超音波検査技術
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44 巻, 6 号
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研究
  • 齊藤 雪枝, 佐藤 真由美
    2019 年 44 巻 6 号 p. 693-701
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/04
    [早期公開] 公開日: 2019/10/29
    ジャーナル フリー

    目的:大伏在静脈由来静脈瘤に対しラジオ波焼灼術(Radiofrequency ablation: RFA)手術後に焼灼部から形成される血栓Endovenous Heat-Induced Thrombosis (EHIT)がある.手術後に超音波検査を実施し,EHIT Class分類,血栓の長さ,血栓可動性の有無を評価し手術前の血管径を含め検討した.

    対象と方法:RFAを施行した大伏在静脈由来一次性下肢静脈瘤症例78例87肢.年齢は41~86歳,性別は女性55例60肢.手術前・手術後超音波検査は立位で行った.手術前検査では,大伏在静脈—大腿静脈接合部(Sapheno-femoral Junction: SFJ)近傍での大伏在静脈の血管径を計測.手術後超音波検査は1)血栓の長さ計測と可動性の確認,2)血管壁性状の観察,3)EHIT評価を行った.

    結果と考察:〈手術翌日〉EHIT(-)症例は7肢,EHIT class1は75肢,EHIT class2は5肢.〈1か月後〉EHIT(-): class1へ伸展1肢.EHIT class1: EHIT(-)に軽減47肢,EHIT class2に伸展2肢であった.EHIT class2: EHIT(-)に軽減3肢,EHIT class1に軽減1肢であった.SFJ近傍の血管径と可動性血栓の有無では有意差を認めたが,SFJ近傍の瘤化と可動性血栓に有意差は認めなかった.手術翌日EHITは可動性血栓(+)群で有意に血栓は長かった.RFA術後の合併症として,深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症などが指摘され,血管内治療のガイドラインでも術後72時間以内の超音波検査で伏在静脈の閉塞とDVTの有無を確認する必要性が記載されている.文献ではEHIT発症の危険因子として伏在静脈の血管径が指摘されている.今回の検討では血管径とEHIT発症の関係性は認められなかったが,血栓の可動性は血管径と血栓長に関係すると考えられた.

    結論:RFA手術後の可動性血栓は血栓の長さと手術前のSFJ近傍の血管径が関係していると考えられた.

症例報告
  • 仁木 素子, 土手 絹子, 直井 康二, 田中 敬一朗, 髙橋 延行
    2019 年 44 巻 6 号 p. 702-706
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/04
    [早期公開] 公開日: 2019/10/29
    ジャーナル フリー

    症例は70代男性.心窩部痛を訴え近医を受診し,精査のため当院に紹介となった.スクリーニング目的に依頼された腹部超音波検査にて,腹部大動脈(Ao)と上腸間膜動脈(SMA)に挟まれた静脈は狭窄,その末梢側は拡張しAo左側を走行して,左右総腸骨動脈分岐のわずかに末梢・左側で総腸骨静脈合流部に連なっていた.さらにAo右側には並走する静脈は認めないことから,左下大静脈(LIVC)と診断された.後日行われた造影CT検査でも超音波画像診断同様の所見が得られた.本症例は,遺残したLIVCがAoとSMAの間を横断したため圧排されナットクラッカー現象と同様の所見と考えられた.LIVCの出現頻度は,症例数が1,000例以上を対象とする肉眼解剖学的研究では0.05%,CT画像診断では0.04~0.35%とされている.下大静脈(IVC)の血管奇形の中でも,左側に単独でIVCを形成するLIVCはまれな破格であり,その超音波画像は稀少であると考えられたので報告する.

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