日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
選択された号の論文の269件中51~100を表示しています
  • 中島 瑞紀, 酒井 聡
    セッションID: C3-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    人間の情緒的操作に着目した新しい電子楽器の研究開発。
    自動化の進展に伴い、人間は知的活動や趣味に多くの時間を使うようになった。そのような社会では人間による操作の価値は情緒的な行動にある。情緒的な入力を活用するために、視覚的、触覚的フィードバックを強調した操作を探求する。そして、人間の動きを投影することにより、誰もが魅力的演奏できる可能性を与える。
  • 安井 重哉
    セッションID: C3-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    本稿では、ハプティックデザインの実践として、能動的触知覚を応用した触感による情報設計を可能とする「多重稜線効果」と、その応用である「稜線ユーザインタフェース2型」のコンセプト提案について記述する。「多稜線効果」とは、触接対象が異なる線型の2本の稜線で構成されている場合に、能動的な触接行為によって生ずる触感を強調する効果である。この効果をユーザインタフェースに適用することにより、「稜線ユーザインタフェース2型」は、単純なメカニズムで触覚フィードバックとして出力値の遷移を操作行為者に受け取らせることができる。
  • 人とモノの新たな関係を想起させる作品制作
    大場 勇哉, 佐藤 康三
    セッションID: C3-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    近年、人と人工物との関係が複雑になってきていて、得られる情報が直接的、経験的ではなくなってきている。一方、自然物や動植物とのコミュニケーションでは多くの情報を経験的に読み取ることができる。
    そこで、自然界と人とのコミュニケーションのように人と人工物のコミュニケーションの親和性を探っていくことを目的とする。
    自然界と同じように人の感覚に溶け込むような気配を創出するデザインが重要になってくるものと考えられる。
  • 城田 隆介, 土屋 雅人
    セッションID: C3-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
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    本研究は,プロジェクターを用いて壁に動物の映像を投影し,その壁の正面に立つことで投影される自分の手の影の動きによって操作する,動物の生態を学ぶインタラクティブシステムのデザイン研究である.小学校低学年の子供が,動物園で実際に動物を観察しているかのようなリアルな迫力の映像を,小学校にある多目的ホールなどの広い屋内空間で自由に見ることができるシステムを目指した.調査分析では,現在考えられる子供が動物の生態を学ぶ方法を分析・比較し,問題点を明らかにした.使用する機器は,広角プロジェクターとWEBカメラ,パソコンで,processingを用いて映像を壁に投影する.ユーザーは壁の前に立ち,自分の手の影を使って操作する.Processingでは,blobdetectionライブラリを用いてWEBカメラを通して黒い塊を検知し,その座標を取得する.また,作成したプロトタイプを実際に小学生と20代男女に使用してもらい,7段階の評価アンケートと自由記述による感想をもらった.今後の課題として,3Dモデルに対応することでユーザーは好きな角度で立体的に観察することができる.
  • 水上 絢菜, 土屋 雅人
    セッションID: C3-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    日本は諸外国の中でも多くの博物館を持つ国である。しかし、現在国内の博物館の年間の利用者数は減少し、横ばいの状態である。そこで、博物館をより多くの人に利用してもらうため、人々が博物館で展示物そのものから情報を学び、楽しめる方法を提案する。展示物そのものを用いて、楽しく学習できることで博物館を訪れるきっかけにしたいと考える。この考えのもとに、本研究では、音声認識技術と昔からある遊びである糸電話の作法を組み合わせ、展示物との会話環境を製作した。そしてその環境に対して体験者に主として楽しさを感じることができるかを調査した。調査は、10代~20代の男女32人に使用してもらい、その感想を聞いた。その結果、半数以上の人から展示物と話す感覚があり楽しかったとの回答を得た。この調査を通じて音声認識の精度や形状面で課題はあったものの、音声認識と糸電話の作法を用いて展示物と会話する環境を提供することで鑑賞者にとって展示環境が楽しいと感じさせられる可能性があると考える。
  • 加藤 頌健, 安井 重哉
    セッションID: D3-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、出力される実行結果を立体化させた立体造形を用いることで、立体造形を見る際の視覚情報と立体造形を触る際の触覚情報を利用しユーザがインタフェースを操作する際に行う結果の予測と実際の結果が一致するインタフェースを制作する。また、その効果を検証することを目的とする。そのようなインタフェースを制作することで、より操作性の良いインタフェース創出の足場となるのではないかと考える。本研究では、音のクロスフェード切り替えを対象とした。インタフェースを提案するにあたり、アイデアを広げるために、アクリル板や発泡スチロールやインダストリアルクレイなどの素材を用いながら、様々なインタフェースの形状を考案し、制作を進めた。形状の考案と評価を繰り返し行うことで、ユーザに適切に情報を与えるようなインタフェースを制作し、評価を行った。効果を検証した結果、出力される実行結果を立体化させたインタフェースは視覚的、触覚的な観点で有用性があることが分かった。
  • 梅村 隼多, 久保 雅義
    セッションID: D3-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    スマートデバイスと言われる情報端末は急速に普及し、移動体通信事業とその関 連産業を一変させつつある。 このデバイスは誰でも使いやすいUIが求められ、直感的なUIが主流となりつつある。 本研究は、直感的なUIの さらなる拡大を図るべく、UI画面の視覚的アイコンの 動きがユーザーにどのような印象を与 えるのかを検証した。 アイコンの動きの種類とユーザーに与えられる印象の関係は、16の形容詞対を 用いた。 これは先行研究にて検証済みであり引用し、評価は7段階尺度を用いて検証した。 ユーザ毎の印象の差異をはかるべく若年者と高齢者の違いにも注意を払った。 結果として視覚的な動きがユーザーに一定の印象を与えることが 出来るかは一 部支持され、 動きごとに与える印象が異なるはほぼ支持された。 若年者と高齢者で動きの共通性が存在すことも判明した。 収束のために主成分分析を行い「動的因子」「質的因子」の存在を確認すること ができた。 また、結果としてアイコンの動きに対する捉え方として、大きく4つのクラスタ に分けることができた。 今後は「アイコンのエフェクト」や「ロード時間のエフェクト」等、より調査を 重ねることで実装へと繋げていく。
