日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第63回研究発表大会
選択された号の論文の273件中251~273を表示しています
  • ― 上田市鹿教湯温泉地区における大学生のデザイン活動を中心に ―
    中西 織恵, 高橋 真央, 禹 在勇
    セッションID: PD-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、「地域愛」を育むデザイン活動の試みとして、上田市鹿教湯温泉で地域住民との連携で、若者でよそ者の学生と地域住民が協力して地域の課題を発見し、解決していく行為を繰り返しながら、その地域の文化や歴史など魅力を掘り起こすことを目的としたものである。半世紀前、鹿教湯温泉は集団保養でにぎわう湯治場であったが、現在は宿泊客が減少し、地域の結束が困難な状況にある。これらを考え、鹿教湯温泉のさまざまな地域資源を再発見、再確認した結果、住民の活動に変化がみられた。彼らは自ら地域の課題に向き合い,著者らとともに鹿教湯温泉の新たな魅力を作り上げた。
  • 中国河南省浚県楊玘屯における実態調査を中心として
    王 寧, 植田 憲
    セッションID: PD-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    泥咕咕は楊玘屯の内部だけではなく、楊玘屯と近隣の村との間に、文化交流や物流を増進させる役割を備えている。泥咕咕に関わる道具作りや制作過程は、近隣集落のさまざまな材を調達しながら行われた。また、廟会での残りものの販売は主に物々交換で行われてきたが、その中で泥咕咕は貴重な地域通貨として機能している。泥咕咕の道具や、資源の調達を含む一連の制作過程の中には一物全体活用の優れた知恵が多様にみられ、今日に至るまで継承されている。 制作は家族単位であり、口伝により親から子の世代へと受け継がれてきたが、この継承方法が、一物全体活用に不可欠な材に対する観察と体験の蓄積を促している。「楊玘屯の水を少しさえ飲めば、泥咕咕ができる。楊玘屯のご飯を一回さえ食えば、泥咕咕ができる。」と当地に歌えられる民謡のように、代々、楊玘屯で暮らす村民は、現代においても幼少の頃から知らず知らずのうちに気候風土で見聞きしたことの影響を受けて、自由にごく当たり前のように泥咕咕を作っている。  総じて、泥咕咕が長らく当該地域に存続してきた理由は、当地に経済的収入をもたらすものであるよりも、まず集落の「顔」と自由な精神の現れとして集落や近隣地域を賑わす、発展に向けた掛け替えのない動力として親しまれてきたからである。
  • Utilization of Rice Straw for SMEs Production Development in Indonesia
    プルワンダル パンドウ, ウィヤンチョコ ヅヂ, スリワルノ アンダル バグス, 植田 憲
    セッションID: PD-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    インドネシアの中部ジャワに位置するクラテンは、古くから稲作が盛んに行われてきた地域である。年間の米の生産量は350.395トンに達する。しかしながら、今日、稲作によって産出される稲藁は廃棄物とみなされ、それらの多くが圃場で焼却処分されているのが現状である(62%)。一方、当該地域の中小企業の多くが木材を扱っていることから、当該地域には、多様な木材加工の技術が存在する。本研究は、こうした木材加工の専門知識を稲藁の利活用に適応することを目指した基礎的研究である。藁の積層材は構造材としては使用できないものの、文房具などの日常生活用品の材料としての使用は可能であり、当該地域の自然資源ならびに人的資源の有効活用に基づく経済活動に寄与する可能性がある。
  • Yu Hsin Yin, Lo Tsai Yun
    セッションID: PD-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
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    公共のゴミ箱は使用者からすると物議を醸す存在である。環境を清潔にでき、美化と装飾の機能さえあるが、別の角度から見ると環境を汚す可能性がある。このため本文では実地調査の方法で、公共のゴミ箱の台湾と日本の違いを理解し、非参加型の観察方法で公共のゴミ箱の種類と様式、設置されている環境の関係を記録することである。この研究により公共のゴミ箱の、公園環境との関係を整理し帰納できることを期待した。結果、日本特有の自動販売機文化により、上野公園のゴミ箱が11種類に達していることを発見している。花博公園の分類標示は母語、外国語、マーク、色、鮮やかな色彩、明確であることにより判別度が高く、上野公園の分類標示は不完全であったが、公園環境との融合度は高めであった。:このほか、上野公園内にあるゴミ処理場では、公園内のゴミを先に集中させて再度分類し、処理を行っている。
