日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
最新号
42巻2号(通巻117号)
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
学会総会報告
学会賞報告
学会総会:会長賞・座長選出優秀演題賞
文献紹介
特集 低位前方切除後症候群の対策とケア ~医療チームでいつから何をするか~
  • 藤田 あけみ, 味村 俊樹
    2026 年42 巻2 号 p. 11
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
  • 秋月 恵美, 奥谷 浩一, 野田 愛, 三代 雅明, 石井 雅之
    2026 年42 巻2 号 p. 12-21
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
     低位前方切除後症候群(low anterior resection syndrome:LARS)は、患者の生活の質(quality of life:QOL)に大きな影響を与える術後合併症である。LARS scoreはLARSの重症度を評価するために広く使用されるが、LARSスクリーニングのためにも使用が推奨される。LARSの治療は未だ標準化されていないが、当科では超低位直腸癌を重症LARSの高リスク群として重点的に診療し、教育・評価・介入を術前から術後まで継続して行っている。LARS診療において対応すべき内容は多岐にわたるため、多職種連携や地域の排便外来との協力といったチーム医療が有用である。
     さらに、患者向けの情報提供動画を有志(医療者とLARSを経験した直腸癌術後患者)で作成し、2024年からオンラインでの提供を開始した。この動画視聴が適切なLARS診療の契機となり、患者や家族・周囲の人達がLARSについての理解を深めることが期待される。
     今後も、LARS患者のQOL改善を目指して、チーム医療や周知活動を通じてLARS診療の発展・普及に努めることが重要である。
  • 本間 祐子, 味村 俊樹, 田口 深雪, 伊藤 誉
    2026 年42 巻2 号 p. 22-37
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
    【目的】低位前方切除後症候群(low anterior resection syndrome:LARS)に対する多職種協働による治療成績を検討する。
    【方法】2018年5月~2024年12月に排便機能外来を受診したLARS患者を対象に後方視的に解析した。治療法は薬物療法、バイオフィードバック(biofeedback:BF)療法、経肛門的洗腸療法(transanal irrigation:TAI)、仙骨神経刺激療法(sacral neuromodulation:SNM)、ストーマ造設術、その他外科的治療に関して評価した。治療効果はLARSスコアと便失禁特異的QOL評価尺度(Japanese version of fecal incontinence quality of life scale:JFIQL)で評価した。
    【結果】対象は56例(男41例、年齢中央値61歳)で、肛門使用開始後から受診までの期間は中央値14.4ヵ月で、初診時のLARSスコアは中央値38点、Major LARS率85%であった。治療は52例(93%)に実施され、治療法は重複を含めて薬物療法48例(86%)、BF療法2例(4%)、TAI6例(11%)、SNM 1例(2%)、直腸脱修復術1例(2%)、ストーマ造設術7例(13%)であった。治療前後のLARSスコア(n=47)とJFIQL(n=46)は各々、中央値38点から36点(p=0.005)、2.1点から2.8点(p=0.0005)と有意に改善した。
    【結論】LARSに対して多職種協働によって様々な治療法を適切に実施することで、症状とQOLの改善が得られることが示された。
原著
  • 三木 佳子, 庄野 亜矢子, 今井 江里
    2026 年42 巻2 号 p. 38-51
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
    【目的】ストーマケア実践者が無意識に実践している姿勢・態度・言動を言語化することで、ストーマケアリング実践モデルを創出する。
    【方法】概念合成を用いてストーマケアリングという概念を生成したうえで、Modified Grounded Theory approachを参考に、ストーマケアで実践されているケアリングを意味する具体例をストーマケア関連書籍から抽出・言語化して構成概念を生成した。
    【結果】ストーマケアリングに関して以下の7つの構成概念を生成した。1)ストーマケアを熟知して自信をもって実践する、2)ストーマケアによる身体的苦痛に注意を払う、3)ストーマ保有者の気がかりに関心を寄せる、4)ストーマ保有者の価値観を重んじる、5)ストーマ保有者の生活世界を理解する、6)ストーマ保有者の望みを叶える支援をする、7)自己成長を意識して努力する。
    【結論】構成概念として7つの姿勢・態度・言動を言語化することでストーマケアリング実践モデルを創出した。今後この実践モデルが、ストーマ保有者への心理的サポートやストーマケア実践者の自己研鑽、新人・後進教育、医療チーム内での認識共有などに貢献することを期待する。
  • 白石 卓也, 西澤 祐吏, 中島 美文, 角 諒子, 小川 博臣, 佐藤 名帆美, 大和田 洋平, 榎本 剛史, 谷澤 伸次, 浜畑 幸弘, ...