  • chiang ping-Hsuan, Lin Chia-Hua
    セッションID: D3-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    ビジュアル環境のマルチメディアの発展に伴い、人々の読書時間が大幅に減少し、メディアによる情報通信方法が次第に変化しつつあり、グラフィックスの応用も伝達手段の一つとして、言語の壁を超えて、異文化のコミュニケーションや理解が可能になる。その中、モーショングラフィックス記号は現代社会で、将来性及び潜在的力のある新要素として発展してきた。本研究は、基本グラフィックスの7アイテムを取り上げ、言語連想のアンケート調査を行い、その分類やキーワード分析により、各アイテムの設計要素を取り出すと共に、これのキーワードのモーショングラフィックス設計を行い、モーショングラフィックス記号の設計を提案する。
  • HU JUIWEN, LIN CHIAHUA
    セッションID: D3-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、台湾は高齢化社会に迎えてあり、外国介護者のニーズも益々膨大になってある。高齢患者と外国介護者は医療機関に受診する時、文字を表示するザインに理解度が低く、ウェイファインディングを困難になる情況である。現在、台湾の病院にはピクトグラムを活用するザインがほとんどない原因で、本研究は診療科のピクトグラムシステムを中心にデザインしたい。研究方法としては、参加型デザインの手法を使って、デザイン学や医学、他専門の方などを募集し、ピクトグラムシステムのデザインを共創.提案し、四組のデザイン案を提出された。本研究は四組のピクトグラムのデザインのスタイルを分析し、異なる背景の参加者の共創過程の相違点を比較し、参加型デザインがピクトグラムデザインに与えた影響と効果とを研究結果として、まとまれた。
  • 都立高校 美術科(デザイン専攻)の授業における研究実践から
    荒木 みどり
    セッションID: A4-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、想像性と創造的思考の拡大を促すために開発した「感覚連想ワーク」の実践事例を通し、その効果を分析し考察することを目的とする。対象者は、多角的な知見を得るために、小学校、高等学校の児童、生徒でそれぞれに行っている。本稿では、その一考察として、都立高校の美術科デザイン専攻の生徒の実践事例の報告と考察である。
  • 前川 正実, 永井 由佳里
    セッションID: A4-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    グループPBLはイノベーション創出人材の育成に効果的と考えられている。本稿は、北陸先端科学技術大学院大学で2016年に実施された活動のデザインとプロセスについて紹介する。この活動の主たる目的は、探索的調査の必要性と価値を学生が学ぶことであった。活動では、最初に、社会における潜在ニーズの探索的調査を要するテーマが学生へ提示された。チームメンバーの属性のアンバランスや、過程での調査の失敗など、いくつかの問題が見られた。
  • 森 亮太
    セッションID: A4-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    人間工学の授業システムのコンセプトを立て実践してきた。人間工学の理論を様々な分野に応用し、作業分析や身体・精神的負担の測定、身体の構造と機能に関する実験を行い、実践力(分析力・想像力・問題解決能力等)を養成する。座学と演習による授業で一定の成果を得ている一方で、講義形式の授業の限界を見定め、ゼミナールなどの主体的な活動へ促すことの必要性を見出した。人間工学への興味や関心を持たせるだけでなく、その難しさに対する自己効力感の向上も今後の課題とした。
  • 岡田 侑里, 前川 正実, 永井 由佳里
    セッションID: A4-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、高等教育機関は共創力育成の為にインターディシプリナリ・アプローチに取り組んでいる。
    しかしながら、効果的なプロセスの解明には未だ至っていない。実際に行われている共創活動に関するインタビューから、分析を行った。その結果、インターディシプリナリ・アプローチには「動機づけワークショップ」「共創力育成プログラム」「ソーシャルプロジェクト」の3つの形態がある事がわかった。これら3つの実現のためには、共創を担う教育者と参加者が共に共創について考えていく必要がある。
  • ミックス法とワークショップの活用事例から
    安斎 勇樹
    セッションID: A4-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、人間中心のイノベーションの方法として「デザイン思考」が注目されている。デザイン思考において、ユーザーのニーズに関する洞察を得るための「共感」のフェーズは、最重要といえる。これまでの方法論ではエスノグラフィやインタビューなど質的調査の方法が一般的だったが、洞察を得るためには一定の調査技能が必要になる。本研究では、方法論のバリエーションの拡張を目指して、質的調査と量的調査のミックス法である「PAC(Personal Attitude Construct)分析」と学習と創造の方法である「ワークショップ」を組み合わせたアプローチの可能性について、事例を通して考察する。
  • 石井 成郎, 鈴木 裕利, 澤野 弘明, 紫藤 渉, 副田 翼, 井上 卓也
    セッションID: A4-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,博物館における現地学習を支援するためのクイズスタンプラリーシステムを開発した.本システムは,展示品紹介,クイズ,スタンプラリーの3種類のコンテンツを実装しており,来館者は展示品付近に設置されているQRコードを読み取ることにより,クイズに回答することができる.中部大学民族資料博物館において本システムを使用したところ,参加者のアンケート結果から,とくに興味・理解,クイズ,スタンプラリーの各項目について高い評価であったことが確認された.
