日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
選択された号の論文の231件中151~200を表示しています
  • 松原 かおり, 池田 岳史
    セッションID: R-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    筆者が修士課程で調査研究してきた「地域資源の再生を目指す活動の記録-限界集落A43の事例-」において、研究成果として制作した動画作品が、第2回SDGsクリエイティブアワードの学生部門「SDGsローカルアクション」部門で大賞を受賞した。この映像作品を発表した事で得られた限界集落における映像表現による地域資源のブランディングについて考察した結果を述べる。

  • 隈本 あゆみ, 青木 幹太, 佐藤 慈, 石川 弘之, 楠本 幸裕, 友延 憲幸
    セッションID: R-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    工業技術センターインテリア研究所では中小企業支援のために“研究開発”、“評価”、“産学官連携”、“人材育成”等の責務を担っているが、そのうち“産学官連携”の一つとして企業が抱える課題をデザインの力で解決へ導く「デザインブラッシュアップ講座」を2011年から行なっている。同講座は福岡県工業技術センタークラブ デザイン部会の会員企業を対象とした支援で、商品やパッケージデザイン、カタログ、企業ブランド等、デザインに関する幅広い課題に取り組む。本発表では2019年度「デザインブラッシュアップ講座」の参加企業事例4つを紹介し、どのような課題解決に至ったか発表したい。

  • 渡邉 哲意
    セッションID: R-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本学は東京・新宿にキャンパスを構え、長野県に本社を置く伊那バス株式会社と包括連携協定を結んでいます。 伊那バス株式会社は2019年に創業100周年を迎え、多くの記念事業を実施しました。 宝塚大学芸術学部渡邉研究室は100周年プロジェクトのデザインに協力しました。 ここでは研究室が取り組んだ制作について報告します。

  • 柴田 一樹, 青木 宏展, 植田 憲
    セッションID: R-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    今日、日本全域において、持続可能な地域活性化が希求されている。これまでは、観光の分野においても、外部企業による観光開発や利潤追求を目的としたものが少なくなく、当該地域の実態と観光内容との乖離や、観光公害、いたずらな産業化などを引き起こし、地域社会の持続に関するさまざまな課題が顕在化してきた。今こそ、観光のあり方を見直すことが急務である。

    ;このことは、千葉県木更津市においても例外ではない。同市は持続可能な社会の創出へ向け、地域資源の活用や、人と人、人と自然との共生を目指した「オーガニックなまちづくり条例」を制定しており、内発的な観光開発を行う機運が高まっている。

    ;本研究は、千葉県木更津市におけるフィールドサーベイを通して、自然環境や文化遺産、生活様式といった地域資源を再発見し、地域住民との協働に基づき再認識を図るとともに、それらを活用した観光提案ならびに試行に基づき、今後の持続可能な地域の活性化に寄与する観光のあり方を導出することを目的としたものである。

  • 井上 友子, 青木 幹太, 佐藤 慈, 星野 浩司
    セッションID: R-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    都市部から離れ高齢化が進む大刀洗町では、老朽化している3つの無人駅が公共交通機関のすべてである。そのうちの2つの駅を運営する西鉄は駅の美化と15年前に廃止となったバスルートを再開させる計画を立てた。大刀洗町役場と西鉄は、放置状態の駅の彩飾を九州産業大学芸術学部に委託した。駅の壁面やバスのラッピングデザインは学部教育の実践的カリキュラムの一つとなった。これらの活動は産×学×官の3つの要素がバランスよく機能したプロジェクトとしてマスコミ各社に取り上げられ、住民の生活にも変化が見られた。

  • 軍司 円, 佐々 牧雄, 板垣 順平
    セッションID: R-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    1970年代以降、日本酒の生産量は減少傾向にある。本研究では、若者の日本酒に対する距離感に焦点を当て、アンケートやインタビューから分析し若者と日本酒の距離感の物質性を考える。また、若者が日本酒を身近なものとして認識するために必要なデザインを考える。

  • 藤澤 忠盛
    セッションID: R-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    人口減少が最も激しい上位30市町村の創生総合戦略を調査し、地域・風土性を生かした新たなる外食産業・観光産業の掘り起こしの可能性を考慮し、対象地域を地域特産物の比較的多い東京都奥多摩町と決定した。

    ;

    ;企画部署等にヒアリング調査等を行い、現地調査を踏まえて奥多摩町における外食産業を調査し分析結果としてまとめ、既存建築物を再構築し新たなる外食・観光スポットを企画開発・提案した。

  • 郭 庚熙, 土屋 篤生, 陳 誼菲, 柴田 一樹, 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    セッションID: R-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    今日、日本各地では、地域資源を活用した地域活性化が求められている。特に、歴史的造形資源は、地域の特性を有する貴重な地域資源の一つである。万祝とは、型染めの技法で製作される漁師の晴れ着である。極彩色が施された図柄には、地域ごとの差異が認められ、それぞれの地域で独自に発展してきたことがうかがえる。

    ; しかしながら、生活様式の変容による人びとの認知不足や後継者不足などから潜在化が進み、存続の危機に晒されている。 筆者らは、これまでに万祝の型紙のデジタルデータを用いた試みとして、実生活における製品展開および実験的販売、機械彫刻した型紙を用いた職人の支援といった取り組みを行ってきた。それに引き続き、本稿では、地域資源の顕在化・共有化に資する万祝の型紙のデジタルデータの利活用方法を模索と実践に基づき導出することを目的とし、新たな試みを行った。

  • 伊豆 裕一
    セッションID: R-18
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    地方経済の活性化により地方の人口減少に歯止めをかけるとした地方創生において、デザインは活性化に貢献する要素の一つと考えられ、近年、各都道府県により多くのデザイン振興が実施されている。本研究では、7自治体で開催されるデザインの顕彰事業について、事業の概要と過去10年間の受賞デザインを調査した。各自治体は、地域の活性化を目的に、中小企業を対象として1990年から2000年の間にデザインの顕彰制度を開始している。近年は、工業製品に対して、企画段階からデザインを取り入れた伝統工芸品や、地域の課題解決にデザインを活用した仕組みのデザインが増加していることが示された。