    2026 年42 巻2 号 p. 52-64
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は、直腸悪性腫瘍に対するストーマ造設後の外来フォローアップ期間において、ストーマ周囲皮膚障害の発症および重症化に関連する因子を同定することである。本研究は、2019年12月から2021年12月までの期間に、日本国内6施設において直腸悪性腫瘍に対してストーマ造設術を施行された症例を対象とした多施設前向き観察研究である。ストーマ周囲皮膚障害の評価は、術後1ヵ月時点およびその後の外来フォローアップ時に、ABCD-StomaスコアおよびDETスコアを用いて行った。解析対象は130例であった。術後1ヵ月時点では、53例(40.8%)にストーマ周囲皮膚障害を認めず、77例(59.2%)に認めた。多変量解析の結果、化学療法(オッズ比[OR]=17.50、95%信頼区間[CI]:1.76–174.27、p=0.015)、ループストーマ(OR=43.46、95% CI:1.70–1,113.99、p=0.023)、およびストーマ高<10 mm(OR=32.68、95% CI:1.94–549.55、p=0.015)が、ストーマ周囲皮膚障害の発症と独立して関連していた。さらに、糖尿病(OR=4.26、95% CI:1.08–16.79、p=0.039)はストーマ周囲皮膚障害の増悪と独立して関連し、ストーマ高<10 mm(OR=5.85、95% CI:1.16–29.35、p=0.032)はフォローアップ期間中における重症化と関連していた。これらの結果から、特に高リスク患者においては、ストーマ周囲皮膚障害の早期発見および適切な管理を目的とした、継続的な外来モニタリングと個別化されたストーマケア支援の重要性が示唆された。
総説
  • 内野 基, 堀尾 勇規, 桑原 隆一, 池内 浩基
    2026 年42 巻2 号 p. 65-72
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
     炎症性腸疾患は慢性経過をたどる免疫疾患で、病因は明らかでなく難病に指定されている。潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的な疾患で、外科治療を要する場合もある。本稿では、外科治療に伴うストーマ造設に関する問題点と対処法について解説する。
     潰瘍性大腸炎では、大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術である肛門温存手術が標準術式であるが、縫合不全予防に一時的な双孔式回腸ストーマ造設が行われることが多い。クローン病では、あらゆる腸管に狭窄、瘻孔、膿瘍をきたす。特にストーマ造設は直腸肛門病変に対して行われることが多いため、永久的単孔式ストーマ造設が多い。
     ストーマの問題点には、創傷治癒遅延に伴う粘膜皮膚接合部離開、陥没、脱出、腸閉塞をきたすoutlet obstructionなどが挙げられる。疾患特異的には、ストーマ周囲での腸管外合併症である壊疽性膿皮症の発症や、クローン病では病変の再燃としてのストーマ近傍での腸管狭窄、膿瘍、瘻孔形成などが問題となる。
  • 松浦 信子, 板橋 道朗, 山田 陽子, 辻仲 眞康
    2026 年42 巻2 号 p. 73-89
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
     ストーマサイトマーキング(以下、マーキング)に関して、本邦でクリーブランドの原則(以下、クリーブランド原則)や大村らによる原則(以下、大村原則)が普及しているが、既に米国ではクリーブランド原則は用いられていない。近年の外科的手技の進歩に伴う開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下など多様な外科的アプローチに対応して、既存の皺や瘢痕に加えて、ポート創など新たに発生する創部瘢痕やそれに伴う皺などを術前から予測して、術後のストーマ管理に影響を及ぼす要素を考慮する必要がある。