  • 中村 翼, 永井 由佳里, 谷口 俊平
    セッションID: B4-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    3DPRINTING技術は製造業では広く普及した技術である.しかし一般の消費者(生活者)が日常で使用するためにはまだ時間がかっている.問題の1つは,3Dデータ作成に必要な3Dモデリングソフトにある.3DPRINTINGに必要な3Dデータ作成には技術習得が必要であり生活者には困難な状態にある.新しい技術を暮らしの中でどのように活用すべきか生活者は分かっていない.そこでファブ・スペースと呼ばれている多様なコミュニティが存在する場で実践的ワークショップ(WS)を開催することで生活者が共創を体験できる場をつくることを目指した.ファブ・スペースは中野にある「あッ3Dプリンター屋だ!!」とFabcafeTOKYOを使用する.3Dプリンタ屋で実施されているWS枠組みを利用し,ジェネラティブ・デザインを使用した3Dモデリングを使って日常で使用するプロダクトを参加者と共にデザインをすることを行った.
  • スマートフォンアプリを活用したテイラーメイドシューズ設計生産システム
    後藤 泰徳, 平田 一郎
    セッションID: B4-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    テイラーメイドシューズのデザインにはユーザ参加を促すためのインタラクティブデザインが必要である。そこで、人間工学的にユーザの足に適したシューズを設計する方法を開発した。近年、3次元スキャナーによる足計測がラボや店舗で使われている。本研究では、3次元スキャナーの代わりにスマートフォンのカメラ機能を活用することで、インターネットを介しシューズ設計生産する仕組みを開発した。
  • 谷口 俊平, 中村 翼, 永井 由佳里, 川合 千代子
    セッションID: B4-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    環境教育現場では効果的な教材作成や研修などが盛んに行われており、特に教材に対しての関心が非常に高い。しかし、地層や地下水脈などの直接見ることの出来ない題材の場合、その製作に必要な情報に限りがあるため教材数は少ない。2次元で表現される地層断面図などの視覚による情報だけでは、立体的に連なる地層の理解は個人の能力に頼るところが多く、個人差があり、読み解くにはある程度の時間を必要とする。それに対し3次元モデルは、直接手に触れることが可能であり、より深い理解を促すと考えられる。本研究では地下水を題材に水環境への理解と関心を促進する目的で、地下水脈モデルを地質地盤情報から3Dデータを作成し、3Dプリンタを用い3次元地質構造モデルを制作した。3次元地質構造モデルを用いることで、直観的に地層と水脈の構造を手にとって学ぶことができる。直覚的に理解できることは、教育上、有効であり、親しみをもった深い理解が促され、子ども達が水環境への意識を高める事が期待できる。また、深い理解を促すために、忠実な地層の再現を目的とするのではなく、地層データを加工し、パズルのように積み重ねて遊ぶなかで「気づき」を得て、楽しく学べる教材を目指した。
  • 平田 一郎, 大谷 桂司, 後藤 泰徳
    セッションID: B4-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,製品の使用を長期間モニタリングして人間工学的に解析することである.製品やデバイスをデザインする際,把握方法を把握することは重要である.そこで,圧力分布の可視化システムを開発した.本システムは,製品の使用状況を長期間解析することが可能である.本稿では,開発した可視化システムの概要について紹介する.本システムは,バッテリ駆動で小型であるため持ち運びが容易で,圧力記録部と表示部の2つで構成されている.
  • インハウスデザイナー杉浦俊作の仕事を通して
    尚 万里, 樋口 孝之
    セッションID: B4-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    資生堂では1967年の男性総合ブランド化粧品MG5の成功を境に、それまで存在が希薄であったパッケージデザイン部門が宣伝部において重要な存在となっていった。1960年代から1970年代にかけて多様化したデザインスタイルを展開した。高度経済成長下、1957年から始めた三年単位で経営計画を練り直す三カ年計画が資生堂全体の経営を導いていた。本稿は、第三次三カ年計画が始まる1963年から第四次三カ年計画が終わる1969年までの期間において、特にMG5発売前後における宣伝部の様相を辿りながら、宣伝部での仕事の進み方とパッケージデザインの成果を明らかにすることを目的とする。
  • 田中 隆充
    セッションID: B4-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    筆者は木材同士を接合する伝統的な“接ぎ手”を応用した組木のデザイン学的な可能性を2008年より研究している.