  • 制作・形態・使用に関する調査に基づいて
    ウタミ リラアニンディタ, ウィヤンチョコ デゥディ, 植田 憲
    セッションID: PD-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    テンガナン村のコミュニティにて生産され、継承されるグリンシンの文化的特質、とりわけ、その制作過程、使用法、そして形態について、現地での調査に基づき再確認を行った。その結果以下の知見を得た。(1)織物は神に近づく媒体とされ、供物や儀式といった宗教的行事のために制作、使用されており、当該地域の人びとは、グリンシンを使用した儀式的活動を通して、神との関係性を認識し、その実現を目指している。(2)織物制作の過程において、人びとは日常の社会的活動と母娘のつながりを通して織物の文化を伝え、人と人とが相互に作用する関係性を実現させている。しかし、(3)今日においては多くの人びとが拡大する貨幣経済の中で、ものづくりを通して形成されてきた村落のアイデンティティおよびを失いかけている。そのため、(4)織物制作と象徴的文様において表現された精神的価値から、伝統のアイデンティティと共同体の目的を再発見する必要がある。
  • 上田薬草の会の活動を中心に
    土田 ひかり, 田堂 玲, 郭 庚熙, 滝沢 啓 , 禹 在勇
    セッションID: PD-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは長野県上田市に位置し、上田地域で新たな地域資源となる「地黄」を中心に6次産業化に取り組んでいる「上田薬草の会」と連携し、地黄を使った新たな商品の開発と商品パッケージの製作を試みた。 その結果、上田産地黄を使用した商品開発「入浴剤」「乳液」「化粧水」「石けん」などの商品を開発することができた。上田薬草の会は平成22年に設立され、「遊休荒廃農地で薬草栽培をして地域振興を目指す」をテーマに置き活動を行っている。 本研究では上田の地域性に着目し、長野大学のデザイン研究室のグループでデザイン提案を行った。
  • 都市生活に対する誇りと愛着を可視化する試み
    小野寺 夏海, 野田 佳穂莉, 安武 伸朗
    セッションID: PD-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    シビックプライドとは市民が都市生活に感じる誇りや愛着の ことを示し、今日、行政や企業、教育機関が地域創造の核と して注目している。本研究会は2011 年より活動を始め、市 民参加ワークショップや市民からのWeb 投稿記事の分析、 インタビューなどを行ってきた。 本稿は、シビックプライドを、多様な暮らしを実践している 市民の行動から見出す手法に注目し、市民の中にあるダイ バーシティを取材して展示会を運営するプロセスを報告する とともに、未来のシビックプライドの種を生み出す可能性に ついて考察を行う。
  • 横浜市のダブルケア関連イベントへの情報の可視化を用いた参加とフィールドワーク
    岩崎 奨吾, 臼田 ありさ, 白川 友博, 新川 由理, 永原 拓弥, 小池 星多
    セッションID: PD-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、横浜市の「ダブルケア問題」に関連するイベントに参加し、オープンデータを駆使し問題解決に向かおうとするステークホルダーの関係性を明らかにすることである。 そのようなステークホルダーが集まるイベントにおいて著者らは、「情報の可視化」や「グラフィックファシリテーション」を活用し、コミュニティの一員として参加することで各ステークホルダーの関係性を観察し、以下のことがわかった。 ダブルケアの研究会やイベントには、様々なステークホルダーが参加していたが、そのイベントの多くは会議型で、各々の立場でダブルケアにかかわる活動や要望を意見し合うだけで、すれ違っていたものが多かった。 しかし、ダブルケア問題は、子育てや介護、その他複数の社会問題を横断しているため、その関係者も横断的に協働する必要があるが、一部のイベントでは、会議型ではなく参加者が対等な立場で議論し、協働することで問題解決に向かおうとするフューチャーセッション的な場が少なからずあった。このような協働しながら問題解決に向かうフューチャーセッション的な場が、今後必要になってくると考える。
  • 中国湖南省隆回県における花瑶族の内発的地域振興に関する調査・研究
    阮 将軍, 植田 憲
