日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
選択された号の論文の231件中201~231を表示しています
  • 佐々木 美貴, 小沢 剛, 橋田 規子, 安西 一憲, 平岩 佐和子, 佐藤 由紀夫, 金原 國昭
    セッションID: Y-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    江戸川区子ども未来館は、江戸川区が設立した、子どもの自主的な学びを促進する施設である。そのゼミの「ハイ!こちら、子どもアートセンター」は絵画・平面デザイン・プロダクトデザイン・空間・音楽・物語・CM と多面的な芸術体験を 1年の長い時間で経験し、芸術をトータルで考える思考を育成するためのプログラムである。2019年度は小学生3年〜6年生までの19人で12回の教室を行った。第1回には15m四方の大きな紙に墨を使い自由に絵を描き、子どもたちの既成概念から離れた作品作りから1年間の創造の時間が始まる。ひと月に1回の授業が、絵画、プロダクト、ランドスケープ、物語、音楽、CMとそのアートプログラムは翌月の作品に繋がりを持ちながら、次々と展開していく。子どもたちは、毎回変わっていく表現方法や、講師の問に各自悩みながら答えを出して作品作りに励んだ。12回を終えた時には、それぞれの個性あふれる作品とその世界が出来上がった。小学生3-6年の年齢に違いはあったが、作ることに集中した結果の作品には優劣はなかった。このプログラムでは、作品を想像する時にその周辺も横断的に捉え、包括的な思考を持ちカタチにしていくを人材形成を目指している。

  • 青木 幹太, 井上 友子, 星野 浩司, 佐藤 慈, 荒巻 大樹
    セッションID: Y-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    プロジェクト型デザイン教育は、2008年度に「博多織プロモーション」として始まった。これは地元の伝統的工芸品の振興という課題によって、実践的なデザイン教育の試みである。その後、活動対象が博多織以外に広がり、2012年度にプロジェクト名を「地域産業プロモーション」に改称した。本研究では2012年から2016年までのプロジェクト活動を対象に、対外的な認知度の向上、学内における授業化の推進、支援体制の整備などプロジェクト型デザイン教育が形成された要因について考察する。

  • 植松 陽一, 大月 優里
    セッションID: Y-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    デザイン専攻の学生が4年間の学びを社会に発表する卒業研究・制作には、造形と伴ったものからそうでないものまで、幅広い作品が存在する。近年は医療福祉や時事問題などのテーマが作品に反映されることも多くなってきた。本発表では、医療福祉とデザインの両面を学べる特色をもつ学科での卒業研究・制作指導において、「ものづくりを手法としたワークショップ」を用いた事例について報告する。それを通して、ものづくりを手法としたワークショップが医療福祉分野のイベントにどのような効果と意義を持つかについて検討したい。

  • 山下 万吉
    セッションID: Y-08
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本稿では、映画監督による制作手法とワークショップから着想を得た、撮影・編集に関する映像制作の基礎を学ぶ授業プログラムのデザインと実践を中心に報告する。研究の目的は、映像制作の基礎を効率良く段階的に学ばせる授業デザインの設計の検討である。

    ;検討したプログラムは、カメラ固定のワンカット撮影によるショートムービー制作から始め、カメラワークを用いたワンカット撮影のショートムービーを経て、最終的に編集を用いたショートムービーを段階的に制作する内容である。制作後に基礎知識を説明、または基礎知識の説明と同時平行で映像制作を進行するプログラムは、事前に予備知識を学んでから制作に入るのではなく、実践を繰り返す中で事後的に撮影・編集の技法や意義について気付き、段階的に理解を深めていく形を想定した。

    ;授業の中で生まれた学びは、実際的にその教育効果を検証することは難しい。しかし、映像は身体的なものであり、実践の中で身につく側面があるものである。制作後の学生のふり返りを通して、このプログラムは学生にとって制作へのモチベーションを喚起する効果が高いと推察されることが、知識先行型映像教育プログラムとの違いである。

  • 小倉 一将, 石垣 翔大, 田中 みなみ
    セッションID: Y-09
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年大学の教育現場において、立体図形の理解が容易な学生と苦労する学生の間で製図の得意度合いに個人差が生じている。

    ;そこで本研究では、立体図形の理解と趣味のジャンルや、工作や数学の理解度の関連性を調査することを目的とした。

    ;アンケート調査は芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科の1年生を対象として調査を行った。

