現在,中学美術科及び技術科の木材加工,金属加工等の学習において,生徒に物と人間の関係を深く考察させる学習を取り入れ,これを基にしたデザイン学習は,一般的に行われていないようである。その理由は美術科においては,その施設設備の不足とその教材化に視点の相違が見られるし,一方技術科においては,加工技術の生産的,工的学習が中心とされてきていること等によるものである。本研究ではデザイン教育の立場から,物と人間の関係を生徒に深く学習させる必要から,その学習を技術科の木材加工の領域において行わせ,併せて生徒の創造性を重視した授業の実践を行った。その結果は,(1)生徒は物と人間の関係を考察する学習について著しい興味・関心を示して取り組んだ(2)その学習過程にデザイン的要素を導入し,かつ生徒の創造性を重視した授業展開によって,生徒の学習態度が著しく改善された(3)本学習は生徒の造形性を高め,創造のよろこびと「デザインの心」を知らせるのに効果的であったなどの知見が得られた。
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