日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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4 巻, 3 号
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特別講演
シンポジウム1
原著
  • 熊谷 美穂, 西川 春江, 早川 とく江, 田口 道子, 臼井 芳枝, 近藤 哲理, 太田 保世
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法患者21名中17名が2~4回/週 入浴する.理由は清潔,習慣,楽しみ等で,浴槽に浸かる時間<5分,深さは胸までが多い.入浴中酸素吸入する患者は1/3で,呼吸困難は中段理由とならない.入浴時の心拍や血圧は健常者と類似し,心拍×血圧は健常者の2倍変動した.呼吸困難なくともSpO2は浴室内で92%に低下するが,浴槽に浸かってもSpO2はさらには低下しない.入浴時の酸素投与は必要で,浴室内労作時を基準に決定できると結論した.

  • ―胸式・腹式呼吸における体温変化―
    石橋 朝子, 山岸 雅彦
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    健康人の体温は生活環境,運動,日差により変動するが,1日の変動は0.6~0.7℃で調節機構が働く.しかし大きな疾病や開腹・開胸術後などで常態変化をきたすとき,体温の恒常性は破綻する.肺理学療法ことにリラクセーションと腹式横隔膜呼吸法を習得した患者はそれまでの冷感,痺れが全身性に温感著明で快適となるため肺理学療法領域,特に呼吸療法における体温変化に着目し,自験例で基礎的実験を行った.臨床例もあわせて測定比較した.結果は中枢深部温,末梢表面温はともに安静リラクセーションと各呼吸パターンにおいて明らかに変化した.深部温は測定部周辺の組織血流量を反映するという1)

    鼓膜温,前額部深部温はともに中枢深部温としてそれぞれ視床下部温,肺動脈血温と相関するという2).中枢鼓膜温から乖離していた腹部深部温は腹式呼吸とともに鼓膜温に近づき,上回った.また呼吸法前の安静リラクセーションにおいても,中枢・抹消温度は上向きの傾向をみせた.体温の恒常性回復は全身性病的基底緊張を開放し,呼吸療法はその回復を助ける強力な治療手段であることを確認した.患者による臨床実験でも環境や測定条件の違いから単純比較はできないものの,リラクセーションと呼吸法で中枢・抹消温度の変化は明らかだった.

  • 間島 かおり, 押川 真喜子, 佐々木 佳子, 西田 志穂, 松本 陽子, 今仲 浩子, 蝶名林 直彦, 多田 寛, 長野 博
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 156-159
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    当院ではHOT患者に対し訪問看護を行ってきたが,訪問看護の適応と効果については明らかにされていないのが現状であった.そこでHOT患者52例を訪問看護継続群・非継続群に分類し,その両者を比較検討した.急性増悪・入院期間から十分裏付けることはできなかったが,訪問看護の適応について明らかにすることができた.

  • 坪井 知正, 大井 元晴, 陳 和夫, 関野 一, 鎌苅 邦彦, 久野 健志
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 160-163
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    低酸素・高炭酸ガス血症を伴う胸郭性拘束性換気不全症例8名に対して12分間歩行テストを,(1)室内気吸入・自発呼吸,(2)室内気吸入・鼻マスクによる間欠的陽圧人工呼吸(NIPPV),(3)安静時より高流量の酸素吸入・自発呼吸,の3条件下で行い,NIPPVおよび高流量酸素投与が,歩行距離,運動中・運動後の低酸素血症や高炭酸ガス血症に与える影響を検討した.安静時と比べ,高流量の酸素投与は運動中および運動後10分間程度の換気亢進時には比較的安全に行え,有用であると思われた.一方,NIPPVで,経皮酸素飽和度や経皮炭酸ガス分圧は改善したが,歩行距離は減少した.運動中の換気補助(NIPPV)が有用か否かは,運動の種類や負荷量によると思われた.

  • 小川 一彦, 古賀 俊彦
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 164-166
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸不全患者はさまざまな因子により容易に呼吸筋疲労をきたし人工呼吸管理を要することがある.そこで呼吸筋疲労を評価するための臨床的な測定値として,最大吸気口腔内圧,1回換気量/肺活量,呼吸数を選択し160名の慢性呼吸不全患者に,継続して検査を行った.その結果,それぞれの値が呼吸筋疲労による急性増悪時と安定時とで有意な差を認め,呼吸筋トレーニングの効果を知るための指標にも成り得た.

  • 深野木 智子, 島内 節, 猫田 泰敏, 川口 毅
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 167-177
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    50例の在宅酸素療法(HOT)患者(男性31名,女性19名,平均年齢68.0歳)の24時間酸素飽和度測定を行い,酸素不飽和(SpO2 90%以下)の占めた時間(ODR)と飽和度の低下度の両者からHOT患者用呼吸管理指標DIHOT(desaturation index for home oxygen therapy)を開発し,以下の知見を得た.

    1. HOT患者の覚醒時DIHOTは平均137.9,睡眠時DIHOTは平均83.9であった.

    2. DIHOTは従来のODRとの相関が高かった.しかし,DIHOTは自覚症状の程度など相関のみられた項目がODRよりも多く,より鋭敏に酸素不飽和に基づく呼吸管理状態を反映していると考えられた.

    3. 覚醒時DIHOTと睡眠時DIHOTによる呼吸管理区分の明確化のためにクラスター分析を行った結果,5群に分割された.

    4. 以上,HOTにおける低酸素状態を的確に把握するためには,DIHOTがODRより鋭敏であり,DIHOTの管理区分に基づいた指標は有用であると考える.

  • 宮城 征四郎, 喜屋武 幸男, 吉嶺 厚生, 大滝 美浩, 小浦方 啓代
    原稿種別: 原著
    1995 年 4 巻 3 号 p. 178-182
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    1979~1993年の15年間に本院で経験した喘息発作要人工換気症例156例についてその臨床実態を検討し,喘息発作人工換気周辺の諸問題について,本院の治療戦略を紹介した.1986~1987年の2年間に急増した要人工換気件数はその前後でMDIのregular use を積極的に導入した結果と思われた.換気モードについては,人工調節的低換気法が従来の通常調節・補助換気法に比して圧外傷による合併症も少なく,人工換気時間も有意に短かった.人工換気経験のある喘息患者の家庭に酸素を設置して,発作と同時に酸素療法を開始された症例には死亡例がなく,長期予後についても有意に酸素非設置群に比して良好であった.

臨床経験
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