  • 髙橋 真央, 青木 宏展, 植田 憲
    セッションID: R-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本稿では、木更津市に存在する地域資源である藁に関する文化に着目し、その再確認・再認識ならびに活用実践を通じて、今日の同市の人びとの生活づくりに対し、どのように寄与するかを考察することを目的とした。藁活用の文化には人と人、人と自然、神と人、のつながりが内包され、当該地域の生活者がこれまで周囲の環境といかに共生してきたかを確認することができた。また、それらを伝えるためのデザイン提案の試行では、藁の活用により地域のコミュニティ内に、多世代の交流を生み、その交流からこれまでの生活を知るきっかけづくりに寄与する可能性を見出した。地域資源を再確認・再認識し、活用を通して資源共有の契機を創出しつつ、モノ・コトに包含される「意味」を理解していくことが、コミュニティの活性化、ひいては地域活性化へ寄与すると考えられる。

  • 孔 春, 植田 憲
    セッションID: R-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は、現在中国ホジェン族の5つの定住地のなかでも、故郷といわれる黒竜江省・同江市街津口村を対象地域として、当該地域のホジェン族の人びとが形成してきた魚資源活用文化の特質を明らかにすることを目的としたものである。なお、本稿においては、多様な魚資源のなかでも、特に、鮭を取り上げる。調査・考察の結果以下の知見を得た。(1)ホジェン族にとって、鮭は重要な生活資源だけではなく、生活を安定させるための信仰の対象の一つである。(2)ホジェン族は鮭の育成と活用の過程のなかで、人と人の間に知恵の共有・交流を促すとともに、漁猟生活に関する約束事にみられる「人と自然との共生」の意識を形成した。(3)ホジェン族の人びとは鮭を無駄なく活用する仕方を工夫する過程のなかで、特有の「衣食住」の文化を形成するとともに、鮭の一物全体活用の知恵を見出してきた。(4)ホジェン族が特有の「鮭の一物全体活用」を維持・継承することは、資源循環型のものづくりを実現させるための重要な要素の一つである。

  • 境野 広志, 上野 裕治
    セッションID: R-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年,COC+事業等に見られるように,地域の活性化に対して大学の役割が期待されるようになり,また教育の面でもPBLや当事者デザインのようにリアルな社会と接点を持つ教育が求められている.特に人口減少や農業衰退,更には災害等により地域の存続自体が危ぶまれる中山間地においては何らかのインパクトとなるような施策が求められている.本研究はそのような背景を受けデザイン系大学と中山間地域の集落と地域連携活動を行い,その結果を報告するものである.またその結果から造形や社会人力といった教育における効果や課題,同様に地域の活性化への貢献などについての効果を示し,今後の課題について考察するものである.

  • 大淵 和憲
    セッションID: R-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    伝統工芸産業を取り巻く外部環境が急速に変化している。本研究では産地事業者を対象とした調査を基に、キャッシュレス決済対応への関心や、ふるさと納税制度に対する関心について検討した。クロス集計結果に基づくカイ二乗検定と残差分析を通じて、新製品開発への関心が高い事業者はキャッシュレス決済への関心も高く、流通の弱体化を意識している事業者ほどふるさと納税制度への関心が高い傾向にあることがわかった。また、売上増加傾向にある事業者は、景気低迷というコントロールできない外部要因を市場縮小の理由ととらえていない傾向も判明した。

  • 艾 尭天, 青木 宏展, 植田 憲
    セッションID: R-23
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年、さまざまな分野において3Dデジタル技術が世界的に注目をあつめ、活用がなされつつある。特に3Dモデリング技術と3Dスキャン技術はデジタルデータによる造形の記録・保存ならびに解析、修復などの方面で幅広く応用されている。本稿は千葉県市原市に位置する阿部鍛冶屋工房の空間ならびに生産機械に着目し、3Dモデリング技術により、鍛冶への興味・関心を喚起させるための今後の博物館におけるデジタル展示の方向性を導出することを目的とする。

  • 三井 琳世, 板垣 順平
    セッションID: R-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    長岡造形大学では、2019 年より、不発弾汚染や森林伐採など の社会問題を抱えているラオス人民民主共和国シェンクアン県 ペク郡において、NPO 法人テラ・ルネッサンスと株式会社坂の 途中、そしてペク郡農林局と連携して、当該地域に位置する二つ の小規模集落を対象として、森林保全と新たな現金収入の獲得を 目指した“farm miel project”を実施してきた1)。farm miel project では、当該2集落において日常的に行われてきた伝統的 な養蜂技術に注目し、ハチミツの収量増加を目指した技術指導や 環境教育のワークショップの実施、ハチミツの商品化に必要な加 工やパッケージング、販売までを行う養蜂センターの整備などに 取り組んできた。farm miel project のような発展途上国での国 際協力に資する取組みでは、インフラ整備などのいわゆるハード 事業は、滞りなく実施されることが多いが、事業が終了した後に 対象となる人びとが、こうした環境を十分に活用出来ないことが ある。その原因として、道具や設備などを自ら使えるようになる までには至らないことや、それ以上に事業の目的や意図などが十 分に理解されないまま進められることも考えられる。本研究では、farm miel project で実施した環境教育のワーク ショップの事前事後アンケート結果をもとに、当該2集落の住民 の問題意識の変化や深化について検討する。

  • 王 建明, 植田 憲
    セッションID: R-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究においては,65点の「百鳥衣」を数量化理論III類の解析に基づき,4つの分類を得た。以上の解析を通して,「百鳥衣」 の形態特性に影響を与える3つの要因は,(1)服飾の着用者, (2)服飾の着用機会,(3)服飾の製作年代であることが分かった。今後,各村の「百鳥衣」服飾の形態をさらに調査解析し,独特の文化の特質を把握し,消失しつつある手作業の技術を再確認・再認識していきたい。

