維持」のために,LTOT/HOTやNPPV管理を必要とする.それらの機器を自分の生活に合わせて調節し,常に管理(セルフケア行動)する必要がある.30代後半の女性は,バセドウ病で甲状腺クリーゼを起こし回復したものの,その後1年間肺炎を繰り返し,本人は気がつかないままに肺の線維化が進行し,呼吸器専門病院に入院した時には既に呼吸不全に陥っていた.LTOT/HOTとNPPVを同時に導入する方針となり教育が行われていたが,機器の操作・管理が未習得にもかかわらず患者の強い希望で退院しようとしていた.患者は低酸素血症・高二酸化炭素血症・肺高血圧症の状態で,酸素吸入とNPPVを適切に実施しない限り急変のリスクが高かった.医師と看護師からの介入依頼を受け,セルフケア能力・ケアレベルをアセスメントし,患者が治療方針について自己決定できるための支援をした.

  • ―自己効力理論の活用―
    伊藤 史
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 290-293
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    自己効力感(self-efficacy)は,患者の行動への理解において必要な認知的な概念である.Banduraは人間の社会的行動について,外的刺激ではなく,それをどう受け止めるのかという認知が大きな役割を果たしていると考え,人間の行動を包括的に説明するための理論として社会的学習理論を提唱した.人間の行動を起こす(行動変容)には,「自分にはその行動をする力がある」という自己効力感を,成功体験,代理体験,言語的説得,生理的・感情的状態などの影響要因に働きかけて高めること,さらに「その行動をするとよい結果が生じる」という結果予期が必要になる.自己効力感の概念を用いた分析に適しているのは,「必要なのに行われない行動」である.看護師は患者の認知に目を向けて,患者が自分の行動を振り返り分析することを援助する.自己効力理論を活用して,慢性呼吸不全患者が希望する生活を継続するための療養支援について考える.

  • 猪飼 やす子
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 294-299
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー HTML

    病状の改善がみられず,死を思い苦しむ慢性呼吸器疾患をもつ人々を,医療者はどのように援助してゆけばいいのだろうか.慢性疾患と共に生きる人々の言動,そして行動の意味を洞察する道標のひとつに,病みの軌跡理論がある.本理論は,StraussとGlaserらによる,死にゆく人と家族,医療者の相互関係の研究から発展したものである.Straussは病院,及び家庭での慢性疾患の管理を調査し,慢性疾患を生きる人々は軌跡を描くことを1984年の著書,慢性疾患を生きる―ケアとクォリティ・ライフの接点,にまとめ,1992年,看護師のCorbinと病いと生きる方策を導く本理論を開発した.

    本稿では病みの軌跡理論の成り立ち,および主要概念を概説する.また,病みの軌跡理論を基盤とした,病状の改善の見られない慢性呼吸不全患者が今を生きることを見出してゆく看護援助の事例研究を用いて,高度実践看護師である専門看護師による理論と実践の統合について解説する.

  • ―医薬品と医療機器に対する課題と対策
    駒瀬 裕子
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 300-304
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    災害による呼吸器慢性疾患への影響は大きく,個人レベルの対応とシステムとしての対応が必要である.

    (1)超急性期には患者自身が一週間分程度の薬剤をお薬手帳とともに持ち出せるように準備をしておく.

    (2)亜急性期の薬剤の準備は卸ルートが最も有用であり都道府県レベルでは災害に備えた医薬品供給体制の連携体制の構築も進んでいる.医薬品卸から救護所・避難所への医薬品供給体制の合理化や広域災害発生時には国や複数の地方自治体との連携が不可欠である.

    (3)COPDや喘息などの呼吸器疾患の治療では吸入薬が中心で感染にも配慮した備蓄やスペーサーの工夫が必要である.

    (5)医療機器に関しては機器の準備と補助電源の確保が重要である.

    (6)患者と主治医によりアクションプランを作成し理解すること必要である.

    (7)2019年年末から新型コロナウイルス感染症が全世界で大きな犠牲を出しており,ハイリスクの呼吸器疾患ではこの対策も重要である.

  • 茂木 孝
    原稿種別: ワークショップ
    2022 年 30 巻 3 号 p. 305-310
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    災害時には患者自身も可能な限り自分で自分の身を守り,必要な行動をとる自助が要求される.世論調査では人々の意識も年々自助を重視する考えが増えている.医療者にとっては患者自身が対処すべきことを事前に教育できているかどうかが問題となるが,LINQを利用した患者教育に災害対策も含めるのが妥当である.自己管理の難しい患者については併せて家族,医療業者,自治体と供に平時から準備を進めておくことが必要である.特に地域の人々のつながりがあると健康意識,防災意識が維持されやすいことも指摘されている.共助を含め他者との関わりが強化されることは豊かな社会資本形成の上で重要なアプローチであり,災害対策にも役立つと考えられる.自治体も様々な対策を準備しており,近年はタイムライン(防災行動計画)による災害対策が注目されている.一方で避難行動要支援者名簿制度に関する情報が周知されていないなどの問題点も指摘されている.