     本総説では、マーキングの歴史と米国および本邦における現状を概説し、クリーブランド原則と大村原則の相違点や課題を検討することで、マーキングに関して再考する。さらに、術後のストーマ装具選択のために考案されたストーマ・フィジカルアセスメントツールを術前から応用した筆者らの施設におけるマーキング方法を紹介する。また、面板サイズを基準として筆者らの施設で開発したマーキングディスクも紹介し、マーキングの実践的かつ客観的な評価について解説する。
症例報告
  • 廣川 友紀, 中條 俊夫
    2026 年42 巻2 号 p. 90-97
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
    【背景】販売店所属の皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、販売店WOCN)が、施設看護師へストーマケア支援を行った。その結果、看護師のケア意識が変化した症例を経験したため、その有用性を検討した。
    【症例】80歳代、女性。子宮癌に対する治療後約20年目に膣から尿・便の漏出を認めたため、別の病院で下行結腸ストーマ、回腸導管が造設された。退院後に入居した長期療養施設では、施設看護師がストーマケアを担っていた。入居1ヵ月後より下行結腸ストーマの装具から頻繁に漏便を認めたが、相談先が不明確なため施設看護師は販売店に相談した。
    【結果】販売店WOCNの介入により施設看護師のアセスメント能力とケア意欲が向上し、適切なストーマケアが可能となった。
    【考察】販売店WOCNによる技術的支援と教育的なかかわりが、施設看護師のストーマケアの質を向上したと考えられる。
    【結論】本症例により、販売店WOCNによる施設看護師への支援がストーマケアに有用であることが示唆された。
  • 吉岡 慎一, 平沼 梢, 横山 敬子
    2026 年42 巻2 号 p. 98-102
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
    【背景】ストーマ脱出はストーマ関連晩期合併症として比較的頻度が高いが、多くは軽度で保存的に管理可能であり、嵌頓や虚血を伴う場合には腸管切除を要する重篤例も存在する。
    【症例】80歳台女性。右側結腸腫瘍による腸重積に対して、緊急手術として結腸切除が行われ、上行結腸双孔式ストーマが造設された。その後、永久的ストーマとして管理されていた。術後4年8ヵ月目に回盲弁が先進部となって回盲部全体が重積し、ストーマ部より脱出した。浮腫および循環障害を伴い還納不能となったため、緊急手術を施行した。脱出腸管に血流障害を認めたため回盲部切除を行い、回腸結腸吻合による消化管再建を施行した。
    【結論】右側結腸におけるストーマ造設では、解剖学的特性および長期管理を考慮した術式選択が重要であると考えられた。
実践報告
  • 竹入 恵美, 篠田 裕美, 甲斐 健吾, 濵田 剛臣, 竹生 まゆみ, 児玉 裕子, 木下 由美子
    2026 年42 巻2 号 p. 103-109
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー
    【背景】ストーマケア教育では、ストーマ造設後の生活に伴う身体的・心理的変化への理解と共感を深めることが重要である。ストーマ造設患者の術後生活を一人称視点で体験できるVR映像を看護学生の教材として活用した取り組みについて報告する。
    【方法】宮崎大学医学部看護学科2年生62名を対象に、従来の模擬演習(以下、模擬演習)に加えてVR疑似体験演習(以下、VR演習)を実施した。教育資源の制約により、出席番号を基準に2グループに分け、VR演習のタイミングを模擬演習前と後に設定した。VR演習の効果を評価するために質問紙調査を実施した。
    【結果】61名(98%)が質問紙に回答した。VR演習に対する評価は全員が肯定的であり、特に模擬演習前にVR演習を体験した学生は、「ストーマケアができそう」と回答した割合が有意に高かった(97% vs 60%、p<0.001)。自由記述では、理解促進、学習意欲の向上、患者の負担に対する気づきが示された。
    【結論】VR演習は学生の理解や共感の深化に寄与する教育手法として、ストーマケア教育に有用である可能性が示唆された。
地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
feedback
Top