  • 横山 陽子
    セッションID: S-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    環境意識や健康意識をはぐくむウェラブルなデザインを、環境問題の一つである紫外線(UV)にフォーカスしてデザインした。紫外線の時間的変化を可視化した指輪などのファッションアクセサリーを身に纏うことで、環境問題を自然に認識でき、健康意識もはぐくむ。着目した素材は、サングラスに用いられる光学レンズで、紫外線に反応し、色を変化させる調光レンズを利用。紫外線のアラートや、緯度経度で異なるビタミンD摂取時間の目安としても色の変化をポジティブに認識でき、環境コンシャスにもなれる。紫外線を防止するアイテムは市場に多々あるが、紫外線との付き合い方をポジティブに捉え、色の変化を楽しみ美しく健康に活用できる例はほとんど見られない。また、古来より日本文化で言われている変化や、モノを介した関係性、自然との調和も視野にいれている。世界中の人々がこの指輪を介して、色が変化したデータをアプリ化し、バーチャル空間で共有体験できることも想定している。地球の緯度経度を意識した光の球体をデザインした指輪で、明るく豊かな地球の未来創造を今の混沌とした社会情勢だからこそ構想していきたい。

  • 藤田 花南, 福田 大年
    セッションID: S-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    着飾る行為は社会で生きる上で欠かせないものであると同時に自身のらしさを問われるものとなってしまい、難しいものになってしまった。それに加えて自由度が高くなってしまったことによって表現するための手段が増えてしまい、ますます着飾る行為が敷居の高いものとなってしまっている。私たちがより豊かに生きるためには着飾る行為にどう向き合っていくかが重要となってくる。この研究では着飾ることをうまく楽しんで自分らしさを表現している人の特徴を考察することで、誰でも着飾ることを初めやすくなりポジティブに捉えるヒントを探る。着飾る行為を手軽にすることによってアイデンティティの形成を助け、現代に生きる私たちが豊かに生きるための一助になるのではないかと考える。

    ;先行研究から、着飾る行為を楽しみ満足度を高めるにはセルフプロデュースとしておしゃれを楽しむことが効果的であることがわかった。そして着飾る行為をセルフプロデュースと捉えるためには、理想の自分をイメージして比べること、そして褒められることが重要であると仮定し、筆者の実体験と比較した。しかしこの本編は他者に関しても同じであるか、根拠がまだ不十分であり、他者の体験とも比較を行う必要がある。今後はインタビューやアンケートを行い、他者のセルフプロデュース法について調査し、そこから着飾る行為をする人とあまりしない人の比較をしていく。調査結果をもとに仮説を修正するとともに、セルフプロデュースを行っている人の意識やアプローチをモデル化し、「演じる」をキーワードとして、より着飾る行為を手軽に楽しめるアプローチ法を模索していく。

  • 片岡 夏海, 白髪 誠一, 赤井 愛, 田上 貴久美
    セッションID: T-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は,盲導犬とユーザーの安全で快適な歩行を実現するために,歩行時の盲導犬とユーザーの負荷の定量化を行い,その負荷を低減するハーネス,盲導犬からの情報をより的確にユーザーに伝達するハーネスの開発を目的としている。本報では,歩行時における盲導犬への負荷の状況およびハンドルの形態が与える影響を調べるために,盲導犬による歩行実験の結果を報告している。

    ;

    ; 盲導犬用ハンドルは従来型,ねじり型およびy字型を用い,3名の実験協力者に対して18mの直進歩行時のハンドル取付位置における負荷を計測している。

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    ; 歩行実験の結果,盲導犬との歩行に慣れている訓練士とユーザーは盲導犬に与える負荷がハンドルの形状によらず非常に小さいことが明らかとなった。盲導犬との歩行に慣れていない実験協力者は,従来型およびねじり型に比べてy字型での歩行時の盲導犬への負荷が小さくなった。これは,y字型ハンドルによって盲導犬の挙動が把握しやすく,盲導犬への負荷を軽減できることを示している。

    ;

    ; 負荷の左右バランスは,ハンドルの形態によらず模型による実験よりも均等となる結果となった。ただし,実験映像より胴輪のねじれが生じていることが影響している。

  • 遠藤 潤一, 定國 伸吾
    セッションID: T-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    小児医療において,医療行為にたいする事前説明(プレパレーション)や処置中に気を紛らわせる遊び(ディストラクション)は重要である。子どもは医療行為にたいする技術的な理解が難しい上に,自分の意見や感情を言葉で正確に表現することが難しいからである。筆者らはあいち小児保健医療総合センター(以下,センター)との共同研究において,プレパレーションやディストラクション向けのデジタルツールの開発を行ってきた。センターに新たに設置された32病棟は脳神経外科・神経科であり,子どもの年齢や発達段階もさまざまである。病棟内の処置室では,採血,点滴などの処置が行われ,処置の時間は10分から長くて1時間程度かかる。そこで,本研究では処置室内に映像を投影する仕組みを導入する。処置中のディストラクションとしての実効性や課題を明らかにする。

  • 平井 由香, 赤井 愛
    セッションID: T-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    テクスチャとは、製品の印象を作る重要な要素の1つであると言える。これまでテクスチャ自体が言葉の意味を持つことや表現を示すことは多くなかった。そこで今回は、 “人の感情などを表す形容詞”に着目し、その形容詞を想起させるテクスチャの創出を試みた。例えば、「楽しい」「無邪気な」という形容詞から創出されたテクスチャを玩具に付与することで、製品のデザインの表現の幅が広がるのではないかと考える。形容詞は、「安心な」「楽しい」「恥ずかしい」「勇ましい」「賢い」「ずるい」「尊い」「無邪気な」の8種類を選定した。まず、選定した8形容詞に対しテクスチャのCG画像がどの程度印象が近いかを視覚のみで評価を行い、上位5画像を選出した。上位5画像に選出されたパターンを樹脂ブロック上に立体化し、5パターンのテクスチャがどの程度印象が近いかを触覚を加えて評価を行った。評価結果から、比較的共通なイメージを持ちやすい形容詞と、個人によってイメージの差が大きい形容詞に分けられた。これらの評価結果と実験協力者へのインタビューを踏まえ、8種類の形容詞を表現するテクスチャをデザインした。