    接ぎ手の研究は主に建築分野で行われており,その多くは強度に関する研究であり,伝統的な接ぎ手を改良し木材以外の材質に応用し現在の建築現場での応用開発に活用されている.また,組木は少ないパーツ数で構成されている場合も,組み立てるのに難解なものが多い.さらに,組木には玩具と造形教育の機能の二つを組み合わせた組木もある.これらは樹脂製が多く,接ぎ手を使用せずにマグネットによりパーツ同士を組み合わせる方法を多く採用している.上述のように,“接ぎ手”を応用した組木には多くのデザイン学的な研究課題が残されており,本稿では,これまで行ってきた研究の事例報告と今後の研究課題について考察する.
  • Terui Ryo
    セッションID: C4-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    この研究では都市開発においてその場所に暮らす人々とその場所を開発する側の立場の人々-ゼネコンや行政、自治体などの間の対話を促す為のヴィジュアルコミュニケーションツールの開発を目的とし、さらには、デザイナーやアーティストの社会での新しい役割-まちづくりや文化の形成に反映させる為のメディエイターとしての役割を創造することを目的としている。ヴィジュアルアート/デザインの手法をを分析/分解し、さらには社会人類学や民俗学、構造主義や記号論を取り入れ、社会を俯瞰し未来をイメージする力を市民と共有し視覚化することで、従来のサービスを提供する側と享受する側という社会システムに疑問を問うクリティカルアプローチである。
  • ―地図と音の関係を模索・北千住を事例としてー
    藤澤 忠盛, 神田 麻衣
    セッションID: C4-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    地図を音符に見立て作曲に利用したり、街を音で表現したり、最近ではアプリで世界の観光音を聞いたりと音と地図の関係はアートやデザイン、建築また音楽の世界において時折みられる表現方法である。まずインターネットを使い地図と音の関係性を強く持つものを調査・現状把握を行い、制作のプロセスとその利用目的を分析した。本制作の目的は上記の「地図と音の関係を模索」することと、地域・風土性を生かした北千住の音を集め、北千住の新たなる「現代音楽」をどのように作曲するかである。行政作成の千住マップでは観光拠点がピックアップされており、観光拠点を音符として読み取ることにした。次に線路側を第1線とし日光街道を第5線として第1線―第5線まで線を引くとなんとなく楽譜に見えてきた。先ほど完成した楽譜を音にしてみた。音符化された観光名所は神社やお寺、銭湯、昔ながらの飲食、音符の部分に千住で収集した観光名所の音を加えてみた。たとえばお寺なら鈴の音、神社なら参拝の音、銭湯の湯の音などである。それらを複合させ「千住音散歩」の完成。
  • 最適化→生体環境デザイン→アート視点
    富田 直秀, 辰巳 明久
    セッションID: C4-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    イキモノの機能や形態は過渡的な状態のネットワークとして表現され,そのネットワークには逆説的な関係が存在する.逆説的な関係によって単純な機能の最適化は失敗するため,我々は、機能ではなく環境をデザインするbio-environment designing を提案し,その実践を行なってきた.本稿では,デザインの目的に関して議論し,「みる」と「みまもる」を,それ自身が目的化された方法論として提案する.それは,現実そのものを創造する芸術の視点であって,工学が「質」を扱うために必須の方法論であると考える.
  • 笠尾 敦司
    セッションID: C4-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    動物や人間、クリーチャーなどを作り出すことを前提としたブロック玩具を提案する。今までは建物等を作ることを前提に作られていたが、最近はロボットを作ることを前提にしたブロックも出てきた。我々はより有機的な形状を持ち且つ関節の動きも滑らかなブロック玩具を作り出すことにした。まったく自由に生き物を作り出すのではなく、創作した物語の中に存在すると考えられる動物を想像し作り出すという設定にした。そのことで、自然にブロック玩具の特性やある意味での不自由さを楽しんでもらえることになった。2000万年前、日本に衝突する前の伊豆半島で化石になった大型有孔虫の中に新種の球形で磁気を帯びた化石が発見され学会で話題になった。ある学者がその球形の化石は一つ一つが個別の生き物として存在できるが、磁力によりたくさんのものが集まると役割分担し一つの新しい生き物つまり群体として活動を始めるという仮説を発表した。その結果、その生前の姿や動きを復元する研究が増え、それを研究のためにその化石から直接ブロックが作り出され多くの研究者に配られることになった。それがこのMaglivesである
  • 統合的な理解に向けて
    仲谷 尚郁
    セッションID: C4-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    ビジネス領域のイノベーション理論をデザインの創造の過程と対比してみることによって、学問領域からの創造性の研究アプローチと関連付け、両領域からの考察を多面的に捉える機会を提供する。さらに、外面的な活動や態度からその背後にある内面的な意識のあり方までを統一的に扱い、理論の背景にある思想までを理解習熟するための体系として、武芸における「型(形)」をモチーフに、これらの理論を関連付けて再構築することを提案した。
  • 山岡 俊樹
    セッションID: C4-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    制約条件とフレームによる創造性を生み出す仕組みを考案した.創造の対象として,モノ,コトおよび両者を統合したシステム,サービスである.
    制約条件(あるいは前提条件)は,そのオブジェクト・システムの本質を探るものであり,その創造のベクトルを特定する.フレームは,特定されたベクトルに対して,事前に準備された所定の項目群を使って創造のアイディアを具現化するものである.簡単に言えば,制約条件で開発の方向を決め,フレームによる知識を活用して,具現化することである.
