超音波検査技術
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若手研究奨励賞-原著
  • 市川 奈央子, 椎名 由美, 木島 康文, 福田 旭伸, 丹羽 公一郎
    2019 年 44 巻 3 号 p. 357-369
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/06/12
    ジャーナル 認証あり

    目的:Fallot四徴症(Tetralogy of Fallot: TOF)術後遠隔期合併症として不整脈が問題になることが多い.不整脈発症の機序は肺動脈弁逆流による容量負荷,肺動脈狭窄による圧負荷や手術による心筋障害などが原因としてあげられる.右房,右室の容積や心室機能と予後との関連性についての報告はあるが,心房機能と不整脈発症の関連について検討した報告はこれまでない.TOF術後患者を対象に2Dスペックルトラッキング法を用いて評価した心房心室機能が不整脈合併症例において特徴があるか検討した.

    対象と方法:TOF術後患者77名を対象に検討した.経胸壁心臓超音波検査を用いて,各心腔の容積や駆出率などの標準的な評価項目に加え,2Dスペックルトラッキング法で両心房のStrain, Strain rate(SR)を計測した.対象群をA)上室性不整脈群,B)心室性不整脈群,C)不整脈なし群の3群に分け比較検討を行った.

    結果と考察:A)上室性不整脈群は右室GLSが低下(p<0.01)し, Severe TRの割合が高かった(p=0.02).両心房が拡大し,両心房のSR項目は3時相全て低下していた.右房起源による不整脈を生じている可能性が示唆され,さらに障害された左房での伝導異常も上室性不整脈発症因子となる可能性が考えられた.ロジスティック解析では,両心房の拡大,LA booster strain, LA conduit strain, LA reservoir SR低下が上室性不整脈との関連性を認めた.B)心室性不整脈群では左室GLS低下(p=0.03),RVEDA拡大(p=0.01),RVGLS低下(p=0.01),両心房拡大(p=0.02),LA conduit SR低下(p=0.04),RA booster SR(p=0.02),RA reservoir SR低下(p<0.01)を認めた.ロジスティック解析では,左室拡大,両心房拡大,LA booster strain低下が心室性不整脈との関連性を認めた.

    結論:TOF術後遠隔期の不整脈発症例において両心房機能低下,両心室機能低下が関連している可能性が示唆され,心房および心室のStrain計測による評価が有用であると考える.

研究
  • 片岡 容子, 種村 正, 佐々木 伸子, 由井 恵美, 渡邊 伸吾, 堤 由美子
    2019 年 44 巻 3 号 p. 370-377
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/06/12
    ジャーナル 認証あり

    目的:心エコーで算出する肺体血流比(Qp/Qs)に誤差が生じるのは,右室流出路形状が楕円形であることが原因の一つであると考えられる.本研究の目的はCTで右室流出路形状を解析すること,CTと心エコーで右室流出路断面積を比較し,その差が生じる原因について検討することである.

    対象と方法:心エコーとCTを同時期に施行した右室拡大がない67例(男性53例,女性14例,平均年齢58±26歳)を対象とした.CTで得られたMPR画像から,右室流出路の長径,短径,断面積を計測した.心エコーでは右室流出路長軸断面で計測した右室流出路径を直径とする面積を下位肋間断面積とし,探触子を1肋間上方に移動させて計測した面積を上位肋間断面積とした.CTから得られた値から右室流出路形状を解析し,各断面積を比較した.

    結果と考察:右室流出路形状は全症例が心臓の前後方向につぶれた横長の楕円形を呈していたことから,右室流出路形状そのものがQp/Qsの誤差要因の一つであることが明らかになった.CTの面積は6.6±1.8 cm2,心エコーで計測した下位肋間断面積は5.3±1.2 cm2(p<0.001),上位肋間断面積は6.5±1.2 cm2(ns)であったことから,右室流出路径は上位肋間で計測した方が良いと考えられた.

    結論:右室流出路形状が横長の症例においては,心エコーによる右室流出路径計測は上位肋間で行うとCTで計測した右室流出路断面積に近い値が得られる.右室流出路形状が楕円形であること自体が肺体血流比の誤差要因の一つであり,心エコーで計測している部位が症例によって一定ではないためにバラツキが生じるものと考えられた.