  • 辰巳 駿介, 伊藤 慎一郎
    セッションID: T-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では,聴覚障害学生と健聴学生が混在するグループワークでの利用を前提とした議論の可視化手法の検討を行い,ソフトウェアを提案する. 障害学生支援センターの職員へのインタビュー調査より,グループワークにおける従来の情報保障手法における課題として1)情報の即時性、2)音声情報量の増加、3)機器のモビリティが抽出された。調査結果より健聴学生と聴覚障害学生混合で行われるグループワークで,参加者の発言がテキスト化され,聴覚障害学生が確認できる状態になるるまでの過程をグループワークに参加者する全員が視覚的に理解できる状態にすることで,グループワーク参加者の学生の発言が聴覚障害学生に確認できるようになるまでにタイムラグがあることを示し,聴覚障害学生が発言する機会が失われない議論の可視化手法を提案した. 提案手法と従来手法との比較検証より,議論のタイムラグを解消する事はできなかったが,話者ごとに色分けを行う事で聴覚障害学生の認知的負荷を軽減できることが明らかとなった.また,専門家インタビューから,提案手法ではグループ間での不公平性が生まれてしまうという課題が判明した.

  • 加藤 貴司, 中川 雅晴, 赤阪 拓郎, 大沼 勇樹, 影山 和則
    セッションID: T-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では在宅医療における点滴治療において、輸液スタンドは患者の自由度を低減させているのではないかという仮説のもと、総合川崎臨港病院の先生方にご協力いただき、医療現場の調査を行った。調査は患者と医療従事者、在宅医療の環境を対象とし、調査には行動観察の手法を用いた。そして、行動観察の調査結果の分析を行い、吊り下げず無電源で携帯性と操作性を備えた輸液ポンプの開発における設計要件の抽出を行った。

  • 赤井 愛, 林 庭仰
    セッションID: T-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年、日本では高齢化に伴い視覚障害者は増加傾向にある。また、高齢者は加齢にしたがい服薬数が増加傾向にあり、更に視覚障害を伴うことで、服薬時のトラブルも増えることが推測される。そこで本研究では、今後の服薬支援の方向性についての知見を得るため、視覚障害者24名に対し、服薬状況や服薬時に発生する様々な困りごと、それらを軽減するための工夫について半構造化面接を行った。その結果、盲・弱視者ともに「薬を飲み忘れる」「説明を覚えにくい」「複数の薬の組み合わせがわかりにくい」などの困りごとが高頻度傾向にあった。また、これらの困りごとに対する当事者の様々な工夫を『識別』『操作』『情報』の3つのカテゴリに分類し、当事者による工夫が比較的容易なものと、そうでないものを明らかにした。当事者による工夫が難しい困りごととして「塗り薬や点眼薬の容器の識別が困難」「液体薬の規定量がわからない」などが挙げられ、ジェネリック医薬品のデザイン改善や服薬支援ツールなどの必要性が示唆された。

  • 西村 歩, 新井田 統
    セッションID: U-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    デザイン学とは個別分野同士の融合や、理論と実践の融合が見られる「異分野融合」に基づく学問であることは知られている。デザイン学に限らず1950年代頃より顕著となった異分野融合の試みは、実在性や現実性に密着した知識を形成していくべきという観念の一つの結実であった。実在性に傾倒した知識が形成されることの危うさや難点などが主に科学哲学における知識論で議論されるようになってから、「異分野融合」の試みを一度批判的に捉える動きが高まっている。そこで本稿では「異分野融合」領域としてのデザイン学が抱える知識論的問題への対処の方向性について議論する。具体的には(1)経営学者のShawらによって指摘された、個別学問の前提同士が適合せずに理論の融合が進められる問題についてデザイン学でどのように表出しているかを紹介し、その問題への対応について議論する。(2)実践者の「主観的知識」を、理論などの「客観的知識」の形成にどのように活用すべきかに関する論争を紹介した上で、この問題への複数のアプローチ方法を提示し、デザイン学の今後に向けた問題提起を行う。

  • 高安 啓介
    セッションID: U-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本発表は、未来研究でなされてきた未来の分類をめぐる議論にもとづき、思弁デザインの未来観について再検討をおこなう。日本では、スペキュラティヴ・デザインの名によって知られる仕事だが、本稿はこれを思弁デザインと短く訳して呼ぶことにする。出発点として確認したいのは、デザインの仕事はつねに未来にかかわる仕事だという点である。商業デザインは、市場の動向を見越して、製品サービスの開発をおこない、社会デザインは、理想の状態にむけて、問題解決のしかたを考える。これにたいして、思弁デザインは、未来にたいして普通とは少し違った関心をもつ。思弁デザインは、未来予想のもとでは浮かび上がらない、思ってもみない可能性をとらえようとする仕事であり、良いか悪いかの判別すらもできない可能性を人々に突きつけて、公共の議論をうながそうとする。思弁デザインとよばれる仕事や、思弁デザインに相応するアートがねらうのは、予想の未来でもなく、理想の未来でもなく、仮想の未来というべき可能性である。たしかに、思弁デザインの説明において未来はかならず語られるが、未来研究における分類論は、思弁デザインの打ち出してくる未来がいかなる意味をもつのかを考える手がかりとなる。