    制約条件には次の5側面がある.
    ①社会・文化・経済的制約,②空間的制約,③時間的制約,④製品・システムに関わる制約,⑤人間に係る制約(思考,感情,身体)
    フレームは発想する時の手掛かり,気付きを提供する.フレームとして,①ビジネスモデル,②システムのフレーム,③70デザイン項目,④サービス接客項目,⑤ストーリーがある.
  • 文字を含むグラフィック作品にみる国際的アヴァンギャルドへの接近と世紀転換期モデルネの継承
    角山 朋子
    セッションID: D4-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、1920年代前半の「ウィーン・キネティシズム」派(1920-1924頃)の活動実態、造形的特徴を明らかにし、両大戦間期のオーストリア・デザイン史の一端を解明する。キネティシズム派の担い手は、ウィーンのクンストゲヴェルベシューレの美術教育家フランツ・チゼックの生徒たちであり、多くが字体学者ルドルフ・フォン・ラリッシュにも師事した。リズミカルな動きや構成的表現を特徴とする絵画、立体、グラフィック作品は、同時代のアヴァンギャルド運動と通じたチゼックの装飾教育を基盤とした。さらに、文字を含む作品群には1900年頃に興隆したウィーン・モデルネの系譜をもつ独自の表現性が認められ、ここではラリッシュの字体教育の影響が色濃い。キネティシズム派の造形活動は国際性とローカルな伝統を内包し、1920年代前半の国家転換期のウィーンの多元的な文化状況を具現している。
  • 田中 隆司郎, 西尾 浩一
    セッションID: D4-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的はより役に立って美しいジョイントを開発することです。
    「継手」と呼ばれる木造のジョイントによる伝統技術が日本にあります。
    最初に「継手」のタイプと構造を研究しました。
    たとえば「継手」は建築の分野で、家具や柱のために使われます。
    そのような柱と「継手」の組み合わせを考えました。
    それらの構造にジョイントを使用することが可能です。
    将来、そういった家具や建物のために使われることを考えました。
  • 久保 光徳, 植田 憲
    セッションID: D4-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    千葉県匝瑳市木積に伝えられる藤箕(国指定重要無形文化財)への形態分析を実施した。その結果,この箕の形態は,イタミと呼ばれる平面状の基本形に,ウデキと呼ばれる弾性体の復元力を用いて,その特徴的な曲面を生成していることが確認できた。この曲面生成過程において,イタミとウデキの,主に曲げ変形に対する材料特性の均一性が,箕としての最終形態の完成度に大きな影響を与えることが確認された。そして,その曲面が自然で合理的な形であるエラスティカに類似したものであることを示唆した。
  • ペンジュラム・パターンの生成規則の数理モデル化による形体情報の観察・把握の方法(9)
    石井 宏一
    セッションID: D4-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    「ペンジュラム・パターン」は振り子の減衰運動の軌跡によって生じる形体である。本研究はペンジュラム・パターンの生成規則を数理モデル化し「球面上に拘束される質点運動」と同定、常微分方程式で記述することでその解消を図るとともに、非線形力学系の諸法則の活用による造形的性質の解析を主眼とする。前報ではその解析手法として「分岐」と「同期」の有効性を確認したが、本報ではその方法の活用による造形的性質の明確化を試みたい。特に従来的な生成方法の問題点とされる生成初期段階での形体の「がたつき」の原因について解明を試みた事例について報告する。
  • 東 大輔, 山下 涼太, 赤司 宜之
    セッションID: A5-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    揚効比が高く、エネルギー効率の良い新たな輸送機器として関心が高まっている地面効果翼機「Wing In Ground-Effect vehicle (WIG)」は、地面または水面からの高度が翼弦長の50%程度から強く得られる地面効果(Ground Effect)を利用して低空を航行する航空機である。地面効果翼機の利点としては、①既存の港湾施設が使えて航空機のように大規模な空港が必要でない、②船舶よりも短時間で目的地に到着できる、③一般的な航空機より燃料消費量が少なくすむ、などが挙げられる。ただし、地面効果翼機は波の高い外洋などでは着水して失速してしまう恐れがあるため地面効果翼機が安定して飛行する条件としては比較的波の穏やかな湾や入り江などが適している。日本にはこのような湾や入り江が多数存在するため地面効果翼機は日本に適した移動手段と言える。また、日本国内には7,000島近くの離島が存在し、有人の離島も400島を超えるが、それら離島の緊急医療時の交通手段としても地面効果翼機は期待できる。
    このような背景から、本研究室では次世代の地面効果翼機のデザイン研究を風洞試験と空力シミュレーション(CFD: Computational Fluid Dynamics)を用いて進めており、これまでの研究では主に上面視形状が空力特性に与える影響について調査してきた。本研究ではさらに上反角や水平尾翼の飛行安定性に与える影響を調査する。
  • 姜 南圭
    セッションID: A5-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    デザイン分野ではユーザの状況を直接観察し、その結果を積極的にデザインプロセスに反映する方法に関心が高い。そこで本研究では、拡張型ADTモデル概念に基づいてユーザの状況を手軽く、かつ分析的に記録するための支援ツールを提案する。デザイナーは物理的要因、感性的要因そして文化的要因に基づいて記録された情報を基にユーザの状況をより理解・共有しやすくなる。
  • コアパートナーを中心とした多角的な調査から複数人へ対象範囲を広げた調査プロセスの提案
    小堀田 良子, 高木 友史, 田丸 恵理子, 蓮池 公威
    セッションID: A5-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年のICT領域を中心とした技術の進化、グローバル化に対応する市場の変化と流動性の高まり、人口構成の変化に対応する社会制度の変化など、仕事を取り巻く環境は急激に変化している。
    筆者らは将来のワーカーモデルとシナリオの策定といった、働き方デザインを試みることで、急速な社会状況の変化に対応する働き方支援につなげることを検討している。
    本研究では、既に将来の傾向を兼ね備えたワーカーの、実際の働き方調査を起点に多角的な調査を行い、将来の働き方に対するメッセージを抽出した。本稿では、探索的に調査対象者や調査手法を選択しながらアプローチした質的調査の実践プロセスを報告する。
  • 山下 涼太, 赤司 宜之, 東 大輔
    セッションID: A5-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    自動車の空力デザイン開発というと燃費性能を高める空気抵抗低減が初めに思い浮かぶが,スポーツカーやレース車両では揚力低減(ダウンフォース獲得)のほうが重要な開発項目と言える(図1).ドライバの安全に関わる高速操縦安定性やレースの勝敗を分けるコーナリングスピードに直結しているからである.なお,Formula 1の開発チームは開発費の80%以上を空力(主にダウンフォース)開発に費やしている.