症例報告
  • 津村 京子, 田上 展子, 尾羽根 範員, 川端 聡, 仙崎 菜々恵, 吉野 知治, 安賀 裕二, 平岡 久豊, 安宅 啓二, 有田 幸生
    2019 年 44 巻 3 号 p. 378-384
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/06/12
    ジャーナル 認証あり

    症例は40代男性.2002年の健康診断で拡張期雑音を指摘され当院受診.心エコー図検査では著明に拡張した左冠動脈主幹部~左回旋枝が左室へ開口しており,冠動脈–左室瘻を疑った.心臓カテーテル検査を施行した結果,左回旋枝からの冠動脈–左室瘻と診断した.労作時の息切れや胸痛などの自覚症状は認めず,運動負荷心筋血流シンチグラフィでも明らかな虚血所見は認めなかったため,手術適応はないと判断され経過観察となった.経過中,2008年より通院を自己中断,その後2014年の健康診断で心電図異常を指摘され,今回の精査受診となった.心エコー図検査で左室壁の肥厚と左房径・左室拡張末期径・収縮末期径の拡大を認めた.壁運動異常の出現は認めなかった.2003年の心エコー図検査結果と比較して左室壁肥厚・左房拡大,左室拡張末期径・収縮末期径の拡大を認めた.虚血性心疾患の精査を勧めたが,労作時の息切れや胸痛などの自覚症状がないことと,患者本人がこれ以上の検査を希望しなかったことから,経過観察の方針となった.しかし加齢とともに症状や心機能に変化を生じることが予想され,将来的には外科的な介入が必要になる可能性がある.冠動脈–左室瘻は手術施行症例の報告が多く,自然経過による予後は未だ明らかとなっていない.今回,我々は10年以上無治療で経過した,左回旋枝から左室腔に開口する冠動脈–左室瘻の症例を経験したので報告する.

  • 宮本 亜矢子, 内藤 和幸, 北 宏之, 渡邉 智之, 村井 大輔, 小松 博史, 児玉 文宏, 中村 雅則, 湯田 聡
    2019 年 44 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/06/12
    ジャーナル 認証あり

    症例は,70代女性.微熱,感冒様症状を自覚し,その後,全身,顔面の浮腫,胸苦が出現したため,当院を受診した.胸部X線写真で胸水貯留,肺うっ血を認め,心不全を疑われ心エコー図検査を施行した.経胸壁心エコー図検査では,右冠尖–無冠尖交連部と無冠尖にエコー輝度の高い疣腫の付着があり,高度な大動脈弁逆流(AR)が生じていた.経胸壁心エコー図検査から感染性心内膜炎(IE)が疑われ,IEの弁機能障害による高度なARが原因で心不全を生じていると判断し,入院となった.体温は微熱で炎症反応上昇が軽度であったこと,疣腫のエコー輝度が高かったことから,治癒期のIEの可能性を考えたが,腹部エコー検査で脾膿瘍/脾梗塞を疑うエコー像を認めたため,活動期のIEを疑った.心不全と塞栓症を発症していることから,早期の外科治療が必要と考え,転院となり手術を施行した.手術所見では,右冠尖–無冠尖交連部,すべての弁尖に疣腫を認め,疣腫と弁尖を切除し,牛心囊膜生体弁に置換した.血液培養はすべて陰性であったため,血液培養陰性心内膜炎が疑われた.家族への病歴聴取から,起因菌としてBartonella属を疑い,疣腫でPCR法を施行したところ,Bartonella quintanaが検出され,同菌によるIEと診断された.Bartonella quintanaは,近年,路上生活者,アルコール中毒者などのIEの起因菌として注目されているが,本邦でのBartonella属によるIEの報告例は少なく,教訓的な1例であったため報告する.

  • 久米 伸治, 坂本 繁幸, 岡崎 貴仁, 松重 俊憲, 大下 純平, 石井 大造, 栗栖 薫
    2019 年 44 巻 3 号 p. 391-397
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/06/12
    ジャーナル 認証あり

    はじめに:頸部内頸動脈遠位部は体表から距離があり,通常の頸動脈超音波検査法では観察が困難となる場合が多い.今回我々は,血管内治療中に頸部内頸動脈遠位部に内膜損傷を起こし,超音波検査(B-Flow)で可動性flapを検出した症例を経験したので報告する.

    症例:60代,女性.前交通動脈の動脈瘤に対する血管内治療中に,左頸部内頸動脈遠位部に限局性の解離を生じた.術後2週間後のfollow upの血管造影では,限局性の解離は残存したままであった.超音波検査ではマイクロコンベックス型プローブを使用し同部をB-Flowで観察したところ,解離部の血管壁が高輝度に点滅し可動性病変を示唆する“B-flow winker”を認めた.頸部内頸動脈遠位部の観察には,経口腔頸部超音波検査法(transoral carotid ultrasonography: TOCU)などの比較的侵襲のある検査が必要であるが,マイクロコンベックス型プローブとB-Flowを併用することで,解離部のflapの可動性を捉えることが可能であった.B-flow winkerは,病変の同定やflapの可動性の観察に,極めて有用性の高いサインである.

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