原著
  • ―若年者と高齢者での比較検討―
    千木良 佑介, 小田 貴弘, 宮崎 郁里, 土橋 邦生
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    【目的】背臥位(P0),45°ギャッジアップ臥位(P45),端坐位(PS)間における呼吸機能,咳嗽能力の変化に着目し,若年者と高齢者で比較することを目的とした.

    【対象と方法】対象者は,若年者22名と高齢者17名とした.呼吸機能と咳嗽能力を測定した.測定時の姿勢条件は,P0,P45およびPSの計3条件とした.

    【結果】若年者では肺活量や咳嗽時最大呼気流速において各姿勢間で有意差がみられ,1秒量やピークフロー(PEF)の項目でもP0とPSの比較で有意差があり,すべての項目でPSが最高値を示した.高齢者ではPEFにおいてP0とP45に有意差がみられ,P45が最高値を示した.

    【結語】呼吸機能や咳嗽能力は,PSが最も高値を示すとする研究が多い.しかし高齢者では咳嗽に関係する指標はP45が最も高値を示した.これは体幹の安定性向上により,呼気筋をうまく使用できた可能性があるのではないかと考える.

  • 神田 孝祐, 石橋 雄介, 福田 浩巳, 坪内 善仁, 西田 宗幹, 洪 基朝
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 316-321
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    【目的】肺炎の罹患により,理学療法(PT)を実施した当院精神科病棟入院患者の歩行獲得に関わる因子を抽出し,予後予測能の検証を行うこと.

    【方法】対象は医療・介護関連肺炎(NHCAP)を発症し,PTを実施した当院精神科病棟入院患者とした. PT終了時の移動状況から歩行獲得群と非獲得群に分類し,診療記録をもとに,群間比較とROC曲線分析を行った.

    【結果】対象の内訳は,歩行獲得群18名(40.9%),非獲得群26名(59.1%).群間比較にて抽出された項目のカットオフ値と曲線下面積(AUC)は,PT開始時のFIM運動項目:21点・0.778,認知項目:14点・0.718,安静臥床期間12日・0.675であった.

    【結語】NHCAPを罹患した精神科病棟入院患者の歩行獲得には,PT開始時の運動・認知項目の点数と安静臥床期間が関連しており,歩行獲得の可否の判断に必要な項目であることが示唆された.

  • 渡辺 恒希, 青山 誠也, 辰野 紗英, 丸山 仁司, 金子 秀雄
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 322-327
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    [早期公開] 公開日: 2021/12/13
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    【目的】ベッド上の異なる姿勢が横隔膜運動と換気量に与える影響を検証すること.

    【対象】健常成人男性30名を対象とした.

    【方法】各姿勢はベッドアップ0°,30°,60°,ベッドアップ60°での仙骨支持および胸腰椎支持の5条件を設定した.横隔膜運動は超音波診断装置を用いて横隔膜筋厚差(以下ΔTdi)と,安静時の換気量で除した値(以下ΔTdi/TV)を算出し,信頼性の検証のため測定は2回行った.

    【結果】ΔTdi,ΔTdi/TVの信頼性は保たれ,横隔膜運動はベッドアップ0°よりベッドアップ60°で有意に増加したが,仙骨支持および胸腰椎支持では横隔膜運動は有意に減少した.

    【結語】健常成人男性におけるベッドアップ60°では横隔膜運動が高まるが,仙骨支持および胸腰椎支持は横隔膜運動を低下させることが示された.

  • 小林 千穂, 清水 詩子, 大澤 拓, 結城 ちかこ, 大方 葉子, 坂井 邦彦, 小山 千加代, 内山 美枝子, 小山 諭
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 328-334
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の呼吸困難マネジメント及び身体活動量の特徴を踏まえ療養支援を検討する.

    【方法】COPD患者を対象とし,身体活動量の測定は3軸加速度計を用いた.また,呼吸困難マネジメントに基づく類型化を行い,その特徴を分析した.

    【結果】呼吸困難マネジメントは,マイペース型(類型1),呼吸困難回避型(類型2),動作調整型(類型3),動作・呼吸調整型(類型4)の4類型が示され,動作・呼吸調整型(類型4)は動作調整型(類型3)と比較し,呼吸調整のマネジメントを実行し,FEV1/FVC,%FEV1は低いが,身体活動量は高い結果となった.

    【考察】FEV1/FVC,%FEV1は低いが,多様な呼吸困難マネジメントを実行し,より高い身体活動量が維持されている患者の存在から,COPD患者の生活活動や呼吸困難の程度に応じたマネジメントの獲得に向けた支援が求められる.

  • 大林 将人, 譜久村 翔
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 335-340
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/03/11
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    【目的】本研究の目的は,経口気管内挿管患者の布テープ固定とアンカーファスト®固定で口腔ケア回数を比較・検討することである.

    【方法】本研究は後方視的前後比較デザインである.1日以上の経口気管内挿管患者を研究対象とし,観察期間は経口気管内挿管1日目~7日目とした.布テープ固定群(以下TF群)35名とアンカーファスト®固定群(以下AF群)43名の1日あたりの口腔ケア回数を調査・比較した.

