超音波検査技術
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41 巻, 1 号
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学術書―原著
  • 寺島 健, 合志 聡
    原稿種別: 学術賞-原著
    2016 年 41 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/02/19
    ジャーナル フリー
    はじめに:経皮内視鏡的胃瘻造設術を施行した患者の胃瘻カテーテルは,経時的劣化のため定期的交換が必要であり,交換後の胃内留置の確認が必須となる.現在,胃内留置の確認は内視鏡下,もしくは透視下で行われるのが一般的であり,患者に対して負担が大きい.そこで今回,患者の負担軽減を目的に,超音波診断装置を用いた胃内留置の確認の有用性について検討した.
    対象と方法:バンパー型胃瘻カテーテル交換患者50例(男性12名,女性38名),平均年齢82.1±10.9歳を対象とした.胃瘻カテーテル交換時に半固形水(水ゼリー)を胃内に注入し無エコー領域を作り,型通りカテーテル交換を行う.交換前,半固形水注入後,交換後の超音波画像より画像の明瞭度を0から4の5段階スコアとして評価した.
    結果と考察:超音波画像によるスコアは,交換前1.5±0.7,注入後3.2±0.8,交換後2.6±0.9であった.胃内腔に半固形水を注入することで胃瘻カテーテルの描出が良好となり胃内留置の確認に有用であった.
    結論:超音波診断装置による胃瘻カテーテルの胃内留置の確認は,患者に低侵襲であり負担が軽減される.また,交換場所も制限されないため有効な方法であると考えられる.
原著
  • 渡邉 恒夫, 寺林 伸夫, 多田 早織, 伊藤 亜子, 篠田 貢一, 野久 謙, 古田 伸行, 伊藤 弘康, 松岡 敏男, 清島 満
    原稿種別: 原著
    2016 年 41 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/02/19
    ジャーナル フリー
    はじめに:本研究の目的は,超音波検査による棘下筋の脂肪浸潤の評価を行い,MRI結果や腱板断裂程度との関連性について検討することである.
    対象と方法:腱板評価のためにMRIと超音波検査を施行した32例32肩(平均年齢68.2±11.4歳,男性20例,女性12例)を対象とした.棘下筋の脂肪浸潤については,MRIによるGoutallier分類に従い,stage0と1を軽度,stage2を中等度,stage3と4を併せて高度とした.超音波検査については,装置に搭載されているHistogram法を用い,皮下脂肪層,棘下筋内それぞれ3カ所より計測を行い,ROI中の平均階級値(MN)の平均値を指標とし,皮下脂肪を筋のMNで除した値をecho intensity ratio: ERとした.
    結果:腱板断裂サイズと年齢の関連性については,断裂なし群が広範囲断裂群に比し有意に低下した.MRIにおける棘下筋脂肪浸潤評価とUS Histogram法の関連性では,皮下脂肪のMNは軽度が高度に比し有意に高値を示し,棘下筋のMNについては,軽度が高度に比し有意に低値を示した.ERについては,高度が軽度,中等度に比べ有意に高値を示した.
    結語:今回の検討において超音波Histogram法は棘下筋の脂肪浸潤を簡便に定量評価できる有用な検査法であると考えられた.
症例報告
  • 谷口 京子, 小谷 敦志, 谷 加奈子, 後藤 千鶴, 橋本 三紀恵, 河野 ふみえ
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 41 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2016/02/19
    ジャーナル フリー
    【症例】60歳代女性【主訴】左上下肢の麻痺
    【既往歴】高血圧
    【現病歴】左上下肢の麻痺を主訴に近医を受診し脳梗塞と診断された.その際,不正性器出血と下腹部腫瘤を認め卵巣癌と診断された.入院中に再度脳梗塞を発症しTrousseau症候群が疑われたため卵巣癌の加療目的で当院産婦人科に紹介となった.
    【入院時検査所見】入院時血液検査にてD-dimerの上昇,下肢静脈エコー検査で下肢深部静脈血栓症を認め,造影CTにて肺塞栓の合併を認めた.入院時の経胸壁心エコー検査および経食道エコー検査では心内シャントは認めなかったものの,僧帽弁の著明な肥厚を認めた.
    【入院後経過】明らかな感染所見は認めなかったため抗凝固療法を行い,治療開始後約5か月後の心エコー検査では僧帽弁の肥厚は縮小を認めた.以上より非細菌性血栓性心内膜炎により脳梗塞を繰り返し発症したものと考えられた.
    【考察】脳卒中を発症した悪性腫瘍の剖検報告によると,脳梗塞の原因として非細菌性血栓性心内膜炎(27%)が最も多いといわれている.担がん患者で凝固能の異常高値がみられた場合は本病態を念頭に置き心エコー検査を行う必要があると考える.Trousseau症候群にて卵巣癌に合併した非細菌性血栓性心内膜炎による脳梗塞の1例を経験したので報告する.
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