    ;結果的に、工作と数学の理解度が立体図形の理解と関連があると結論された。

    ;一方、趣味は立体図形の理解度に関連が少ないという結果となった。

  • 諏訪 正太郎, 山崎 和彦
    セッションID: Y-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    今後、人工知能の発達した社会で活躍するためにはクリエイティブな能力が一層求められる。つまり、児童・生徒に対してクリエイティブな能力を育成すること必要になる。しかし、学校教育の現場は、クリエイティブ教育を推進できる十分な環境にあると言えない現実がある。子どものクリエイティブな能力を育成する為に、教師自身がクリエイティブな教師となり、教育像や教師像のアップデートを行う必要がある。そのために、教師のクリエイティブに対する自信を高める対話をベースにした方法論を創造することを本研究の目的としている。

  • 雫石 華那, 内海 今日子, 八馬 智, 蘆澤 雄亮
    セッションID: Y-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では見立てを用いた新たな発想支援法の構築を目的とする。それには「記述方法の開発」と「発想支援法としての有用性の検証」が必要だと考えられる。記述方法の開発では「何を重視し、途中でどのような不具合が発生し、それをいかなるかたちで改善し行われたか」いう移り変わりが、その後の発想支援法を考える際に役立つため、本報ではその過程を詳細に報告する。

  • 岩崎 敏之
    セッションID: Y-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    2019年秋から2020年春にかけて「マル秘展」という展覧会が東京で開催された。そこでは、さまざまな分野のデザイナーの仕事のプロセスが分かるスケッチ等が数多く展示されていた。本稿では、筆者が提唱している構造の概念の思考モデルに対応させて、展示されていたスケッチの一部を分類することにより、スケッチが構造の概念を思考する表現手段であることを示す。

  • 板垣 順平, 大坪 牧人
    セッションID: Y-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    2008年に発刊されたハーバードビジネスレビュー「優位の教訓」において米国デザインファームIDEOのCEOであるティム・ブラウンがエスノグラフィーを応用したデザインシンキングに関する論文を発表して10年以上が経過した.米国のスタンフォード大学d.schoolをはじめ,シリコンバレーの各企業においてもイノベーション創出の手がかりとしてデザイン思考が用いられるほか,日本国内においても,同様のアプローチや人間中心設計の視点から問題発見・解決を目指す方法として,デザイン思考をもとにしたカリキュラムやプログラム,ワークショップなどが多く実施されるようになり,今日ではその言葉も広く認知されるようになった.デザイン思考をもとにしたプログラムやワークショップの多くは,これまでデザインと深く関わってこなかったエンジニアリングやビジネスなど,いわゆる非デザイナーに向けて実施されてきた.一方で,こうした分野では,問題発見・解決を目指す手法として注目されているにもかかわらず,まだまだ限られた範疇での活用にとどまっている.

    ;そこで,本研究では,デザイン思考の新たな活用範囲の可能性を探ることを目的として,筆者が所属する長岡造形大学の設置者である長岡市の行政職員に対して,「デザイン思考体験研修」を実施し,研修後のアンケート結果をもとに行政職員のデザイン思考に対する理解とその享受について考察する.

  • ベ ジンソク
    セッションID: Y-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    秋田公立美術大学と秋田市大森山動物園による共同プロジェクトを2015年度から行っている。このプロジェクトは、情報デザインの観点から、動物園に内在する情報を学生が発見し、それを視覚的に伝える形に落とし込むという内容である。そのために、一般の来場者と同程度しか動物に関する知識をもっていない学生たちが、動物園を自ら散策し、動物の魅力を発見することをデザインワークの出発点とした。そのことによって、来場者の視点に立ってデザインすることができ、より強く来場者に伝わるデザインができると考えた。このプロジェクトは、動物園と美術大学が、2007年度より共同で行っているデザイン関連の取り組みをさらに発展させ、アートを取り入れたより楽しめる動物園創りと、動物園を美術大学の作品発表の場としても活用するものがプロジェクトの目的である1)。本報告では、大森山動物園の過去(大森山動物園の歴史)、現在(動物と語らう森)、未来(命をつなぐ動物園)についての園活動紹介情報をより分かりやすく伝える為のモニュメントの制作を行ったのでその成果を報告する。

