日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
37 巻, 2 号
37巻2号(通巻102号)
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学会総会報告
学会賞報告
総説
  • 前田 耕太郎
    2021 年 37 巻 2 号 p. 5-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    ストーマ脱出の治療では、脱出の程度やケアの困難度、患者の苦痛度、陥頓、循環障害などの有無によって保存的治療(ストーマケア)や手術の適応を決定する。ストーマ脱出は、たるんだ可動性のある腸管がある状態で、腹壁とストーマの間隙に腹圧が加わることにより、たるんだ腸管が押し上げられて徐々に脱出して引き起こされる。外科的治療法は、これらの病態の因子をなくすべく、腸管を固定する方法、腸管を短縮する方法、ストーマ口付近を修復してストーマと腹壁の間隙を是正する治療法に分類される。ストーマ脱出の予防には、ストーマ造設時に筋膜切開の程度を大きくし過ぎない、挙上した腸管をストーマ孔の腹壁に縫合固定する、挙上する腸管の部位を可及的に腸管がたるまない部位に設定する、腹腔外経路で作成するなどの工夫が有効とされる。

実践報告
  • 工藤 礼子, 板橋 道朗, 丸山 弘美, 秡川 恵子, 村田 祐二郎, 長嶋 康雄, 豊田 美和, 宮本 乃ぞみ, 小川 真平, 花田 正子 ...
    2021 年 37 巻 2 号 p. 15-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    【背景】東京ストーマリハビリテーション講習会(以下、TSR講習会)の3日間コースでは、運営担当者が3日連続で参加するための調整に苦慮し、多くの受講者を収容できる会場の確保が困難な状況であった。

    【目的】TSR講習会を3日間コースから2日間コースに変更したことによるカリキュラムの特徴と運営上の課題を明らかにする。

    【結果】2日間コースでは、カリキュラムとして必要な講義・演習などの時間を確保しつつ、講義では夕刻以降は参加型とし、演習では必要な講義を直前に行うことや事前学習を導入することで充実を図った。運営担当者に対する運営全体の調査では、2日間コースの開催に関して、「良い・概ね良い」が91%(1回目)、90%(2回目)と全体評価は高いものの、運営担当者の拘束時間が長いこと、受講生の疲労感が問題であった。

    【結論】2日間コースは、運営担当者と会場の確保が容易となった。運営担当者の拘束時間と受講生の疲労感への対策が課題である。

研究報告
  • 甲斐 由美, 横田 香織, 後藤 万記子, 山田 一隆, 高野 正博
    2021 年 37 巻 2 号 p. 26-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    【目的】 括約筋間直腸切除術(ISR)後の一時的ストーマ閉鎖後に、便失禁や頻回便のために肛門周囲皮膚障害を起こすことが多い。本研究の目的は、この便失禁関連皮膚炎(IAD)に対して、ストーマ閉鎖前から肛門周囲に保湿剤を塗布指導する予防的スキンケアの有用性を検討することである。

    【方法】 ISR後に一時的ストーマ閉鎖を行った患者を対象に、2016~2018年に術前から肛門周囲に保湿剤を塗布する予防的スキンケアを実施した患者(介入群)と2013~2014年に予防的スキンケアをしなかった患者(非介入群)の間で、術後7日目と1ヵ月目の便失禁関連皮膚障害の有無と程度を後方視的に比較検討した。

    【結果】 介入群は16名で、非介入群は11名であった。介入群と非介入群のIAD発生率は各々、術後7日目は12.5%と63.6%(P=0.012)、1ヵ月目は0%と54.5%(P=0.002)であり、術後7日目も1ヵ月目も介入群で有意に低かった。

    【結論】 ISR後のIADに対する予防的スキンケアは有用と考えられる。

編集後記
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