    セッションID: PD-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、今日消失の危機にある中国湖南省隆回県における花瑶族の挑花服飾文化を対象としたものである。挑花服飾の制作・使用・廃棄の各様態にみられる資源循環型生活の知恵を再認識することを目的とした。主として現地における聞き取り調査に基づき考察を行った。その結果、挑花服飾文化は、花瑶族の人びとが周囲の自然と寄り添うなかで、自然資源を徹底的に観察し利活用しつつ、主体的に構築してきたものであることを明らかとした。今後にあっては、その確かな理解に基づき、当該地域の生活文化を振興させていくことが求められている。
  • 山内 暢人, 出原 立子
    セッションID: PD-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    平成27年3月14日、長野-金沢間にて北陸新幹線が開業した。これにより東京から金沢までの所要時間が短縮され2時間28分で移動することが可能となった。それによって、予想を上回る観光客が訪れ、金沢の魅力発信がさらに求められている。 金沢市は金沢の魅力発信の一環として、地域の大学と連携して金沢らしい夜の賑わいを創出する施策を立てた[1]。そこで、我々はその連携事業として金沢駅もてなしドーム「鼓門」において、鑑賞型プロジェクションマッピング「金澤月見ゲート」を実施した。  本研究では、映像コンテンツの設計・制作を行うにあたり、次のようなプロセスで進めた。まず、フィールドワークに基づくコンセプト策定、現地における映像投影予備実験に基づいて要件定義と設計を行い、次に、プロトタイプ制作とその投影予備実験を実施し最終設計、制作を行った。さらに、効率的に制作を行うために3DCGを活用したシミュレーション環境を開発し、本環境を活用しながら制作を進めた。本制作のねらいは、フィールドワークから導き出したコンセプトをイメージとして具現化するにあたり、鼓門の構造を活かした表現を追求した点にある。
  • 静岡市の移住推進パンフレット製作
    安武 伸朗, 福士 夏季
    セッションID: PD-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    これまでの静岡市の移住推進のパンフレットは、行政からの一方向の情報提供となっており、潜在的に移住に関心がある市民が共感を持つことができなかった。私たちは、市民の期待や不安を汲み取ったコミュニケーションを実現する目的で、顧客視点によるデザイン開発を行った。本稿では行政と共創するしくみと組織構造ならではの課題を報告する。  
  • 多摩ニュータウンの「わがまち学習講座」への参加とフィールドワーク
    篠川 知夏, 神田 雄平, 藤原 雄太, 矢巻 圭, 小池 星多
    セッションID: PD-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、東京都の多摩市役所が主催した「わがまち学習講座」において、まちづくりの担い手がつくられていく過程でステークホルダー(市職員、ファシリテーター、住民)の関係性がどのように変化し、まちづくりの担い手がどのようにつくられていくのかをアクターネットワーク理論によって明らかにする。わがまち学習講座とは、多摩市役所が行った、新しいまちづくりの担い手の養成講座である。実際に講座に参加し、調査した結果以下のことが分かった。(1)講座内容の性質によって講座に参加する人が選別され、「講座の参加者」として可視化された。(2)ステークホルダーの講座に対する異なる翻訳によってネットワークが形成された。(3)ファシリテーターは住民と自治体の間に入り、両者の立場を両者に翻訳する役割を果たした。
  • 中山間地域をモデルとして
    浜松 伸弥
    セッションID: PD-17
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    日本の中山間地域では、地形の制約から消防・救急体制が十分ではない。それらの地域の消防・救急体制は複雑化・多様化する災害への対応力に課題がある。そのため、中山間地域では現行の緊急車両は最適とは言えない。そこで、本研究では中山間地域の緊急車両に焦点を当てた。消防非常備町村である清川村で現地調査を行い、その結果を基に中山間地域に向けた災害用ユーティリティビークルを提案した。
  • 中国四川省汶川羌族刺繍に関する現地調査に基づいて
    鐘 瑋, 植田  憲, 張 夏
    セッションID: PD-18
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    地域の手工芸は、素材、加工、制作、使用方法などの相違により、地域文化の特徴を表現し伝達する重要な媒体である。本稿は、中国四川省汶川地域における少数民族・羌族の手工芸「羌繍」を取り上げたものである。地域性を強調しつつ、伝統的な羌族の手工芸の意味の変遷と表現を分析することにより、現代の民衆の生活様式に立脚し、羌繍をはじめとした地域手工芸を、今日の生活のなかでどのように継承するべきかを論じることを目的とした。なお、情報収集は、主として現地調査によって行った。
  • 地域コンテンツ体験を地域住民が制作・提案できる環境づくりのための基礎的研究