  • 大島 直樹
    セッションID: Y-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究の目的は、創造性の定量的評価手法を提案することである。そのため、6つのLEGOブロックパーツを使用してさまざまなバリエーションで組み立てられるLEGOアヒルに着眼した。そしてLEGOアヒルの種類を画像認識で識別できる創造性測定ツール「AHIRU」を開発した。

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    ;提案した創造性計測方法を実践するため、ポイントと順位の表示形式の違いによる心理的変化を調査した。その結果、ポイントや順位などの定量的な表示方法の違いにより、創造性向上意図が変化することがわかった。

  • 久保 雅義, 小暮 毅夫
    セッションID: Y-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    国際ユニヴァーサルデザイン協議会(以下IAUD)は、政府のUD整備計画の発布以前より小学校UD教育の重要性を認識し、地域の教育機関と連携し、子供UD教育プログラムの開発と現場でのフイジビィリティスタディ(以下FS)を実施してきた。

    ;本研究はその取り組みにから研究された体験型小学校UD教育プログラム研究である。コンテンツは、知る、気づく、触れ合う、調べる・深める、話し合う、伝えるからなる。

  • 堀江 政広
    セッションID: Y-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    ビジネスにおいて、デザイン思考が着目されている。そして、デザインを学ぶ学生には、デザイン思考ができることが期待されている。2017年度から、デザインを学ぶ学生の初年次教育として、「アイデア基礎および同演習」の授業を行なっている。この授業の目的は、アイデア発想法を学生が体得することにある。本稿では、この授業内容を報告する。加えて、2年次と3年次の科目である「デザイン計画および同実習」での効果について述べる。

  • 本間 しおり, 佐野 萌夏, 佐藤 祐衣, 福田 大年
    セッションID: Y-18
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本報告では、子ども向けアクティブラーニングプログラムを通して子どもの発想力を引き出す方法について考えていく。私たちは、商品開発のワークショップを行う子ども向けの2つの教育プログラムを設計した。子ども達が発想力を生かして面白い作品を作ってもらうことを目的とし、プログラムの中には子ども達の発想力を引き出すための工夫をいくつか取り入れた。プログラムのプロトタイプを実際に子ども達に検証したところ、特徴的な2つの事例があった。1つ目は子どもたちが正解を意識して作品を作るということ、2つ目は見立てができない子どもが多いということである。プロトタイプの事例より、正解や現実に囚われていることで発想力が抑制されたり個性が発揮出来なくなっていると考えられる。子ども達の発想力を引き出すには、正解をなくすことで自由な発想を促すこと、現実から離れて見立てが出来ることが有効であり、その結果として個性を発揮できるのではないだろうかと考えた。

  • 川上 陽平, 小野 健太, 渡邉 誠
    セッションID: Z-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年SNSのユーザー数は増えているがその一方、SNS上でのアクションを得たいがために必要以上の消費をするなど、消費者の目的と行動の乖離が起きている。そのような現代人の形骸化した行動に対して、古人の実体験から生まれた教訓であることわざを体験できるインタラクティブアートを制作することで、日常の生活の中に溢れる気づきへの感度を高めることを目指した。既存のインタラクティブアートのリサーチ・分析を経てプロトタイプを5種類制作、その中から顔認識を使用した物を改良し人の表情をつかって「目は口ほどに物を言う」ということわざを実体験できる作品を制作した。

  • 佐藤 昭則
    セッションID: Z-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    2017年8月10日から2018年3月14日まで、 ガーナ共和国 国立アクラ技術総合大学 エンジニアリング学部 インテリア・家具デザイン学科 において、九州産業大学 教職員海外研修制度を利用して行った研究活動についての報告である。本研究では、デザイン研究活動を通じての草の根の国際協力に関係する報告を取り扱う。ガーナ共和国の技術系大学での活動についての報告、地元企業およびNGOと共同での実践的なプロダクトデザインによる製品開発、文化交流に関する活動、などが含まれる。

  • 藤澤 忠盛, 清水 淳史
    セッションID: Z-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    70年代後半から90年代にかけてカンボジアでは大量虐殺に続く度重なる政権交代で政情不安が続き、現在までも東南アジアで最も貧しい国と言われてきた。昨今では近隣や欧米諸国による開発が盛んである一方、依然として教育の分野、特に美術教育は蔑ろにされている傾向にある。このまま美術教育を疎かにすることは、クメール美術の復興・保存を困難にするだけでなく、カンボジアの芸術文化が衰退することになりかねない。