  • 長谷川 紫穂
    セッションID: U-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では、デザイン史領域における生物学(および生物学的関心)と視覚イメージ/造形芸術の関係の流れを記述することを試みる。これまで、特に近現代デザイン史においてはその工学的結びつきに焦点を当てて論じられてきたが、近年、生命中心主義(Biocentrism)といった生物学、自然科学と造形表現との関係性の見直しがなされている。デザインと生物学の関係性を振り返れば、虫や植物の形態を装飾デザインに取り入れるバイオモルフィズムや有機的デザイン、自然の構造や生物の機能を人工物の構造や新素材研究へ生かしたバイオミメティクス、バイオニクス、バイオミミクリーといった生物模倣の方法論がみられてきたが、21世紀に入りバイオテクノロジー、バイオサイエンスがより発展するなかで隆盛してきたバイオデザインは、「ハイブリッド(hybrid)」「サステナブル(sustainable)」「エコロジー(ecology)」といった語をキーワードに、単に生物(学)由来のデザインという枠を超えて、自然環境・生活環境を含んだ「環境」からの/へのインプット・アウトプットを思考した造形・デザインのあり方を拡げてきている。

  • 石川 義宗
    セッションID: U-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    1913年、農商務省は「農展」と総称される展覧会を始めた。その11年間の歴史の中で全国から工芸品と図案を募ったが、出原栄一(1989)らにより、その出展作品にはわが国におけるデザインの発達が見られることが指摘されている。一方、同省はもう一つの取り組みを行っていた。1917年、副業課を設置し、「副業の奨励」と呼ばれる政策を行ったのである。この動きは農商務省から誕生した商工省によって推進されたが、長野県上田市で芽吹いた「農民美術」(1919-)のような運動もおこした。しかし、農展の図案も農民美術の図案も、当時はヨーロッパの模倣として批判されたものでもあった。

  • 舩山 俊克
    セッションID: V-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究の目的は,ジーンズの力学的評価を用いて,商品の風合いについての考察を行うことである.ジーンズには長い歴史があるにも関わらず,これまで力学的評価は実施されていない.現代では老若男女を問わず愛用されており商品数も非常に多い.その分類方法は単純にサイズだけで分けるのではなく,重量,素材,形態,仕上げ方法など様々であり,その違いによって着心地や風合いが異なるとされている.評価方法には生地の一般的な評価である「KES(Kawabata Evaluating System)」を用いた.結果,商品の目的に応じて大きく3種類に分類できることがわかった.グループ1は「印象も性能も従来通りの商品」と表現することができ,同様にグループ2は「印象も性能も先進的な商品」と表すことができる.最後のグループ3は,グループ1とグループ2のちょうど中間にあると考えられ,「印象は従来通りで,性能は先進的な商品」と表現できると考えられる.このように,商品の製造方法やメーカーの考え方は力学的な特徴として計測可能である.新商品を開発する際に力学的評価を指標の一つとして用いることができるという可能性を表している.

  • 山根 圭太, 木谷 庸二
    セッションID: V-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    感性価値が重要視される成熟社会となった現在、五感や記憶、言語を統合した心的イメージである「触感」が、改めて注目されている。デザインの分野においては感性価値を決める要因としてCMFの概念が認知され始めているが、視覚的にも触覚的にも製品の印象に影響を与える、表面の形状については明らかにされていない部分が多い。一方、近年の購買活動では「触る」を前提とした商品開発は現実的ではない。

    ;以上を踏まえ、本研究では表面形状と感性的体験の関係性を「見る・触る・使う」の条件ごとに明らかにする。具体的には、3つの要素によってパラメトリックに表面形状が異なるハンコのサンプルを作成し、SD法を用いた調査を実施した。サンプルに対するイメージを形成する共通因子を探り、態度との関係を示した。また、形態特性と因子の関係を明らかにし、態度との関係まで一覧できるよう図式化した。それらを基に、特定イメージを狙ったUSBメモリーサンプルを作成し、検証調査を行った。

    ;本研究では表面形状とイメージ・態度の関係性を一部明らかにすることができ、製品の表面形状によって製品のイメージと態度をある程度コントロールできることが示唆された。

  • 大島 直樹, 何 宜欣, 長谷川 淳, 小川 毅彦
    セッションID: V-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、安心感を与える抱っこタイプの形と大きさを明らかにすることです。座位姿勢の被験者によって4つのモデルを比較させました。各モデルの抱きつき時間は2分としました。抱きついている間、被験者には30秒ごとに口頭で安心感の時間的変化を評価させました。また4つのモデルを抱きつき終えた後、順位評価をさせました。実験の結果から安心感を与える抱きつき要素として、3つの要素を見出しました。(1)身体との接触面が広い(2)膝に置いたときに安定感がある(3)手を沿えられるくびれがある。

  • 早田 雄人, 田中 みなみ
    セッションID: V-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    2011 年 3 月 11 日 , 我か゛国は突如訪れた東日本大震災により 1 万 5000 人もの死者を出した . このような惨事を 招いてしまった要因の一つとして逃け゛遅れか゛考えられる . 災害か゛発生してから避難まて゛をスムース゛に行えること か゛被害を減らすことに繋か゛ると考えた .

    ;本研究て゛は , 災害発生時に危険を伝える警報音に焦点を当てた . 音には感情そして人間の行動に影響を与える 効果か゛あるため,警報音の改善により被害を軽減て゛きると考えたからて゛ある . また現在,警報音は作曲家の感性 に頼って作っている側面か゛あるため,警報音の科学的な研究は社会に対して有用性か゛ある .

    ;

    ;本研究は , 警報音の2音間の音程変化がもたらす影響を SD 法の感性調査を用いてイメージを調査し , 危険の伝 達に適した警報音の音程変化を提案することを目的とする . 被験者は 18 歳から 23 歳の男女を対象とした .

