はじめに:本研究の目的は,超音波検査による棘下筋の脂肪浸潤の評価を行い,MRI結果や腱板断裂程度との関連性について検討することである.
対象と方法:腱板評価のためにMRIと超音波検査を施行した32例32肩(平均年齢68.2±11.4歳,男性20例,女性12例)を対象とした.棘下筋の脂肪浸潤については,MRIによるGoutallier分類に従い,stage0と1を軽度,stage2を中等度,stage3と4を併せて高度とした.超音波検査については,装置に搭載されているHistogram法を用い,皮下脂肪層,棘下筋内それぞれ3カ所より計測を行い,ROI中の平均階級値(MN)の平均値を指標とし,皮下脂肪を筋のMNで除した値をecho intensity ratio: ERとした.
結果:腱板断裂サイズと年齢の関連性については,断裂なし群が広範囲断裂群に比し有意に低下した.MRIにおける棘下筋脂肪浸潤評価とUS Histogram法の関連性では,皮下脂肪のMNは軽度が高度に比し有意に高値を示し,棘下筋のMNについては,軽度が高度に比し有意に低値を示した.ERについては,高度が軽度,中等度に比べ有意に高値を示した.
結語:今回の検討において超音波Histogram法は棘下筋の脂肪浸潤を簡便に定量評価できる有用な検査法であると考えられた.
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