超音波検査技術
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45 巻, 3 号
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若手研究奨励賞―研究
  • 西浦 健太, 松田 美津子, 渡邊 千晶, 吉田 靖子, 慶徳 克美, 渡部 さゆり, 武藤 文彦, 黒﨑 幸子, 山寺 幸雄
    2020 年 45 巻 3 号 p. 265-272
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/06
    [早期公開] 公開日: 2020/04/25
    ジャーナル フリー

    目的:Shear Wave Elastography(SWE)は肝硬度評価に有用であるが,走査テクニックや患者側の様々な要因により誤差を生じる場合がある.今回我々は肝硬度測定の精度向上を目的として条件統一等により測定値のばらつきや検者間差が低減するか否かを検討した.

    対象と方法:当院の腹部超音波検査担当技師9名を対象とした.被検者A(健常者)と被検者B(肥満,脂肪肝)に対し,測定条件の統一前・後と,統一下でトレーニングを500回実施後に肝硬度(Velocity of shear wave: Vs)値を各10回測定し,各検者におけるVs値のIQR/median, 全検者間におけるVs中央値のCVを求めた.また,検者の統一前条件を調査し,記録画像を確認して誤差要因の検討を行った.

    結果と考察:各検者におけるVs値のIQR/medianは統一前,統一後,トレーニング後の順に被検者Aは平均7.6%,5.7%,4.0%,被検者Bは平均10.5%,5.1%,4.6%と測定条件を統一し,トレーニングを行うことで減少した.全検者間におけるVs中央値のCVは被検者Aでは統一前3.3%,統一後7.0%,トレーニング後に3.2%と減少した.被検者Bでは統一前8.7%,統一後4.1%,トレーニング後3.5%と減少した.統一前では検者全員が測定部位や関心領域(region of interest: ROI)の位置を明確に決めておらず,中心位置(sample volume depth: SVD)6 cm以上で測定したVs平均値は推奨深度での平均値よりも被検者A, Bともに1.1倍と高値であり,Vs値のばらつきも大きかった.また,被検者Aの統一後測定では,統一前よりも検者間差が増加しており,記録画像は肝臓のエコー輝度が低下した画像が多かった.よって安定した肝硬度測定のためには測定条件の統一化とトレーニングが必要と思われた.

    結論:SWEによる肝硬度測定において,各施設で測定条件の統一およびトレーニングを行い,検者間での意識の共有化を図ることは重要である.

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