  • 野田 雅仁, 佐藤 弘喜
    セッションID: V-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、キャラクターのストーリーや設定に着目し研究を行う。現在成功しているキャラクターから成功の要因を明らかにし、これからのキャラクターデザインの知見を導き出す事を目的とする。背景キャラクターが登場する作品と背景キャラクターが登場しない作品を比べた時、共感しやすいのはどちらなのかを明らかにする為、オリジナル作品を用いて20代の大学生を対象とし実験を行った。実験から背景キャラクターを用いる事により、共感しやすくなることが言える。キャラクターの世界に人間が登場する事によって、リアリティーが増し、読み手が背景キャラクターに自己投影できるようになった為だと考えられる。

  • 鄭 響, 安齋 利典
    セッションID: W-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    現代社会における電子書籍などの台頭に伴い、ユーザーはデスクランプを利用する意識がますます弱まり、利用率は継続的に低下している。 近視は年々増加している。 この研究は現有のデスクランプの造形を変えることにより、デスクランプの魅力を上げ、デスクランプの利用率を高めるように、人々の生産と生活を促進するが目的である。 本研究では、人間中心の理論と実践方法で研究し、市場調査やユーザー調査を通じて、情報を手に入れる。ユーザーニーズに応じるデザインを行う。

  • 石井 宏一
    セッションID: W-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    「ペンジュラム・パターン」は振り子の減衰運動の軌跡によって生じる形体である。本研究はペンジュラム・パターンの生成規則を数理モデル化し、常微分方程式で記述することで問題点の解消を図るとともに、非線形力学系の諸法則の活用による造形的性質の明確化を主眼にしている。前報までにおいて、ペンジュラム・パターン形成の主因である質点運動における加速度波形の頂点位置の解析を通じて生成形体の様相を確認したが、本報では質点運動を形成する「力」、特に「拘束力」とその構成要素である「重力」と「遠心力」の関係を解析対象に加え確認を試みた事例を報告する。

  • 青木 優里香, 白髪 誠一
    セッションID: W-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,三次元ジグソーパズルをデザインするために必要な内部構造の定式化,使用する材料とその高精度な加工方法のアルゴリズムを構築することを目的としている。本報では,内部構造の定式化について行ったアルゴリズムの構築とプロトタイプの製作について報告している。

    ; パズルの外形を立方体とし,それを等分割して立方体のピースを定義する。隣合うピースの接する面に対して,コネクターによって嵌合する接合面と嵌合しない接触面を市松パターンで与えることで全体の組立が可能で,かつ,全体としての一体性を確保することを目標とした。市松パターンのみでは,全体の一体性が確保できないことが明らかとなり,一部に追加の接合面を与えることで一体性を確保した。接合面におけるコネクターの嵌合方向は,各方向の面で一致させることで組立が可能となる。ただし,ピースの角部で隣合うコネクターが干渉するため,コネクターの位置の調整を行った。

    ; 得られた三次元ジグソーパズルの3Dモデルを用いて,スタイロフォームをロボットアームで切削してプロトタイプを製作した。プロトタイプによって,全体の組立が可能であること,一体性が確保されていることを確認した。

  • 小野 洋介, 吉田 潤一郎
    セッションID: W-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    身のまわりにある物の“色”のほとんどは、可視光の吸収を原理とする。一方、光を吸収しない物質であっても、その構造が特定の色の光を強め合うように反射すると発色する。身近なところでは、無色透明の石鹸水から虹色のシャボン玉が作られる干渉色の例が挙げられる。シャボン玉の薄い膜状の構造が光を強め合うように反射し、その膜の厚さに依存して強め合う光の色が異なるため、虹色に見える。宝石のオパールも、光反射の原理に基づいて発色する。オパールの構造と発色は、化学的に数百ナノメートル(1ミリメートルの数千分の1)の大きさが揃った粒子を合成し密に充填することにより模倣できる。

    ;本研究では、酸化ケイ素からなる人工オパールを合成し、その高い耐熱性を活かし陶芸の顔料として応用することを目的とした。陶芸では焼成のプロセスを経るため、高温焼成に伴う色の変化を詳細に調査した。また、研究を進める中で、「見る角度によって色が変わる」ユニークな発色と、従来顔料のような角度依存性の無い発色をコントロールできることが分かった。実験データに基づいた発色メカニズムの考察とともに、人工オパールを陶器に応用した実例を発表する。

  • 武藤 稜介, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    ぬいぐるみは不安の軽減を目的に多くの人に使われている。ぬいぐるみが不安の軽減に影響を与えるのは見た目の可愛らしさという視覚的な刺激と、ふわふわとした柔らかさという触感的な刺激の2つの要素によると考えられる。本研究では、単一傾向にあるぬいぐるみの触感的な刺激を対象に調査を行い、安心感に重要と考えられた、温かさと重さに着目した製品を検討した。試作では、お湯や吸水性ポリマーを用い、温かさや重さによる安心感への影響を調べた。温かさは多くの人に好まれたため、重さによる安心感への影響を調べるために、吸水性ポリマーの量を調節することで重さを5段階に変化させる実験を行った。結果、重さによる有意差は見られなかったが、500gを好む人と、1250gを好む人で二極化している傾向が見られたため、追加で聞き取り調査を行った。調査の結果を踏まえ、500gを好む人と1250gを好む人に、それぞれ1つずつ最終制作を行った。本研究を通して、安心感を感じる触り心地において、柔らかさだけではなく、温かさと重さも影響を与えることが明らかになった。また、制作を通して安心感を与えることができる製品を提案した。

  • 久保田 賢治, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    触図同士の区別と物語の理解を容易にするために、実物を用いた触る絵本が本研究の提案である。絵本作製に用いた実物素材は視覚障害のある子ども達が新しい物について掴む、持ち上げる等の動作を通して理解していくことを考慮し、物を学ぶ時と同様の動作が誘発できるよう厚みと重さに着目がなされている。視覚障害者達がそれを評価したところ、厚みや重さはそれらがない時と比べ形や構造の理解の助けとなり、また触図の区別に役立つことが分かった。最終的に触る絵本の表現性の向上と触図の区別及び物語の理解の補助が提案できた。