    福田 大年, 川名 宏和
    セッションID: PD-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、身の回りの素材とデジタル技術を組み合わせたモノ・コトづくりによって、地域の自然や文化の資源を活かしたコンテンツ制作を地域住民自らが制作・提案できる環境の基盤づくりを目的としている。本研究は、地域住民が様々な形で関わる参加型デザインの手法を取り入れた活動を想定している。その活動方法を模索するため今回は、アナログ素材とデジタル技術を組み合わせたコンテンツのアイデア生成を促すタブレット型端末用アプリの試作を行い、コンテンツの制作プロセスを模索することに重点を置いた。そして、デザイン学生にアプリを使用して身近な資源を活かしたコンテンツの提案をしてもらった。
  • 地域振興におけるコミュニケーションマークの導出・提案
    宮田 佳美, 植田 憲
    セッションID: PD-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    千葉市若葉区いずみ地区においては、千葉市内でも自然に恵まれた土地であり、この地域の特色として、農林業の中に生活が成り立ってきたものと考えられる。また、当該地域では千葉市が主体となり、「いずみグリーンビレッジ構想」計画の下、様々な行政の取り組みが行われている。しかしながら、少子高齢化の影響により、農林業の次世代の担い手が減少してきており、農林業を取り巻く環境は厳しい状況にある。本研究ではこのような状況を打開するため、内発的発展論に基づき、今一度地域の生活を見直し、地域の中にある「宝」を見つけ地域活性化に繋げていくことを目的とする。
  • DFSSという手法を運用する
    鄭 乃瑜, 羅 彩雲
    セッションID: PD-21
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    台湾の地方伝統産業は転換の困難に直面している。地方伝統産業の経済的支援には、転換の過程において通常限界がある。自分たちのブランドの立ち上げと特色ある製品の開発過程で、よりシステム性のある開発実行方式が必要となる。顧客の要求と地方文化の特色の強調を同時に満足させるために、本研究では設計開発のためのシックスシグマ(Design for six sigma,DFSS)を導入。これは革新的なデザイン方法であり、DFSSにて確立したステップとデザイン開発方法で、地方の文化と創造製品の開発を行う。本研究はIDDVステップとツールを通し、4点の坪林地方の特色ある文化創意商品を想起。消費者へのアンケート調査後、得られた開発順序と内部の評価が同様となった。シックスシグマで実際の地方観光の文化創意商品の開発を実施し、そのIDDVのステップとツールが、顧客の要求の達成を助けるデザイン開発方式であることが示された。
  • 平野 友規, 須永 剛司
    セッションID: PD-22
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    デザイナーの減少を「経済活動」に限定されたデザインの仕事量の飽和として捉え、デザインの対象が「社会活動」にまで拡大していることを示唆し、地域コミュニティを対象としたソーシャルデザインの実践事例「橋本デザイン会議」をもとに考察する。ソーシャルデザインの目的は、地域の人々が持つ信頼関係や人間関係を増やすことにあり、増幅された社会的ネットワークを原資に地域力を高め、社会的課題に取り組むことだと著者は主張する。
  • 上田市別所温泉地区での古民家改修プロジェクトを事例に
    高原 慶伍, 山崎 隆之
    セッションID: PD-23
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年、大学生が地域で活動する「域学連携」が各地で見られるようになってきた。大学生が住民と地域の課題に取り組む「域学連携」は、地域の活性化を図ると同時に、地域で活躍する人材育成に資することが期待されている。しかしながら、これらの活動の多くは、「大学側が用意したプロジェクト」となっており、学生が主体的な意思を持ち行動する十分な機会にはなり得てはいないように思われる。
    一方、本稿で取り上げる「別所温泉地区古民家改修プロジェクト」は、学生自身の意思と行動による主体的なプロジェクトである。これまでのプロジェクトの経緯をまとめ、「大学側が用意したプロジェクト」との比較を念頭に置きつつ考察した結果、学生の主体的な活動としての「別所温泉地区古民家改修プロジェクト」は、学生がプロジェクト全体に関与できるという意義と、活動の目的、内容、成果において流動的になってしまうという課題があると整理することができた。
  • 三種類の利用者が満足できる情報設計の開発
    水谷 みなも, 広沢 晴菜, 松田 美沙, 安武 伸朗