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    ;本研究の目的はカンボジアの教育現場の現状を把握すると共に、授業設計及び評価方法を検討することである。

  • 古立 守, 清水 泰博, 須永 剛司
    セッションID: Z-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    コモンズとは人々の集団によって共有されている資源。また、その資源を共有する特別の管理方法やその制度のこと。あるいは、伝統的な共有知(入会地)で、共同体が管理し利用する茅場や牧草地などの共有地。

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    ; 本研究は芸術大学内における「各科生徒及び教職員のもつ専門性とその周辺知識」という資源を皆で活用するコモンズの仕組みとその姿をデザインしたものである。共有資源の活用のため夕方立ち寄れるBarをデザインした。これを「こむば」と命名した。

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    ; 「こむば」を予告開催して、学内の人たちが集まり気ままに話すことで専門性と情報の共有を行いコミュニティの拡張と各科連携のきっかけが作れると考えた。芸術大学内の3カ所で実施し、各場所によって空間の設えや道具のデザイン、仕組みを改良していった。それらのデザインを通して「こむば」のデザインの妥当性とその問題点を考察した。

  • 松崎 元, 佐藤 唯行, 秦 康範, 西原 利仁, 目黒 公郎
    セッションID: Z-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    フェーズフリーの概念に対する理解が深まり活用の機会が広がるにつれて,フェーズフリーのデザイン手法および評価手法の必要性が高まってきた。フェーズフリーデザインの評価は、日常時および非常時それぞれのフェーズにおける「汎用性」と「有効性」の評価と、ベンチマークとなる比較対象の製品・サービスとの関係性で表される。本稿では、評価の全体設計とプロセスをまとめ、12のデザイン事例を紹介し、評価の傾向を分析した。今後は、評価結果のさらなる分析に加え、開発および啓発のためのフレームワークの構築やデザイン事例のアーカイブ化が必要である。

  • 梶谷 文雄, 藤崎 圭一郎, 須永 剛司
    セッションID: Z-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    すべての物事には始まりと終わりがあると考える。私たちの生活の中にもその始まりと終わりが存在している。たとえば新聞紙は購入することが始まりで、読み終わりリサイクルに出すことが終わりである。この一連の流れを”ものごと寿命活動”と呼ぶことにする。新聞紙の”ものごと寿命”は歴史的に文化が出来上がっている。それゆえ私たちは違和感を持たずに新聞を読むことができる。花と人との関わりにおけるこの”ものごと寿命”のことを考えたとき、私は疑問を抱いた。

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    ; 花と人の関わりでは、始まりは渡す人に向けて感謝や愛情、謝罪などの気持ちを表すことである。そこでは、包装紙やメッセージカードなど、豊かな"ものごと寿命"のかたちがされていると感じた。一方、花と人の関わりの終わりはさみしい。枯れた花を花瓶から出してゴミ箱に捨てる。「終わり方」のかたちはまったくデザインされていないのだ。枯れた花を捨てることを躊躇し、とても悲しい気持ちになる。そんな体験から私は、花との終わり方のかたちをデザインしたいと考えた。

  • 張 彦芳, 伊藤 慎一郎, 稲村 徳州
    セッションID: Z-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では、2012~2019年に筆者が企画・運営を行ってきた社会課題をテーマとしたデザイナーと市民を対象とする参加型ワークショップをケーススタディとし、当事者の視点から、成果の社会実装までを含めた全てのワークショップのプロセスにおける、デザイナーの役割と最終アウトプットの関係性を評価することを目的とする。ワークショップの参加者構成やプロセスにおけるデザイナーの活動の可視化をし、分析することにより、デザイナーが多いチーム、またデザインの分野が多いチームのアウトプットの評価が高い傾向が考察された。また、デザイナーの情報整理力、創造力、可視化力、コミュニケーション力及びリーダーシップを発揮することで、より質の高い社会課題への提案、また実践にむけて継続する活動が考察できた。

  • 范 熙文, 張 益準, 桐谷 佳惠
    セッションID: Z-08
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    携帯機器の急速な技術発達により,人々は,手軽かつ簡単に,インスタントメッセージを用いて,互いにコンタクトを取り合うようになった。この研究の目的は,顔文字,絵文字,スタンプの使用意図,および,コンピュータを介したコミュニケーション(CMC)について明らかにし,さらに,Tang & Hew (2019)に基づく,技術受容モデル(TAM)の計測方法を開発することである。これまで,顔文字,絵文字,スタンプの使用意図に関する調査の,予備実験で用いるための,受容モデルを作成した。