  • 髙谷 紘子, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、充填材の混合によって樹脂の触感を変化させ、フィギュアにおけるテクスチャ表現の拡大を目的とした。キャラクターの触感における印象を明らかにするために、様々な充填材を混合して作ったサンプルの触感から想起されるキャラクターを選んでもらう実験を行った。サンプルとキャラクターの対応関係を表すグラフより、そのキャラクターに最も印象の近い素材でフィギュアの作製を行った。その結果,そのキャラクターらしい触感におけるテクスチャ表現ができた。本研究より、本来単一のテクスチャである樹脂製の工業製品への硬軟感や触感における質感などの触感付与が可能であることが示唆された。

  • 沈 得正, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-08
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,染色竹材を用いた新たな表現手法の可能性を模索するため,集成材に加工した染色竹材を用い,切削加工および仕上げ加工による新たなテクスチャの表現について検討を行った。まず、タケの特徴である維管束の配列模様を活かした新たなテクスチャ表現方法として,染色竹材の切削深さと切削方向の違いによる表現方法を試みた。その結果、切削深さが深くなるほど,染色部分が太くなり,柔組織が白くなる傾向が見られた。また、切削方向の違いによって,維管束が線状あるいは点状に現れることを確認した。実際に維管束を染色した竹集成材を用い,モデリングマシンで竹集成材の繊維方向と平行,繊維方向と垂直に切削することより,維管束の現れ方の違いから新たなテクスチャ表現ができることが確認できた。最後に、切削加工を施した竹集成材とUVレンジの組み合わせによる仕上げを行った。その結果、クリアー塗装と異なる印象に違い、より奥行きのある立体的となることが確認できた。以上のことから,竹集成材は,切削加工を施すことや,透明仕上げ塗装することにより,維管束を活かした新たなテクスチャ表現できる可能性が示された。

  • 池 鮎人, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-09
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    飲料を飲む際に用いられるグラスやカップなどの容器は、その形状の違いによって美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼす。そのため様々な形状の容器が存在する。一方で、同じく飲料を飲む際に用いられるストローの形状は一般的に円筒形である。そこで本研究では、ストローを様々な形状に変化させ、美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼすか検討した。

    ;塩化ビニルチューブや熱収縮性チューブを加工して様々な形状のストローを制作したところ、テーパー形状である、太くなる箇所がある、もしくは飲み口の形状が楕円形であることによって飲み心地が変化する可能性が示唆された。それらを検証するために3Dプリンターで制作したストローを用いて印象評価実験を行った結果、ストローの形状の違いが炭酸飲料の飲み心地に変化を与えることが明らかになった。特に、テーパー形状であると飲み心地はより向上すると考えられた。また、ストローの素材が飲み心地に大きな影響を与えると考えた。それらの考察を踏まえて、より炭酸飲料の飲み心地を向上させるテーパー形状のストローをアルミパイプを加工して提案した。

  • 飯島 百香, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: W-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    現在、暖炉や焚き火といった木材を燃やして楽しむ設備や行為がある。それらにおいて、目的に合わせて細かくそれらを選出することはほとんど行われていない。本研究では、燃やす木材の配置や樹種の違いによって火の特性を変化させることにより、特定の目的に合わせて楽しむことができる焚き火セットを提案する。

    ;

    ; 調査や予備実験から、木が燃える様子から音や匂いといった特徴的な特性や印象を被験者が感じることや、炎の規模や燃え尽きるまでの速さなどの特性の変化が配置や樹種の違いにより発生することが観察された。

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    ; 被験者に自由に焚き火を行なってもらう実験では、木材を選出する際や火をつけている最中、そして火が消えた後を通し被験者の感想を記録した。

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    ; 最終提案物として、目的に合わせた焚き火セットを3種類制作した。実験において多数の被験者が目的とした3つの目的に沿ったものを用意した。それぞれ焚き火で用いる木材と木材を乗せる石製の土台、どのように木材を配置するかなどの方法が記載された説明書から構成されている。説明書を読んで木材を土台に配置し火をつけることにより、誰でも選択した目的に合わせた焚き火を楽しむことができる。

  • 平井 恭, 赤井 愛, 井上 剛
    セッションID: X-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    アジリティとは、状況を判断して素早く方向転換を行う能力である。アジリティを鍛えることはアメリカンフットボールの能力向上にとって重要である。本研究は、移動手段として活用でき、アジリティを鍛えることができるトレーニング自輪車の制作を目的とした。アジリティトレーニングに関わる身体の部位を調べた結果から、体幹筋(腹筋、背筋)、股関節伸展に着目し、これらを鍛えるトレーニングツールを検討した。既存のトレーニングから腹筋と背筋、股関節の伸展鍛える動きを調査した結果、体幹トレーニングの「プランク」と同様のポーズで乗車し、左右のペダルを前後に動かすことによって前進する自転車の設計と制作を行った。筋電位計測の結果、プロトタイプは多くの筋が活動し、筋活動量も大きかったことが確認できた。これにより、プロトタイプは通常の自転車よりトレーニング効果があることが確認できた。

  • 田代 雄大, 青木 幹太, 西薗 秀嗣, 本山 清喬, 盛 俊光, 福田 健太郎
    セッションID: X-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究で述べる介助用装着型補助具(以下、補助具)とは、①介助者の上体の湾曲を抑制し、適正な介助姿勢を保つことで腰部負担を軽減し、②要介護者の関節拘縮の予防、介助への依存心の抑制等を目的に、介助される際に要介護者が自ら身体を支えるグリップを備えている。

    ;昨年度、本学会で報告したように、補助具の利用は介護経験者(香椎原病院の理学療法士)でも腰部の負担軽減に有効であることが分かった。本研究では、介護未経験者(本学の学生)と経験者が当該の補助具を利用した場合と利用しなかった場合で、移乗介助の動作にどのような差異があるのかについて報告する。

    ;実験では「要介護者を抱え上げ-着座させる」動作で補助具利用と補助具なしの2条件で、補助具利用では、要介護者が背部、もしくは腰部のグリップを把持する計3条件で実験を行った。実験では、介助者の両足の鉛直方向の力を測定するために、フォースプレート(AMTI社製:床反力計)を被験者の右足と左足のそれぞれに配置した。

