日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
24 巻, 3 号
24巻3号(通巻64号)
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表紙
訂正とお詫び
原著
  • 石野 レイ子, 戸梶 亜紀彦
    2008 年 24 巻 3 号 p. 109-117
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     本研究は、オストメイトの生活と健康志向性(Sense of Coherence:SOC)および精神健康状態(General Health Questionnaire:GHQ)の関係を明らかにすることを目的とした。調査は生活状況に関する質問紙と、SOC13およびGHQ12を用い、日本オストミー協会A県支部の会員208名を対象に行われた。回答が得られた121名(有効回答率58.2%)について分析した結果、配偶者や家族の同居といった背景よりも、ストーマケアの困難、将来の不安、生活上の不安、手術後の経過年数など、手術に起因する生活者としての負担感そのものが、健康志向性と精神健康状態に影響を及ぼしていることが示された。また、SOCとGHQに有意な相関関係がみられ、健康志向性いわゆるストレス対処能力が高いほど、精神健康状態も良好であることが示唆された。
臨床報告
  • 仲上 豪二朗, 真田 弘美, 繁田 佳映, 紺家 千津子, 須釜 淳子
    2008 年 24 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     目 的:パッド表面材と皮膚のpHの関係および、pHに細菌が与える影響を明らかにすることである。
     方 法:おむつ常用者である女性高齢者5名を対象とし、排尿前、直後、120-160分後、240-300分後に、外尿道口近傍の表面材および皮膚のpH測定、表面材の細菌学的検査を行った。
     結 果:表面材pHおよび皮膚pHの経時的上昇がみられた。表面材pHの上昇が強い症例でウレアーゼ活性が強く、ウレアーゼ産生菌であるProteus属細菌が検出された。
     考 察:表面材pHが皮膚pHに関係している可能性を示唆した。表面材pH上昇には便中細菌由来のウレアーゼが寄与していると考えられる。
第25回学会シンポジウム
シンポジウム2
  • 梶原 睦子, 根本 秀美, 高橋 知勢子, 板倉 洋子, 沼田 美幸, 江幡 智栄, 田中 秀子
    2008 年 24 巻 3 号 p. 129-137
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     全国373の訪問看護ステーションについて平成19年9月のストーマケアの現状をまとめた。
    1.利用者数のうちストーマケア対象者は3.2%で訪問看護師がストーマケアを経験する機会は少なかった。
    2.対象者は、後期高齢者が61%であり、身体機能低下、認知症、介護者のケア力不足が多く、高齢化や高齢者世帯の増加が反映されていた。
    3.セルフケア習得のサポートが17.5%ありセルフケア達成前に退院している現状が明らかになった。
    4.訪問看護師は、情報や知識・技術不足を感じており、相談の場や退院した病院の退院指導の充実を望んでいる。
    5.地域連携を有効に機能させるために今後医療機関と在宅療養機関との地域の有機的連携が必要である。
  • 後藤 茂美
    2008 年 24 巻 3 号 p. 139-142
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     Y県看護協会立8ヶ所の訪問看護ステーション(以下ステーション)の所長を対象として、ストーマ保有者支援における医療機関との連携の捉え方を調査した。結果、医療機関からの退院前後の連絡が十分ではないと回答したのは4ヶ所であった。退院前にストーマ保有者の装具交換に直接立ち会う機会を得ているステーションは4ヶ所であり、医師の同席を得ているのは1ヶ所のみであった。看護要約は6ヶ所が内容不足と回答していた。医療機関との連携を行う上で困っていることは、連絡窓口が不明瞭、同一医療機関内での医師と看護師の考えの相違、個人情報保護による情報提供の拒否等があった。医療機関への期待として、退院前カンファレンスの設定と医師の同席、相談窓口の明確化と適切な人材の配置、ストーマ保有者が医療機関に連絡すべき問題を判断できる説明等があった。医療機関とステーション間の連携では双方の領域の理解とコミュニケーションをとる努力の必要性が示唆された。
  • 佐藤 明代, 武田 圭佐, 相澤 友子, 岩本 直子, 原田 浩
    2008 年 24 巻 3 号 p. 143-147
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     在院日数の短縮に伴い、退院後訪問看護を必要とするオストメイトが増加している。しかしその看護内容は一定ではなく、退院時のケアが維持できていない場合もある。訪問看護を導入したオストメイト7名の訪問看護におけるストーマケアの内容、退院時のケアレベルと訪問看護師からの問い合わせ内容、患者の訴えから退院後のケア状態を検討した。その結果、ストーマケアの未熟な患者ほど、訪問看護のケアに不満を覚え、十分セルフケアができていても訪問看護師に依存していた。訪問看護師間でのケア統一、施設間での緊密な情報提供が必要である。
  • 菅原 真奈美, 徳永 恵子, 塩野 悦子
    2008 年 24 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     訪問看護を必要とするストーマ保有者のQOL向上を図るために、訪問看護師の援助の実際から課題を明らかにすることを目的に、訪問看護師12名に対して半構成的面接を実施した。その結果、訪問看護師は【限られた資源の中でのストーマケア】を行い【ストーマ保有者を取り巻く連携の不確かさと期待】の中でケアを実施していた。訪問看護における環境は、病院やストーマ外来、装具販売店、メーカーなどの連携が明確化されていない状況であり、訪問看護師が利用困難な環境であることが明らかになった。今後の課題は、訪問看護師が必要に応じて、ストーマケアを相談できる連携システムを整える環境が必要である。
  • 石黒 幸子, 加藤 貴
    2008 年 24 巻 3 号 p. 153-158
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     在院日数短縮化の進む中で、高齢ストーマ造設患者のセルフケア自立において地域連携が欠かせない。東京SR研究会(2007年9月)において、介護老人保健施設との連携改善を目的とした質問紙法によるアンケート調査結果を報告した。まとめると①退院後のケア時の観察が退院時サマリーの項目に影響を受けること。②ストーマケアに関する相談先が不明瞭なまま不安を抱えてケアを継続していることであった。これらを改善するには、①記載もれがなく、②地域施設の看護師にも必要な情報を提供でき、③継続的にストーマ保有者のケアを提供できるシステムの確立が急務である。今回、この一環として新たに退院時ストーマケアサマリーを作成し、使用開始後1年経過したので、その結果を報告をする。
  • 山田 実千代, 井上 正子, 佐藤 真由美, 野村 智絵
    2008 年 24 巻 3 号 p. 159-163
    発行日: 2008年
    公開日: 2021/10/30
    ジャーナル フリー
     顔の見える地域連携を構築するために、連携室ナースを中心としてストーマ造設患者の地域連携システムづくりに取り組んだ。取り組みの内容としては、1.ストーマ関係書類の電子カルテ運用、2.退院支援アセスメントシートの活用、3.退院時合同カンファレンスの開催、4.ストーマ外来の受診システムの構築、5.大腸がん地域連携パスの活用、6.連携先訪問システムの構築、7.地域連携研修会の開催である。取り組みの結果、1.電子カルテ運用により、ストーマの院内連携業務が迅速にできるようになった。2.退院支援アセスメントシートの活用は連携室の早期介入を可能にした。3.顔の見える地域連携としての退院時合同カンファレンス及び連携先訪問は継続ケアの充実につながった。4.ストーマ外来では医師の負担が減り、患者にとっても、通常外来とストーマ外来の2度の受診が必要なくなった。以上のことから、地域連携システムの確立は業務の効率化を推進させたと考える。また、顔の見える地域連携は、関係職種の親近感を生み出し、情報交換を容易にし、看看連携にとっても有用な手段である。
第25回学会シンポジウム
地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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