現代の都市景観は,建物,広告物等の色彩の氾濫により,無秩序な様相を呈している。しかしながら,先進都市においては,周辺の景観を配慮し,洗練された意匠や色彩を有す建物,工作物等も数多く見受けられるようになってきている。このような背景を踏まえ,本研究は,色彩を景観の構成要素の一つとして位置付けるとともに,色彩を切り口とした街並み景観のあり方を分析,考察し,その構成方法を検討することを目的としている。多様な街並み景観について,実態調査を行った結果, (1)日本の街並み景観は建物を中心とし,それに工作物,広告物,ストリート・ファニチュア,植栽等が加わり,成り立っており,これらの景観構成要素の種類と地区の用途とは,強く対応している。(2)街並み景観は,主に建物の材料の色彩により決定され,広告物,植栽等に用途地区タイプ別の特色が表れる。(3)色彩を市街地形成期別にみると,色相,色調ともに変容が明らかである。(4)景観評価の相関分析により,色彩は景観を表現する上で重要な要素である。等が理解できた。
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