    【結果】1日あたりの口腔ケア回数はTF群平均値3.2±1.1回/日,AF群平均値4.1±1.5回/日であり,AF群が有意に多かった(p=0.002).

    【考察】布テープ固定よりもアンカーファスト®固定では,業務量や業務負担の軽減,口腔観察や口腔ケア手技の簡易化などの複数の利益を得られ,その影響を受け本結果へと至ったと考えられた.

    【結論】経口気管内挿管の固定において,布テープではなくアンカーファスト®を用いることで口腔ケア回数が増加する可能性がある.

  • 内川 友裕, 髙橋 恭平, 湯浅 敦智, 山下 康次, 氏家 良人
    原稿種別: 原著
    2022 年 30 巻 3 号 p. 341-346
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】集中治療室(ICU)において48時間以上人工呼吸器を装着し,早期リハビリテーション(早期リハ)を施行した患者のせん妄発生状況および,せん妄が臨床経過に及ぼす影響について後方視的に調査することである.【対象および方法】対象は当院ICUに入室し,48時間以上挿管下人工呼吸管理および早期リハを施行し生存退室した74例の患者とした.調査項目は,重症度,人工呼吸器非装着日数(VFD),鎮痛・鎮静期間,離床開始日,日常生活動作(ADL),ICU在室・在院日数,退院時転帰を調査した.【結果】せん妄発生率は87%であった.せん妄を発症した患者では離床開始時期の遅延,ADL低下,在院日数の長期化,転帰に影響することが示唆された.また,せん妄期間はVFDおよびICU在室日数に相関を認めた.【結語】48時間を超える人工呼吸器装着患者では,早期リハ介入が実施されてもせん妄発症率は高く,せん妄は離床開始時期,ADL,在院日数,転帰に影響を与えた.

症例報告
  • 下村 智徳, 中村 可愛, 加藤 智美, 筒井 奈々子, 坂井 邦彦
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 30 巻 3 号 p. 347-349
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー HTML

    非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を在宅で使用する際,患者はマスク装着や機器周辺操作など一連の管理を行う必要があり,在宅でのNPPV使用には高い自己管理能力が求められる.高齢患者においては,入院中にNPPV自己管理が困難な場合がみられ,退院時の課題となることがある.その原因として患者自身の問題だけでなく,指導するスタッフ間での情報共有などにおける問題や退院先の施設の受け入れ条件の問題なども挙げられる.今回,NPPV導入に際し,自己管理が困難な患者に対し作業療法士(OT)が介入することで施設への退院に結びついた症例を経験した.高齢患者のNPPV自己管理には,患者の能力を適切に評価し,患者に適した装着方法の指導をチーム内で共有し,統一した指導を繰り返し行うというチームアプローチが有用であることが示唆された.

  • 野々山 忠芳, 重見 博子, 成瀬 廣亮, 重見 研司, 松峯 昭彦, 石塚 全
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 30 巻 3 号 p. 350-354
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    症例は59歳男性.出血性ショック,敗血症となりICU入室し,人工呼吸器,PCPS,CHDF管理となった.第4病日よりリハビリテーション開始となったが,平均MRC sum scoreは1.8点であり,ICU-AWと考えられた.同日より両下肢に対する神経筋電気刺激療法を開始した.ICU退室後は離床を開始するとともに,①神経筋電気刺激療法を併用した運動療法,②タンパク質摂取量の 1.3-1.5 g/kg/dayへの設定,③HMBの摂取を開始した.その結果,MRC sum scoreの改善,四肢の骨格筋量の増加を認めた.杖歩行が可能となり第257病日に転院となった.ICU入室中は著明な筋力低下や安静度制限により積極的な運動が困難であったが,神経筋電気刺激療法により早期から筋収縮を促すことが可能であった.また,ICU退室後より運動療法と栄養療法を併用し,筋力,骨格筋量の改善が得られた.

  • 木本 祐太, 東本 有司, 白石 匡, 杉谷 竜司, 水澤 裕貴, 木村 保, 田平 一行, 西山 理, 松本 久子
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 30 巻 3 号 p. 355-359
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】肺ランゲルハンス細胞組織球症(PLCH)は難治性希少疾患のため,治療法やリハビリテーションの効果は確立されていない.今回,肺高血圧症を合併したPLCH患者に対して高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNCOT)を併用した運動療法を実施し,良好な成績が得られたため報告する.

    【症例紹介】肺高血圧増悪,心不全にて入院し,第4病日より理学療法開始した.運動時低酸素血症が顕著であり,運動負荷の調整に難渋した.経鼻カニュラとHFNCOTでの運動負荷試験の結果から,運動療法中にHFNCOTを用いることとした.

    【経過】HFNCOTにより低酸素血症は抑制され,十分な強度での運動療法が可能となり,独歩にて退院となった.

    【まとめ】HFNCOTはPLCH患者の運動時低酸素血症の抑制に有効であり,運動療法を安全かつ効果的に実践する一助となると考えられた.

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