  • 平野 雄大, 山崎 和彦
    セッションID: Z-09
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年、共働き世帯の子育ては社会問題化しているが、待機児童問題を筆頭に、行政・民間のサポートは徐々に整い始めている。しかし、それにも関わらず共働き両親が幸せだという話を聞く機会は少ない。

    ;この様な現状に対し、本研究では、都会で共働きをしながら育児をする夫婦が、親と子の関係性を保ちながら、幸せでいるための方法を提案することを目的としている。

    ;研究の方法は、文献調査や事例研究を行う。その上で、半構造的インタビューを実施した。その結果、家事や育児を中心に夫婦間で行われている分担は、日次か週次といった短い期間で捉えられていることが分かった。また、お互いのキャリアや子どもの将来の様な中長期の事柄についての共有は、十分に行えていない不満があることが分かった。

    ;これらの結果から、共働き両親の幸福には、中長期の時間軸で家族のキャリアを捉える様なビジョンデザインのアプローチが必要であると仮説した。

  • 蛭田 直
    セッションID: Z-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    七宝焼の省胎七宝の技法において、製造方法の改善をデジタルファブリケーションを活用して取り組み、一定の成果を得たのでこれを報告する。具体的には、これまで職人の経験知により挙げられてきた省胎七宝の失敗である貫入(ヒビ)の要因に対して、検証と実験できる治具や道具をデジタルファブリケーションを活用して作り、実際に試すことを繰り返すトライアル・アンド・エラーを重ねて実験と検証を行った。最終的に、銅を効率よく溶融する温度と角度を見出し、最適な保持具をデジタルファブリケーションにより実現するに至った。

  • 本田 敬, 望月 未来, 小野 彩子, 野田 久美子
    セッションID: Z-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は、障害者就労支援施設と連携をとりながら、障害者本人や、施設のスタッフに“デザインパートナー”になってもらい、彼らが得意とする手仕事のものづくりに加え、デジタルファブリケーションの技術を融合した製品開発をインクルーシブデザインの手法を使って行う研究である。研究協力を依頼した特定非営利活動法人ひょうたんカフェは、すでに手織りの織物を活用した日用品の製品開発と販売で実績のある施設であり、モノづくりへの関心とスキルも高く、手織物の評価も非常に高い。ただ、改めて観察調査を行うなかで、作業的にもいくつか問題があることや、織り以外の作業環境があると、より多くの利用者がモノ作りに参加できる可能性があることなども分かった。協議の結果、本研究では、レーザーカッター加工を前提に、平面素材のフェルトを活用した製品開発をテーマに設定した。今回の結果はあくまで一つの事例にしかならないが、デジタルファブリケーションがモノづくりの現場で着実に変化を起こしていることは確かであり、それも、画一的、合理的というような、近代の生産で謳われる言葉とは逆の可能性を多く含み、多様で包摂的な融通のききやすい生産体制を創れる点から、就労支援施設とも親和性が高いことが見出せた。

  • 李 芊芊, 北 徹朗, 小林 昭世, 中原 俊三郎
    セッションID: Z-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    目的:本研究は、高齢者だけではなく、非高齢者も対象とし、杖の使い勝手に関する高齢者と非高齢者の意識を明らかにすることを目的とした。そして、奥氏の「杖使用に関する意識調査」の結果に基づいて、杖に対する使用者の使い勝手の種類や役に立つ場所や、求める杖の形などのニーズを明確にするために調査を行い、杖の使用についてのデータを補完する。

    ;対象:非高齢者(20〜64歳)26名と高齢者(65歳〜)25名とする。方法:アンケート調査を実施した。

    ;結果:杖としての使い勝手の意識は、非高齢者と高齢者はほぼ同じで、T字杖は、使い勝手の形の認識が一番高かったタイプであった。高齢者と中年者が杖を役に立つと思うところは、坂道・階段と公共交通機関だと思われる。使いたい形状として、高齢者は T 字杖を選択した人が一番多かった。