     本研究で扱う全日本学生フォーミュラ大会は安全性を考慮して最高速度100[km/h]程度の低い速度域で争うため,速度の二乗に応じて空気力が変化するウィングの効果は限定的であると考えるチームが多かった.しかし,学生フォーミュラのウィングに対するレギュレーションは自由度が大きいことや,ウィングはレース車両のデザインアイコンであることなどを踏まえ,本研究では学生フォーミュラ車両の国内・海外チームのデザイン調査を行うとともに,レギュレーションに沿ったリヤウィングの空力性能を1/10クレイモデルを用いた風洞試験で調査する.
  • 影山 友章
    セッションID: A5-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    道具の電子化や、システムの自動化など、人類は利便性を追い求め、その開発は日々進化し続けている。一方、車の運転において、バックモニター無しの車では駐車ができない若者が現れるなど、利便性追求の影響による、人間の能力劣化とも見られる現象がみられる。
    本研究では、デザイン開発における利便性追求の影響よって発生している様々な現象は、それらの製品に、“人間の思考や感情が介在する余地”が少なくなりつつあることが原因であると考え、この思考や感情が介在する余地のことを、「思考の余白」と命名した。
    便利、快適であることと、豊かで幸せであることは、必ずしも一致しないという仮説のもと、この「思考の余白」の適切な設計が、本質的に豊かで幸せな生活へと導く製品デザインの実現に向けた、新たな指針となることを目指す。
  • 松岡 慧, 前泊 秀徳, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: A5-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,自動車内装材テクスチャに官能評価実験を実施し,因子分析と重回帰分析により,視覚評価因子の解明を行った.その結果,7つの因子が抽出された.そのうち「本物感」,「奥行き感」,「個性」という三つの主因子が,総合評価である「高級感」と「嗜好」に特に大きく影響する主因子であることを確認した.さらに,ハイライトとシェードにおける明度,彩度,反射率,とそれらの差分が主因子の一つである「奥行き感」に影響する物理特性であることが抽出された.
  • 久富 望, 坂口 智洋, 北 雄介
    セッションID: B5-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    ワークショップ(WS)においてオーガナイザーはどのような立場で何を行えば良いのだろうか。本研究では、社会の実問題を扱う「社会課題型WS」が類似した条件の下で行われた京都大学サマーデザインスクール2016に対し、数理的な方法でこの問題に取り組んだ。ワークの内容を行なうためのオーガナイザーの振る舞いに着目し、35のWSにおいてアンケート調査し、パターン分析して自己・他者評価との相関を調べた。その結果、5つのパターンを仮定した際に最も解釈可能な結果が得られ、「知識提供型」は自己評価と0.5前後の、「議論参加型」は自己評価と0.3程度の、「参加者支援型」は他者評価と0.5程度の相関が見られた。また、解析の過程で各WSのプロセスや、WS群の全容を大づかみに把握する可視化の手法を得た。社会課題型WSは企業のみならず大学教育や初等中等教育の現場でもアクティブ・ラーニングの一つとして取り入れられている昨今、講義時間内で行なわれるWS的な授業群など、時間と内容がある程度統一されたWS的な営みの可視化へも適用できるなど、多くの応用が期待できる。
  • − 学習アプリにおける時間制約を事例として −
    佐藤 壮一郎, 小縣 慎太郎, 木谷 庸二
    セッションID: B5-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    昨今、UXデザインを始め、モノやサービスを利用する一連の流れを踏まえて、ユーザーに心地よい利用体験を提供することが重要視されている。良い体験をデザインすることにおいては、ただ純粋に「楽しい」「うれしい」といったプラスの側面だけではなく、「緊張する」「つらい」といったマイナスの側面を喚起するような制約や障壁を与えて、プラスの体験をより感動的にデザインをすることも有用である。
     本研究では、ユーザーにとってマイナスの側面を喚起させつつも体験全体へプラスになる体験について、デプスインタビューを通して事例調査を行った。調査で抽出された事例はKA法を用いて体験の価値構造を分析し、制約及び障壁体験が及ぼすプラスの効用としてまとめた。加えて4日間にわたる学習アプリケーションを用いた実験を通し、時間制約によるユーザーの覚醒度や評価軸の変化を分析し、先行研究と合わせて、制約及び障壁体験のデザイン要件を明らかにした。
  • 楊 玄叡, 韋 銘兒
    セッションID: B5-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究はイラストを用い、漢方薬と人体器官の対応関係を表現するのが目的であリ、『神農本草経』に掲載された薬物の上、中、下品の分類に基づき、薬材のイラストを絵書く時に使う色相、明度、彩度の使用原則を定めた。それに薬材分量の比率を用い、植物図の大きさを決めた。心臓や胃など9種の器官に使う三品の薬物のイラストを試作し、試作図では色彩と造形の比率の差が明確に区別され、薬材と人体器官の対応関係をイラストで表現する事が出来た。
  • 治部 晶子, ディロクワタナクウン カモンパン, 木谷 庸二