    セッションID: PD-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    静岡市宇津ノ谷地区は、街道の面影を残す街並みの保存に取り組んでいる。しかし地域景観保全の案内ツールは行政の報告書の体裁であり、一方的なコミュニケーションしか生まれなかった。 これに対し、顧客の満足を生み出す為の再編集ができないかと静岡市建築総務課から共創の申し出を受けた。そこで、行政、観光客、住民(以下、三者とする)という、異なるニーズをもった三者が満足できる情報設計を行った。プロトタイプを用いて意見交換を繰り返し、調査、分析、制作をしていく合意形成を重要視することで三者との共創が実現した。
  • 日本において実践されてきた地域通貨の類型化に基づいて
    孟 晗, 植田 憲
    セッションID: PD-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    今日、日本の地方圏の多くにおいて、急速な過疎化・高齢化をはじめ、里山や耕作地等の放棄などの多様な問題が顕在化している。こうした人口の減少・転出と地域資源の放棄といった悪循環は、これまでなされてきた「上からの」「外発的」な地域振興策では断ち切ることは困難であり、代わって、地域固有の資源やその使われ方などを地域の「宝」と位置付け、生活者が自らの手で地域の風土に応じた「内発的地方創生」を展開することが求められている。本研究は、その一手段としての「地域通貨」の可能性を検討したものである。地域通貨とは、人びとが自主的に設計・発行・管理し、特定地域・コミュニティ内でのみ流通する利子が付かない「お金」であり、また、人びとをつなぎ合わせ、共通の価値や関心を表現・伝達・共有するための媒体でもある。本研究は、地域通貨を「地域資源の循環ツール」と捉え、アンケート調査に基づき、これまで実践されてきた地域通貨の運営実態および地域資源の活用状況を把握した上で、代表的な事例を取り上げ、それらに対するさらなる調査・考察を通して、「内発的地方創生」に寄与する地域通貨のあり方の指針を導出することを目的としたものである。
  • 八戸の是川縄文土器を事例として
    五十嵐 七果, 横溝 賢, 千葉 智美, 冨田 奈都美
    セッションID: PD-26
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    青森県八戸市には、国宝に指定されている合掌土偶が発掘された是川縄文遺跡があり、縄文文化は身近な存在である。縄文土器の形式上の区分は、草創期・早期・前期・中期・後期・晩期の6期に分かれる。是川縄文遺跡は、縄文前・中期を中心とする一王寺遺跡と中・後期の堀田遺跡、そして晩期の中居遺跡の3つの遺跡の総称である。同遺跡において筆者は、中居遺跡の晩期の土器の文様に興味を持った。縄だけで文様付けされている縄文初期の土器とは違い、中居遺跡の土器は、幾何学的な文様と縄文様を組み合わせて土器を彩っており、その現代的な造形に興味を持った。この中居遺跡を含む是川縄文土器には、各期の装飾、形状が見られ、縄文の装飾様式の集大成といえ、その複合的な芸術性に価値があると言える。しかし、縄文土器は現代の人にとって考古遺物であり、歴史的な造形や様式を楽しむオブジェクトとしてしか認知されていない。こうした背景から現代の人が、縄文土器の様式美を感じながら、日常生活で楽しんで使用できるアクセサリーをデザインした。本稿では、縄文土器のデザイン言語を使ったアクセサリ-デザインの発想法とその成果について報告する。
  • 映像投影ディスプレイとNFC付き光アイテムを用いた「流れ星」ラリー
    松下 俊介, 出原 立子, 土田 義郎, 川﨑 寧史
    セッションID: PD-27
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    金沢は観光資源の開発として、夜間景観を生かした観光コンテンツづくりを施策の一つとして掲げている。現在、ライトアップやナイトミュージアムなどがあるものの、街中に点在していることから、本研究ではそれらを巡り歩くきっかけづくりとして、金沢の夜の町巡りを促すラリーシステムの提案を目指した。本ラリーシステムは、NFCタグ付きの光アイテムを持って、街中に設置されているチェックポイントを巡り歩き、最終地点へと誘って行く。チェックポイントは透明板の重層構造ディスプレイで作られており、NFCタグを近づけると重層構造ディスプレイに映像が投影されるしくみとなっている。本ディスプレイはデジタルイメージが立体的な表現に見え、夜のシーンに映える演出が特徴であり、さらに参加者らの行動の記録がNFCタグに記録されることで、参加者ごとに異なる映像が作られる。本研究では、システムの設計・開発を行い、検証として金沢中心街において夜の灯巡りを誘う実験を行った。
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