    ;その結果、今回の模擬的な介助動作では、介護経験者は、3条件で動作中に右足→左足→右足の重心移動を行っており、介護未経験者は、経験者に比べ右足に重心を依存する傾向はあるが、補助具を利用することで右足→左足→右足の重心移動の割合が大きくなることが示された。

  • 森岡 大輔, 飯泉 敦哉
    セッションID: X-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    高齢化に伴う身体機能の低下で、転倒・転落事故のリスクが増加する恐れがある。これらの発生件数は病気や老衰の次に多い。特に階段では重心の垂直水平移動が同時に生じるため、他の場所と比較して事故発生のリスクは大きい。このような場所には手すり設置が義務付けられているところもあるが、2010年以降の事故発生件数はほぼ横ばいである。本研究では階段での転落事故の低減を目的として手すりの形状に着目し、4種類の階段手すり形状を開発した。これらの手すりを用いて被験者10人協力のもと、階段昇降時の握りやすさの官能評価と、手すりと手のひらの接触面積評価を実施し、手すり形状と握りやすさの要因を分析した。その結果、官能評価ではL型手すりは最も握りやすいと評価され、また接触面積評価においても他の3種類と比較して有意に接触面積が大きくなるという結果が得られた。この要因はエッジやRの大きさ、また把持面積などが影響する可能性があるという知見を得ることができた。今後は手すりの外周長さや利き手、また身体負荷と握りやすさの関係を分析するとともに、身体バランスへ与える影響を調べる必要があると考える。

  • Firfova Neda
    セッションID: Y-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    While looking to establish a collaborative platform between the graphic design students at the School of Design and Architecture at Nagoya City University and the students of the School of Design of La Rioja in Spain, I started exploring turn-of-the-century word and picture games that proposed consequential activity of group members or “blind” collaboration. Exquisite Corpse (Consequences) is a game developed by the surrealists. In it, players write (draw) in turn on a sheet of paper according to predetermined rules and unaware of what the person before them has written (drawn), resulting in an experimental collective production. When applied to design education and paired with a theme popular among both groups of students-gender in our case, the game produced in collaborative design works, which transformed the usual experiences of reading, deciphering, and exchange.

  • 伊藤 慎一郎, 稲村 徳州, 張 彦芳
    セッションID: Y-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    近年、デザイン教育の国際化の進展とICT技術の発達により、国を越えた大学間で連携したデザイン教育の可能性が高まっている。本論では、世界5カ国で共同実施した持続可能な開発目標(SDGs)をテーマとする2週間の遠隔国際デザインワークショップを事例として報告し、考察を通じて文化交流型遠隔共同デザイン教育への要点をまとめることを試みる。事例となるワークショップは、日本、オランダ、イタリア、ウルグアイ、アメリカの大学が参加し、”Migration” 「国際移住」を国際共通課題とし、各地域の状況に合わせ文脈化された地域課題をテーマに「対話のきっかけとなるプロトタイプ」をデザインすることを目的に実施された。本ワークショップの構造分析からICTを活用した文化交流型遠隔共同デザイン教育の構成要素として課題、チーム、プロセス、ツールの4つが抽出された。MURALや特にビデオ会議ツールでのオンライン遠隔対話による文化・文脈交流、オンライン上での視覚化による文化・文脈交流、プロセスの記述による文化・文脈交流などを伴う共通のデザインプロセスを遠隔で実施することがより効果的な遠隔共同デザインが可能になることが示唆された。

  • 杉本 達應
    セッションID: Y-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本論文は、データ可視化デザイン教育におけるクラウドサービス活用の方法と運用について、筆者が担当した大学演習科目の実践事例を通じて報告し、その可能性と課題を考察することを目的としている。

    ;筆者は、データを起点にビジュアルをアルゴリズミックに生成しデザインする手法を「データ駆動型デザイン(Data-driven Design)」と名づけ、その教育プログラムの構築と教材開発に2015年ごろから取り組んでいる。

    ;この取り組みには、次のような社会的背景がある。2010年代、データ可視化のツールが進展し、データを活用した社会課題解決を目指す活動が盛んになっている。また、高等教育の政策で、大学の数理・データサイエンス教育強化に乗り出している。ここでの教育は、数理・統計・情報の分野を対象としている。一方、アート・デザイン分野でも、データの探索や分析の結果を視覚的に表現することで支援することができる。アート・デザインでは、従来からプログラミングを活用した美や造形を探究する専門教育が実施されている。デザイン系学生を対象としたデータ可視化デザイン教育に取り組むことで、こうした専門技能とデータサイエンスが融合する新たな分野を開拓できる余地がある。

    ;本論文では、はじめに筆者が担当した大学の演習科目の概要を述べる。つぎに本演習の構成と成果を紹介する。さいごに、本演習の評価と反省をまとめる。

  • 稲垣 晴菜
    セッションID: Y-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    大学でのデザインの卒業制作において、多様化する社会のニーズや問題にどのように取り組むかを考えることは重要である。それに対するアプローチの方法は、必ずしもモノをデザインすることに限らず、学生個人の特色を活かした多様な手法のデザインによって実現可能だと考えられる。

    ;筆者を含めた学生三名(令和元年度に東京学芸大学を卒業)は、デザインの卒業制作として、それぞれ「小説」「ラジオ配信」「学校建築」という媒体にたどり着いた。現状の日本社会の情勢に危機感を感じた筆者は現代社会に存在する問題について物語を通して問題提起する小説を、新採用教員の「やめたい」という声からモチベーション維持の難しさを感じた学生Aは自身の声やエピソードを通して彼らを励ますラジオ配信を、教育を取り巻く学校・地域・社会の在り方に問題意識を感じた学生Bは学校建築を、それぞれ作品として制作し、新たな手法のデザインを試みた。

    ;今後、多様化する社会のニーズや問題に対して取り組んでいく学生にとって、個人の特色を活かしながら様々な手法のデザインを模索していくことは、自由で新しく個性に富んだ作品の可能性を広げる一助となると考えられる。

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