    ;考察:本研究は、非高齢者と高齢者の杖の使用の意識を探るために、特に「使い勝手の種類」と「使われる場所」に関するデー タを得られたことは、有用であると考える。

  • 赤井 愛, 田中 嶺至, 恒吉 知輝, 脇田 由実
    セッションID: Z-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    グラスハープはガラス器の縁を指で擦ることにより音を出す楽器である。1音につき1つのグラスを必要とし、本格的な音楽演奏のためには多くのグラスが必要になる。これにより1人の奏者が同時に複数音を鳴らす演奏、速いフレーズの演奏等は限界があり、またグラスセットの持ち運びが煩雑であることなどが、専門的な演奏楽器としての発展の障壁となっている。本研究では、大きさの異なる7つのガラス製ボウルを重ねガラス棒で繋いだ「マルチレイヤードグラスハープ」の制作により、①1台の楽器で複数の音を奏でること ②従来のグラスハープにはない多彩な奏法が可能であること ③持ち運びが容易であること、の3つの要件を実現した。このマルチレイヤードグラスハープは従来のグラスハープにはない余韻に富んだ残響が得られるほか、ガラス棒の上部を持ち、グラスハープ全体の角度を変えて音の高低を変化させたり、揺らすことでビブラートを生じさせたりすることが可能である。また音響解析の結果、グラスハープはボウルが空の状態と水を注いだ時とで倍音構造が大きく変化することが明らかになり、同じ奏法でも水の有無により異なる音色を愉しむことができる楽器であると言える。

  • 中島 彩依, 渡邉 慎二
    セッションID: Z-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    体験型レストランとは、「食事に加えて様々な体験が出来るレストランのこと」である。体験型レストランにおいて演出が提供されている事例の少ないメニュー選択・注文時に着目し、注文時の価値を高めるサービスの提案を行った。

    ; 現在のメニューは、すべて視覚情報であるという点から、新しいアプローチとして聴覚情報を用いることを決定した。また、体験型レストラン利用後の聞き取り調査より、「ネットから得られる情報」と「ネットからは得られない体験」を組み合わせたサービスにニーズがあると考えた。音を使った注文方法のアイディア展開から、「調理音を聞きメニュー選択を行う」アイディアと「音をものに見立てる」アイディアを組み合わせた体験に決定した。

    ; 最終提案では、調理音を聞くことで食べたい料理を決め、注文を行うサービスを提案した。1つのプロダクトに1つの料理の調理音が複数種類入っており、それらをメニューとして扱う。ユーザーは、何の料理を選択するかは音のみの情報から判断をする。これにより、料理がくるまでのワクワク感や思いがけない料理が運ばれてきたときの盛り上がりを演出する。

  • 関 博紀, 平尾 春菜, 安 ?映, 本田 歩
    セッションID: Z-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は,国内で放送されたテレビドラマ316作品を対象として、各作品のエンディング映像を,1)クレジットの表示方法,2)登場人物の設定,3)挿入される音楽のタイミング,4)映像表現の4点に注目して分析した。その結果,映像と音楽では本編から区別するような操作が施される傾向があるのに対して,登場人物の設定やクレジットの表示方法では,本編からの分節を弱め,本編との連続性を維持させる操作が生じていたことを確認した。以上を踏まえて,エンディングにおける表現の独自性を考察した。

  • 村田 基, 三輪 正幸, 永瀬 彩子, 渡邉 誠
    セッションID: Z-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    銀座ミツバチプロジェクトが人気を獲得してきたように、都市部での養蜂が近年一般的になってきている。しかしながら養蜂で用いられる道具のデザインは過去大きな変化がなかった。特に雨から蜂を守るために用いられるルーフは全くデザインなされていなかったため、このルーフをユーザビリティと外観の観点からデザインすることを目的として本研究を行なった。

  • 小川 桃佳, 渡邉 慎二
    セッションID: Z-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年モーションキャプチャーの技術が発展し、この技術を用いて人間の癖も検出できるようになった。代表的なのは、スポーツの分野でフォームを改善する目的で使われる事例であり、その用途は主に癖を「欠点」として捉えている。一方で、癖は「個性」であるという見方があり、ロボットに通信相手の癖を付与することで相手の存在感を高めようとする試みがなされている。本研究は、癖の付与がものに対して「その人らしさ」を表現し、ものの価値を高める可能性があるということに着眼し、癖の動きを反映させることで個性や親近感を創出するシステムを提案する。

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