    セッションID: B5-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    キャラクターに馴染みのある日本はキャラクターの経済効果が高い国であるとされ、企業または製品のブランドを強化・確立するためにキャラクターを用いることは有効なマーケティングの手段であると考えられている。先達の研究者はキャラクターの有無やモチーフがブランド・イメージに与える影響や魅力的なキャラクター造形について様々な知見を示している。本研究では、キャラクター造形の要素として「ジェスチャー」に着目し、菓子パッケージを例に、消費者がキャラクターのジェスチャーを見ることによって得られるイメージが、製品またはキャラクターのイメージにどのような影響を与えているのかを明らかにすることとした。実際にキャラクターを使用している菓子パッケージを用いて、ジェスチャーの異なる複数のサンプルを提示しアンケート調査を行った。SD 尺度7 段階の印象評価を行い、t 検定とコレスポンデンス分析を経て、因子分析、主観的考察を用い、「興味がわく↔興味がわかない」に関連のある評価項目を抽出し、「イメージアップ」「関心度」に関係している認知要素を示した。調査結果をもとにパッケージの改案例を作成し、検証調査を行い知識の有用性を示した。
  • 宮田 雅子, 水内 智英, 南部 隆一
    セッションID: B5-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    これまで前提とされてきた、社会の規範や伝統といった基盤が大きく揺らぎ、リスク社会が進展する現代において、精神環境の荒廃、地球環境問題といった、現代社会が抱える問題群は高度に複雑である。近代以降行われてきた、社会に問題を発見し、物やシステム開発を通じてそれらを解決しようとするデザイン方法論は限界を迎えている。私たちは、原因と結果に基づいた近代的デザイン方法を乗り越えるための新たなデザイン方法を「物語を可視化し共有するデザイン」と名付け、その可能性を追求してきた。今研究では関連する多様な分野(人類学・神話学、社会運動論、メディア論、死生学、都市論・建築論、哲学・民藝)を専門とする研究者らへのインタヴューリサーチを行い、そこで重要となる理論的要素を抽出した。そこで注視したのは①アクター・ネットワーク理論:人間中心主義からの脱却、②アクティビズム:意味を転用し、異なる価値から現状を批判する活動、③緩和ケア:どうしようもないことに折り合いをつける方法、等である。それらの検討から、さまざまな「もの」と人との関係性の再検討が、現代必要とされるデザイン方法創出のために重要であることが明らかとなった。
  • 笠井 ゆきひ, 佐藤 弘喜
    セッションID: B5-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    美味しそうな印象を「シズル感」と呼び,一つのキーワードとする。フォントから得られる視覚情報によって「美味しそう」と消費者に感じさせるには,どのような表現技法が有効かを明らかにすることが本研究の目的である。まず、食品のパッケージデザインや書き文字制作をしている日置恵氏にインタビュー調査を行い,現行の美味しそうな文字の表現技法を調査した。インタビューから、文字は点と線で構成されており、その形を味覚イメージや食品の形・質感に寄せることでシズル感に繋がるということが理解できた。実験1では、どのような画像の特徴がその食品の美味しさを表しているのかを考察する目的で、美味しそうに見える食品の画像を選定した。実験とインタビューの結果から,ごはん,ハンバーグ,サラダ,りんごの画像から受ける美味しそうな印象は「色」「艶」「かたち」が大きく影響することが明らかとなった。実験2では、どのようなフォントの特徴がその食品の美味しさを表しているのかを考察する目的で、食品の美味しさを感じられるようなフォントを求めた。実験とインタビューの結果から,フォントの形や質感が様々な印象を与えることが明らかとなった。
  • 若杉 慈円, 久保 雅義
    セッションID: C5-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、スマートフォンなどタッチパネルディスプレイ搭載機器が増加している。タッチパネルの誤操 作防止な ど触覚フィードバックを応用した先行事例は多くない。
    本研究はさまざまな使用状況において触覚フィードバックが使用者に与える「印象と状況」に焦点を当てた。本研 究では2つの検証から構成されている。最初の検証は、被験者が作成し た触覚フィードバックの パターンとその印象を分析した。
    進め方としては、スマートフォンのプロトタイプを作製し、被験者が設定した触覚パターンを実装し、別の被験者 に触覚パ ターンの印象を回答させた。この調査は3つの状況(依頼・ 催促・報告に関する メールに振動が付与)仮定して8つのパターンに て検証を行った。結果として は、依頼と報告に有意な差が現れたが催促には現れなかった。依頼に関しては、高齢者が振動を大きくすることでよりはっきりとした印象 や明るさ、心地よさ、力強さの印象を与えられることが明らかになった。このことで状況によって、異なる触覚フィードバックを 与えるこ とで、状況に相応しい触覚フィードバックを与えるができることと高齢者と若者で状況が異なることなどが示唆された。
  • 松本 大志, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    セッションID: C5-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年,3D-CADの普及と性能の向上により,多様な曲線・曲面形状が工業製品のスタイリングにおいて用いられている.筆者らは過去の研究で,曲線形状における法線の角度変化の総量を表す曲率の線積分を用いた「複雑さ」の定量化法を提案している.本研究では上記の定量化法を拡張し,曲面形状における法線の角度変化の総量を表すガウス曲率の面積分を用いた「複雑さ」の定量化法を提案する.
  • QOL向上を目的としたサービスデザインに向けて
    田村 良一, 古屋 繁, 都甲 康至
    セッションID: C5-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,元気な高齢者の生活の質(Quality of Life)の向上を目的としたサービスデザインのための端緒として,元気な高齢者の日常生活の意識について調査を行った。具体的には,東京都,九州7県に在住する60歳~74歳の3798名を対象として,日常生活における楽しみ,不安,生きがい,それらに関係する具体的な日常行為についてWebアンケート調査を実施した。そして,日常の生活意識のあり方を把握するとともにタイプを抽出し,世帯構造および性別に注目して,生活意識の違いについて検討した。本研究の成果は,今後の新たなサービスを検討する際の指針として,有益な資料になり得ると考えられる。
  • 澤田 亮三, 岡崎 章
    セッションID: C5-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    倦怠感は,感じ方が人によって異なり,推し量ることが難しいものとして捉えられている.それは,目に見える形状がなく,捉えどころのないものとして認識されているためである.医療現場では,患者の倦怠感を正確に抽出できるこれといった方法はなく,患者の言葉や憶測で判断をせざるを得ない現状がある.本研究では,倦怠感をモデル化するうえで必要なデザイン構成要素を明らかにすることを目的とし,デザイン要素を選定,各要素に最適な形状を制作,評価実験を行った.4段階評価の結果,凹みモデルが倦怠感を評価するのに有効であることが明らかになった.また,評価理由を分析した結果,凹みモデルは身体的な倦怠感を感じさせるのに有効であり,沈みモデルは精神的倦怠感を感じさせるのに有効であることが分かった.
  • 立ち座りリハビリテーションデバイスの心理的効果
    吉岡 聖美
    セッションID: C5-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    リハビリテーション動作とアート制作とを連動させることによってリハビリテーション動作を促し,加えて,リハビリテーション動作の質や運動量における達成度を作品の出来栄えとしてフィードバックするアートプログラムを開発した。アートプログラム「立ち上がって空に描こう!」のデバイスであるVRヘッドマウントディスプレイ(Oculus Rift )を装着して,座ったり立ち上がったりする動作を行うことによって視界にアート作品を制作することができる。学生を被験者としたスクワット運動の実験を行った結果,本アートプログラムを用いた場合はアートプログラムが無い場合に比べて,運動の前後で有意に快適度が上がることが示された。
  • 三輪 明日希, 滝沢 正仁, 木嶋 彰, 大網 誉久
    セッションID: C5-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    透明視は、人間の視覚構造に関する探求過程で発見された現象であり関連研究も多い。しかし、これまでの知見は、2つ以上の図形が部分的に重なって知覚されることを前提に導かれたため、色彩効果と透明視の純粋な関係が導かれているとは言い難い。そこで、本研究では、色彩効果に限定し、透明視の発現要因を探った。「図形を並置させ重なり知覚を排除する」、「加法・中間・減法の混色法に従い、有彩色と無彩色を組み合わせる(要因を混色法と人の視覚構造の関係から導く)」を条件に、評価実験に用いる108点の試料を作製した。評価は、モニタ上に試料を表示し、各試料について被験者に「透明に見えるか」、「混色として適切か」の2項目を回答させた。その結果、主な知見として「正確な混色と知覚された配色は、透明と知覚される傾向にある」、「左右の1次色とこれらの混色である2次色の明度差がL*≒20の時に、透明視が発現しやすい」、「2次色が最も高明度となる配色は、透明と知覚されにくい」の3点を得た。
  • 三木 清史, 江川 聡, 友成 泰士, 磐井 征博, 神成 知実
    セッションID: D5-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、タッチパネル式の複合機を操作する際の、画面応答時間の違いがユーザーの操作感にどのような影響を与えるかを確認するために評価実験を行った。評価には16名のオフィスワーカーが参加し、0.1秒から2秒までの7種類の応答時間の違いに対する「速さ感」と「快適性」について尺度評価を行った。その結果、機能選択操作においては、0.2秒から0.4秒の範囲の応答時間に対して速さ感と快適性を感じていることが示唆された。
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